[市場][通信] テクログ/26.9.26 〜NASほか
入門用としてもちょうどいい、お手軽ネットワークHDD
今回からは、アイ・オー・データ機器のNASの使いこなしを実践していく。NASは「Network Attached Storage」(ネットワーク接続された記憶装置)の略で、名前の通り、スマートフォンやPCといったデバイスに直接接続するのでなく、家庭内のWi-Fi(ネットワーク、LAN)を介して接続して使う外部ストレージだ。「ネットワークHDD」のような呼び方をすることもある。直接接続でなくネットワークを介することで、つなぎ替えることなく複数のデバイスから利用できたり、アプリなどを通じてインターネット経由で家の外からでも利用できたりと、活用の幅が広い。写真や動画、書類などを保存しておき、必要なときにすぐ取り出すこともできるし、あまり使わなくなったデータをNASに移動させて、スマホの保存容量を増やす使い方も可能だ。また、使い方にもよるが、クラウドサービスに保存しているデータをNASに移して、サブスク料金を節約することもできる。
✔ アイ・オー・データ機器の家庭用NAS「LANDISK HDL1-LA」シリーズの2TBモデル「HDL1-LA02」を選択した
今回取り上げるのは、アイ・オー・データ機器の「HDL1-LA02」。同社のNAS「LANDISK」シリーズの家庭向けモデルの中でも最も廉価な「HDL-LA」シリーズの2TBモデルだ(同シリーズには容量2TBと4TBのモデルがある)。市場想定価格は2万4310円。4TBモデルの「HDL1-LA04」が3万2890円となっている。型番の細部に「/E」が付いたネット通販専売モデル(外箱の印刷が簡易になっている同等製品)もあり、Amazon.co.jpでは、記事執筆時点だと2TBモデルの「HDL1-LA02/E」が1万9800円と、2万円を切る価格で販売されているようだ。これなら外付けHDDと比べても少し高い程度で購入でき、NASを試してみたかったという人の入門用にもちょうどいいだろう。
上面にもエアフロー用の穴が開いている。下からの空気を抜く煙突構造の作り。NASは常時電源を入れて使うのが普通なので本体に排気用のファンがあると動作音が気になってしまうが、本製品はファンレスなので静かだ
NASのさまざまな機能や運用方法と、家庭用・入門用NASとの比較
このHDL1-LAシリーズは、シンプルな1ドライブ構成だ。法人向けのNASは2ドライブ以上の構成で、複数のHDDに同じデータを記録し、物理的な故障を対策する冗長化(代表的な技術から「RAID」とも。1台のHDDが故障しても、ほかのHDDからデータを復元できるようにしている)を施して運用することも多いが、家庭用なら、冗長化までは考えなくてもいいだろう。
冗長化は業務で利用中に逐次保存されるデータをリアルタイムに複製することでトラブルに備える技術だが、家庭ではスマホやPCのバックアップ、つまり、逐次ではなく決まったタイミングでデータを保存する用途が主になると思われるので、NASのさらなるバックアップができれば、故障時の対策としても十分だ。HDL1-LAシリーズはUSBポートを備えていて、別途外付けHDDを接続してバックアップできる。
昨今のNAS、特に海外メーカーの製品では「NASキット」と呼ばれるものもある。HDDが別売りで、空のドライブに自分で必要な容量のHDDを装着して使うことと、NASに内蔵したOSでさまざまなアプリ・サービスを実行できることが特徴だ。HDL1-LAシリーズは最初から2TBないし4TBのHDDが内蔵されており、こうした製品と比べてアプリ面でもシンプルな製品だと言える。
さらにNASの運用を考えていくと、UPS(無停電電源装置)の導入も視野に入る。UPSは、近所での落雷など急な停電や瞬断(瞬間的に電圧が下がる現象)が起きたときに、安全に電源をオフにする(短時間ならそのまま使い続けられる)という補助バッテリー的な装置で、装置の故障やデータの消失を防ぐことができる。家庭利用ではいささか大げさとも思えるが、筆者宅ではUPSを使っていて、実際にこれまで何度も雷雨の短い停電時に救われている。HDL1-LAシリーズはUPS接続に対応しているので、余裕があれば本連載でも紹介したいと思う。
✔ 自宅のスマホやPCのバックアップに使ってみよう
HDL1-LA02の背面には、ギガビット対応の有線LANポートと先述したUSB 2.0ポートがある。有線接続で使う必要があるので、自宅のWi-Fiルーターなどとケーブル接続することを想定して、設置場所と十分な長さのケーブルを用意しておきたい。本連載では、スマホの写真と動画、書類などのバックアップのためにHDL1-LA02を活用する方法を実践していく。自宅でネットワーク経由で、つまりケーブルをつながずWi-Fi接続だけでバックアップできるのはもちろん、外出先からも「Remote Link Files」というアプリを使ってバックアップができる。ただし、モバイル回線では実際に使ってみると、速度的にちょっと常用するには厳しいと感じた。外出先から利用するのは最小限に留めて、ふだんは自宅内でバックアップし、スマホ内のデータは削除して容量を解放しておく。外出時で必要になったらNASからダウンロードする、という方法が便利で実用的だろう。連載ではPCも利用するが、スマホだけしか持っていないという読者でも活用できるように実践していくので安心して読み進めてほしい。
Internet Watch
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/homewifi/2010424.html
病院でも店舗でも。既存機器の無線化をもっと簡単にするBR-110AX
2026.09.25
AMCブログ
医療・ヘルスケア Wi-Fi 6 低消費電力 高速ローミング リテール
デジタル化が進む中で、医療機関や小売店舗ではネットワーク接続が前提となる機器が増えています。しかし、現場では依然として有線LANを前提とした機器も多く、機器の移動やレイアウト変更のたびに配線が課題になるケースも少なくありません。こうした課題を解決する方法として注目されているのが、既存機器を簡単に無線LANへ接続できるワイヤレスブリッジです。今回は、医療・リテール市場向けに開発されたWi-Fi 6対応ワイヤレスブリッジ「BR-110AX」を、実際の利用シーンを交えながらご紹介します。
医療現場で求められる「移動しながらつながる」ネットワーク
無線化された医療機器
病院内では、患者モニタ、検査機器、回診カートに搭載された各種機器などが日常的に移動しています。 しかし、有線LAN接続のままでは利用場所が限定され、機器運用の柔軟性を確保することが難しくなります。
例えば、
・病棟間を移動する回診カート
・ベッドサイドで利用される患者モニタ
・検査室と病棟を行き来する検査機器
などでは、ネットワークへ常時接続できることが求められます。BR-110AXは、LANポートを備えた機器をWi-Fiネットワークへ接続できるワイヤレスブリッジです。Wi-Fi 6に対応し、さらにIEEE 802.11rによる高速ローミングにも対応しているため、病院内を移動しながらでも安定した通信を実現します。
医療現場だからこそ求められる環境耐性
医療現場では、ネットワーク機器にも一定の耐性が求められます。
医療機器のネットワーク化では、通信性能だけでなく筐体の耐久性や衛生面も重要なポイントです。病院内では日常的な清拭や消毒が行われるため、一般的なオフィス環境とは異なる条件で機器が使用されます。
BR-110AXは、
・消毒剤への耐性
・難燃グレードUL94 V-0材料を採用した筐体
・防塵防水IP21準拠
といった特長を備えています。
……
Silex
https://www.silex.jp/library/AMC-blog/20260925_br110ax-medical-retail
WindowsとAndroidならワイヤレスでファイル送受信できる!
てっぱんアプリ!
日沼 諭史2024年11月15日 00:01
スマホを、もっと楽しく快適に使うには、アプリを活用しよう。本コーナーでは、続々登場する旬なアプリの中から編集部が厳選した、スマホユーザー必携の“てっぱん”アプリをご紹介します!
◇ ◇ ◇
アプリ名: Windows にリンク
開発者: Microsoft Corporation
価格: 無料
対応OS: iOS 15.0 以降、Android 8.0 以上
カテゴリ: 仕事
これまではWindowsパソコンとAndroidスマホで直接ファイルをやりとりするのにケーブル接続が必須だったが、ついにワイヤレスでファイル転送できるようになった。その方法をさっそく紹介しよう。
Windows 11とAndroidスマホとの間で、ワイヤレスでファイル転送が可能に
✔ ワイヤレスで連携するための手順
最近のWindowsのアップデートにより、Windows 11のエクスプローラーから直接Androidスマホのストレージを参照できるようになった。パソコンのドライブに近い感覚でファイルをスマホからダウンロードしたり、反対にスマホにファイルをコピーしたりできる。この連携機能を利用するにはいくつか準備が必要だ。まずスマホが「Android 11以降」であることと、スマホに「Windows にリンク」アプリをインストールしていること、そしてWindowsパソコンにもMicrosoft Storeから「スマートフォン連携」というアプリケーションをダウンロードしてインストールしておく必要がある。設定の手順は下記の通り。スマホとパソコンとで共通のMicrosoftアカウントを使って連携する必要がある点には注意しよう。なお、「Windows にリンク」アプリはiOS版も存在するが、今回紹介するようなファイル転送の機能は利用できない。
↓Windows 11の「設定」から「Bluetooth とデバイス」内の「モバイルデバイス」を選択
↓「このPCによるモバイルデバイスへのアクセスを許可する」を「オン」にして「デバイスの管理」をクリック
↓Microsoftアカウントでログインする
↓スマホ連携用のQRコードが表示されるがこれは無視して閉じて良い
↓スマホ側で「Windows にリンク」アプリを起動し、Microsoftアカウントでログイン
↓ログインが完了したら設定画面へ
↓「オン」を有効にして設定完了
↓Windowsの「モバイル デバイスを管理」画面で「エクスプローラーにモバイル デバイスを表示する」が有効になっていることを確認する
↓Wi-Fiまたはモバイルネットワーク経由で送受信
すべての設定が完了すると、Windowsのエクスプローラー内にスマートフォンのアイコンが現れる。すぐに表示されない場合はパソコンの再起動を試してみよう。エクスプローラー内では、スマートフォンのストレージに保存しているファイルを一覧でき、スマホ内でのファイルのコピー&ペーストや削除、もしくはスマホ~パソコン間でのファイルのコピー&ペーストなどが可能だ。なお、ファイルの一覧表示は高速だが、ファイルを開いたりコピー&ペーストするときはWi-Fi、またはモバイルネットワーク経由でデータをやりとりするので少し時間がかかることがある。それでも、ケーブル不要で気軽にスマホ内のデータにアクセスできるのは便利に感じるはずだ。
ケータイ Watch
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/teppan/1639672.html
格安レトロ携帯「Nokia 300 Charge」登場、給電もできて約5000円
Omar Gallaga (CNET News)
翻訳校正: 編集部
2026年08月28日 16時17分
HMD Globalがレトロ調の携帯電話「Nokia 300 Charge」を発表した。アースカラーのレゴブロックを思わせる、角張ったデザインが魅力だ。
Nokia 300 Charge 提供:HMD Global
昔ながらの外観に加え、300 Chargeはいくつか興味深い機能を備える。ほかのデバイスに給電できる10Wのモバイルバッテリーとして使えるほか、microSDカードスロットとヘッドホン端子を搭載。懐中電灯として使える非常に明るいLEDライトも付いて、価格は約32ドル(約5100円)だ。そう、読み間違いではない。安価で機能を絞り、驚くほど電池持ちの良いフィーチャーフォンを求める人には、たまらない端末だ。Gizmodo、Engadget、TechRadarをはじめとするテクノロジー系サイトでも大きく取り上げられた。フィリピンで発売予定で、ほかの市場での発売については不明だ。また、対応するのは2Gネットワークのみ。
Nokia 300 Charge
提供:HMD Global
※クリックすると拡大画像が見られます
✔ レトロ回帰
スマートフォン以前の時代からある、いわゆる「ダムフォン」がいま流行している。デジタルデトックスに目を向ける動きの一環だ。再設計された「motorola razr」などの折りたたみ式スマートフォンや「Light Phone」などは、気が散りにくく、過度な画面利用を強いない。通話やT9方式のテキスト入力といった基本機能に、より集中できる。中には、筆者の世代が誇らしげに持ち歩いていた2000年代初頭から、そのまま飛び出してきたような端末もある。一方で、画面が主役のスマートフォンへ移行する前の「BlackBerry」や「Palm Treo」のように、やや高機能な端末に似た製品もある。こうした携帯電話への需要は大きいようだ。低価格で機能を絞った携帯電話が必要とされる市場だけの話ではない。
初期のパーソナルコンピューターを手がけたことで知られる1980年代のブランド、Commodoreは、折りたたみ式携帯電話「Callback 8020」を発表した。Commodoreブランドを買収したグループの責任者によると、予約販売の開始時に1万台近くを売り、入荷連絡の順番待ちリストには10万人が登録したという。レトロなフィーチャーフォンが人気商品になっていることを示す数字だ。Commodore Internationalの社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるChristian「Peri Fractic」Simpson氏は、「人々は単に過去を買っているわけではない。Commodore Callback 8020のようなレトロ携帯は、手で押した感触のあるボタンと個性を備え、テクノロジーとの付き合い方をより意識的なものにしてくれる」と述べた。Simpson氏によると、購入者には、こうした端末に初めて触れるZ世代も含まれる。また、安全上の理由から子供のソーシャルメディア利用を制限したい親や、気を散らされる要素を減らしながら通信手段は確保したい大人も購入しているという。ダムフォンは一般に、スマートフォンより電池が長持ちする。依存性が指摘されるアプリがなく、キーパッドでの入力にも手間がかかるため、軽いデジタルデトックスの役割も果たし、目的を意識した使い方を促してくれる。低予算でスマートフォンから距離を置きたい人からは、かなりの関心を集めそうだ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
スマートフォン 売れ筋ランキング(Amazon)
CNET Japan
https://japan.cnet.com/article/35252038/
ソニーとTSMCの合弁、米アナリストはどう見るのか
ライバルに勝つべく勝負に出た?
ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)とTSMCが、次世代イメージセンサーの開発/製造を担う合弁会社(JV)を設立する確定契約を締結した。米国のアナリストはこの動きをどう見ているのか。
2026年08月17日 10時30分 公開
[Alan Patterson,EE Times]
米国EE Timesにコメントを寄せた複数のアナリストによると、ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)とTSMCが2026年8月11日に発表した7470億円規模の共同事業(JV)は、Apple製スマートフォンに用いられるイメージセンサーに参入しているSamsung Electronics(以下、Samsung)などの競合先をかわすことを目的としたものだという。SSSは同JVの経営支配権に約4650億円を投じ、残りの約2820億円はTSMCが提供する予定だ。SSSによると、この新たなJV(Advanced Vision Semiconductor Manufacturing)での生産開始は2029年になる見込みで、拠点は日本の熊本県に置かれる。
✔ ソニーとTSMC、イメージセンサー合弁会社に7470億円
熊本で29年量産
SSSは、中核となるイメージセンサー技術の開発と、製品企画ならびに設計によって、この新しいJVをリードしようとしている。また、同JVでは、TSMCの高度なプロセス技術と製造に関する専門知識が活用される。International Business StrategiesでCEOを務めるHandel Jones氏がEE Timesに語ったところによると、SSSはイメージセンサーを巡るライバルとの競争で勝負に出ているのだという。そうしたライバルの代表格がSamsungだが、同社は市場シェアを拡大しつつあり、Appleからの受注も勝ち取っている。Jones氏は「Samsungはイメージセンサー用ウエハーで大きな生産能力を持つが、28nmノードのイメージセンサー処理に関しては、補完的に外部ベンダーからウエハーを調達している」と述べた(ただし、外部ベンダーの名称には触れなかった)。さらに同氏は「米国カリフォルニア州に拠点を置くOmniVisionもイメージングで市場シェアを拡大しているが、同社は主に中国のファウンドリーであるSMICからウェハーを調達している。SSSにとっての重要な課題は、SamsungやOmniVisionに対峙しながら、イメージングのアプリケーションからどのように妥当な収益を得るか、というところにある」と述べた。
イメージセンサーの製造を手掛ける企業の規模としては、SSSとSamsungが最上位につけており、それにOmniVision、onsemi、キヤノン、STMicroelectronicsが続く。イメージセンサーの出荷量は2025年に80億個だったが、2035年にはその2倍以上となる200億個に達する見込みだ。その結果、イメージセンサーの生産能力は世界的に不足するようになるとJones氏は予測している。
✔ フィジカルAIもイメージセンサーの需要を後押し
Jones氏は「スマートフォンは最大の市場であるが、他にも成長軌道にある市場は多数あり、ロボット、デジタルヘルス、セキュリティ、監視などが挙げられる」と述べた。さらに同氏は「今後は物理AIがイメージセンサーの大きな市場となるとみられる。そのため、ウエハーの生産能力とハイブリッドボンディングへのアクセスを得ることが重要になる」と述べた。TechInsightsのバイスチェアマンであるDan Hutcheson氏がEE Timesに語ったところによると、SSSとTSMCのJVは、今後急増が見込まれるロボット需要に対処するため、フィジカルAIインフラへ参入することを狙ったものと捉えることができるという。さらにHutcheson氏は、このJVが2社(SSSとTSMC)と日本の両方にとって、長期にわたる戦略的動きになると付け加えた。SSSは、JVが計画する生産能力を実現するために必要な投資は、日本政府からの支援を受けることを前提に検討を進めると述べた。2026年第2四半期(4~6月期)において、TSMCのスマートフォン向けチップの売上高は前年同期比で4%減となり、同社の総売上高に占める割合は22%だった。ほんの数年前までは、スマートフォンはTSMCにとって最大のアプリケーションだった。TSMCはアプリケーションの重点を移し、AI顧客からの急増する需要に対応するため、2026年の設備投資予算を最大640億ドルにまで増額している。
✔ 「隙間」を埋める
Hutcheson氏によれば、このJVは重要なギャップを埋めるものだという。同氏は「TSMCは台湾以外での生産能力の多様化が必要だ」と述べる。「台湾では半導体エンジニアが不足しているが、日本には豊富な熟練技術者がいる。SSSはサプライチェーンの安全性を確保するとともに、TSMCの生産能力を活用する必要がある。日本政府は国家安全保障上の理由から、国内の製造能力の確保が不可欠だと考えている」
TSMCは、米国、日本、欧州にとって国家安全保障上の問題となっており、これらの国/地域は、低迷する自国/地域の半導体産業を再建すべく、TSMCを誘致してきた。なお、Jones氏によると、イメージセンサーの製造プロセスは、現在の主流である65nmおよび45nmノードから、28nmへと移行しつつあるという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
EE Times Japan
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2608/17/news065.html
PCやスマホを持たず、ネットとも無縁の《孤高の芥川賞作家》…自分の道を歩むには「孤独に耐えるべき」と説く理由
2025.06.03
田中 慎弥
仕事、人間関係、因習などにより、多くの現代人は「奴隷」になってしまっている。その打開策はただひとつ。今いる場所からとにかく逃げること。逃げて、孤独の中に身をおくことが、自分を取り戻す唯一の手段であり、成功の最短ルートだ――。
著者の田中慎弥氏は、今もPCやスマホを持たず、ネットとも無縁で、鉛筆を手にひたすら原稿用紙に向かう日々を送る。 『孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考』(徳間書店) より、孤高の芥川賞作家による、独自の幸福論をお届けしよう。
『「逃げることでしか救われない命もある」「引きこもりは生きるための立派な術」…15年間引きこもりだった《孤高の芥川賞作家》が贈る「逃避の幸福論」』より続く。
■ 孤独をもっとも実感するとき
いまを生きる人が、もっとも言われたくない言葉のひとつは「孤独だね」というものでしょう。幼いころから友だちをたくさんつくることを推奨され、仲間外れにならないように気を遣い、社会人になってからもSNSで交流する人数を増やそうと努めて、携帯端末の履歴をいつも気にかける。懸命に人とつながっていようとする。わたしに言わせれば、それらはすべて、だれもが抱えているはずの孤独を隠すため、もしくは紛らわすための行動にすぎない。孤独であることをもっとも実感してしまうのは、時間を持て余したときでしょう。だから勢い、常に有効な時間を過ごしているように、無意識に見せかけようとする。空白の時間を埋めようとする。なぜ「孤独」は嫌われ、遠ざけられるべきものとしてあつかわれるのでしょうか。
■ 孤独は解消できない
だれかと一緒にいても、みずからの心の内をよくよく覗き込めば、そこには孤独が拡がっているものです。それが恋人だろうと夫婦だろうと家族だろうと、どんなにくつろげる相手といたところで、根本的に孤独は解消できない。だからこそ、だれかと一緒にいたいと切実に思う。一緒にいても孤独は解消されないとわかっているのに、もっと一緒にいたいという思いが募る。それがいまの人間関係、世間というものの一面をなしているのだと思います。
人間は孤独なのだという前提を受け入れがたいのは、独りになることを過度に恐れたり、あるいは許せなかったり、さもなければ独りでいる自分はおかしいのではないかと疑心暗鬼になったりしてしまうからで、そうした圧力のような存在は、かつて長い間、引きこもりのような状態だったわたしからすればわからなくもない。
そもそも日本社会そのものが、ひとつの共同体や同じ価値観に属するのを強いていて、つまり孤立を回避する力学で成り立っているので、おのずと孤独には後ろめたさが伴うように仕向けられてもいるのです。
まず夫婦や家族という単位があり、それが互いに重なり合って、さまざまなサイズのコミュニティを形成しながら、より大きくて込み入った社会構造に至る。学校、サークル、会社、町内会、自治会、それらが寄り集まって行政の地域区分をなし、その上位にある最大の単位が国家というわけです。
あなたは大小さまざまなコミュニティに属していて、基本的にはそのどれからもはみ出すことは許されない。つまり価値観を共有しなければならない。孤独であってはならない。これが、圧力のような存在、と先に述べたものの正体なのではないか。孤独であることは社会のシステム上、忌避されている。しかし、人間は根本的には孤独です。わたしたちはそうしたアンビバレンツにさらされています。もし、あなたがいま現在、引きこもっているとしたら、自分はどこまでも孤独なのだと、ことさらに思わなくていい。どうしたところで、人間は孤独なのだから。あなたはたまたま、そのことにはっきり気づいただけです。また同時に、たとえば、孤独を強く望んだとしても、無数のコミュニティの輪から完全に抜け出すことは不可能です。妙な言い方になりますが、あなたは孤独であり孤独ではない。もちろん、これは引きこもっている人にかぎらず、だれにでも当てはまります。
■ 完全な孤独などない
わたしはみずから選んで孤独な時を過ごしたのではありません。大学受験に失敗して、勉強する気も働く気も湧かなかったので家にいただけです。女手ひとつ、一人息子と暮らす母にすれば大変だったと思いますが、わたしにとっては飢えとは無縁の、のらりくらりできる環境でした。
親しい友人などいなかったわたしはずっと独りでしたが、べつにつらくはなかった。同じ屋根の下には母がいて、かつては祖父もいたので、なおさらです。十数年にわたる長い年月、わたしはいつでも孤独に浸ることができた、そう言えます。
部屋にこもって独りで過ごす時間、部屋を出て母と過ごす時間。孤独とそうでない時間を自由に行き来できた。
いまの若い人にとって孤独とは、とても深刻な事態なのでしょう。孤独というものに強迫され、だから孤独を他人に悟られまいとSNSで活発な交流をはかる。独りではないのだとことさらに取り繕わざるを得ないのだとすれば、その毎日はかなりつらいはずです。
「ハブる」「ハブられる」という言い方があります。「仲間外れにする」「仲間外れにされる」という意味らしいのですが、つらいにもかかわらず人とのつながりを懸命に保とうとする背景には「ハブられる」ことを恐れる気持ちがあるように思えます。
仲間外れ、つまり孤独になることは、当人とすれば人間関係全体の崩壊を意味するのでしょう。年齢を重ねて付き合いが拡がれば、いまいる場所とは価値観の異なる世界があることも想像できるのですが、若いときは狭い人間関係で完結しているので、それは相当な衝撃になる。
でも、先に述べたように、そもそも人間は孤独だし、同時に完全な孤独にもなりえない。
ハブられたあなたが行き場を失ったように感じたとしたら、それは錯覚です。独りになったことを、恥じたり、悲しんだりする必要はどこにもない。望むと望まざるとにかかわらず、あなたはどこかでだれかとつながっている。
友だちの数の多さや、場を盛り上げたり場に馴染むコミュニケーション能力を重宝する風潮は、過剰防衛の虚しい反転にすぎません。そんなものはなくても立派に生きていける。独りになり、陰口をささやかれ、後ろ指を指されようとも、気に病むべきではない。むしろ同調圧力から解放されて、自分を顧みる機会を得たのだから、喜んでいいくらいです。
■ 不安に耐えろ
さて、思考停止、つまり奴隷状態に陥っているのに気づいたあなたは、そこから逃げ出したあと、自分にとって価値ある「なにか」を足がかりに新たな道を切り拓こうとする。本当にやりたい職業を目指して歩きはじめる。そのとき、あなたは深い孤独の中にいるはずです。
いまからこんなことをはじめて果たしてうまくいくのだろうか。間に合うのだろうか。もたげる不安に孤独は募る一方でしょう。あなたはあなたのすべてを背負っているのですから。不安とは独りきりで感じるものであり、不安を抱くことそのものが孤独なのです。
田中慎弥氏(写真提供/徳間書店)イメージギャラリーで見る
わたしが作家になったのは、要するに自分の食い扶持を自分で得られるようになったのは、三十歳を過ぎてからです。会社勤めの人なら係長くらいになっている年齢でようやく、わたしは実社会に踏み込んだ。しかも、作家なんていうあてにならない職業です。
もちろん不安でした。孤独に耐えられるかどうか。なんといっても、それまで仕事に就いたことが一度もない自分に、果たして務まるだろうか、と。
一方で、長い引きこもり状態を経て耐性ができていた面もあるにせよ、さらに続く孤独に耐えられなければ、自分の道はあきらめるほかないとも思っていました。
孤独を拒んでなしえることなど、なにひとつありません。自分のやりたい道に舵を切れば、必ず孤独に直面します。
そこは耐えるしかない。そして耐えられるはずです。孤独になるのは当たり前のことなのですから。
・・・・・・
【つづきを読む】『「奴隷」から抜け出すには、どんな本をどのように読むべきなのか…?PCやスマホと無縁の《芥川賞作家》が語った「孤独の読書術」』
現代ビジネス
https://gendai.media/articles/-/152799?imp=0



0 件のコメント:
コメントを投稿