2021年1月1日金曜日

[ゲーム] キャラクターのうつりかわり

[ゲーム] キャラクターのうつりかわり
■1972年~正体は電気信号
(モニカ) もともと,ゲームのキャラクターってのはどうやってできてんの?
(美緒) 32ビットだとか,何十メガだとかいう話題ばっかりがよく聞かれますけれどね,そういう話し以前の根っこの根っこ,つまりテレビゲームのキャラクターって何なの?というと,それはただの電気信号なんです。
ではまず,いちばん最初のテレビゲームから順番に見ていきましょうか。
(モニカ) へえ,これがテレビゲームのキャラクターをつくる装置なんだ?でも,ずいぶん小さいものなんだね。
(美緒) これは,世界初の家庭用テレビゲーム・オデッセィの中に入っている基盤のひとつです。こんなのが10枚くらいでオデッセィのゲーム画面をつくっているんですよぉ。
オデッセィには,コンピュータ(マイコン)なんて高級なものは入っていなかったんですね。
テレビのブラウン管に教えた通りのかたちを表示させるだけの,ただの表示装置なんです。
(モニカ) ああ,そういや,テレビを分解した時にこういうの見たことあるよ。抵抗とかコンデンサとかいう部品だっけ。
(美緒) そうです。これは,電流を調節する基盤。
ほかに,この基盤でつくった電流をテレビで受信できる信号に変える基盤や,規則的に信号を伝える基盤などをいくつも組み合わせて,テレビにキャラクターを出しているんですね。
■1977年~78年/キャラをつくるのもたいへんだ
(モニカ) ぎよぎょぎょっ!なんじゃあ,コリャあ!?
(美緒) 1977頃のアーケードゲームの基盤です。なんと,畳半畳サイズもあるんですよぉ。
(モニカ) ああ,おどろいた。あたしの背ぐらいの大きさなんだもんなー。
でも,すごいね,表面になんかビッシリ!と部品がついてるじゃん。
ICって言うんだっけ?
(美緒) そうです。これは「サファリ」というゲームの基盤なんです。
猟師がサファリハンティングするゲームなんですが,人間やワシ,ライオンなどのキャラクターをたくさん表示させるために,なんと250個以上ものICチップを使っているんですよぉ。
(モニカ) うひゃー!そりゃスゴイじゃん。でも嫌だなあ。こんなの家の中に入んないよ。
(美緒) 家庭用ゲームじゃあちょっと,ねえ。
それで,これじゃあまりにも効率が良くないからLSIという,ICよりも集積度に優れたチップにまとめようということになったんです。
これで,何十個,何百個というICを使わずに済むようになって,家庭用ゲームでも,いろいろ楽しいキャラクターが表示できるようになってきたんですよ。
TV-FUN 902(トミー/1978年)
カーレースとスタントサイクルの画面(拡大図)
(美緒) これは1978年末にトミーから発売された,TV-FUN902という家庭用ゲーム機で,カーレースとスタントサイクルの2種類のゲームが遊べます。
(モニカ) お!レーサーのキャラや車の形ができてきたんだニャン。
(美緒) ようやく,ゲームらしくなってきたって感じですね。
ただ,キャラクターの作り方は,基本的にオデッセィやサファリと変わらないんですよ。
レーサーのキャラクターを作ろうと思ったら,まずレーサーのキャラクターを作るための回路を,コンデンサとかを利用して一生懸命組み立てて,それをLSIにまとめるわけです。
だから,難しいし,ものすごく時間もかかるのでたいへんなんですね。
■1981年/マイコン仕様で与作が登場
(モニカ) お!「きこりの与作」じゃん,ちょっと,あたしにかしてみな!
(与作) うわわ!おいらのオノ!
(美緒) がんばれー!
(モニカ) あー,おもしろかった。今夜のおかずはイノシシ鍋にすっか!
(美緒) あはは。「きこりの与作」はカセットビジョンですね。この頃,ついにテレビゲームがマイコン仕様になって,いろいろなキャラクターが出てくるようになりました。
きこりの与作/カセットビジョン(エポック・1981年)
(美緒) マイコン仕様になって,キャラクターを表示する回路とキャラクターの形を記憶する機能を完全に分けることができるようになったんです。プログラマーは,キャラクターの形をプログラムで指定してやるだけで,簡単にたくさんのキャラを表示させたり,アニメーションの動きをすることができるようになりました。
(モニカ) 紙とえんぴつで説明できるもんね。「ね,こういう人の形したのが与作なんだよぉ」って。まだまだ記号っていうかんじだけど。
鳥と与作とイノシシのキャラクター
(美緒) 画面は小さなドットがいくつも集まってできているんです。これを画素数っていうんですけど,カセットビジョンはまだ「たまごっち」2個分くらいの画素しかないんです。だから作れる絵もまだ記号のような粗い感じなんですね。
カセットビジョンのカセットの中には,このような1チップマイコンが入っている
■1985年~/そして無限の可能性へ
(美緒) さらに2年後の1985年のテレビゲームを見てみましょう。エポック社のスーパーカセットビジョンで発売されたドラえもんです。
ドラえもん/スーパーカセットビジョン(エポック社・1986年)
(モニカ) うん、ここまでくると完璧ニャン!
最初のオデッセィが1972年だから、ここまで来るのに13年もかかったんだー。たいへんだったねえ。
(美緒) これ以降、キャラクターの色が16色や64色、そして現在ではもう無限に使えるようになってます。
表現方法も、ポリゴンという3次元手法が使われるようになって、そのうち、実写と全く見分けがつかなくならない時代が来るでしょうね。
(モニカ) そうなっちゃうと、もーかわいげがなくなっちゃったりして。あたしはこのドラえもんくらいでじゅうぶんニャン。
(美緒) ねえ。私はアルカディアのドラえもんなんか好きな方ですよぉ。

オデッセィ
http://www.ne.jp/asahi/cvs/odyssey/history/index.htm







1972年~正体は電気信号








1977年~78年/キャラをつくるのもたいへんだ






1985年~/そして無限の可能性へ



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