[ゲーム][PC] NEC PC-8801版,ミスティーブルー
エニックス『ミスティーブルー』NEC PC-8801版ゲーム,
■データ
対応機種:PC-8801SR、PC-9801VM
発売時期:1990年(88版)
発売元:エニックス
価格:8800円(税抜)
■作品紹介
比較的初期からプログラムコンテストなどで優秀な人材を発掘してきたエニックスですが、しばらく後からは、各方面から人材を集めてゲームを作るような方式に変わりました。
この「ミスティーブルー」も原画に恩田尚之、音楽に古代祐三、シナリオに星川泰子といった面々を揃え、相当の期間をかけて開発されたそうです。
その甲斐あって、他のアドベンチャーゲームとはひと味違った出来になっています。秀逸なシナリオを際だたせる会話モード、フルアニメーションによる演出、そして味わい深く必要以上にうるさくないBGM。さらにはおまけモードの「えにっくすくえすと」や、パッケージにはCDシングルまで付いてくるという豪華さです。
中でも1対1による会話モードはその分岐がいくつあるか分からないほど豊富です。またその結果によって以降のストーリー展開にも影響してくるので、これを全パターン極めるのはかなり困難だと思われます。
そして特筆すべきことに、「画面とBGMの整合性」があります。PCMドラムとパレットが同期するという派手な演出の他に、人物紹介(ディスク6)では年の切れ目できちんと曲が1ループしており、エンディングでもコンサートの最高潮のところとBGMのサビが同期し、ループが終わったところで和哉が会場を出るといったイキな作りになっています。このあたりの演出も是非味わいながらプレイしていただきたく思います。
(完全同期させるためには、エミュレータでなく、実機を推奨します。)
反面、この作品の難点は、前半に比べて後半間延びする感じがするのと、意味不明の写真組み合わせのパズル、画像の使い回し(特に和哉のコンサートの時の観客)、ディスク5でセーブできない、そして文字表示が若干遅めなことでしょうか。また原因不明ですが、会話中にゲームが止まってしまうことがあるのもいただけません。
ですが、これほどの感動を与えてくれるアドベンチャーは他にはありません。
現在でも十分に通用する、いや、殺伐とした現在だからこそぜひ遊んで欲しい作品です。
■ストーリー
電撃解散したロックグループ「オルフェ」のコンサート。
和哉はそこで高校の先輩松宮と会い、デビューの話を持ちかけられるが、意見が合わず口論となる。
バイクに跨りその場を離れようとする和哉のもとに、かつての恋人麻衣子がやってきた。
久しぶりの再会を懐かしの店「クロコダイル」で喜んだのもつかの間。実はオルフェのコンサートで松宮は殺されており、和哉にその容疑がかかる...。
■プロローグ(ディスク6の回想シーンより)
妙に気があって一緒にいられるだけて楽しかった僕たちだったけど、それぞれが自分の持つ夢へ近づくため別々の人生を選択し、はなればなれになったのは4年前の春。失うことさえも美しいと感じていた頃、何ひとつためらうことなく純粋に夢を追った───。そして今、僕達は一つの事件をきっかけに再会を余儀なくされる。
何もかもが……あの頃のままだと信じていたのに何かが違う───。
ふり返れば
思い出は
いつもやさしい
音楽を勉強するからとアメリカへ渡った和哉がもうじき帰ってくる…
連絡をもらったとき、オレの胸に4年前のあのきらめいた時がよみがえってきた
それはあまりにもまぶしくて、切ないほど甘味なひとつの季節だった
- 1983年 TOKYO -
渋谷駅から少し奥まった路地裏にある店
「クロコダイル」
そこがオレたち5人の出会いの場所だった
オレはクラスメートで親友の和哉を誘っては、その店によく遊びに行った
別にオレたちが不良ってことではないけど学校はつまらなかった
オレは何かをしたいのに目的が定まらずけっこうムチャな生活を送っていた
だが和哉はちがっていた
すでに音楽という目標をもってヒマがあればギターをいじり曲を作っていたのである
どこまでも純粋に夢を追っていた和哉だったが17才の夏、やはり「クロコダイル」で藤木麻衣子という女性と知り合い恋に
落ちていく………
和哉と麻衣子では完全に麻衣子の方が一枚上手で何かにつけてはふりまわされていた
和哉は麻衣子に
「私今度モデルとしてデビューするのよ」と言われ、すぐに有名になってしまったことにとまどっていたようだった
そんな和哉をひだむきに追い続けていた女の子夏井エリもまた忘れられない存在である
外国からロックミュージシャンが来ると、彼らに群がるグルーピーのひとりで性格といい行動といい、いつもぶっとんでいたけど、なぜか憎めない不思議な女の子だった
エリは和哉を真剣に好きだったようで、自分がグルーピーだということを和哉にだけはか
くし続けていたから、オレたちもその事については和哉の前では口を閉ざした
ちょっと複雑な人間関係かも知れないけどそのエリに好意をよせていた森川祐太のことも
ここでふれておきたい
オレたち5人グループの中では一番まじめな優等生
タイプで女にもほとんど免疫はなかったようだ
かしこいのに不器用にしか生きられない奴ででも、そんな祐太だからこそみんなにしたわれていた
祐太はエリに、エリは和哉に、そして、和哉は麻衣子へと思いをはせていたあの頃
ひとりひとりが恋に対しひたむきで素直に接していた
想いがかなわなくても5人がそろう日は一番だったし、何をさしおいてもメチャクチャ楽しかった
みんなでいろいろなことをして遊んだ日もあれば、互いの夢を無我夢中で語りあかした夜もあった
せつなさのひとつひとつさえも美しいと感じてしまえるような悲しいほどのきらめきに、オレたちは無意識の中で酔っていたのかもしれない
奇妙なバランスで保たれていた5人だった
そして、1985年・春…
それぞれが自分の持つ夢へ近づくため、はなればなれになることを余儀なくされる
オレは映像方面にとりあえず進もうと思い、大学は芸術学部に決めた
オレなりに様々な想いを引きずっての決意だった
エリはきっぱりと身辺を整理し、女子大の短期大学部へと進学した
その変わり身のいさぎよさにエリらしさを感じる
一方祐太は、父親が経営する会社のひとつである外車のショップをまかされることになり、本格的に経営学を学ぶ方向でがんばるということらしい
麻衣子は言うまでもなく、高校時代からしていたモデルの世界へ本格的に入っていった
オレはふと思った
和哉と麻衣子はどうなるのだろう?
あの二人の間にはオレが介入できない何かが存在していた
それはある瞬間をさかいに互いが互いのことについて一切ふれなくなった事実がすべてを物語っていた
ただ、オレ自身もその件にふれるつもりはなかったし自然にまかせるのが一番だろうと思った
その和哉だが高校時代の夢をそのままつらぬいていく…
音楽を捨てることはできないんだ、とオレに告げた
高校時代、確かにオレたちは同じ時を同じ感性でいっしょに過ごした
いずれまた出逢うこともあるだろう
でも、今は別れの時なのだ
最後にみんなで記念写真をとった
よみがえる8ビットマシン
http://www.tako.ne.jp/~ichiro/8bituser/index.htm
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