2025年2月21日金曜日

[レビュー] 岡田斗司夫ゼミ『バックトゥザ・フューチャー3』


[レビュー] 岡田斗司夫ゼミ『バックトゥザ・フューチャー3』
Youtube岡田斗司夫チャンネル
2020.6.28   
2025.2.20  
2月1日の限定解除の動画から数えると,4週連続で続けてきたんですよ。岡田斗司夫『バックトゥザ・フューチャー』特集ですね。いよいよ今回が最終回になります。今日の動画でも,金曜ロードショーの放送『バックトゥザ・フューチャー3』の見所について話しました。ということでこんばんは,岡田斗司夫です。時間旅行の果てにドックとマーティがたどり着いたのは1885年ですね。映画のスタート時からですね。100年前のヒルバレーなんですね。で,この1885年っていうのは,適当に設定された100年前っていう時代というよりは,映画のストーリーを読み解く上で,ものすごく重要な時代であり,あとはアメリカの歴史上もすごい面白い時代であるんですね。
で,実際の1880年ぐらいのアメリカとはどんなに世界だったのか?ここに置いてある幌馬車のプラモデルの箱絵があるんですけど,本当にこういう風な世界だったんですね。 一応今日見てもらう動画では,この幌馬車の話ではなくて,1885年を舞台にした,ドクとマーティのタイムトラベルで,どうやって現代に戻るのかって話なんですけどもですね,それを,アメリカ西部開拓時代の移り変わりを解説しながらより深く語っています。この動画は2020年6月28日に配信した『岡田斗司夫ゼミ第341回』の再配信になります。動画が終わった後に,追加のアップグレード情報がありますので,楽しみにしてください。それではこっから無料動画スタートです。
■舞台解説
✔ドライブインシアター
今回の語りたい分どっからかというと,『バックトゥザ・フューチャー3』の語りたい部分ですね。モニュメントバレーに作ったドライブインシアターのセットの話からします。これ後ろの山実物なんですね。アメリカのコロラド州にあるモニュメントバレーっていう,西部劇で有名なハワード・フォークス監督がよくジョン・ウェイン主演で撮ってたような場所なんですよ。太古の侵食でできた岩山なんですけども,そこに昔懐かしいドライブインシアターがある。これ自動車のまま観れる映画館なんですね。 だから野外に映画スクリーンがあって,夜やってるんですよ。 で,この辺りに駐車場みたいなポールがいっぱい立ってますね。これ駐車場ではなくて,マイクとスピーカーが置いてあるわけですね。だから,この映画館に行くと,車に乗ってそのまま入っていってこのポールの脇に車をつけるんですよ。 で,窓を開けて,マイクとスピーカーをポールから引き出して,それを車の窓に引っ掛けるようになってるんで,窓に引っ掛ける。そうすると映画の音が,そのスピーカーから鳴ると。で,自分はたちは食べたいものがあると,それをマイクから注文するわけですね。でウェイトレスの女の子が,ローラースケートに乗った女の子が,ハンバーガーとかパスタとかを持ってくるというあの面白いシステムなんですけども。 実はこれメチャメチャ遅かったそうです。とにかく注文に通りにくくて,注文違えられて,しかも女の子が運んでくる時に,なんか途中で他の男の子に話しかけられたりして,なかなか注文した物が来ない。冷めてるとかすごい苦情が多かったので,マクドナルドというロサンゼルスにある店が,このシステムを変えてしまったと。ドライブインシアターっていうのはこういう風に車で来て,客が注文して,それを車まで持ってくるのが当たり前だったシステムていうのを,お客さんが歩いてきて,食器とか必要なくて,紙に包んだハンバーガーをそのままもらって食べて,その紙を自分でゴミ箱にして帰るというシステムを思いつき,それをレイ・クロックっていうおっさんがシステムを買ってフランチャイズにしたわけですね。そういう流れがあったんですね。1950年代〜60年代ぐらいまであったのがドライブインシアターっていうのが,どんどんアメリカでは廃れていって,多分もう今じゃ稼働してるところって観光客用以外ないと思うんですね。 それをわざわざここに建てました。
ここにインディアンの絵が書いてるんですけど,で,マーティーは「この場所でタイムスリップすると,そんなことするとこのインディアンの部隊に当たっちゃうよ」って言うんですけども,ドックは「いや大丈夫,この場所は100年前に戻るともうインディアンいないから」という風なことで,お馴染みのギャグになるわけなんですけども。 
タイムスリップすると,もうやっぱり予想した通り,デロリアンの前には本物のインディアンがいるわけですね。で,このインディアン。実は本物のインディアンなんですよ。本物っていうのはどういうことかっていうと,モニュメント・バレーって,コロラド州特区にあって,ナバホ・インディアンの居住区にあたるんですね。でロバート・ゼミキス(Robert Zemeckis)たちはナバホの長老に交渉したんですよ。「実はこういう映画を作る,で,モニュメントバレーでロケさせてくれ」っていう風に交渉したら,ナバホ族がノリノリで「いや俺たちにやらせろ」と。「エキストラどうせお前ら雇うんだろう?だったら本物のインディアンでやればいいんじゃない」「俺たちは馬に乗るのは白人よりうまいぞ,白人のスタントマンとか,そういうエキストラたちに任されるはずがあるか」っていう風に言って。で馬用意してもらってナバホ族乗ったら嘘がバレたんですね。1/3ぐらいのヤツはすごくうまかったそうなんですけども,ナバホ族の半分以上は馬乗れなかったそうなんですよ(笑) インディアン嘘つかないどころか,インディアン嘘つきやがったんですけど(笑) で困ったロバート・ゼメキスは,「とりあえずうまい人は全列に出てください,で,うまくない人は全列の人が砂煙あげるから,その後ろで何かうまそうな感じで乗ってください」っていうような感じでやったんで,この実はスクリーンに映ってる全列の人だけがうまいナバホ族で,後列の人はうまくないんだけど,本物のインディアン使ったというところはこの映画のすごいところなんですけど。まァそういう話がありました。 で,僕テレビ版,金曜ロードショー観たんですけども,残念なことにナバホ族が通り過ぎた後に,次は騎兵隊が通っていくシーンがあるんですよ。でこの騎兵隊実はコスプレーヤーです。役者じゃないんですよ。アメリカで有名なコスプレ集団があって。いわゆるスターウォーズで言えば,ストーム・トゥルーパーのコスプレばっかりしてる集団がいる。これ有名ですよね。で,同じように中世の騎士ばっかりしてるコスプレ集団がいて,で兵隊のコスプレばっかりしてるコスプレ集団もいるんです。で,この人なんかボランティアで出させてくれって言って出てるんですけども,かなり下手くそなナバホ族に対して,すごいうまいんですよね。マーティーが隠れてデロリアンがあるんですけど,その崖の上を馬で飛び越える。それも3頭の馬が連続して飛び越えるって,めちゃくちゃ難しいスタントを,そのアマチュアのコスプレーヤーがやってるんですけども,このコスプレ集団もっとすごいのは,衣装も装備もおまけに馬も全部自前なんですよ。 「映画屋さんが用意したそんな偽物は使わない,俺たちが作った本物を持ってくる」って言って,全部衣装とか,あと馬までも自分が普段訓練している馬持ってきて。で,泊まる場所も,もちろんゼミキスたちスタッフもマイケルJフォックスたちスターは全部近くのホテルなんですよ。で,ナバホ族のインディアンも全部ホテルに泊ってるんですけども,この騎兵隊は自分たちが持ってきたテント,それも19世紀のテントで野宿する。馬と一緒にキャンプファイヤしたそうなんですけども(笑) もうね…やっぱなんだろうな…下手なプロより本気のアマチュアの方がすごいという話ですよね。はい。 
✔1885年のヒルバレー
というわけで,もうこんな風に横道話してたら,本当大変になっちゃうな。よいしょ。 ちょっとこっから片付けますね。 前回から紹介してる模型なんですけども。よいしょ。 さて,もうちょっと邪魔にならんようにするか…これが『バックトゥザ・フューチャー1/2』で使った1985年のヒルバレーですよね。で,これが100年前のものですね。何もないシエラ砂漠のど真ん中に1880年のヒルバレーを作らなきゃいけないわけですね。 で,それがこれですね。この作りかけの裁判所だけは背景パネルでやってますけども,元々カフェがあった場所はサロン/サルーンが建っています。でこちらが墓石屋ですね。「Undertaker」って書いてるんですけど,墓石を彫るところです。で,こちら側にシェリフのオフィスがあって,こちら側は銀行ですね。ウェルファーゴ銀行(Welle Fargo Co.)が入ってます。 でえ,こちら側になってくると,ここに雑貨屋があって,こちらがドックのいる金物屋ですね。「Blacksmith」という鍛冶屋の建物があって,この開いてる中で,ドックが製氷機なんかを作ってるわけですね。ヒルバレーって実はすごいんですよ。ヒルバレー何がすごいかっていうと,この位置に給水塔があって,その先に駅があるんですよ。で,駅があるっていうのはすごいことなんですよね。西部の町で,大陸横断鉄道ができたのが1869年のことです。で,『バックトゥザ・フューチャー3』の時代っていうのは,それから16年後ですね。 
鉄道がカウボーイの時代を終わらせたという風に僕は読んでるんですけど,何故鉄道がカウボーイの時代を終わらせたかって言うと,アメリカの海岸部には牧草が生えないので牛が飼えないんですよ。だからアメリカって,東から西へどんどんどんどん移民が進んでいって,でゴールドラッシュとかでどんどんどんどん西海岸の方に移民来たんですけども,彼らが食べる肉がないんですね。肉が取れない。しかもアメリカの西海岸って基本砂漠が多いので,穀物もあまり採れないんで,とにかく食料を矢継ぎ早に輸出というか持っていく必要があったんですねで,彼らはそこでそれのおかげで採れた金とかを東へ持ってくわけなんですけども。で牛が飼えないっての困ったもんで,食べるための肉っていうのは,生きたまま牛のままの状態で運ぶしかないんですよ。まだ冷蔵庫とかないですから,中央アメリカのコロラドあたりから西海岸まで,幌馬車で4週間とか6週間かかったそうなんですよ。だから肉の状態で運べない。 生きた状態で運ぶしかないんです。なのでキャトル・ドライブという,牛たちの群れをそのまま「ハイヨーハイヨー」って言って追っていってロッキー山脈を超えて,西海岸に運ぶ必要があったんですね。これをキャトル・ドライブと言います。で,そのキャトルドライブ,片道が2〜3ヶ月ぐらいかかったんで,そこでカウボーイが必要になったんです。カウボーイっていうのは,このキャトルドライブの間,牛が逃げないようにして,おまけに牛泥棒に牛が盗まれるのも防いで移動してると,大体農場の人とトラブルがあるんですよ。牛が移動していくと「うちの草を食った」とか,「うちの水を飲んだ」とか。牧場なんか通ってる時になってるもんだと思ってリンゴ取ったら,それは農園だったっていうトラブルが多いので,そういうトラブル解決も全部カウボーイがやってたんですね。だからそういう雑用とか用心棒のおかげで,膨大な数のカウボーイっていうのが当時の西部にいたわけです。で,そうやって苦労して西の海岸まで連れて行った牛っていうのは,大体50倍〜100倍ぐらいの値段で売れたので,おかげでペイしたわけですね。
しかし鉄道がここの位置にできてしまうと,牛肉そのものが運搬できちゃうんです。半日から1日もあれば持っていけるから,牛を生きたまま連れてかなくてもいいから,牛肉の状態にして持っていけるわけですね。で,結果多くのカウボーイが失業しました。もう本当にカウボーイの大失業時代だったんですよ。で失業したカウボーイは,ならず者になったり,あとは幌馬車強盗滅になったりするわけですね。だから,この『バックトゥザ・フューチャー3』に登場するマッドドッグ・タネンは悪役なんですけど,タネンもそんな一人です。多分,元々はカウボーイだったんですけども,彼も彼の仲間たちもみんな失業して,もう何年も経ってるわけですね。だからそれまでは現金輸送車のガードみたいな人だった人たちが,全部銀行振り込みになって電子マネーになってしまって,現金輸送車というのがなくなってしまったと。その結果数十万人という現金輸送車のガード…気が荒くてすぐに喧嘩する腕っぷしの強いヤツが西海岸で失業したとか,中央アメリカで失業したと。これがその西部が荒れたイメージを持ってる,僕らがそういう印象を持ってる原因なんですね。 で,ヒルバレーの話に戻りますね。その駅があるんですよ。つまり,カウボーイ時代はこの町ではもう終わってるってことなんですね。だからマッド・タネンはやさぐれてるわけです。駅があって給水塔まであるんですよ。つまり汽車に水を補給する設備まである,かなり上等の駅なんですけど。つまり今で言うと急行が止まるのかな?特急はどうか分かんないけども,急行が止まる駅のレベルだった。かなりすごい町だった事が分かります。 でヒルバレーでもう1つすごいのは,銀行です。これヒルバレーがブームタウンではもうすでになくなってる証拠です。ブームタウンとは何かっていうと,アメリカでゴールドラッシュがあるという風に言ったんですけども。アメリカの西海岸のいろんなところで金が発見されて砂金が発見されて,その結果西海岸中にブームタウンができたんです。ブームタウンっていうのはだから3日か4日ぐらいであっという間に建てられた街のことで,例えばここら辺の町って,全部この立派そうな看板はあるんだけれども,次の引っ越し先が決まっているから,すぐにでも家を売って早く現金化したい。不動産の平均売却期間は3〜9ヶ月と言われ,4日ぐらいであっという間に建てられた街のことで,例えばここら辺の町って全部この立派そうな門構えの看板はあるんですけど,全部これただ単に看板があるだけなんですね。掘っ立て小屋なんですよ。でこういうのフォールズフロントって言うんですね。嘘の掘っ立て小屋のことでフォールズフロントの建物ばっかりなんですけども,銀行ができるということは,砂金の取引ですね。砂金の換金が恒常的にあるということなんですね。つまり1回か2回砂金が取れたという噂で街がでっち上げられて,すぐに金が取れなくなって,廃れたんではなくて,ヒルバレーっていうのは,多分川もしくはその川の上流の山から良質な砂金が取れ続けてたので,ついに両替屋ではなくて,大手の銀行ウェルファーゴが進出してきたわけです。 でマーティが幌馬車に輓かれそうになる場面なんですけど,馬車に跳ねられそうになる場面なんですけど,よく見たら馬が6頭ついてます。で,馬が6頭ついてるってことは,この馬車はエクスプレス急行なんですよ。で,馬車自体のサイズが小さくて,真っ赤な馬車の上に緑色の箱が乗ってます。これはウェルファーゴ銀行の急行駅馬車で,緑色の箱っていうのは金庫なんですね。それのサインなんですけども,これが乗ってることは,その毎週か毎日かわかんないんですけども,この銀行に蓄えられた金が中央に送られてるっていうのが分かるんですね。だからなかなかヒルバレーっていうのは大した町だということが分かると思います。
で,ヒルバレーがすごい街だったんだって話の三つ目なんですけども,まだ時計が載ってないんですけども,これ裁判所ができつつあるんですね。建築中なんですよ。で裁判所っていうのは街が定着してる証拠で,こういう公共の建物っていうのは,町の人が寄付で建てるんですね。だから街が豊かでないと裁判所なんか作れない。で,それができるぐらい豊かになったと。で裁判所があるっていうのは,実は街が一人前になった証拠で,そうでない街は循環裁判官っていうか,当時のアメリカは,裁判官が馬車に乗って村とか町へ3ヶ月1回ぐらいやってくるんですね。それまで怪しいヤツは全部捕まえて全部留置所に入れるんですよ。で,裁判が開く日になったら,全部牢屋から出して,で大体1人5分か10分ぐらいで裁判やって「はい縛り首」「はい無罪」「はい縛り首」「はい無罪」…というように決めて,釈放したり縛り首にしてるわけですね。それが巡回じゃなくてちゃんとした裁判官がいる裁判所ができるっていうのは,すごい事。 街に裁判所があるのは,本当に一人前になった証拠で,自治能力が町にあって,こっから選ばれた議員をワシントンに送るということが認められることもありました。で,逆に小さな町で裁判所がいつまでもなかったら,大きな町に併合されたりするんですね。だから,「隣町にこういう裁判所ができる」という噂が立ったり,建築が始まったら襲撃して裁判所を焼き討ちに合わせるという事件も結構あったそうです。この当時のアメリカは荒っぽくて,隣の町に裁判所ができるということは,イコール町がこの近所の首都になるんだ。それはもう許せんていうことで,みんなで襲って燃やしてしまうかというようなこともよくあったってことなんですけど。でこういう街同士の小競り合い,あと,牧場同士の小競り合いがまだまだ多かったんですね。町に裁判所ができる前は,こういう小競り合いというのは基本的に力づくで解決するので,マッドドッグ・タネンのような成らず者を何故許すのか?何故うろうろさせてんのか?っていうのは,まだまだこういう裁判所が完成するまでは,あんな怖いヤツでもいてもらわないと困るというような事情もあったわけです。
■ アップデート情報
では,無料はここまでです。お疲れ様でした。はい,お疲れ様でした。今日の無料動画のアップデート情報なんですけども,UNextで配信している『1883』っていうシリーズがあるんですね。海外のシリーズがあるんですよ。これは現在のモンタナ州付近,イエローストーン付近にある牧場を経営している一家の話なんですね。ケビン・コスナー主演のNBCリーズなんですけど,メチャメチャ面白くてアメリカでも人気があるんですけど,あまりに人気があったので,そのご先祖様ですね。そこのイエローストーンで最初に牧場を築いた先祖様がどうやってそのモンタナ州に来たのか?とか,当時ヨーロッパから来た移民たちていうのは,ルイジアナ州の辺りの適当な港に船でついて,そっからアメリカ大陸横断して,まず北の方にずっと上がっていって,その後西に行かないとカリフォルニア方向に行けないんですね。で,そのみんながカリフォルニア目指したわけではないんですけど,とりあえずそのテキサス州の辺りはもうすでに土地が誰のものか決まってると。そうではなくて,ヨーロッパから来た貧乏な農民たちがアメリカの北の方に入植していくプロセスを描いた。ホームステッド法って法律だったと思うんですけども,「とりあえず誰もいない土地に入植して,そこで2年間開拓作業をすれば,つまりそこの土地に根ざして農業を始めれば,無料で6マイル四方の土地を得られる」…すいません,調べずに記憶だけで話してます。詳しく知りたい人はホームステッド法っていう法律を調べてください。6マイル四方だと思うんですけど,それだけの土地を国から権利与えられる,自分のものにできるわけですね。で,それが,ヨーロッパの当時の貧乏な農民てのは全員小作農家で,全て地主がいて,自分が働いても半分ぐらいは全部地主に持ってかれるという苦しい生活をしてたんですね。だからアメリカに渡ってきた大部分の人たちていうのが,実は農民で,小作農家だったわけです。で,自分の土地を求めてアメリカ行って,で何もない土地を北へ向かい,やがて西へ向かう。
でここで活躍したのが幌馬車なんですね。 まこれは相原って言う大昔のメーカーの幌馬車のプラモデルなんですけど,完成品こんな感じですね。で,僕らがイメージする幌馬車ってこんな感じのもんなんですけども,実際にその『1883』っていうドラマの中で見たらこんな贅沢な幌馬車なんて滅多にいないんですよ。馬なんて1頭なんですよ。で馬が1頭でこの馬車を引いてるんですけども,馬1頭で引ける重さっていうは400kgか500kgぐらいだから,こんなに長い幌馬車なんて,なかなかないわけですね。実際もっと短くて,物も乗らない。日本の箱の感覚でいうと,やっぱヨド物置かなっていう小さめのやつに車輪がついたようなものを引っ張ってるような感じなんですね。で,それが隊列を組んで,アメリカ大陸を縦に北に進んで,横に進んでいくわけですね。 で,開拓移民の大多数はこういう幌馬車で移動したような,またこの馬車を持ってる人は,移民の中でもちょっと金持ちなんですね。そうではなくてもほとんどの人が荷物を背中にしょったり,後ろに紐でずるずる引っ張ったりすると。歩く速度で移動してるんですね。 で,その道とも言えない,なんとか前の人が歩いたんだろうなという,なんとなく,平らになったところを選んで歩いていくんですけど,その道の横に家材,道具,家具とかいろんなものが捨てられてるんですね。で,これ何かっていうと,もう途中まで来た人が「これ以上は重い荷物を持てない」という風なことで,家具とか場合によっては食料はないんでしょうけども,衣服とか捨てたものがゴロゴロ転がってる。で最初は,主人公たちがいいもん落ちてるとかて思ったんですけども,だんだんだんだん「あ,この辺はこういう本当に大事なものも捨てなきゃいけないような,こっから先は,水もなければご飯もないような場所なんだ…」ってのが分かってきて…っていう本当の西部というか,本当のアメリカ開拓時代なんですけどすごいですよ。突然襲いかかる竜巻きとかですね。 …

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時系列でみるヒルバレー
🕖️1885年
 さて,もうちょっと邪魔にならんようにするか…これが『バックトゥザ・フューチャー1/2』で使った1985年のヒルバレーですよね。で,これが100年前のものですね。何もないシエラ砂漠のど真ん中に1880年のヒルバレーを作らなきゃいけないわけですね。 で,それがこれですね。この作りかけの裁判所だけは背景パネルでやってますけども,元々カフェがあった場所はサロン/サルーンが建っています。でこちらが墓石屋ですね。「Undertaker」って書いてるんですけど,墓石を彫るところです。で,こちら側にシェリフのオフィスがあって,こちら側は銀行ですね。ウェルファーゴ銀行(Welle Fargo Co.)が入ってます。 でえ,こちら側になってくると,ここに雑貨屋があって,こちらがドックのいる金物屋ですね。「Blacksmith」という鍛冶屋の建物があって,この開いてる中で,ドックが製氷機なんかを作ってるわけですね。ヒルバレーって実はすごいんですよ。ヒルバレー何がすごいかっていうと,この位置に給水塔があって,その先に駅があるんですよ。で,駅があるっていうのはすごいことなんですよね。西部の町で,大陸横断鉄道ができたのが1869年のことです。で,『バックトゥザ・フューチャー3』の時代っていうのは,それから16年後ですね。 
鉄道がカウボーイの時代を終わらせたという風に僕は読んでるんですけど,何故鉄道がカウボーイの時代を終わらせたかって言うと,アメリカの海岸部には牧草が生えないので牛が飼えないんですよ。だからアメリカって,東から西へどんどんどんどん移民が進んでいって,でゴールドラッシュとかでどんどんどんどん西海岸の方に移民来たんですけども,彼らが食べる肉がないんですね。肉が取れない。しかもアメリカの西海岸って基本砂漠が多いので,穀物もあまり採れないんで,とにかく食料を矢継ぎ早に輸出というか持っていく必要があったんですねで,彼らはそこでそれのおかげで採れた金とかを東へ持ってくわけなんですけども。で牛が飼えないっての困ったもんで,食べるための肉っていうのは,生きたまま牛のままの状態で運ぶしかないんですよ。まだ冷蔵庫とかないですから,中央アメリカのコロラドあたりから西海岸まで,幌馬車で4週間とか6週間かかったそうなんですよ。だから肉の状態で運べない。 生きた状態で運ぶしかないんです。なのでキャトル・ドライブという,牛たちの群れをそのまま「ハイヨーハイヨー」って言って追っていってロッキー山脈を超えて,西海岸に運ぶ必要があったんですね。これをキャトル・ドライブと言います。で,そのキャトルドライブ,片道が2〜3ヶ月ぐらいかかったんで,そこでカウボーイが必要になったんです。カウボーイっていうのは,このキャトルドライブの間,牛が逃げないようにして,おまけに牛泥棒に牛が盗まれるのも防いで移動してると,大体農場の人とトラブルがあるんですよ。牛が移動していくと「うちの草を食った」とか,「うちの水を飲んだ」とか。牧場なんか通ってる時になってるもんだと思ってリンゴ取ったら,それは農園だったっていうトラブルが多いので,そういうトラブル解決も全部カウボーイがやってたんですね。だからそういう雑用とか用心棒のおかげで,膨大な数のカウボーイっていうのが当時の西部にいたわけです。で,そうやって苦労して西の海岸まで連れて行った牛っていうのは,大体50倍〜100倍ぐらいの値段で売れたので,おかげでペイしたわけですね。
しかし鉄道がここの位置にできてしまうと,牛肉そのものが運搬できちゃうんです。半日から1日もあれば持っていけるから,牛を生きたまま連れてかなくてもいいから,牛肉の状態にして持っていけるわけですね。で,結果多くのカウボーイが失業しました。もう本当にカウボーイの大失業時代だったんですよ。で失業したカウボーイは,ならず者になったり,あとは幌馬車強盗滅になったりするわけですね。だから,この『バックトゥザ・フューチャー3』に登場するマッドドッグ・タネンは悪役なんですけど,タネンもそんな一人です。多分,元々はカウボーイだったんですけども,彼も彼の仲間たちもみんな失業して,もう何年も経ってるわけですね。だからそれまでは現金輸送車のガードみたいな人だった人たちが,全部銀行振り込みになって電子マネーになってしまって,現金輸送車というのがなくなってしまったと。その結果数十万人という現金輸送車のガード…気が荒くてすぐに喧嘩する腕っぷしの強いヤツが西海岸で失業したとか,中央アメリカで失業したと。これがその西部が荒れたイメージを持ってる,僕らがそういう印象を持ってる原因なんですね。 で,ヒルバレーの話に戻りますね。その駅があるんですよ。つまり,カウボーイ時代はこの町ではもう終わってるってことなんですね。だからマッド・タネンはやさぐれてるわけです。駅があって給水塔まであるんですよ。つまり汽車に水を補給する設備まである,かなり上等の駅なんですけど。つまり今で言うと急行が止まるのかな?特急はどうか分かんないけども,急行が止まる駅のレベルだった。かなりすごい町だった事が分かります。 でヒルバレーでもう1つすごいのは,銀行です。これヒルバレーがブームタウンではもうすでになくなってる証拠です。ブームタウンとは何かっていうと,アメリカでゴールドラッシュがあるという風に言ったんですけども。アメリカの西海岸のいろんなところで金が発見されて砂金が発見されて,その結果西海岸中にブームタウンができたんです。ブームタウンっていうのはだから3日か4日ぐらいであっという間に建てられた街のことで,例えばここら辺の町って,全部この立派そうな看板はあるんだけれども,次の引っ越し先が決まっているから,すぐにでも家を売って早く現金化したい。不動産の平均売却期間は3〜9ヶ月と言われ,4日ぐらいであっという間に建てられた街のことで,例えばここら辺の町って全部この立派そうな門構えの看板はあるんですけど,全部これただ単に看板があるだけなんですね。掘っ立て小屋なんですよ。でこういうのフォールズフロントって言うんですね。嘘の掘っ立て小屋のことでフォールズフロントの建物ばっかりなんですけども,銀行ができるということは,砂金の取引ですね。砂金の換金が恒常的にあるということなんですね。つまり1回か2回砂金が取れたという噂で街がでっち上げられて,すぐに金が取れなくなって,廃れたんではなくて,ヒルバレーっていうのは,多分川もしくはその川の上流の山から良質な砂金が取れ続けてたので,ついに両替屋ではなくて,大手の銀行ウェルファーゴが進出してきたわけです。 でマーティが幌馬車に輓かれそうになる場面なんですけど,馬車に跳ねられそうになる場面なんですけど,よく見たら馬が6頭ついてます。で,馬が6頭ついてるってことは,この馬車はエクスプレス急行なんですよ。で,馬車自体のサイズが小さくて,真っ赤な馬車の上に緑色の箱が乗ってます。これはウェルファーゴ銀行の急行駅馬車で,緑色の箱っていうのは金庫なんですね。それのサインなんですけども,これが乗ってることは,その毎週か毎日かわかんないんですけども,この銀行に蓄えられた金が中央に送られてるっていうのが分かるんですね。だからなかなかヒルバレーっていうのは大した町だということが分かると思います。
で,ヒルバレーがすごい街だったんだって話の三つ目なんですけども,まだ時計が載ってないんですけども,これ裁判所ができつつあるんですね。建築中なんですよ。で裁判所っていうのは街が定着してる証拠で,こういう公共の建物っていうのは,町の人が寄付で建てるんですね。だから街が豊かでないと裁判所なんか作れない。で,それができるぐらい豊かになったと。で裁判所があるっていうのは,実は街が一人前になった証拠で,そうでない街は循環裁判官っていうか,当時のアメリカは,裁判官が馬車に乗って村とか町へ3ヶ月1回ぐらいやってくるんですね。それまで怪しいヤツは全部捕まえて全部留置所に入れるんですよ。で,裁判が開く日になったら,全部牢屋から出して,で大体1人5分か10分ぐらいで裁判やって「はい縛り首」「はい無罪」「はい縛り首」「はい無罪」…というように決めて,釈放したり縛り首にしてるわけですね。それが巡回じゃなくてちゃんとした裁判官がいる裁判所ができるっていうのは,すごい事。 街に裁判所があるのは,本当に一人前になった証拠で,自治能力が町にあって,こっから選ばれた議員をワシントンに送るということが認められることもありました。で,逆に小さな町で裁判所がいつまでもなかったら,大きな町に併合されたりするんですね。だから,「隣町にこういう裁判所ができる」という噂が立ったり,建築が始まったら襲撃して裁判所を焼き討ちに合わせるという事件も結構あったそうです。この当時のアメリカは荒っぽくて,隣の町に裁判所ができるということは,イコール町がこの近所の首都になるんだ。それはもう許せんていうことで,みんなで襲って燃やしてしまうかというようなこともよくあったってことなんですけど。でこういう街同士の小競り合い,あと,牧場同士の小競り合いがまだまだ多かったんですね。町に裁判所ができる前は,こういう小競り合いというのは基本的に力づくで解決するので,マッドドッグ・タネンのような成らず者を何故許すのか?何故うろうろさせてんのか?っていうのは,まだまだこういう裁判所が完成するまでは,あんな怖いヤツでもいてもらわないと困るというような事情もあったわけです。
🕖️1955年
ライオン住宅地/リオン住宅地(Lyon Estates)ですね。これ,1985年にマーティーがキック・ボードで飛ぶアメリカの住宅地なんですよね。でもしかし,1955年に帰ると,そこは住宅街の門のライオンの台座があるだけで更地なんですよ。で,その後,マーティーは周りを見渡すと看板だけが立ってるんですね。 「Lyon Estates」って書いてあって「Life in the home of tomorrow(明日の住まい)」っていうようなことが書いてるんですけど,何故これを見せるのか?これ,この看板をマーティーが見てるし,見せるのはアメリカ人そして日本人の生活をを変えた出来事があったからなんですね。現実の話ですけども,第二次大戦の後,帰還した兵隊たちは一斉に結婚するわけですよね。1945年で結婚して家庭を持つんですけども,当時アメリカ軍の給料は安いから家買えないんです。で,なんとかそのアメリカの兵隊たちに家を与えるという国家からの命令もあって,いろんな不動産業者考えるんですけども,高くて買えないんですね。住宅不足というのもあるんですけど。でその彼らに家を与えるためのプロジェクトが,全アメリカ人の生活を変えた,今言ったアメリカ人の生活を変えて日本人の生活も変えた1957年のレビットタウン(Levittown)です。 レビッドタウン構想って,1951年ぐらいからずっと続いてるプロジェクトです。フォードの自動車,いわゆるアメリカで何故自動車が普及したのかというと,フォードがT型フォードを作ってベルトコンベアで自動車を作ることによって180ドルぐらいで自動車を作れたからなんですよ。で,レビッド・タウンというのはこれの住宅版で,家を同じようにベルトコンベアで作ろうと。ただ自動車はせいぜい2〜3mぐらいだからベルトコンベアに乗るんだけども,家をどうやってベルトコンベアで作るのか?っていうと,人間が移動すればいいんだ。 つまり家を何十軒も同時に建てると。その同時に立てる時に例えば1番最初の基礎をやる2人組が1軒目のところに行って基礎をやって,基礎が終わった瞬間に2軒目に移動して,それが終わったら3軒目に移動すると。で,そういうチームをいくつも作っといて「はい,お前基礎をやるだけ」「はい,お前壁建てるだけ」「はい,お前ドアつけるだけ」っていう風に人間を分担して,いわゆるベルトコンベア作業っていうのを街待全体にやろうとしたんですね。 だから大工さんていうのは,このレビットタウンでは2人1組で毎日毎日ここを回るっていう風に言われて,そこに行って特定の作業を2時間ぐらいしたら,隣の家で,同じことをやるというのを繰り返して,ものすごく安く家ができたんです。 これで郊外の街が出来た。レビッドタウンの写真ですね。もうこれ写真屋さんから買うしかなかったんで1360円払って買ってきたんですけども。ニューヨークの郊外に実在する街ですけど,こういう思想とか工法で作られたっていうのは大体全部レビットタウン。
レビットタウンは日本ではニュータウンという風に呼ばれて,例えばジブリ作品のふるさとの聖蹟桜ヶ丘とか,大阪で言えば千里ニュータウン。戦後の住宅開発の基本になった。 これが何故アメリカ人の日本人の生活変えたのかっていうと,これって郊外に作るしかないんですよ。 巨大な面積で同じ家ばっかりがひたすら並んでるからです。 ということは,家には巨大な冷蔵庫があって,そして全ての家にはガレージがついてて,全ての家に自動車があって…ということは,その自動車に乗って,お父さんは毎日毎日都会に出勤して,夕方家に帰ってくるお母さんは専業主婦として家でずっと家事をやる。で,子供はこの近くの学校に行く。 これが当たり前になったんですよ。で,今の僕らが当たり前だと思ってることは,この1951年〜1958年ぐらいのレビットタウンでできたんですね。家に専業主婦がいて,そして父親が働きに出るっていうのは日本でもアメリカでもそういう暮らしはあったけど,当たり前じゃなかったんですよ。まだまだ農業がメインで,父親も全部家で働いていて,子供が大きくなったらその家で働いて,そして勉強をお父さんとお母さんに見てもらって,週に1日か2日学校に行くというのが20世紀の初めのアメリカの当たり前だったんですね。週に5日学校に行くっていうのは決して当たり前ではなかった。第二次世界大戦前ぐらいになると,週に5日ぐらいアメリカでも学校に行くようになったんですけど,それが完全に固定化されて,今のその「男は会社に行って働いて,女は専業主婦になる」という,もう今じゃないんですけども,昭和の時代から平成の真ん中あたりまで,この世界でも常識思ってたものっていうのは,20世紀の半ば頃にこのレビットタウンでモデルになって,それが世界中に普及した結果,日本でも,これレビッドタウンというよりは団地という形になったんですけど,当たり前になって。でみんななぜかサラリーマンになる。僕の子供の頃の1965年ぐらいっていうのは,それぞれの家のお父さんの職業というのはすごい多様だったんですよ。 僕の家では,父親は学校の先生でしたし,僕の家の前に住んでいる佐野君の家のお父さんは表具屋っていって,ふすまとか畳を作る人だったし,家の近所でいわゆる会社勤めして働いてる親の子なんて,クラスに2人ぐらいしかいなかった。それぐらい職業は多様だったのが,どんどんどんどんニュータウンができてきて,みんなが同じような家に住むようになって,そしてみんなのお父さんはそれぞれ会社に行くのが当たり前になってきて,逆に言えば大学生が就職というのを考えるようになってきたというのは,1970年代以降の話だと思って下さい。これぐらい僕らの生活変わってきて,その変わってきた生活っていうのは,未だに僕らの考え方や価値観に影響を与えてる。 それがレジットタウン。
それから映画『ET』に出てくるレビットタウン。『ET』という映画でエリオット少年が住んでるのも,このレビットタウンです。 ひたすら同じような家が並んでるところで,裏に森があって,で,そこで宇宙人と出会って…って話でしたし,あと『シザーハンズ』っていう80年代のハリウッド映画も,あと『ホーム・アロン』もそう。 それに出てくる家も全てこのレビットタウン。だから,1955年にタイムスリップする映画で,まず実はかつて住んでる住処ですね,家に行ってみたら何もなくて,そこにこの「未来の住処」って言ってる,なんか1985年には汚らしい貧乏人が住むところだと思ってたのが,昔に行ったらそれは理想の夢の住処だっていう風に思われてたっていうのが,めちゃくちゃキャッチー。ハリウッド映画って娯楽大作の大衆映画のくせに,ここまで深い内容を見せるんだなと思って,ちょっと僕はゾクゾクという風にしました。え,今日の限定はここまでにしたいと思います。お疲れ様でした。 
🕖️1985年
彼女のジェニファーをベンチに座らせて,で自分も横に座って,まあまあイチャイチャイチャしてます。 後ろには時計台が見えますね。で,この時計台なんですけど,後ろこれ公園ではなくて駐車場なんですね。コンクリートに線が引っ張ってあって,ここに駐車場の機械があるんですけど,これがいっぱい並んでるんですね。 駐車場の機械なで,この駐車場があるスペースと時計台が『バックトゥザ・フューチャー』の1〜3までの共通の舞台になります。『バックトゥザ・フューチャー1』では,1985年のヒルバレーの駐車場ですけども2では2015年は公園になっていて,3では1885年の,いわゆる西武開拓時代のヒルバレーになっていて,全く同じ場所で映ってですね。そこではダンスパーティーというか,いわゆる収穫祭のフェスやってるんですけど,まあまあずっと同じ場所なんですよ。 ちょっと比較してみようかな。1985年の現代です。ちょっと分かりにくいんですけど,画面の橋隅っこの方に時計台があると思ってください。で向こうの方に壊れたボロボロの家と商店街が並んでいて,さっき言ったポルノショップですね。そういうのが並んでいて,サラ金屋があって…っていう風になってます。 で,駐車場があるんですけども,これが1955年/30年前に帰ると,めちゃくちゃ緑がいっぱいの公園になってるんですね。で,時計台は綺麗なまんまなんですよ。で,これ元々ユニバーサルスタジオのスタジオ内にあったオープンセットなんですね。いわゆる田舎の町として,しょっちゅう使われてるところです。どれぐらいしょっちを使われてるかっていうと,『バックトゥザ・フューチャー』の1年前にも『グレムリン』という映画のオープニングで全く同じ4本柱の時計台の塔と全く同じ家がずっと並んでるんですけど,これぐらいしょっちゅう使ってるとこなんです。で,このセット行ったことある人多いと思いますけども,実は現在眺めることはできるけど行けないんですね。2010年ぐらいまでユニバーサルスタジオのロットって言われる,そのスタジオパーク内を見ることができるというのはですねえ。ハリウッド・ブルーバードの中で中心部にあったんですけども,確か10年ぐらい前にハリウッドの北の方の田舎に移動して,で大きくしたんですね。シンプソンランドとかそういうの作って大きくしたので,昔はこの『バックトゥザ・フューチャー』のそのあのヒルバレーの街に入れたんですけど,今ちょっと入れないですけど,まこういう他の映画にも使われてるという話でした。 
これ,街のウェルカムボードですね。「Welcome to Hill Valley/よくヒルバレーに来てくれました」というやつなんですけども,1985年のヤツは小さくて町も殺風景なんですけども,1955年は,いわゆるそのロータリークラブもあればライオンズクラブもある。これ何かっていうと地域地域のコミュニティなんですね。共同体でみんながお金出して維持してる町の偉い人とか青年なんとか…夫人会とかのマークが,ボードの下にズラッとついてるから,1955年のヒルバレーにはこう人と人との繋がりがあったんだけども,1985年現在のヒルバレーにはそういうのものがないよっていうわけですね。だから1955年はある種の理想の世界。もう本当に昭和33年を理想の世界としていた『オールウェイズ3丁目の夕日』みたいな撮り方の映画なんです。 というよりは『オールウェイズ…』が『バックトゥザ・フューチャー』のパクりみたいなもんなんですけどもですね。 
で一番最初にも話したんですけども,街がどのように変わったのか,具体的に説明しようと思って,ドックが映画の真ん中あたりで説明するシーンですね。ドックがマーティに「時計台に雷が落ちるのを利用して,1855年から1985年にお前を返すんだ」っていう計画を説明してるらしいんです。で,そのために模型作って説明してくれます。で,この模型っていうのは何かというと元ネタはイギリスのスーパートランプというバンドがあるんですけど,そこそのバンドの『Breakfast in America』ってアルバムなんですけども,イギリスのバンドのえジャケットです。台所とか掃除用具とか洗面台にあるいろんな小物を真っ白に塗って,マンハッタンのビル群みたいに見させると。いわゆる「アメリカっていうのは大量消費文明なんだ」っていう説明というか,それをまあちょっと笑ってるようなアルバムなんですけども。CD以前の時代だからこれできたんですね。CDの時代になっちゃうとアルバムのサイズがどんどん小さくなってくる。これはもうLPと言われる,いわゆる33cm × 33cmのそのディスプレイだからできたようなデザインですね。で,このドックが劇中で作った模型ですね。この模型をさらに1/5のサイズにスケールダウンして美術部に作ってもらいました。 これはま先週から話してる通りです。 ちょっとまあ出して説明してみましょうか。これ見て分かる通り,ドックは卓球台の上に作ってるんですね。卓球台だから,この長辺が大体3mなんですよ。こっちは長辺60cmにしてるので1/5の模型なんですけど,この模型作ったので,初めて僕はいろんな伏線に気がついた。『バックトゥザ・フューチャー』って本当に伏線が多いんですよ。 で,何かっていうとこの部分見てください。 通りを走るデロリアンがワイヤーに触れて雷が落ちる。 ちょうどのタイミングでこのワイヤーの下を通ると雷がワイヤーに当たって,そっから1.21GWの電流が流れ,それのおかげでバーっと走って,本来だったらドックが3階に住んでるはずのポルノ映画専門館に飛び込む前にタイムスリップする。そこまで走ってくっていう話なんですけども,実はドックがわざわざ説明するシーンあるんですよ。これ何故かって言うとここに木に見立てたハインツのケチャップ瓶を白く塗ったものが置いてあるんですけども,このハイツのケチャップ瓶とワイヤーとか触れてるんですね。で,これを見せるためにこの説明シーン入れてるんですよ。 これ何故かって言うと,結局雷が来る直前に,このハインツのケチャップ瓶の枝が落ちてワイヤーが切れるという設定なんですね。で,これで接続が外れたので,ドックは上に行かなきゃいけなくなる。結局マーティーと会話ができなくなって,マーティーは「1985年ドックはリビアのテロリストに殺されるんだ」ということが告げられないっていう全体の流れになったんです。だからここでワイヤーが触れてることを見せるっていうのがすごい重要なんですよ。僕らそんな映画見てる時はノリというかリズムで見てるから「風が吹いた>>枝が落ちた>>ワイヤーが切れた」といわゆるご都合主義のピンチだという風に見てるんですけど,丁寧に観るとこのミニチュアで「ビンとワイヤーが触れてますね>>もう見て危ないの分かる通り,ここが後でトラブルになるんですよ」っていう伏線が張ってある。こういうのミニチュア作らないとわかんないので,すごい楽しかったんですけど,まァどんだけすごいんだ!『バックトゥザ・フューチャー』って思いますね。
じゃあこれを使って1955年と85年の違いを軽く説明してみます。 まずこの公園です。この公園にここちょっと変な小さいものついてます。これ何かって言うと真ん中の四角いのが,戦争でなくなった人々の記念碑,朝鮮戦争でなくなった人たちこの町出身の碑です。で,この町から第一次世界大戦に行った人たちの名前が彫ってあって,ここには街を守った大砲…まァアメリカは内戦くらいで,外国からの侵略で戦争になったことがないので,街を守った大砲って大げさんなもんでもないですけど,一応それが置いてあります。そういう英雄を称える公園だった場所が,現代ではただの駐車場になっているわけですね。で,ここは「アトミックキッド」という子供向けの映画館やってた映画館です。それが1985年にはカルト宗教の教会になっています。で,ここにかなり綺麗なホテルあるんですね。 テントが3枚ある綺麗なホテルがあるんですけども,その綺麗なホテルが1985年は廃屋になってるんですね。 この綺麗なテントはそのジェニファーの後ろで破れていたテントなんですけど,そういう風になってます。横には結構大きな文房具店があります。1955年だから,ちょうど日本製のシャープペンシルとかがアメリカで輸出された時代で,文具なんかも徐々に徐々に精巧なドイツ製とかが輸入が解禁されて入ってきた時代なんですけど,その文具店は1985年はアダルトショップですね。この通りで一番でかいショップがアダルトショップになっていると。まあまあまあポルノショップになってるわけですね。 でここに旅行代理店があると。1955年当時,アメリカは世界最大の経済力を持っていて,アメリカ人が世界のいろんな国へ行って世界のどこにでもいた。今の中国人みたいな感じですね。そこが1985年はサラ金になっている。でカフェは1985年にはフィットネスジムになっている。レコードショップはそのままある。まミニチュア作らなかったんですけど,ここは西武劇がかかってる映画感がある。『バッファロー平原』っていう,ロナルド・レーガン主演の映画やってる映画館があったんですけども,それが今どうなってるのかっていうと,映画館同じなんですけど,ポルノ映画専門になってるんですよ。でカフェは1955年に父ジョージとビフに会うわけです。 で,さっきのカフェで,お父さんはいじめっ子のビフと会います。で,マーティは父ジョージを追いかけて,お父さんの車にはねられて気を失ってしまうわけです。
🕖️2015年
じゃ,次は未来世界ですね。 そうやっていった未来世界です。 未来のヒルバレーをマーティーが目撃する。「うわ,これが未来か」ってマーティーが呆然としていて,バーって公園が見えるんですけども,1985年には中央にあった公園だった部分は池になってるんですね。で,ここよく見ると映画館の前なんですけど,斜めの道になってます。で,こっから自動車が走っていて離陸するようになってるんです。ただ,よくよくこのカットを意地悪に最後まで見ると,この自動車離陸しそうに見えて,このまま坂をふっと降りていくんですけども,次のコマに切り替わると,ちゃんと空を飛んでる車に切り替えるのは大丈夫なんですけど,ちょっとね。 今5秒ショットが長かったのかな? で,この元々は,これイメージボードなんですよ。未来の世界のヒルバレーで今と同じ公園なんですけど,公園の手前にはモノレールが走っててこれ僕,赤く塗ったんだけど,鳥居があったんですね。鳥居まで用意してたんですけど,しかし実際にはこの鳥居つくって置いてみたら,日本に占領されたように見えるんですね。 だからヒルバレーが日本に占領された暗黒の世界に見えちゃうんですよ。 でこの鳥居は取ったんですけども,分かりにくいんですけど,池の端の位置に太鼓橋があるんですよ。それは日本の神社にしかないような見事な太鼓橋がかかってて,そういうところに名残りがあります。 その他に,未来のビフの子分に追いかけられるシーンなんですけども,街景をちょっとアップにしてみてください。 「ヒルバレー・ジュエリー」って店名がカタカナで書いてるんですね。で,ここにもなんか日本語があるんですよ。で,1989年つまり『バックトゥザ・フューチャー1/2』の最大の違いってのは何かっていうと,作られたのは1985年か89年かということなんです。この85年89年っていうのは,「将来日本に支配されるかもしれない,日本にアメリカ全部が変わるかもしれない」と考えていた,いわゆるアメリカの暗黒時代だったんですよね。で,じゃあ当時アメリカは何故そんな状況になったのか?っていう,ここら辺ちょっと違う話になるので,限定の方で考察してみようと思います。

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