2023年1月19日木曜日

[メンタル] SNSを使う子と使わない子「脳発達」決定的な違い


[メンタル] SNSを使う子と使わない子「脳発達」決定的な違い
SNSを使う子と使わない子「脳発達」決定的な違い10代の子を対象にした研究で判明した
The New York Times
2023/01/07 9:00
SNSを頻繁に使う子と使わない子では脳機能の発達に違いがあることがわかったという(写真:Jake Images/PIXTA)
ソーシャルメディア(SNS)の使用は子どもたちにどのような影響を与えるのか。SNSはすでに子どもの間で大きく普及し,いわば巨大な社会実験がフルスピードで進行している状況だ。子を持つ親や政策担当者がその影響を見極めようとする中,同分野の研究からは気掛かりな傾向も見え始めている。ノースカロライナ大学の神経学者らによる新たな研究は,これまでにない試みとして12〜15歳の中学生の脳を継続的にスキャンした。12〜15歳というのは、脳が急速に発達する時期にあたる。
■SNSの使用度合いで脳発達に顕著な違い
その結果12歳ごろにSNSのフィードを習慣的にチェックしていた子どもたちは,ある特有の発達傾向を示すことが確認された。
仲間からの社会的報酬に対する感受性が時間とともに強まっていたのだ。
反対にSNSの使用が比較的少なかった子どもたちではそれとは逆の傾向が見られた。アメリカ医師会(AMA)の学術誌『JAMA Pediatrics(小児科学)』に1月3日付で発表された同研究は,SNS使用と関連した脳機能の変化を数年にわたって捉えようとした初めての研究の1つだ。著者らが認めているように、この研究には重要な限界もある。思春期は社会的な人間関係が拡大していく時期であるため、もともと仲間との結びつきを強める傾向にあった子どもがSNSをより頻繁に使うようになり、それが脳の発達傾向の違いとなって表れた可能性もある。「SNSが脳を変容させているという因果関係は主張できないということだ」と、同論文の著者の1人でもあるノースカロライナ大学チャペルヒル校のエヴァ・テルザー准教授(心理学・神経学)は言う。
その一方でテルザー氏は、こうも付け加える。「SNSを習慣的にチェックしているティーンは脳の応答の仕方に著しい変化が見られるため、大人になってからも続く長期的な影響をもたらし、その後の脳の発達条件を左右する可能性がある」。
研究チームは、ノースカロライナ州の田舎の中学校で6〜7年生(日本の小学6年生と中学1年生に相当)の民族的に多様なバックグラウンドを持つ169人の生徒を調査。フェイスブック、インスタグラム、スナップチャットのフィードをどれくらいの頻度で確認しているかを尋ね、頻度別に生徒を分類した。SNS使用には12歳くらいでも特徴的なパターンができていた。SNSを習慣的に使用している生徒は、フィードを1日に15回以上確認していると回答。中程度に使用している生徒の1日の確認回数は1〜14回、SNS使用が習慣化していない生徒は1日に1回未満だった。被験者には約1年おきに脳全体のスキャンを計3回行った。スキャンは、成功すれば仲間が笑顔を見せ、失敗すれば睨んでくる、という形で報酬と罰が与えられるコンピューターゲームをプレイさせている最中に行われた。
■SNS利用で活動が高まる3つの脳領域
報酬処理回路
特徴抽出に関わる脳領域
前頭前皮質
SNSを頻繁にチェックしている子どもたちでは、ゲームのプレイ中に脳の3つの領域で活動の高まりが見られた。賞金を得たり、リスクの高い行動に出たりといった経験にも応答する報酬処理回路、環境の中で目立つものを見つける特徴抽出に関わる脳領域、調整と制御に関わる前頭前皮質の3つだ。「SNSを頻繁にチェックしながら育つティーンは(そうでないティーンに比べ)仲間の反応に過敏になる」ことを示す結果だと、テルザー氏は解説する。この発見は、脳の変化の傾向を示すだけであり、変化のレベルを示すものではない。こうした変化にメリットがあるのかデメリットがあるのかも不明だという。SNS分野の研究者からは、この発見から過度に一般化した結論を導き出すべきではないとクギを刺す声が上がっている。
「今回の発見が示しているのは、人生のある時点におけるSNS使用が脳発達に影響するということに過ぎず、影響がどれくらいなのか、その影響が良いものなのか悪いものなのかはわかっていない」。スタンフォード大学ソーシャルメディア・ラボの創設ディレクターで、今回の研究には関与していないジェフ・ハンコック氏は、SNS以外のさまざまな要因が脳の変化に影響を与えた可能性もあると指摘する。

東洋経済
https://toyokeizai.net/articles/-/644435?page=3

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