2003年2月2日日曜日

[通信] VoIP通信(IP電話)やってみた~スタパ齋藤・スタパMobile




[通信] VoIP通信(IP電話)やってみた~スタパ齋藤・スタパMobile   
IP電話は安いし簡単だし料金的にもナイス!!
スタパ齋藤
■ IP電話使ってみようかなぁ……
今年の2月から光ファイバー回線を使い始めた俺。具体的にはNTT東日本のBフレッツはニューファミリータイプだ。上りも下りも高速で快適!!とFTTHによるネット利用の快適さを堪能中である。
拙者環境の場合,Bフレッツでのスループット値は,フレッツスクウェアでの計測時(地域IP網内での数値ですな)は最速で81.65Mbps。最近はやや落ちて70Mbps前後という感じ。
速度計測サイトでの計測時(インターネット経由での数値ですな)は,ばらつきがあるが,50~60Mbpsという感じ。プロバイダーはぷららを使っており,地域IP網的エリアとしては埼玉になる。
さておき,Bフレッツとしてはかなり速いスループット値が出ているのだが,上記の数値くらい速いと“速すぎてムダ”だと言える。二股,三股,四股……と,多数サーバへと同時にアクセスしてダウンロード等しまくりな人なら良いが,ウェブ利用とメールとFTPくらいしか使わない拙者=だいたいいつもひとつのサーバに対してアクセスするという使い方なので,70Mbpsとかゆー速度が出ても,その速度を生かせるサーバなんざぁちっともありゃしねえ!!せっかく速度出てるのに超モッタイナイ!!と。
そして突然話は変わるが,最近なーんか電話代がかさみがち。細かい話は端折るが,家の電話から県外通話しまくりなのだ。仕事上の打ち合わせや連絡でかな~り電話代がかかっちまってる。月に平均して2万円くらいだろうか。明細を見ると,県外通話のところでガガガッと料金が嵩んでいる。
で,前述の“過剰スループット値モッタイナイ説”と,この“電話代モッタイナイ説”。両方同時に考えた瞬間浮上するものと言えば,IP電話だ。余ったスループット値をIP電話の帯域として使っていきたい!!そしてIP電話で通話しまくって電話料金を節約したい!!てなわけで,IP電話に手を出すことに。
■ 安いし簡単だし!?
NTT東西が5月からフレッツユーザー向けに提供を開始した「VoIPアダプタ」
IP電話というのは,ご存じのように“IPを利用した音声電話サービス”だ。IPネットワーク技術を使った音声電話サービスは全部IP電話で,インターネットを電話回線代わりに使ってお話しちゃえというインターネット電話もこれに含まれる。でもまあ,今の状況でIP電話と言えば,電話回線代わりに使うのは専用のIP網を使ったサービスだろう。つまり,VoIP専用のネットワークを使って通話(というか音声データの送受信)をするので,ある程度は帯域が保証される=音質が良くて音声遅延なんかも超少ない……と言われている。
ていうかソレってホント!?音質いいの?遅延ないの?これまでいくつか,ネット経由でのリアルタイムなコミュニケーションシステムを試した俺だが,いつもだいたいギリギリのクオリティとパフォーマンスだった。用途を考えて工夫すれば,まあまあ使えるかも,みたいな。このテレビ電話システムはスゲェ!!このボイスチャットは素晴らしい!!とかいうサービスには全然遭遇できなかった俺なので,IP電話に対しても少々不安があったりして。
ともあれ,試してみなきゃわからない。さいわい,フレッツでIP電話を使うためのアダプタ類は,けっこー安い料金でレンタル可能。また,現在使っているプロバイダーのぷららはフレッツのIP電話サービスに対応しており,通話料金以外は実質的に無料。ダメモトで手を出しやすい状況にあるので,スコッと申し込みを済ませた。
実は,申し込みから少々待たされた。なんでもIP電話用アダプタの出荷が遅れたとかで,一カ月くらい待った感じ。もしかしてIP電話大人気?申込者殺到?あるいはアダプタの不具合とか!?まあさておいて,アダプタが届いたので,早速セットアップ……したらスコッと終了。
使っているルータはNTT-MEのBA8000Proで,これがUPnP対応だったので,ルータ方面の心配は何もせずに済んだ。IP電話のためのアダプタとしてはNTT東日本のVoIPアダプタをレンタルしたが,こちらの設定もウェブブラウザからツツツッと行なえた。また,ぷらら側の申し込み・設定も容易で,ウェブページ上のガイドに従って個人情報等を入力していくと,VoIPアダプタ上の設定が自動的に行なわれるという感じ。ふうぅぅぅぅ~ん,IP電話ってこんなに簡単に使い始められちゃうんですな,と意外に思った2003年6月1日であった。
■ おおおっ!!使えるじゃん!!
さぁさぁ準備完了だぜ使うぜ試すぜ通話するゼ!!いろんな人に電話をかけまくった。いわば通話マニアモード。
何よりも意外だったのが,通話品質の良さである。結論から言えば,音質は非常に良い。クリア。声がキレイに聞こえてくるし伝わっている。話し声はもちろんしっかりやり取りできて,それ以上に,例えば相手が何かを飲む音や,相手の部屋の小さな物音まで聞き取れる(電話機の性能ってのもあるとは思いますが)。以前試したパソコン対パソコンのインターネット電話とは全然別物という感じっていうか,IP電話の音は電話の音質として十分認められる。
ちなみに,かけた相手には最初IP電話だっつーコトを知らせていなかった。で,こちらが真相を打ち明けるまで,その全員(って十人くらいですけど)が一般の加入回線からの通話だと思いこんでいた。それほど違和感ナシってわけですな。ついでに「IP電話だと思って音質とかを聞いてみて,違和感ありますか?」と言っても,なにか特に指摘を受けることはなかった。
が,ただひとり,「ある!!凄い違和感だ!!声がロボットボイスになってるしマトリックスのスミスさんに盗聴されているし電話が切れると死ぬ!!」と言ったのは地獄から来た死と惨劇の念力絵師金子ナンペイさんなのでこれは狂言だなぁと思った。
もうひとり,「アンタいつも電話の話ばっかりだよ!!この電話マニア!!ちったぁオレのケータイのことも考えてよ!!電池がすぐ切れるよ!!予備電池ちょうだい予備電池ちょうだい予備電池ちょう(以下無限ループ)」と答えたのは地獄から来た死と惨劇と電池切れの編集者アカザーさんだったから電池切れのままほっとこうと思った。
ただ,IP電話だっつーコトを意識しまくって重箱の隅を徹底的につつくようなことをすると,まず微妙な遅延があるような気がする。えーとですね,フツーの電話で電話してると,受話のボリュームなどによっては,向こうに伝わったこちらの声が再度こちらまで戻って聞こえることがあるじゃないスか。一般の加入回線なら,ちょっと反響がかかったように聞こえる状態。音のフィードバック,とでもしておこう。
IP電話の場合,音のフィードバックが,一般の固定回線とは少々違う。反響するという印象ではなく,ほんの一瞬のごく一瞬,遅れて自分の声が小さい音で跳ね返ってくる感じだ。その音を聞くと,「あ,IP電話だからかな!?」と思ったりする。しかし,多くのケースでフィードバックせず,しても非常に小さい音なので,よーく注意していなければわからないし,聞こえてきても気にならない程度だ。原因が電話機によるものなのか,あるいはネットワーク上の何かなのかはイマイチわからないが,まあわかんなくてもいーかなと思えてしまうくらいの,些細な事柄だ。
それから音質に関しては,ISDNの加入回線やPHSと比べると,IP電話は時々ホワイトノイズのようなノイズが聞こえる時があり,また,たまーに超一瞬だけ音が途切れたりノイズになってしまう時がある。要するに,ISDNやPHSでの通話と比べると,ほ~んの少しクリアさに欠けるという音質だ。でも,ハッキリ言ってイイ音だし,通話に支障は全然ナシ。
ノイズは,ISDNでの通話と聞き比べないとわからないレベルのもので,常に聞こえるわけでもない。ある程度聞こえがちなケースでも「相手がエアコンを使ってるのかな」くらいの音だ。音声の途切れは,インターネット経由のボイスチャットや携帯電話にあるような大きな途切れではなく,ほんの一瞬のもの。「コンチクショウのクソッタレ」というフレーズが「コンチクショウの_ソッタレ」に聞こえるかそれ以下程度なので,実用上問題はないと思う。なお,この途切れ部分が一瞬「ザッ」というノイズとして聞こえることもたま~にある。
ともあれ,IP電話の音質は予想外に良かった。実用的。これなら常用の電話として十分に使えると感じた。
■ 料金的にもナイス!!
マジな話,県外に電話をかける頻度が非常に高い俺の場合,IP電話の通話料金は非常に有り難い
前述の“地獄から来た死と惨劇の念力絵師金子ナンペイさん”は文字通り絵師だが,この人と電話することが多い拙者。彼が登場するコラムのネタを取材(!?)したり,イラスト関連の打ち合わせをしたりするのに,電話をかける。
で,拙者から金子さんに電話すると,昼間は3分で40円,夜間は3分で30円の通話料金がかかる。通話している時間はまちまちだが,たいていの場合は30分以上,長いときは1時間以上通話している。
それから,前述の“地獄から来た死と惨劇と電池切れの編集者アカザーさん”ともたびたび電話する。仕事や趣味絡み等々で。通話料金は金子さんにかけるのと同じで,頻度・長さも金子さんとの通話と近いものがある。
その他,仕事関係知人関係の不特定多数に通話し,その多くのケースが金子さんに電話するのと同じ料金がかかる。マイライン等を使ったり,必要以上に通話しないようにするなど,通話料金節約もしているが,でも,結局,なーんか毎月1万円くらいの通話料金(基本料等は除く額)がかかっており,忙しい時期には2万円近くの通話料を払っている拙者。
IP電話の通話料金は,ぷらら(ぷららフォン for フレッツ)の場合,このよーな料金になる。一般の加入回線なら3分で8円。一方,拙者がこれまで加入回線でかけていた料金は(上記の“かけがちな相手”の場合で)3分40円(夜は30円ですけど)。昼間の通話料金は1/5になる。
IP電話だと念力絵師金子に1時間電話しても160円!!これまでは800円!!夜間でも600円!!IP電話だと440~640円もお得!!このお得感が一ヶ月のうちに何度も何度も到来!!これ気分ヨシ!!非常にヨシ!!通話料金のストレス激減!!って何か電話のCMみたくなってますけど,マジな話,県外に電話をかける頻度が非常に高い俺の場合,IP電話の通話料金は非常に有り難いのであった。
使っていてひとつ不便だと感じるのは,発信までにやや時間がかかること。ISDNなら,TAの設定で[電話番号]+[#]とダイヤルしたりすれば,即,発信する。が,拙者が使っているタイプ・機器では,ダイヤルし終えた時点から数えて,IPでの発信に7~8秒,加入回線経由(VoIPアダプタの自動判別による)で20秒近くかかる。急いで電話をかけたい場合,この発信までの時間にはちょいとイラつく。
■ IP電話で複雑な心境です
ところで,ぷららフォン for フレッツの場合,ウェブサイト上で通話明細を見られる。電話をかけた相手の番号,通話開始・終了日時,通話時間,それから通話にかかった料金の一覧表だ。一般の加入回線の通話料金のことを考えつつ,この通話明細を見ていると,もーホントにIP電話ったらお安くて嬉しいったらありゃしやがらねえ拙者なのかーッ!?と喜べるわけだが,同時に,電話をIP電話だけに絞りたいような気がしてくる。
しかし,IP電話はまだまだ“電話としての汎用性”に欠ける。てのは,現在のところ,かけられる電話番号に制限があるからだ。1で始まる番号はダメ=110番や119番にかけられない。携帯電話やPHSにもかけられない。0120のフリーダイヤルにもかけられない。それから,ぷららフォン for フレッツだと,一般の加入回線から050で始まるIP電話番号へもかけられない。
IP電話はADSL回線とセットで使うユーザーが多いわけだが,その場合,ADSL回線自体がインターネット接続用とIP電話用と通話用にまとまるので,違和感はない。安く発信するならIP電話,特殊な番号への発信はADSL回線のアナログ通話,インターネットするのもADSL回線。IP電話ではかけられない番号があるが,その場合はADSL回線で従来と同様に通話できるから,IP電話自体に電話としての汎用性がなくても大した問題ではない。
ちなみに発信については,IP電話で発信可能な番号の場合はIP電話での発信となり,110番などの場合は自動的にアナログ回線(やIP電話アダプタに接続した一般の回線)での発信となるので,意識して回線を使い分けることはしなくて良い───フツーの電話と同じよーに,フツーの電話機で,フツーにダイヤルすれば使えるのだ。
なので,現状では,ADSLユーザーがIP電話を導入することは良いことばかりな感じ。ADSL回線=アナログ回線に,激安で電話をかけられる新たな方法が加わるだけの話だ。
が,俺の場合,ADSLではなくFTTHなのだ。FTTHはADSL回線のようにフツーの電話回線としては使えないのだ。すなわち,FTTHとは別に,何かしらの電話回線がないと困っちゃうのだ。んじゃあその問題を,FTTH上で実現可能なIP電話で……とはいかないのだ。
前述のように,IP電話だけだと,かけられない番号がけっこーある。またその番号にはかかってもこない(今のところは)。FTTHユーザーである俺にとってのIP電話は,単に激安で電話をかけられる“だけ”の存在。ADSLユーザーにおけるIP電話のように「ウチのADSL回線にIP電話機能が加わってお得感倍増な感じ!!」ではない。
俺の場合は,「ウチの光ファイバー回線にIP電話機能が加わったけど,ISDN回線は結局まだ必要だけど,でもISDN回線で通話することすげー少なくなったけど,でもでもISDN回線の基本料金とかは従来と一緒だけど,でもでもでも携帯電話を家の電話にしちゃうってのもありだけど,でもでもでもでもIP電話事情これから激変したらあーもースッキリしねえなぁもう!!」という複雑な心境だ。
IP電話に一般加入回線的汎用性が備わるのを待つばかりの拙者です。
■ URL
 「ぷららフォン for フレッツ」サービス情報
 http://www.plalaphone.com/flets/index.html

ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/news/2001/06/14/jphone.htm
http://k-tai.impress.co.jp/news/2001/05/11/so503i.htm











スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し,高校時代にコンピュータ野郎と化し,大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。
特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。
収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。

ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/news/2001/06/14/jphone.htm
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