[SNS] 新興SNS Parlerの人気が急上昇
2020/11/12 06:00
トランプ支持者熱狂のSNSアプリ、米ランキング1位に急浮上
John Koetsier
アプリ調査企業のApptopiaによると、ドナルド・トランプの支持者らが愛用するSNSアプリ「パーラー(Parler)」が、米国のiOSアプリの総合ランキングで1位を獲得し、Google Playでは2位に入った。
パーラーのダウンロード数は先週2倍に増え、1週間で31万2000件を記録したという。背景には大統領選挙関連の報道で、主要メディアが民主党の側に立ち、フェイスブックやツイッターなどの大手SNSがトランプの発言へのアクセスを制限したことがあげられる。さらに、ニューヨーク・ポストが報じたジョー・バイデンに絡むスキャンダルも、大手メディアは信憑性を欠く話であるとして取り上げなかった。
そんな中、言論の自由を掲げ、一切の検閲を行わないパーラーは一部のユーザーに熱烈に支持されている。
「私たちの使命はアメリカ合衆国憲法修正第一条の精神を具体化するソーシャル・プラットフォームを作ることだ」と、パーラーのコミュニティ・ガイドラインには書かれている。このアプリは、投稿のキュレーションを一切行わないが、犯罪行為を行ったアカウントは削除するとされている。
ここ最近、保守派の人々から熱烈に支持されているパーラーは、ユーザビリティに問題があるようで、筆者がアカウントを作ろうとしたところ、パスワードが拒否されたり、SMS認証コードが送信されないなどの問題で、3回も失敗した。
4回目のチャレンジでようやくログインに成功したところ、トップ画面に出てくるメンバーが保守派の大物ぞろいであることに圧倒された。テキサス州選出の共和党議員のテッド・クルーズや、保守系政治評論家のショーン・ハニティ、パンデミックの最中に「今こそ空いているレストランで食事を楽しもう」と発言した共和党議員のデヴィン・ヌネスなどの顔ぶれが並ぶ様子はまさに、トランプ支持者の楽園のようだ。
保守派の人々がこのアプリで自由な言論を楽しむだけなら問題はない。しかし、アーカンソー州の警官は、自身の身分を明かした上で、パーラー上で民主党支持者を「祖国の裏切り者」と呼び、道路の隅に押しやってやると発言した結果、職を失うことになった。
しかし、ここで指摘しておきたいのは、1週間に30万件というダウンロード数は、フェイスブックの利用者数が10億人単位であるのと比較すると、全く取るに足らない数字であることだ。もちろん、フェイスブックの覇権も永遠に続くものではないだろうが、彼らに戦いを挑んだSNSの大半は、つかの間の命で終わってしまう。
Forbes
新興SNS「パーラー」、保守派の反撃で急成長
「言論の自由」を標ぼうし、巨大プラットフォームに対抗 保守派著名人が支援
By Jeff Horwitz and Keach Hagey
2020 年 11 月 16 日 15:26 JST
フェイスブックとツイッターがプラットフォーム上のコンテンツ取り締まりに一段と積極的な姿勢を示すようになったことを受けて、両ソーシャルメディア(SNS)に保守派の著名人が反撃に出ている。彼らの決まり文句は「『パーラー』で私をフォローして」だ。
パーラーは2018年に立ち上げられたリバタリアン(自由至上主義者)寄りのSNSで、グーグルと分析会社アップアニーのデータによると、先週はアンドロイドとアップル端末でおおむね最もダウンロードされたアプリとなっている。パーラーを主導する人たちが思い描いているのは、シリコンバレーの巨大SNSに取って代わる言論の自由を重視したプラットフォームだ。パーラーは、言論の自由を重視したツイッターに代わるプラットフォームとうたっているが、保守派以外の幅広い支持を得ることはできるのか(英語音声、英語字幕あり)
そのバックには資金豊富な投資家も付いている。事情に詳しい複数の関係者によると、ヘッジファンド投資家ロバート・マーサー氏の娘、レベッカ・マーサー氏も資金支援者の1人に名を連ねている。マーサー親子はこれまで多くの保守派のプロジェクトに出資している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がマーサー家とパーラーとの関係を報じたあと、同社のジョン・メイツ最高経営責任者(CEO、27)はレベッカ・マーサー氏が当初の資金調達を主導したリードインベスターであることを認めた。また、同氏が支援した理由は、パーラーはユーザーが目にするものを彼ら自身がコントロールできるようにしたプラットフォームだったためだと説明した。
事情に詳しい関係者の一部によると、パーラーにはマーサーの一族が投資している。この件についてWSJが報じたあと、レベッカ・マーサー氏はパーラーへの投稿で父親は同社に関与しておらず、出資もしていないと述べた。ロバート・マーサー氏からコメントを得ようと接触を試みたが、現時点で連絡は取れていない。レベッカ・マーサー氏は別の投稿で、同氏とメイツ氏が「パーラーをスタートさせたのは、米国の建国者が意図したような自由な言論ができる中立的なプラットフォームを提供するため」だったとし、こうした取り組みは「巨大な権力を振るうIT(情報技術)企業の一段の独裁化と増長」に対抗するものだと述べた。
■他のトランプ支持者も加勢
パーラーのユーザー数は1週間もたたないうちに1000万人に倍増し、約30人のスタッフでは新規登録者の殺到に対処しきれないほどだった。メイツ氏は「1カ所を修正すると、今度は別のカ所で問題が起こっていた」とし、「現時点ではもう安定している」と述べた。パーラーの急成長を促すマーサー氏にドナルド・トランプ大統領の他の支持者も加勢している。大手ITプラットフォームがコンテンツに積極的に警告ラベルを表示したり、誤解を招く、または危険とみなした投稿の拡散を制限したりすることへの非難としてだ。米ビジネスニュース専門局フォックス・ビジネスのキャスター、マリア・バーティロモ氏は、ツイッターからパーラーに乗り換える意向を表明し、同プラットフォームで100万人を超えるフォロワーを集めている。保守派のトーク番組司会者、ダン・ボンジーノ氏――同氏はフェイスブックで有数の人気コンテンツの作成者でもあり、パーラーの投資家でもある――は、パーラーの成長は「テック暴君に対する集団的な反乱」だと宣言した。ただし、両者ともフェイスブックとツイッターへの投稿は続けており、パーラーがいずれもっと多くのターゲットを引きつけ、大規模プラットフォームを補完または置き換えることになるのかは疑問視されている。その答えの一部は、パーラーのビジネスモデルの成功にかかっている。つまり、SNSの基礎的なツールの一部をあえて活用しないやり方だ。
ツイッターやフェイスブックは、ユーザーが利用するコンテンツに関する広範なデータを収集。各ユーザーに何が訴求しそうかを分析し、それに基づいてユーザーが見る内容をカスタマイズしている。プラットフォームは多くのユーザーに人気のコンテンツを検出すると、そのコンテンツをさらに多くのユーザーのフィードに流し、SNS特有の一種の大規模な口コミ効果を作り出している。パーラーはそうしたことをしていない。アルゴリズムを使用してお薦めコンテンツを提示することはせず、ユーザーに関するデータもほぼ収集していない。また、プライバシー上の理由から、ユーザーが他のプラットフォームからたやすく横断投稿できるようにもしていない。パーラーは単にフォローするユーザーの全ての投稿を新着順に表示するだけだ。
パーラーのサービス条件では、アプリが将来的にコンテンツをユーザーごとにカスタマイズすることを認めているが、同社幹部はリバタリアンの理念を守る決意を示している。「われわれは中立的なプラットフォームでいることを決めている」。ジェフリー・ワーニック最高執行責任者(COO)はこう述べた。
■試されるユーザー
パーラーの無干渉主義的な理念は、ユーザーを試すことになるかもしれない。
フェイスブックやツイッターと異なり、パーラーはコンテンツ監視に関わるほぼ全ての判断を各個人に委ねており、ヘイトスピーチ(憎悪表現)や露骨な暴力、わいせつ画像などのコンテンツを非表示にするフィルターを適用するかどうかは各個人に任されている。主にスパムや暴力の脅し、違法行為の排除といった最小限の規制が課されているだけで、それらは現在、「コミュニティー審査員」と呼ばれるボランティアスタッフが対処している。
こうした方針は、自由奔放な政治議論につながっている。また、自らのヌード写真を投稿するユーザーのグループなど、他のプラットフォームには容易になじまない一部コミュニティーの繁栄も可能にしているとメイツ氏は話す。
パーラーは他のプラットフォームで利用を禁じられた人たちも受け入れている。極右のトーク番組司会者、アレックス・ジョーンズ氏や極右の過激派組織「プラウドボーイズ」、選挙の不正を訴える抗議運動「ストップ・ザ・スティール(盗みを止めろ)」の主催者はいずれも、フェイスブックでアカウントを削除されたあと、パーラーでかなりのフォロワーを集めている。
米名誉毀損防止同盟(ADL)の12日のブログ投稿によると、パーラーはここ数週間、証拠を提示せずに選挙の不正を訴える主張や白人至上主義的なコンテンツ、「Qアノン」が唱える陰謀論の支持者の投稿であふれている。メイツ氏は、そうしたグループにプラットフォームの利用を認めているのは、たとえ同氏が気に入らないグループがいたとしても、言論の自由に対する同社の責任を果たすためだと説明。「そうしたQアノン関係の人たちは気味が悪い」とメイツ氏は述べた。
「なぜこれ(パーラー)に関心が集まるのかは分かる」。
かつてフェイスブックの製品マネジャーやツイッターのアドバイザーを務めていたアントニオ・ガルシア・マルティネス氏はこう述べ、主流プラットフォームはできる限り幅広いターゲットに到達するため、言論の自由に関して妥協せざるを得ないと感じていると指摘した。
THE WALL STREET JOURNAL
パーラー(Parler)の躍進で考える、社会の分断が、SNSの選択自体の分断につながってしまう未来
徳力基彦(tokuriki)
2020/11/13 12:21
これは、なんだか悲しい展開。
トランプ支持者熱狂のSNSアプリ、米ランキング1位に急浮上アプリ調査企業のApptopiaによると、ドナルド・トランプの支持者らが愛用するSNSアプリ「パーラー(Parler)」がforbesjapan.com
FacebookやTwitterがトランプのヘイトスピーチの取り締まりを厳しくした結果、トランプ支持者を中心にパーラー(Parler)という新しいSNSアプリの利用が急増してるんだとか。発言の自由が売りのプラットフォームのようです。
気になったので自分でも登録してみましたが、たしかに日本人が見ても、わかりやすく共和党寄りの政治家や有名人がずらっと並んでいる感じの作りで、なかなか考えさせられるものがあります。
I’m proud to join @parler_app -- a platform gets what free speech is all about -- and I’m excited to be a part of it. Let’s speak. Let’s speak freely. And let’s end the Silicon Valley censorship. Follow me there @tedcruz! pic.twitter.com/pzUFvhipBZ
— Ted Cruz (@tedcruz) June 25, 2020
昔、インターネットが国境を越えて人々をつなげば、思い込みや誤解がとけて世界はもっと平和になるんじゃないかと夢想した時がありましたが。実際には、FacebookやTwitterという巨大なSNSで直接つながって、お互いの嫌なところがより可視化されてしまった結果、衝突することが多くなってしまったり、フィルターバブルでより考えが両極端に分かれてしまい、最終的にそれぞれが別のSNSに異動することになって、ますます考えが分かれていく、というのは悲しいシナリオだなぁと思います。まぁ、もちろん、記事にもあるようにまだ1週間に30万件「だけ」という状態でもあるので、大統領選の混乱による一時的な現象の可能性もありますが、果たしてどうなることやら・・・
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徳力基彦(tokuriki)
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