2021年5月19日水曜日

[メンタル] ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア

[メンタル] ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア
ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり - 井出草平 / 社会学 
SYNODOS
2021年08月30日 10:14
エグゼクティブ・サマリ
久里浜医療センターの樋口進氏らのグループが発表した論文から、ゲーム障害を過剰診断していく方針が読み取れる。この論文は厚労省・文科省の政策にも影響があると考えられ、ゲーム好きの健康な子どもや若者たちが、精神疾患とレッテルを貼られ精神科病棟に入れられる未来も現実味を帯びてきた。
先日、ゲーム障害の有病率調査が久里浜医療センターによって発表された。英語論文として発表されたため、まだ一般には知られていないが、専門家の間ではかなり話題になっている。というのも、久里浜医療センターはゲーム障害でない人を診断しようとしているのではないか、と、いわゆる過剰診断を懸念する声が湧き上がっているからである。
本稿では、久里浜医療センターの研究を紹介しつつ、自身の専門性からこの研究の問題点について解説したい。
この研究でゲーム障害の推定有病率は、男性が7.6%、女性が2.5%、全体で5.1%であったという結果が報告されている。これを受けて「世界的に実施された16件の研究のメタ分析から得られた、若者の問題のあるゲームの推定値と同程度である【注1】」と論文では主張されている。
つまりは、先行研究と同程度の結果ということだ。研究論文では先行研究と同じ結果が出ることは悪いことではない。なぜなら、結果がより強固なものとなるためである。しかし、この問題にある程度の知識を有する者からすると、非常に不可解な結果である。
他の精神疾患すべてを合わせた有病率と同程度?
まず、推定有病率の高さである。一つの精神疾患の有病率としては、まずありえない高さといってよい。
WHO(世界保健機関)が主導し世界の主要国で行われている世界精神保健調査(WMH)という精神疾患の有病率調査がある。日本もこの調査に参加しているが、日本で主だった精神疾患を持つ者は7.6%だと報告されている(対象は20?98歳)【注2】。
一方で、久里浜の論文では、男性のゲーム障害の有病率は7.6%であった。ゲーム障害単独で、他の精神疾患すべてを合わせたものと同じなのだ。この結果をどう思われるだろうか?
先行研究の有病率と同程度?
ゲーム障害という診断名は、WHOの診断基準ICDのバージョン11であるICD-11に掲載され、2022年度から使用される予定のものである。原稿を書いている現在は2021年なので、まだICD-10が使われており、ゲーム障害は掲載されていない。ゲーム障害は、2022年に初めて導入される精神疾患で、新しい概念だということを覚えておいていただきたい。
久里浜医療センターの研究が、先行研究と同程度の結果だったと書いているが、この先行研究もICD-11のゲーム障害よりも、過去の概念を使用した研究である。
精神疾患には、ICD以外に、アメリカ精神医学会によって作成されたDSMという診断基準がある。2013年に改訂されたDSM-5には「インターネットゲーム障害」という診断が正式なものではないが提案されていた。先行研究は、このDSM-5の基準で行われたものが多く、ICD-11の基準を使用した研究は含まれていない。
ICD-11はゲーム障害であり、DSM-5はインターネットゲーム障害と、DSM-5はインターネットにつながったゲームを対象にしているという違いがある。また、DSM-5の診断基準より、ICD-11の診断基準の方が厳しいと言われている。
オーストラリアの研究【注3】では、DSM-5の基準に該当した者の約半分がICD-11の基準に合致、韓国での研究【注4】では、同様にDSM-5の基準に該当した者の約5分の1がICD-11の基準に合致という結果が出ている。研究によって多少のバラツキはあるが、少なくとも、DSM-5の基準より、ICD-11の基準の方が厳しいことは専門家のあいだで常識となっている。
調査法が違っていたり、調査をした国が違っていたり、いろいろな点は考慮したとしても、DSM-5基準とICD-11基準の調査が同じ程度の有病率だというのは、きわめて怪しい結果なのである。
先行研究の2分1や5分の1といった少ない有病率が示されていなければならない。「先行研究と同程度」という結果がどのように、導かれたものかを読み解いてみたい。
有病率の調査ではない
この論文、よくよく読むと有病率の調査ではない。タイトルにも「有病率推定」と書いてあるのだ。ここに怪しい結果を出すからくりがある。別の言い方をするならば、調査設計に仕込みがされているのである。
そのことを説明するために、調査の流れを整理したい。
調査の対象は10歳から29歳以下の若者である。住民台帳からランダムサンプリングをして9000人を選び、調査依頼をしたところ5096人が回答をした。その中から、さらに766人に対面で診断をする依頼を出し、281人がそれに応じた。281人に一次面接をして18名が疑わしいとされた。その18名の症状について専門家が集まり、最終的に7名の診断を確定している。
というのが、この調査の第一段階目の流れである。
実はこの時点で「有病率」は計算が可能だ。面接をした281人が標本であり、うち7名が診断されたのだから、7÷281=2.49%が有病率である。95%信頼区間を計算すると0.669-4.313%となる【注5】。
したがって、この調査でのゲーム障害の有病率は2.49%である。
わざわざ計算をしたのは、論文中で有病率の計算がされていないためである。有病率が計算できるにもかかわらず、有病率を示さないのは何とも不思議な論文である。
9000人に依頼を出して、281人にしか面接をしていないので、バイアスはあるのではと考える人もいるだろう。しかし、精神疾患の有病率調査は、面接をして診断をする手順が必須であるため、バイアスはあったとしても、この方法が最良である。また、他の方法をとるよりもよほどバイアスは低いと考えられている。
じつはこの有病率も過大であると個人的には考えているのだが、話が逸れるため、また別稿に譲ろう。
ここで考えたいのは「有病率」の2.49%が論文で計算されず、「有病率推定」5.1%といった倍近くの数値が報告されているのはなぜか、ということである。
「有病率推定」とは何なのか?
有病率推定という数字の正体を理解するためには、もう少し調査計画を説明する必要がある。
さきほど、281人のうち7名が診断までは説明したが、この論文には続きがある。7名は統計処理をするには少なすぎるため、久里浜患者44名を足し合わせて、ゲーム障害群としている。一方で、それ以外の274名(=281-7)を対照群と設定している。
この2群、ゲーム障害群と対照群を弁別できるGAMES-testという尺度を、研究では作成している。GAMES-testは、何点以上であればゲーム障害の疑いがある、というスクリーニングテストなのである。スクリーニングテストは、診断を行うものではなく、疑いのある者をあぶり出すツールであるため、有病率推定という言い回しになるのだろう。
このGAMES-testの項目には、最初の5096人も回答している。そこで、5096人の中からGAMES-testに従ってゲーム障害群と推定がされている。この数字が男性7.6%、女性2.5%、全体で5.1%という数字の正体である。
有病率の結果を報告しているのではなく、スクリーニングツールの結果なのだ。
過大診断のからくり
からくりの正体はこのGAMES-testというスクリーニングツールの作成方法に隠されている。この種のツールを作成する場合には重要なのが、対照群の設定である。この調査では、ゲームとほぼ無関係な274人を対照群として設定している。専門用語では健常対照群と呼ばれている。
しかし、今回の対照として健常対照群との比較は不適当である。本来は「ハードゲーマー」などと呼ばれる、趣味としてゲームを比較的長時間プレイしているものの、学業や仕事には問題を生じさせていないグループを対照群に置き、「病的ゲーマー(pathological gamer)との区別をすること」が求められていたからだ。
“pathological”は「病的」と定訳が決まっているため、ここでも病的と翻訳しているが、日本語でいう病気とは意味が少し異なる。正確にいうと、学校にも行かず、会社にも行かず、仕事をやめてしまったりして、寝食を忘れてゲームをしており、致命的な問題が生じており、かつ、それがゲームによって引き起こされている、という意味である。
その理由はICD-11のゲーム障害導入が決まったプロセスを見ることでも明らかである。
ゲーム障害の診断における専門家の役割はどこへ?
2017年前後に海外の専門家のあいだで、ゲーム障害という概念をめぐって大論争が起こっていた。ゲーム障害の診断を確立しようというグループと、時期尚早であるという慎重なグループの間で、大激論がされていた。
慎重なグループが懸念したことの一つは、趣味としてゲームをしている人、とくにいわゆるハードゲーマーと、病的なゲーマーの区別がつくのかという問題である。ゲーム好きでゲームを長時間しているような人を、精神疾患にしてしまわないか? と疑念を投げかけていたのだ。
それに対して、推進派は「大丈夫だ」「ゲームをスティグマの対象にするためではない」「趣味で長時間ゲームをしているようなハードゲーマーと、病的なゲーマーを区別することが科学者と臨床家の役割だ」と宣言をしている【注6】。
このような主張を行った論文はいくつもあるが、今回の論文の第一著者である樋口進氏も、2017年の論文で同様の主張している【注7】。
つまり、GAMES-testといったスクリーニングツールを作成する際に、樋口氏が自身に課すべき課題は、2017年の論文で書いたようにハードゲーマーと病的なゲーマーを区別することだったはずなのだ。
GAMES-testのからくり
便宜的に3つのグループを仮定しよう。
1.ゲームを全くしていない人や少しゲームをしているグループ
2.ハードゲーマー
3.病的ゲーマー
ゲーム障害のスクリーニングツールとして求められているのは、2と3の区別ができることであって、久里浜医療センターの樋口進氏も2017年に自ら述べていることである。
しかし、今回の論文では、健常対照群との比較をしたため、1と3が比較されたということだ。そのため、2と3の区別はつけることができていない。
1と3を区別する項目として何が選ばれたかについては、GAMES-testの項目を直接見ると理解できる。たとえば、ゲームに熱中してついつい夜ふかしをしてしまったり、ゲームが面白過ぎて他の趣味に興味がなくなったり、今の生活でゲームが一番面白いと答えることがあげられている。
確かにこういった項目は3の人には当てはまるだろうが、1の人には当てはまりそうにない。しかし、これらの項目は2の人たちにもあてはまるのである。
GAMES-testに上げられている項目は文末に項目を掲載しているので、興味をある方はみていただきたい。ハードゲーマーの日常に近い項目が多く含まれていることが確認できるだろう。
GAMES-testで推定されるのは、2と3のグループである。久里浜医療センターと樋口氏は2と3の区別が重要だと4年前に論文に書いていたにもかかわらず、2と3をまとめてゲーム障害群と推定する論文を書いたのである。
GAMES-testは害悪をもたらす
GAMES-testが役に立たないツールだ、ということはお伝えできたかと思う。GAMES-testの作成手順の問題点は、比較対象を「ハードゲーマー」にしなかったことである。
今回の論文では、調査法、実験法、統計学に長けた人物も協力しており、比較対象を「ハードゲーマー」にせず、「健常対照群」にすれば、ゲーム障害の推定は過大になることは設計段階から予想ができていたはずである。
予想ができていたにもかかわらず、正しい方法で実施しなかったのは、過大に推定するのが目的だったのだろう。調査法や統計学の素人が見様見真似でやってみて失敗したのであれば、意図的ではなかったのだろうと思えるのだが、今回の論文では中級以上の様々な統計手法が駆使されており、このレベルの専門性のある人間が、対象群についての知識を持っていないことはあり得ない。意図的にゲーム障害が過大に推定される調査設計をしたと判断するのが妥当である。
本来この論文で書くべき有病率は2.49%ある。しかし、GAMES-test のからくりを挟み込むことで、5.1%と推定できていて、倍以上の現象に大きく見せることに成功している。
ゲーム障害の有病率を大きく見せかければ、社会に大問題だと訴えることにつながるのかもしれないが、それよりも懸念されるのは、ゲーム障害の診断確立に慎重だったグループが訴えていた過剰診断である。
この論文が起こす問題
今回の論文は、久里浜医療センターの樋口氏らのグループが書いた一つの学術論文ではすまされない面がある。
まず、この研究は厚労省の委託によって行われている点である【注8】。委託額は7769万円である。
8000万円近い税金を使い、意図的にゲーム障害が過大に推定されている研究が実施されたことになる。多額の税金が適切な科学研究に使用されなかった問題が1つ目の問題である。
2つ目の問題はこの研究が厚労省の委託研究だということだ。厚労省は政策のすべてを独自に研究する機関を持たないため、外部の専門家に委託をして、その結果を元に政策決定を行っている。
つまり、この研究は、今後の厚労省を含めた日本政府の政策が作られていく根拠として使われていくのだ。最近の行政の動きをみると、厚労省は一定程度、慎重な態度をとっているが、文科省はゲーム障害の恐ろしさを訴える啓蒙パンフレットを作成するなど、かなり積極的である【注9】。政策の中で、論文の中に隠されたからくりは無視され、ゲーム症は若者の5.1%もいる、男性に至っては7.6%だ、大変なことだ、と政策の根拠として使われる危険性がある。
久里浜医療センターと樋口氏が、調査で過大に結果を報告したのは今回が初めてではない。センターが以前に取り組んでいたギャンブル依存症の調査では、男性9.6%という数値を報告した。日本国民の男性の10人に1人が、問題のあるギャンブルを行っているという結果を報告したのだ。しかし、常識的に考えて10人に1人がギャンブル依存症とは考えづらく、方々から疑義が出され、再度調査がされた結果、直近1年で0.8%と数値を修正された過去がある。実に10倍も多く過大に見積もっていたのである。
久里浜医療センターが過去に行ってきた、アルコール、ギャンブル、インターネット依存症の例では、マスコミはファクトチェックをすることなく、大々的に結果を発表してきた。今回も同じことが起こるのではないかと危惧している。こういった盛り上がりを受けて、ゲームを締め付ける政策が打たれていくかもしれない。
ギャンブル障害のときの過大な見積りは稚拙な方法であったが、今回のゲーム障害の論文では統計の専門家が手を貸し、やり口が巧妙になっており、一見するとまともな論文にみえるように仕立て上げられている。
久里浜医療センターと樋口氏の今までの活動を知っている者にとっては「またやったのか」という感想しか出ないが、今回はその手法がより巧妙になったことに注目した方がよいだろう。巧妙になった久里浜医療センターには、今まで以上の警戒が必要になってくるだろうからだ。
ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア
先日、中国の国営紙は「ゲームは精神のアヘンである」と書き、中国のゲーム規制は一層厳しく締め付けられることになった。この件が報道されると、SNSには中国政府の政策にあきれたといった声があふれた。しかし、これは対岸の火事ではなく、日本でも起こりつつあるように思えてならない。
GAMES-testは少しでもゲームに夢中になれば、精神疾患扱いをするツールであり、精神疾患ではない者を精神疾患にする危険性がある。健康な誰かを精神疾患だと見なすことは、その人の人生を狂わせる大きな問題であることを忘れてはいけない。
かつてソ連では、政治犯を精神疾患として病院に収容するという方法で言論弾圧が行われていた。当局にとって都合の悪い者を精神疾患とラベリングして、社会から隔離したのである。精神医学というのは使い方次第で、とんでもない悪行も正当化できるツールであり、他の医学分野以上に、私たちはその力の使われ方を監視していく必要がある。
ゲームへの取り締まりが世界の中でもっとも厳しく、すでに精神疾患として認定されている中国では、インターネットをしているだけ、ゲームをしているだけの子どもや若者たちが、隔離病棟や訓練施設に送り込まれる事例が後を絶たず、社会問題化している【注10】。隔離病棟で麻酔をかけない懲罰的な電気けいれん療法がおこなわれていたことが判明したり、施設での死亡事故も多発している。これらはインターネットやゲームに夢中になっている子どもや若者は精神疾患だとされたことから始まっている。
日本もその道を歩みつつあるようにみえる。久里浜医療センターはゲーム障害の治療と称して、子どもたちを病棟に入院させてきたことで有名である。このことは樋口氏の書籍などで紹介されている【注11】。
ゲームに少し夢中になった子どもに、精神疾患のレッテルが貼られ、精神科病院に隔離される。厚労省が久里浜医療センターの研究を元に政策を展開していけば、ゲーム好きの子どもたちや若者を精神科病棟に隔離することが当たり前の社会になるかもしれない。
おそらく、久里浜医療センター自体は、ゲーム障害でもかなり重症の子どもや若者の治療を実際にはしているのであろうし、懲罰的な行為をしているわけではないだろう。しかし、久里浜医療センターの劣化コピーのような施設が出てきたときに、中国やソ連のような人権侵害が起こる可能性は非常に高い。
精神科病棟だけではなく、民間施設でもこの動きは起こるだろう。戸塚ヨットスクールに代表されるように、不登校やひきこもりの矯正を謳った不適切なサービスを提供する施設は日本各地に存在している。そういった施設では、強制的な拉致、暴行、死亡事件といった事件が起こり続けてきた。新しい金儲けの事業として、これらの施設がゲーム障害に目をつけるのはおそらく間違いない。これらの施設は時代の変遷とともに、社会問題となってきた、不登校、ひきこもり、ニート、発達障害と看板を掛け変え商売を続けてきたからだ。ゲーム好きの子どもたちや若者がゲームをしているという理由だけで、施設に収容されていく未来が容易に想像できる。
4年前の論文や今までの樋口氏は、本当に困っている子どもたちや若者たちに医療を届けるのであって、ゲームを楽しんでいる人を精神疾患とラベリングするわけではないと主張してきた。少なくとも学術的にはその立場にいた人間である。
しかし、今回の論文で過剰診断を意図していることが明らかとなった。これはゲームが好きな子どもたちや若者に、根拠なく精神疾患のレッテルを貼っていく方針に、樋口氏と久里浜医療センターが公に舵を切るという宣言だと私は見ている。
しかし、まだ中国やソ連のようなディストピアになってしまったわけではない。
私たちができることはまだまだ残っている。その一つの手段は、久里浜医療センターの活動に異議申し立てをすることである。彼らの研究には重大な欠陥があることを、資金提供した厚労省や資料を利用する可能性のある文科省に伝えていくことも重要なことである。
久里浜医療センターに、ゲーム障害を過大に推定するからくりが仕組まれた調査ではなく、科学的に誠実な研究を求めていかなければならない。もし、彼らにその意思がないのであれば、正しく公平な科学的態度に基づいた研究をする学者に調査させ、関わるように働きかけるしかないだろう
資料 GAMES-testの項目
この項目は英語論文からの翻訳であるため、実際に日本語の調査で使用されたものとは言葉づかいなどが異なる可能性がある。
1.ゲームをやめようと思ってもやめられないことが多いですか?
2.ゲームを始める前に意図していたよりも長い時間、ゲームをすることがよくありましたか?
3.ゲームのために、スポーツや趣味、友人や親戚との会合などの重要な活動への興味が著しく失われたことがありますか?
4.ゲームはあなたの日常生活の中でもっとも重要なものですか?
5.学校や仕事のパフォーマンスの低下
6.昼夜逆転、または昼夜逆転の傾向(過去12ヶ月間に30日以上)
7.ゲームのために学業が危うくなったり、仕事を失うリスクがあっても、ゲームを続けたことがありますか?
8.ゲームが原因で憂鬱や不安になったり、睡眠障害などの精神的な問題を経験したにもかかわらず、ゲームを続けたことがありますか?
はい=1、いいえ=0で最高点8点。4点をカットオフ値として、4点以上の場合感度94%、特異性97%。平日の平均ゲーム時間を加え、平均ゲーム時間が2時間未満の場合は0点、2時間以上6時間未満の場合は1点、6時間以上の場合は2点とし、最高点10点とし、カットオフ値を5点にした場合には感度100%、特異度98%。
【注1】Fam, Jia Yuin. 2018. “Prevalence of Internet Gaming Disorder in Adolescents: A Meta-Analysis across Three Decades.” Scandinavian Journal of Psychology. https://doi.org/10.1111/sjop.12459.
【注2】Ishikawa, H., N. Kawakami, R. C. Kessler, and World Mental Health Japan Survey Collaborators. 2016. “Lifetime and 12-Month Prevalence, Severity and Unmet Need for Treatment of Common Mental Disorders in Japan: Results from the Final Dataset of World Mental Health Japan Survey.” Epidemiology and Psychiatric Sciences 25 (3): 217?29.
【注3】Starcevic, Vladan, Tae Young Choi, Tae Ho Kim, Seo-Koo Yoo, Sujin Bae, Byung-Sun Choi, and Doug Hyun Han. 2020. “Internet Gaming Disorder and Gaming Disorder in the Context of Seeking and Not Seeking Treatment for Video-Gaming.” Journal of Psychiatric Research 129 (October): 31?39.
【注4】Jo, Y.S.; Bhang, S.Y.; Choi, J.S.; Lee, H.K.; Lee, S.Y.; Kweon, Y.-S. Clinical Characteristics of Diagnosis for Internet Gaming Disorder: Comparison of DSM-5 IGD and ICD-11 GD Diagnosis. J. Clin. Med. 2019, 8, 945.
【注5】Wald法による計算。疫学では、年齢や性別で調整値を出すこともあるが、7名の年齢性別が分からないためこれ以上の計算はできない。
【注6】Kuss, Daria J., Mark D. Griffiths, and Halley M. Pontes. 2017. “DSM-5 Diagnosis of Internet Gaming Disorder: Some Ways Forward in Overcoming Issues and Concerns in the Gaming Studies Field.” Journal of Behavioral Addictions.
King, Daniel L., Paul H. Delfabbro, Marc N. Potenza, Zsolt Demetrovics, Joel Billieux, and Matthias Brand. 2018. “Internet Gaming Disorder Should Qualify as a Mental Disorder.” The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry.
【注7】Billieux, Joel, Daniel L. King, Susumu Higuchi, Sophia Achab, Henrietta Bowden-Jones, Wei Hao, Jiang Long, et al. 2017. “Functional Impairment Matters in the Screening and Diagnosis of Gaming Disorder: Commentary on: Scholars’ Open Debate Paper on the World Health Organization ICD-11 Gaming Disorder Proposal (Aarseth et Al.).” Journal of Behavioral Addictions 6 (3): 285?89.
【注8】平成30 年度・令和元年度に「ゲーム(インターネット)使用・依存に関する実態調査」(平成 30 年度補助額:35,200 千円、令和元年度補助額42,489 千円)。
【注9】山田太郎議員による指摘で文科省の啓蒙パンフレットの配布は撤回された。【参議院議員】山田太郎「《Law55》粘り強い交渉成功??文科省、ゲーム依存症パンフレット取りやめました。」で事の顛末が報告されている。https://www.youtube.com/watch?v=pUzKXinPAng
【注10】Case study: Electric shock therapy in China for internet ‘addiction’ ?  Guardian, https://www.theguardian.com/world/2009/jul/14/china-internet-electric-shock-treatment
【注11】たとえば、樋口進,2018,『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』講談社.
プロフィール
井出草平社会学
1980 年大阪生まれ。社会学。日本学術振興会特別研究員。大阪大学非常勤講師。大阪大学人間科学研究科課程単位取得退学。博士(人間科学)。大阪府子ども若者自立支援事業専門委員。著書に『ひきこもりの 社会学』(世界思想社)、共著に 『日本の難題をかたづけよう 経済、政治、教育、社会保障、エネルギー』(光文社)。2010年度より大阪府のひきこもり支援事業に関わる。
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