[通信] 第三世代移動通信システム(IMT-2000)構想
報道発表資料
発表日 : 1999年 9月27日(月)
タイトル : 第三世代移動通信システム(IMT-2000)の早期導入に向けて
-次世代移動通信方式の技術的条件に関する電気通信技術審議会一部答申-
郵政省は、本日、電気通信技術審議会(会長:西澤 潤一 岩手県立大学学長)から、「次世代移動通信方式の技術的条件」のうち「符号分割多元接続方式で周波数分割複信方式を使用する無線設備の技術的条件」について答申を受けました。
この一部答申は、国際電気通信連合(ITU)で標準化が進められているIMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)を日本に導入するための技術的条件に関する検討結果をまとめたものです。
IMT-2000は、グローバルサービスやマルチメディア通信サービスの提供等を特徴としており、現在普及している第二世代システム(デジタル携帯・自動車電話)に続く次世代(第三世代)の移動通信システムとして期待されています。
郵政省では、本日頂いた答申を踏まえて、関係省令等を整備する予定です。
符号分割多元接続方式:CDMA(Code Division Multiple Access)
周波数分割複信方式:FDD(Frequency Division Duplex)
【一部答申の主な内容】
・ 周波数帯:ITUにおいてIMT-2000用として割り当てられた2GHz帯
・ データ伝送速度:高速移動環境(自動車等で移動中)で導入当初144kbpsまで
低速移動環境(歩行中等)で導入当初384kbpsまで
・ 最小運用帯域幅:5MHz×2。(将来の2Mbpsのサービスの効率的提供に備
えて、20MHz×2の運用帯域を考慮。)
・ 伝送方式:DS-CDMA、MC-CDMA
DS-CDMA:Direct Spread-CDMA(1キャリアを直接広帯域に拡散させて伝送)
MC-CDMA:Multi Carrier-CDMA(拡散された1又は複数のキャリアで伝送)
・ PHS帯域においては、スプリアス発射の強度及び移動局の空中線電力をより低く制限し、PHSへの干渉の影響を防止。
【将来の公衆移動通信サービス(PHS、携帯・自動車電話を含む)の需要予測】
平成12年度末で6,450万加入、平成22年度末で8,100万加入
【第三世代移動通信サービスの市場規模予測】
平成12年度から平成22年度末までで42.02兆円
連絡先:郵政省電気通信局電波部移動通信課
担 当:田原無線局検査官、成瀬第二技術係長
電 話:03 - 3504 - 4877
関係報道資料:「次世代移動通信システム(IMT-2000)の実用化に向けて」
(「次世代移動通信方式の技術的条件」の諮問)
(平成9年(1997年)9月29日発表)
■第三世代移動通信システムのサービス概要
第三世代移動通信システムが目指すサービスの主な特徴は、以下のとおり。
- グローバルサービスの実現(様々な利用形態、地域を超え利用可能)
- マルチメディア通信サービスの提供(インターネットとの高い親和性)
- 固定網と同等な高品質なサービスの提供
- 高い周波数利用効率の実現(既存システムと同等以上の周波数利用効率)
なお、第三世代移動通信システムの導入当初のデータ伝送速度は、少なくとも、
- 高速移動環境:回線モード64kbps、パケットモード144kbps
- 低速移動環境:回線モード64kbps、パケットモード384kbps
- 室内環境 :回線モード64kbps、パケットモード384kbps
程度までのサービスが期待されており、将来的には、2Mbps程度までのデータ通信サービスを提供。
(平成11年9月 電気通信技術審議会次世代移動通信方式委員会報告より)
■需要予測と市場規模予測
1 公衆移動通信サービスの需要予測
携帯・自動車電話だけでなく、PHSや第三世代移動通信システムも含めた将来の公衆陸上移動通信サービス全体について検討。平成12年度(2000年度)末及び平成22年度(2010年度)末につき需要予測を行った結果は、表1のとおり。
平成12年度(2000年度)末 6,450万加入
平成22年度(2010年度)末 8,100万加入
2 第三世代移動通信サービスの市場規模予測
第三世代移動通信の市場規模(設備投資、システム運用経費、サービス市場、端末機器市場の合計)について試算した結果は、表2のとおり。
2001~2005年度 14.02兆円
2006~2010年度 28.00兆円
2001~2010年度 42.02兆円
3 第三世代移動通信サービスによる雇用の創出
当該市場規模を基に全産業への経済波及効果及び創出される雇用の規模を算出した結果は、表3のとおり。
2005年度(単年度) 6.45兆円
2010年度(単年度) 9.30兆円
経済波及効果
(平成11年9月 電気通信技術審議会次世代移動通信方式委員会報告より)
■一部答申の対象とする無線伝送方式の考え方
ITU勧告の対象となっている技術のうち、今回の一部答申の対象としているのは、符号分割多元接続(CDMA)方式で、送受異なる周波数を使用する通信方式(周波数分割複信(FDD)方式)を使用するもの。
具体的には、1キャリアを直接広帯域に拡散させ伝送させるDS-CDMA(Direct Spread-CDMA)方式と、下り回線において、拡散された1又は複数のキャリアにより伝送するMC-CDMA(Multi Carrier-CDMA)方式が対象。
なお、MC-CDMAについては、上り回線のチップレートが1.2288Mcpsとする方式とその3倍の3.6864Mcpsの場合に分類され、それぞれ1X、3Xと呼ぶ。
なお、ITUが検討対象としている方式のうち、CDMA/TDD方式やTDD方式については、今回の一部答申の対象とはせず、ITU等における国際的な検討状況や具体的ニーズの動向等を踏まえつつ、今後必要に応じて対応。
(平成11年9月 電気通信技術審議会次世代移動通信方式委員会報告より)
総務省郵政事業庁
http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/denki/990927j603.html