[通信] 2022年3Gサービス終了〜3G通信大陸に未だ残る2,000万ガラケーユーザの命運
どうして、おじさんはガラケーからスマホに乗り換えないのか? その意外な4つ理由とは……
(文=すずきあきら/編集・ライター)
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2022/01/07 08:30
2022/01/06 19:19
2022年3月にauが3Gサービスを終了するのを皮切りに、ソフトバンクやドコモも相次いで3Gサービスを終了する。それでも、なおガラケー(フィーチャーフォン)を使い続けている人は2,000万人以上いるそうだ。当たり前にスマホを使っている人から見れば「どうして、まだガラケーなんか使っているの?」と不思議に思えるだろうが、おじさんにはおじさんなりの理由があるのだ。
■どうしておじさんはガラケーからスマホに乗り換えないのか?
2021年12月18日、総務省が2021年9月末時点での「電気通信サービスの契約数及びシェア」について調査した結果を発表した。それによると、3G端末(ガラケー・フィーチャーフォン)の利用者は2,237万件もいるそうだ。しかし、長年ガラケーで利用されてきた「3Gサービス」は、間もなく終了されることになっている。auが2022年3月31日にサービスを終了するのを皮切りに、ソフトバンクは2024年1月末、ドコモは2026年3月31日に相次いで終了するのだ。
もちろん、4GLTEに対応するガラケー(ガラホ)もあるので“3Gサービス終了=ガラケーすべてが使えなくなる”わけではないが、3Gのみ対応するガラケーは確実に使えなくなってしまう。このあたりの事情は→こちらで確認してほしい。最初からスマホを使っている若者にすれば、ネットも閲覧できず、LINEも使えないガラケーを使い続けているおじさんの気持ちなど分からないだろうが、おじさんにはおじさんなりの理由があるのだ。
そこで今回は、筆者の周辺で見聞きした「おじさんがガラケーからスマホに乗り換えない意外なワケ」を紹介しよう。これで少しはおじさんの気持ちが分かるかも?
■3Gしか対応しないガラケーは、3Gサービスの終了とともに使えなくなる。それでもおじさんがガラケーからスマホに乗り換えないワケとは?
【1】ガラケー+スマホの2台持ちの人がいる
まず、60歳以下の人はガラケーだけではなく、スマホ(タブレット)との2台持ちの人が多い。とくにデータ+SMSの格安SIMなら月3GBで月額1,000円以下で利用可能なので、ガラケーは通話専用として使っているのだ。
これについては→こちらで詳しく解説しているが、ガラケーは待ち受け状態なら5日間程度は充電しなくていいので、スマホのように毎日充電するわずらわしさがないのもガラケーの重要なポイントである。60歳以下の人は、電話の待ち受け用にガラケーを手放せない人も多く、なかにはスマホ(データ+SMSの格安SIM)との2台持ちの人もいる
【2】スマホは使い方が分からない
70歳以上の高齢者になると、物理ボタンのないスマホは使い方が分からないという人が多い。画面上のボタンをスライドさせて電話に出る操作が理解できず、結局は「ガラケーに戻したい」と言い出す人も多いと聞く。また、高齢者はスマホをギュッと握ってしまう人が多く、自分でも気づかないうちに画面を触っているのだ。そのため、画面が勝手に切り替わってパニックに陥ってしまうケースをよく見かける。さらに、スマホは使える機能が多すぎて何度教えても操作が覚えられない人が多い。筆者の義母には何度もLINEの操作方法を教えているが、いまだにLINEが既読になることはない。また、義父は筆者と会うたびに、着信履歴と電話帳画面の切り替え方を聞いてくる。このように、人にもよるが筆者の印象では60歳後半から70歳前半までがスマホを使いこなせるかどうかのボーダーラインだと感じている。高齢者はスマホに着信があっても操作が分からず、間違って電話を切ってしまう人も多い
【3】スマホの料金は高いと思い込んでいる
「ahamo」や「povo」などの登場によって、現在、スマホの料金は劇的に安くなっており、月3GBなら月額1,000円以下で利用できる。しかし、それ以前のスマホの料金は安くても3,000~5,000円程度はしていたので、いまだにスマホは料金が高いと思い込んでいる高齢者は少なくないのだ。ただし、ドコモでは月額550円の「エコノミーMVNO」の取り扱いも開始しているので、今後は高齢者の間でも徐々にスマホの料金は高くないことが認識されるだろう。エコノミーMVNOについては→こちらで詳しく解説している。
NTTグループの格安SIM「OCN モバイル ONE」が提供する「エコノミーMVNO」は月0.5GB+無料通話10分付きで月額550円という激安プラン。ドコモや家電量販店のドコモコーナーでも申し込める
【4】とにかく新しいものに変えるが面倒くさい
これは携帯電話に限った話ではないが、おじさんのなかには、とにかく新しいものになかなか触らない人が多い。以前、50歳代の筆者は、同級生の友人に格安SIMに変えれば毎月4,000円、年間5万円ほど携帯電話料金が安くなると必死で説得したことがあるが、「面倒くさい」の一言で終わってしまった。おじさんは、何でも自分の目で確かめて納得してからでないと決断しない人が多い。そのため、ネットで格安SIMの料金プランを比較検討するのが面倒なのだという。50歳代の筆者は仕事の関係上、デジタルに関するリテラシーは高いほうだが、筆者の友人たちは何でもすぐ「面倒くさい」と言うのでイヤになる。これがおじさんの特徴なのだろう
いかがだろうか? 筆者もいい加減50歳後半のおじさんなのだが、田舎の幼馴染みや大学の同級生に会うと、デジタルに対するリテラシーが低すぎて驚くことがある。さすがに現在では、筆者の友人のほとんどはスマホに乗り換えているが、これが70歳以上の高齢者になれば、よほどの緊急事態でもない限り自分からスマホに乗り換えることはないだろう。
だが、「3Gガラケー終了」という緊急事態は、もはや目前に迫っているのだ。
OCN モバイル ONE「エコノミーMVNO」(公式)→こちら
(文=すずきあきら/編集・ライター)
オトナライフ
[機器][ケータイ] Kyocera, G'zOne TYPE-XX〜4Gケータイの世界
《9年ぶりの復活》“伝説の最強ガラケー”「G'zOne」を蘇らせたauの切迫した事情
12/17(金) 17:12配信
12月10日、KDDIが新製品「G'zOne TYPE-XX」を発売した。プレスリリースが出るやいなや、ネット上では「伝説の最強ガラケー」として話題となった。 「G’zOne」。2005年の水槽につけるパフォーマンスは多くの人の記憶に残っている 。そう,G'zOne TYPE-XXはスマートフォンではなくガラケー,「ケータイ」なのだ。 スマートフォン全盛時代になぜケータイの新製品なのか。そこにはKDDIの切迫した事情がある。
■スマホを「触れない」人たちに刺さった「ケータイ」
9年ぶりの復活になったG’zOne(筆者提供)
G'zOneシリーズは初代は2000年に発売され、耐衝撃、耐水性に優れており、登山やマリンスポーツをする人に人気のモデルだった。 また、土木作業員や農業、林業の人は手袋をして仕事をするし、農業の人は土を触る。こうした職業の人たちはタッチパネルのスマートフォンは操作しにくい。G'zOneは耐衝撃や耐水性能がありながら、「ケータイ」ということでボタンで操作するため、多くの人に重宝されてきた。
■「これが使いたい」の意識が強いユーザーたち
G'zOneシリーズはカシオ計算機がつくっていたのだが、同社は2013年に携帯電話事業から撤退。以後、G'zOneシリーズは製造されなかった。 KDDIではG'zOneの代わりになればと、京セラから「TORQUE」というタフネススマートフォンを調達していたが、それでもかたくなに「ケータイ」型のG'zOneを使い続ける人がいた。 実際にKDDIの調べでは、いまでもG'zOneをこよなく愛用し続けるユーザーは数万人。2006年から15年、同じG'zOneを使い続けてきたユーザーもいたようで、G’zOneを使っているユーザーは「同じブランド、同じメーカーを使い続けたい」と希望する人がケータイユーザー平均の約5倍にもなったという。
■なぜ復活させたのか
では、なぜこのタイミングでKDDIはG'zOneを復活させたのか。 実はKDDIは2022年3月末で3Gサービスを終了させる予定だ。 にもかかわらず、いまだに3Gサービスを利用しているユーザーは数百万人規模存在している。2022年3月末で3Gの電波を止めてしまうため、3Gしか使えないケータイを持っている人は電話もメールも一切使えなくなってしまう。 現在、KDDIでは3Gケータイから4Gのスマートフォンやケータイへの乗り換えを促進しているが、2000年から発売したケータイ「G'zOne」には根強いファンが多く,京セラ・TORQUEにも乗り換えてくれない。 このまま3Gサービスを停波させれば,KDDIは数万人というユーザーを2022年3月末で一気に失うことになりかねない。 そこで最後の手段としてG'zOneを復活させることになったのである。
とはいえ、カシオ計算機はすでに携帯電話事業から撤退しており,製品の開発や製造などは行えない。そこでKDDIは京セラに声をかけ,製品の開発や製造を発注。デザインに関してはカシオ計算機でかつてG'zOneを担当していたメンバーを招集して描いてもらった。 こうして「デザインはカシオ計算機,開発・製造は京セラ」という座組でG'zOneが復活に至ったのだった。 G'zOne TYPE-XXは5万2800円という価格となっているが,G'zOneケータイを使い続けている人は無償での交換が可能だ。「タダで新製品に乗り換えられる」ということで、なんとか3Gユーザーを4Gユーザーに移行させていく戦略だ。
■迫り来る各社3Gサービス終了と“大きな誤解”
KDDIは2022年3月末で3Gサービスを終了させるが,
ソフトバンクも2024年1月末,
NTTドコモも2026年3月末
で終了の予定だ。 では3Gサービスが終了するとどうなってしまうのか?世間では「3Gサービス終了でガラケーが使えなくなる」と言われているが,それは大きな誤解だ。今回登場したG'zOne TYPE-XXもそうなのだが,すでに各キャリアでは4G対応のケータイをいくつか発売しており,新製品も継続的に発売されている。3Gサービスが終わる前に4G対応ケータイに乗り換えればいいだけの話だ。 ただ街中のキャリアショップなどでは「3Gが終わるのでケータイからスマホに乗り換えましょう」的なアピールをしているところが多い。キャリアとすれば,通信料収入が1000円程度のケータイを使い続けられるよりも,収入が何倍にもなるスマートフォンに乗り換えてもらったほうがありがたい。そこで、3Gサービス停波をフックに「スマホへの乗り換え」を後押ししているのだ。
■「選択肢」はスマホだけではない!
いまもケータイを使っている人がいれば、各社が停波する前に乗り換えが必要になる。しかし、ショップのスタッフに言われるがまま、スマートフォンに乗り換える必要はない。ケータイのかたちが気に入っている、電池交換できる安心感がいい、通話しかしないので料金は安い方がいいというのであれば、4Gに対応したケータイに買い換えればいいだけのことだ。 ただ、ケータイ向けのコンテンツサービスは続々と終了しており、先日もiモードの公式サイトが終了したばかりだ。 「出先でコンテンツをチェックしたい」というのであればスマートフォンへの乗り換えをすべきだし、スマートフォン向けプランも最近は3GB990円で音声通話の基本料金も込みというのも増えてきた。 通話のみならケータイ、コンテンツやメールを使いたいのならスマートフォンへの切り替えを検討すべきだろう。
石川 温
最終更新:12/17(金) 17:12
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高速モバイルの草分け「CDMA 1X WIN」終了まで4カ月、心に残る18年前の騒ぎ
高槻 芳
日経クロステック/日経コンピュータ
2021.12.09
物事には必ず終わりがある。師走も近づく2021年11月末、そのことを実感する話題が2つあった。1つは、NTTドコモが運営していた「iモード」の公式サイトが2021年11月30日をもって終了したというニュースだ。iモードはドコモが1999年に開始した世界初の携帯電話向けネットサービスである。インターネットバンキングや着信メロディー、ゲームなど豊富なコンテンツをそろえた公式サイトが幅広い消費者の支持を得たこともあり、2010年には契約数が4900万件を突破するなど一時代を築いた。
もう1つは2021年11月29日にKDDI(au)が、主に「ガラケー」で使われる3G(第3世代移動通信システム)方式の無線通信サービス「CDMA 1X WIN」を2022年3月31日に停止すると発表したことだ。終了時期は2018年に公表済みだったが、終了後の契約や電話番号などの取り扱いを今回明示した。
最初のCDMA 1X WIN対応携帯電話機「W11H」(日立製作所製、左)と「W11K」(京セラ製、右)
KDDIがCDMA 1X WINを開始したのは2003年11月。携帯電話の商用サービスとしては初めてメガクラスの速度を実現した。具体的には携帯電話基地局から端末への下り方向で最大毎秒2.4メガビットに達し、固定回線を使うブロードバンド・サービスで当時主流だったADSLになぞらえて「モバイルADSL」などと呼ばれていた。もっとも、現在は4Gを経て5Gの時代を迎えている。一世を風靡したiモードの終焉(しゅうえん)に感慨を抱く人は多いかもしれないが、18年前に始まった3GサービスのCDMA 1X WINに思いを巡らせる人は、おそらく少数派だろう。だが筆者にとっては、携帯電話の技術や業界動向を追いかける記者としての気づきを多く与えてくれた味わい深いサービスでもある。CDMA 1X WINはどのように登場し、どんなインパクトを日本の携帯電話市場に与えたのか――。それを今回振り返ってみたい。
■「パンドラの箱を開けた」と業界大騒ぎ
CDMA 1X WINと言えばいち早くメガクラスの高速通信を実現したサービスであることは前述した通り。それにも増して筆者が驚かされたのは、携帯電話のデータ通信市場に初めて定額制を持ち込んだ点だ。
それまでの携帯電話におけるデータ通信の課金方法は基本的に、パケット通信量に応じた従量制だった。これに対してKDDIはCDMA 1X WINの開始に合わせ、月額4200円(税別)でパケット通信が使い放題のメニュー「EZフラット」を投入した。携帯電話単体での用途に限定したメニューではあったが、それでも非常に画期的だった。
KDDIのこうした動きをライバルはどう受け止めたのか。当時の様子については、筆者が雑誌「日経コミュニケーション」(休刊)の2003年12月8日発行号に執筆した特集記事から紹介したい。その記事は次のような書き出しで始まる(社名や所属、肩書はいずれも当時)。
日経クロステック
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