[レビュー] 『マッドマックス・フュリオサ』(24.6)〜ヒロイン戦記ものの難しさ
🕐24.6.20
『マッドマックス・フュリオサ』
上野東宝,平日木曜日,21:10〜23:30。3時間たっぷり,改造アメ車のチェイスを観れた。冒頭に地図が映され『マッドマックス』の舞台はオーストラリアだったんだなとわかる。実際は折からの気候変動で,オーストラリアの砂漠はお花畑に変わっていて,アフリカで撮ったらしい。
資本主義崩壊の先にある謀略と奪取が延々と続く終わりなきディストピア。砦(Citadel),燃料の街(Gas Town),銃弾の街(Bullet Town),緑の地(Green..)の4世界を舞台にした復讐劇。映像のスケールと壮絶なアクションは,最近観た『Dune』に匹敵する映像体験だった。どんだけ金使ってんだよ…って制作費250億円だって。シナリオは,前作から続くエコフェミニズムが幹になっていて,大雑把にいえばマッチョイズムをフェミニズムが倒すっていうシナリオかな。
平日で観客は20人程度だったが,男性客7割程度。このシナリオは男性客にウケるんだろうかとは思った。YouTube評観ても『フュリオサ』は興行的に失敗らしい。もともと「ヒロイン戦記もの」っていうジャンル自体にコケる要素を多く孕んでる。『スターウォーズ』もディズニー傘下になって,ポリコレ考慮した優等生的作品に「進化」したんだけど。続編が何年も出ない辺り,興行的には良くなかったんじゃないか。ヒーローをヒロインに替えた所で女性客が多く来るわけでもなく,客席の多くを占める男性客は不満抱えて帰ると。女性客が喜ぶのは『リトル・マーメイド』とかのファンタジー系だ。「ポリコレの呪い」っていう言葉があるらしいが,要はポリコレ(Political Correctness)クリアしてBPOみたいな審判官を喜ばせる道徳映画になっちゃって興行的に大赤字を作る展開。だけど興行の目的は動員数だからね。BPO喜ばせて大赤字じゃ意味ない。
僕自身はフェミニズムにもマッチョイズムにも傾倒はしていない(とは思っている)ものの,個人的には男の自分として,後味悪かった。『スターウォーズ』前作も『ゴーストバスターズ・フローズンサマー』もそうだったが,ヒロイン戦記ものにアツくなれないのは,自分の創造性の欠如だろうけれども。マッチョイズムの時代とフェミニズムの時代というものは,過去に延々と繰り返してきたんだろうし,だからこれからも延々と繰り返していくんだろう。だからフェミニズムがゴールではないし,当然マッチョイズムがゴールな訳でもない。大事な事はその時代の繰り返しの中で何を学ぶかなんだろう。『マッドマックス』の入口としては,個人的に結構ハードだった。
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