[ゲーム][FC] 悪魔城ドラキュラ
◆悪魔城ドラキュラ/ファミコン
偉大なる初代
コナミのファミコンディスクシステム参入第一弾ソフトにして、シリーズ初のドラキュラ。
ファミコンながら、その「悪魔城」という世界観を見事なまでに表現した緻密なグラフィックと、一度聴いたら忘れられない程に印象に残る名曲の数々。
そして「鞭」という、今までにない発想のメイン武器を扱う主人公シモンが、100年前に先祖クリストファーによって倒されたが、ついに復活を果たしたドラキュラ伯爵を再び倒すため、ただひたすら寡黙に数々の難関が待ち受ける悪魔城の内部を突き進む。
…という、まさに「ホラーアクション」としての『悪魔城ドラキュラ』の全てはここから始まり、そしてこの時点で既に完成されていた。
それは、後の続編作品においても基本となるシステムやストーリーがほぼ全てこの作品を基としていることからも明白だろう。
現在はファミコンミニ版が発売されている為、そちらを入手するのが一番簡単。ディスク版も一時よりは入手しやすくなっている。
ただし、イージーモードなどが追加されたファミコンROM版の方は、もともとの出荷数自体が少なかった為に現在ではプレミア化しており、入手は非常に困難。
渾身の驚愕ドット絵
ファミコンソフトであるならば、グラフィックが2Dドット絵なのは当然なのだが、この作品はそのドット描き込みが半端ではない。
ステージ1・大広間の朽ち果てた壁や窓際のボロボロになったカーテン、ステージ3・中庭の銅像や悪魔城遠景、最終ステージ・ドラキュラの間へと続く大階段の奥に見える三日月と時計塔…等々、特に背景デザインに関して挙げればキリがない程である。
だが、その割には最終ボスのドラキュラはイマイチなデザインという罠も。
コナミサウンド全開
当時からコナミのゲームは名曲揃いなことで有名だったが、この作品の楽曲は特にハイレベル。
後の続編作品において欠かせない名曲「Vampire Killer」を始め、どのステージ曲も耳に親しみやすいメロディーが素晴らしい。
サントラは後にファミコンで発売されたニ作品の楽曲も含めて一枚にまとめてセットにしたものが発売されており、現在でも探せばそれなりに入手できる模様。
俺の屍を越えて行け
当時のファミコンのアクションゲームとは、現在のゲームに比べて難易度がヒジョーに高いのは周知の事実。
この作品も例外ではなく、難易度は半端なく高い。
とりあえず「死んで覚えて突破しろ」という、いかにもゲームらしい非現実的な攻略法が全てである。
だが、努力すれば必ず進めるようにできている絶妙なゲームバランスこそが、この初代ドラキュラだけでなく、後のドラキュラシリーズが長年に渡って支持され続けてきた要因であろう。
しかし、フランケン&せむし男や死神といった、異常なまでの強さを誇る敵のせいで挫折する人が多発したのも事実。もちろん管理人含む。
だが、それもまた「悪魔城ドラキュラらしさ」なのだろう。
…という理由で、クリアできない人は無理矢理自分を納得させるよーに。
個人的感想と思ひ出
なんせディスク版を初めて入手してプレイしたのが発売から15年以上経過した後だったので、IGAシリーズの生ぬるい難易度のドラキュラに慣れてしまったせいか、その凶悪難易度にビックリ。
さらに悪魔城伝説を先にプレイしていたこともあり、どーしてもそちらと比較してしまうため、そんなにハマった記憶も感激もなかったりする罠。
でもファミコンミニ版は手軽にプレイできる分、けっこーハマった記憶アリ。FFⅠ・Ⅱを買うまでだったが。
主要登場人物
シモン・ベルモンド
寡黙な鞭振りマッチョ。やたら黄色い。
ドラキュラ伯爵
悪の親玉。やたら顔がデカい。
死神
ドラキュラの腹心。やたら強い。親玉より強い。
◆ドラキュラⅡ 呪いの封印/ファミコン
生まれ変わった続編
前作・悪魔城ドラキュラの正統な続編。
舞台は前作でシモンがドラキュラを倒してから七年後。
なんとドラキュラは倒される際、シモンに呪いをかけていた。
このままだとシモンは呪いによって月風魔伝に登場している死門そのものになってしまう。
その前に何とかしてドラキュラの遺骸を集めて処分し、ドラキュラを完全に封印して呪いを解かなくては…というストーリー。一部脚色あり。
…だが、なぜか今作は前作の高難度純アクションから見事なまでの変化を遂げ、なんとアクションRPGとなっての登場。
よほど前作の難易度が評判悪かったのか、それとも当時はこーいうタイプのゲームの方が売れたのか…等、詳細はよくわからないが、とりあえず「Ⅱ」の名を冠しながらもゲーム内容は激変した今作。
だが、ちゃんと前作の遺伝子は受け継がれており、ストーリーも前作と密接に関連していて、主人公は鞭使いのシモン、そして緻密なグラフィックと一度聴いたら忘れられない程に印象に残る名曲の数々は相変わらずである。
現在は少し大きい中古屋あたりでたま~に見かける程度なので、入手は少々困難。
イバラノムチ ヲ カッテイカンカ?
既に述べたように、今作は前作と違ってアクションRPGになっているため、前作のようにステージを進みつつロウソクからアイテムを入手したりするのではなく、街にいる商人から武器やアイテムを買い揃えたり、街人の情報をもとに次に進むべき場所を自分で見い出さなければならない。
…のだが、これが非情なまでにイヤらしい謎解き型になっており、アクション部分の難易度を抑えた分、こちらに前作の凶悪難度を引き継がせているとしか思えない作りである。
特に街人の98%は嘘情報提供者であり、たとえ本当のヒントを教えてくれていたとしても、ビミョーにわかりづらい表現だったりするから、まさにシモンは呪われている。
しかも逆に嘘情報は大抵いかにも本当っぽいネタを提供してくるから余計にタチが悪い。
恐らくこの作品をプレイした人の中で、教会の前にて『ヨシミ!』と叫んだことのないプレイヤーはいない筈だ。
しかし、この作品には後述の「血の涙」の他に「ドラキュラの遺骸」「怪しい船乗り」「炎の鞭」…など、なぜか後の作品において何度も再登場する要素が数多くあり、やはり後のシリーズを充分に楽しむ為には欠かせない作品なのである。
ソシテ センリツノ ヨルガ オトズレタ
前作は非常にハイレベルな楽曲でプレイヤーを魅了したドラキュラサウンド。
今作ではディスクシステムの拡張音源も使用して、数こそ前作より少ないものの、さらに素晴らしい楽曲を聴かせてくれる。
後の作品において三大名曲の一つとして今でもアレンジされ続ける「血の涙」(現在は「Bloody Tears」と呼ばれる)は、この作品のメイン楽曲として初登場。初めて聴いた時の感動はかなりのものだったと今でも記憶している。
さらにその他の楽曲も非常に出来がよく、ハッキリ言ってこれらの楽曲が存在していなかったなら、クリアするまでの道のりは拷問でしかなかっただろう。某協奏曲なみに。
サントラはファミコン三作品の楽曲をセットにした『悪魔城ドラキュラ・ファミコンベスト』に収録されている。
個人的感想と思ひ出
実はこれが人生初のドラキュラ。
当時はまだ世の中の汚れを知らない純真無垢な小学生だったので、当然の如くこのイヂメとしか思えない謎解きが理解できる筈もなく、さらにこのゲームをプレイしてる時間の大部分を占める「オマチクダサイ」に耐えられなくなり、アッサリと放置プレイ突入。
この後にドラキュラ伝説と悪魔城伝説に出会っていなければ、現在このサイトは存在すらしてないだろうな、と思うほどに当時から印象最悪のゲームである。
結局クリアできたのは、自分のサイトを開設して訪問者の方々に攻略ヒントを教えてもらってからなので、購入してからなんと10年後。
とっくにシモンは呪い殺されてると思ったが、ちゃんとデータが残ってて良かったわー。
…えー、これくらいしか感想が思い浮かばないdeath。
主要登場人物
シモン・ベルモンド
寡黙な鞭振り呪われマッチョ。今作はやたら黒い。全身黒タイツ。これも呪いのせいか。
ドラキュラ伯爵
シモンを呪った張本人。結局シモンが遺骸の封印をヘマってくれたお陰で復活するが、足元のニンニクに気付かずに数秒でまた死んぢゃう悪の親玉。
死神
ドラキュラの腹心。前作での殺る気はどこへやら。今作はやたら殺る気がないので、腹心なのにドラキュラ城からかなり離れた砦の警備に回されている。
謎の女性
シモンにドラキュラの呪いや封印について教えてくれた女性。説明書に書かれているストーリーに登場するだけで、本編には一切登場しない。これも呪いの一つなのか?
街の人々
ドラキュラの呪いのせいなのか、片っ端から嘘情報をシモンに提供しまくる偽善者たちの集団。おまけに夜になるとゾンビに変身。実は全員ドラキュラの部下とみた。
オマチクダサイ(×2)
このゲーム最大の敵。
◆悪魔城伝説/ファミコン
シリーズ最高峰
ファミコンソフトでありながら、今でもシリーズ最高峰の完成度として謳われる傑作。
今作ではVRC6という特殊拡張チップを搭載しており、これまで以上に緻密なグラフィックと、ファミコンソフトとは思えない程の迫力ある楽曲を実現。
当時の技術力としては、恐るべき完成度を誇る作品である。
さらに、前作ドラキュラⅡでのアクションRPGへの転換はやはり失敗だったと悟ったらしく、今作は初代ドラキュラの遺伝子を色濃く受け継いだ純アクションへと再び戻っている。
舞台は初代「悪魔城ドラキュラ」で繰り広げられたシモンとドラキュラの戦いから約200年前の物語であり、ドラキュラ伯爵とベルモンド一族との最初の戦いという、まさに悪魔城の歴史における「伝説」を知ることができる作品。
(現在では、この作品よりも以前の時代の話を描いた作品がいくつか発売されているが、当時はこの作品がドラキュラシリーズの始祖とされていた)
現在でもファミコンソフトを扱っている店には比較的出回っているようなので、発見すること自体は容易だろう。
店によっては、その完成度から多少のプレミア価格を付けていたりするが、入手を躊躇うほどの高値はついてない模様。
神業ドット絵
初代やⅡでも発揮されていた、シリーズの職人芸とも言える緻密なドット絵だが、今作は前述のVRC6チップによってさらにパワーアップ。
教会のステンドグラスや時計台の動きまくる背景の歯車、初代ドラキュラのステージ1と同じ構成でありながら圧倒的に美しくなった悪魔城大広間、ドラキュラの間へと続く大階段の奥に見える多重スクロールの背景など、これでもかというくらいに開発陣の気合いと、シリーズへの愛を感じ取ることのできるグラフィックは圧巻である。
個人的に最終ボスのデザインは、シリーズ最高のセンスだと思う。
全てが名曲
ドラキュラシリーズと言えば欠かせないのが名曲揃いの楽曲群。
この作品はVRC6チップの拡張音源のおかげで、これまでよりも非常に厚みのある低音の効いた楽曲が多数用意されている。
後に三大名曲のひとつと呼ばれる「Beginning」がステージ1から鳴り響き、時計台の「Clockwork」や水没都市の「Aquarius」などの名曲が次々と奏でられ、悪魔城大広間では、見覚えのある風景と共に懐かしき初代の名曲「Vampire Killer」が「Dejavu」として再登場したりと、まさに名曲オンパレード。一切ハズレなし。
このことからも、今と違って当時のコナミがいかにドラキュラシリーズの楽曲に愛と情熱を注いでいたかがよくわかる。
サントラは「悪魔城ドラキュラ・ファミコンベスト」に収録されているが、なぜかこの作品の楽曲だけは変にドラマ的な演出を意識した効果音が合間に入っていたり、何曲かを繋げて1トラックにしていたり、ミョーに実機で聴くより低音が弱かったりと不満が多い。
猿・青・木偶
今作は初代ドラキュラ同様の純粋なアクションゲームであるため、やはり当然の如く難易度は高め。
しかし、初代ドラキュラはシモン一人だけで悪魔城を突破しなければならなかったのに対し、なんと今作では主人公ラルフと共に戦ってくれる
グラント
サイファ
アルカード
…という、三人の仲間キャラが存在する。
道中はその中の誰か一人しか連れてはいけないが、プレイ中いつでもその仲間キャラと交代することができるので、ラルフ一人ではクリア困難な場所でも、それらの仲間キャラを使えばアッサリと突破できてしまう場所が多数用意されている。
その為、初代ドラキュラよりもクリア自体は楽にできるようになっているだろう。エンディングも仲間ごとにちゃんと用意されている。
…が、もちろん誰も仲間にしないで、シモンのようにラルフで一人旅を続けることも可能であり、それでもちゃんとクリアできるように調整されているゲームバランスは見事としか言いようがない。
個人的感想と思ひ出
この作品ほどハマったファミコンソフトはない。断言。
これを超えるファミコンアクションがあるなら教えて欲しいくらいである。
是非ともまだプレイしてない人がいるならプレイしてもらいたい作品だが、今のIGA率いる腑抜けたコナミ開発陣に変な中途半端のアレンジ移殖をされて、この作品の良さを台無しにされても迷惑なので、むしろこのままファミコン史上最高の、現代に残すべき過去の栄光ある遺産としてそのままにしておいて欲しいソフトである。
PS2版「悪魔城ドラキュラ-闇の呪印-」は、この作品の続編ということだが、ハッキリ言ってこの作品の良さを少しも受け継いでいない駄作なので注意。
主要登場人物
ラルフ・C・ベルモンド
シモンの…というか、ベルモンド一族の一番古い祖先。やはり寡黙な鞭振りマッチョ。やたら茶色い。レオン?誰だそいつは。
グラント・ダナスティ
ドラキュラによって魔物に姿を変えられてしまったが、ラルフに助けられ仲間となる。身軽さがウリで、壁をよじ登ったりして強烈なショートカットをすることができ、とりあえずクリアするならこいつを仲間にしておくのが一番確実。
サイファ・ヴェルナンデス
ドラキュラ討伐の為に東方正教会から派遣された、やたらと不健康そうな全身蒼白の魔術師。ドラキュラの魔力によって石像に変えられてしまったが、やはりラルフに助けられて仲間となる。強力な魔法を使うことができ、ボス戦で最高に役立つ仲間。エンディングでとんでもない事実が判明する。
アルカード
ドラキュラの息子。本名は長ったらしいので省略。「アルカード」とは単にDRACULAを逆読みしてるだけ。父親によって無理矢理悪魔と契約させられてしまった。酸性雨が滴る薄暗い地下道に住む悪趣味な男で、父親の暴挙を止めるために力を貸してくれる仲間を捜していた。反抗期らしい。コウモリに変身できること以外に取り柄がなく、他の二人の仲間と比べると圧倒的に足手まとい感抜群。背が高いだけで使えないことから、通称「木偶」と呼ばれる。
ドラキュラ伯爵
やっぱり悪の親玉。今回は倒すと首だけ残して体が木っ端微塵に吹っ飛ぶという、プリンセス天功もビックリのイリュージョンで魅せる。
死神
ドラキュラの腹心。前作ドラキュラⅡでの左遷がショックだったのか、今回は必要以上に殺る気を発揮し、第二形態への変身までこなす。相変わらず親玉より強い。
◆SFC版悪魔城ドラキュラ/スーパーファミコン
SFCの新機能をフル活用
スーパーファミコン。
当時、それまでの家庭用ゲーム機の主力ハードであったファミコンを超える後継機として、任天堂が渾身の気合いを込めて市場に送り出した新ハード。
それまでの家庭用ゲームには搭載されていなかったような新機能をこれでもかと盛り込み、一気に家庭用ゲームソフトの品質を底上げした怪物ゲーム機である。
そんな脅威的な機能を誇るスーパーファミコンにおいて、コナミが「グラディウスⅢ」に続いて投入してきたソフトが、この「悪魔城ドラキュラ」だった。
ゲーム自体は初代ファミコンで発売された、シリーズ第1作のアレンジ移殖であったが、その完成度は恐ろしい程に気合いの入った傑作だったのである。
現在でも中古屋で簡単に見付かるし、値段も低めなので入手は非常に容易。
凝りに凝った演出
今作は、これまでの「ドラキュラ」シリーズではハード性能の都合上、満足に表現し切れなかった『ホラー』感を徹底的に追求したものとなっている。
実際にプレイしてみれば分かるが、とにかくこの作品は全編に渡って暗いムードが漂いまくっており、ゲーム全体に流れる空気がヒジョーに重いのである。
最近の、やたらチャラチャラした主人公が、やたらと明るくて豪華な城内を超人間的な動きで敵を倒していくという、どっかのIGAキュラなんかとは違い、これぞまさに『ゴシックホラーアクション』という呼び名が相応しい作品である。
しかも、そのホラー感を失わない範囲で、画面の拡大縮小や回転などのスーパーファミコンで搭載された新要素をことごとく取り入れているのも素晴らしい。
ちなみに管理人はこのゲームの「からくり館」の回転ギミックで吐きそうになったという武勇伝を持つ。
暗く重厚なBGM
ゲームのグラフィックから漂う暗い雰囲気に合わせて、今作の楽曲は重厚で重々しい感じの楽曲が多い。
…が、ただ重苦しいだけの曲なのではなく、それぞれがゲームの場面と非常にマッチした曲となっており、この手法はシリーズ随一の出来だと思う。
ステージ1のシモンのテーマに始まり、ドラキュラ城本館に突入する前の息苦しさすら感じるBGMと、城内に突入してからの巨大シャンデリアで流れる激しい曲と不気味な効果音。
そして時計塔~空中回廊~ドラキュラの塔というクライマックスに差し掛かった場面で次々と流れる懐かしき三大名曲。
それに続いて、燃えあがるような旋律に乗せた側近の間でのボスラッシュで最後の難関である死神を倒すと、突如にして曲が止まり、静寂と共にドラキュラの間へと続く通路が現れ、シモンの歩みに合わせて燭台に火が灯っていくと同時に流れ始める、嵐の前の静けさを表現したようなBGM。
そのままついに伯爵とラストバトル。伯爵の体力を残りわずかにまで削った瞬間、なんと再びシモンのテーマが流れ始め、本性を現わした伯爵との戦いは最高潮へ。
…このように、一連の演出に合わせて見事なまでに楽曲を効果的に使用しているのである。
素晴らしい、素晴らしすぎる。
サントラはGBのドラキュラ伝説Ⅰ、Ⅱとセットにした『悪魔城ドラキュラ・ベスト2』に収録されている。
現在でも比較的入手は簡単な方だろう。
ウネウネムチムチ
さらに今作ではシモンの鞭にも新機能をフル活用。
なんとこれまでは横一直線にしか振ることのできなかった鞭を、今回は上下左右、さらには斜め上や斜め下にまで振ることができ、それに加えて鞭を振り回したり、その場で持ったまま垂らしたり、フックに引っ掛けて移動手段として利用することなどが可能になっている。
シリーズの代表的な武器であった『鞭』を、ここまで特徴を捉えてそれらしく表現できているのも、この作品が最初で最後である。
この自由度の高い、鞭を振り回すという攻撃手段が使えることによって、ゲームの難易度自体はこれまでのシリーズに比べると比較的低めになっているが、その分アクションの正確さを求められる場面も増えているし、なにより悪魔城伝説と同様に城外のステージも数多く用意されているので、やり応えは充分である。
個人的感想と思ひ出
ここまで誉めちぎった文章を読めば分かるとは思うけど、とにかく文句ナシで大好きな作品。
グラフィックも曲も演出も全てが素晴らしすぎる。
個人的には「悪魔城ドラキュラ」という作品の雰囲気を表現する点で、これを超える作品はないと思う。
紛れもない傑作。
主要登場人物
シモン・ベルモンド
お約束の寡黙な鞭振りマッチョ。今回はちょっと豪華に鎧とか着ちゃったり。シリーズで唯一、ダメージを受けた時の声がなぜか甲高い。
ドラキュラ伯爵
悪の親玉。顔は小さい。変身しても小さい。最期がちょっと哀れ。あの妹が「なんかカワイソー」と同情しちゃうくらいに。
死神
ドラキュラの腹心。赤く光る目と、その残像を残しつつ移動するデザインが最高。でもあんまり強くない罠。
◆悪魔城ドラキュラⅩⅩ/スーパーファミコン
SFCにて血の輪廻を
SFCでは二作目となるドラキュラ。
ゲーム自体は完全な新作ではなく、基本的にはPCEで発売された『血の輪廻』のアレンジ移殖版。
よって、登場キャラクターはもちろん、システムや楽曲もほとんどそのまま『血の輪廻』のものが再利用されている。
それもその筈。そもそもこの作品、実は『血の輪廻』が諸々の理由により国内でしか発売されなかったので、海外のファン向けに『血の輪廻』の代わりとして発売されたと言われている。
SFCでのドラキュラと言えば、なんと言っても前作『悪魔城ドラキュラ』がFC初代のアレンジでありながら恐ろしいまでに進化と変化を遂げた上に素晴らしい完成度でまとめられていた傑作だっただけに、今作にもファンは大きな期待を抱いて発売を待ち望んでいた。
…だが、現実は厳しかった。
もともとがPCEで発売されたソフトのアレンジ移殖であるため、パッと見た感じでは前作よりも全体的にキャラが小さくてチンマリした印象を受けるし、プレイヤーキャラはリヒターだけに変更され、楽曲に関してはオリジナル曲はほんの数曲しか存在せず、ステージ曲は全てPCE版からの再利用となっており、既にPCEで『血の輪廻』をプレイしていた人はもちろん、そうでない人にとっても残念ながら明らかに前作ほどの感動を受ける出来ではなかった。
それでも、SFCソフトとしては後期に発売されただけのことはあり、例によって美しいドット絵グラフィックの質や、PCEのCD音源による楽曲を違和感なくSFCで鳴らす開発陣の技術は、やはりさすがとしか言いようがない。
現在ではゲーム自体の入手は少々難しい。発売時期的にあまり市場にも出回らなかったらしく、中古でも¥2000~¥5000の値をつけている場合が多い。
ちょっとカリオストロ風味
前述の通り、今作はPCE版『血の輪廻』の移殖作品である。
よって、世界観やキャラはそのまんま変更ないのであるが、ゲーム自体のグラフィックに関してはSFCの能力を活かしてアレンジされている。
PCE版よりも全体的にパステル調の強い、少しぼやけた感じを受けるグラフィックではあるが、やはり細かく描き込まれたドット絵は素晴らしく、ステージ間にPCE版のような三流アニメムービーが入ることもないので、全体的な雰囲気としてはこちらの方が正規のドラキュラシリーズらしい硬派さを醸し出しているとも言える。
また、キャラデザインとイメージイラストには山田章博氏を採用したおかげで、PCE版の寒気漂うアニメキャラより遥かにマシになっている。
ただ、ゲーム中の細かい演出に関しては、PCE版『血の輪廻』は異様なまでのこだわりをもって凝った作りだったが、今作はそこまで凝った演出は用意されていないのが残念。
ラストバトルの足場は、ある意味「こだわり」と言えるかもしれないが。
恐るべきサウンド技術
この作品の移殖元である『血の輪廻』はPCEのCD-ROMソフトであったため、楽曲はCD音源を使用してこれまでとは比べ物にならない最高の音質を誇るものばかりだった。
しかしSFCではさすがにCDと同音質の楽曲を提供することは不可能なので、ここはどうしても劣化移殖になってしまうのは必然であった。
ところが、この作品ではSFCの音源を非常に上手く活用し、PCEのCD音源に勝るとも劣らない音質を再現している。
もちろん、実際には『血の輪廻』のCD音源には遠く及ばない音質なのだが、ほとんど違和感を感じないように音が上手く表現されており「Bloody Tears」「幽霊船の絵」「巣窟」などは、個人的にこのSFCアレンジの方が好みである。
このことからも、当時のコナミはゲームの楽曲に関して妥協は一切しないという姿勢を貫いていたことがよくわかる。
それが今となっては…。
しかしながら、残念なことにこの作品のサントラは一切存在しない。
もともと『血の輪廻』の使用曲ばっかりだからという理由なのかもしれないが、こちらはこちらで味があって好きなので、どっかのショボ協奏曲のサントラなんかより、よっぽどこっちのサントラを発売して欲しかったものである。
シリーズ随一の極悪難易度
この作品がPCE版『血の輪廻』のアレンジ移殖であることは既に再三触れてきたが、キャラグラフィックの見た目や楽曲が基本的に変更されていないのに対し、決定的な違いとして真っ先に挙げられるのが、凶悪なまでの難易度である。
もともとドラキュラシリーズと言えば難易度が高いことで知られてはいたが、今作の難易度は非常にいやらしい難しさとなっている。
まず、リヒターの操作性。
これが移殖元の『血の輪廻』よりも遥かに改悪されており、特にフンワリとしたビミョーな軌道を描くジャンプと、ミョーにもどかしさを感じる歩行速度のせいで、なんてことない仕掛けにハマって死んだりする場面が多々ある。
また、リヒターのやられ判定が見た目よりデカく、さらにダメージを食らった後の無敵時間がやけに短いため、コウモリをジャンプで飛び越えるだけでも一苦労である。
なので、動きの遅い敵とうっかり衝突してしまうとそのまま2、3発連続でダメージを食らい続けてしまうという極悪仕様。
これら操作性の難点に加えて、各ステージの作りもやけに憎らしい構成になっていて、特にラストバトルの足場は伯爵のドラキュラ城建築構想に疑念を感じえないものとなっている。
…そんなわけで、どーしても『血の輪廻』の劣化品という位置付けとなってしまう本作だが、ちゃんとこれまでのシリーズ同様、攻略パターンを見い出せばアクションとして充分楽しめるようになっているし、特に『血の輪廻』よりもやけに大げさな移動距離に変更されたバク転を駆使してステージを華麗に舞えるようになると、各段に攻略が楽しくなってくる。
『血の輪廻』がライトユーザー向けの難易度に調整されていたのに対し、こちらは完全にマゾプレイヤー向けの難易度調整なので、自分は「だってマゾだもん略してDMD」だと自負する、腕に自信のあるプレイヤーは是非とも挑戦してもらいたい。
ラストバトルで伯爵の攻撃をバク転で自在に避けられるようになったらカリスマ認定。
個人的感想と思ひ出
当時のSFCソフトは新品で一万円オーヴァーも当たり前という、今考えると恐ろしい価格設定だった為に、このソフトも発売されたのは知っていたものの、新品で買う気には到底なれなかった。
その後だいぶ経ってから、たまたま入ったソフマップの処分セールで安かったからよーやく買えたというソフト。確か新品¥2980だった。結構お買い得。
で、いざプレイしてみたら難しいのなんの。最初は一面ボスで挫折しそうになった記憶が。
さらに前作であるSFC版初代の雰囲気や操作性が最高だったこともあり、どーしてもこちらは安っぽい感じを受けてしまい、イマイチ好きになれなかったのだが、ある日からバク転の有効活用法を知って俄然ハマり始め、今となっては大好きな作品。
ただ、既に述べたように決して万人受けするゲーム内容ではないので、素直にオススメ作品とは言えないのが残念。
主要登場人物
リヒター・ベルモンド
一族最強と噂されるだけあり、鞭で敵をしばいた時の「ピシィ!」という効果音がシリーズで最も爽快感ある鞭振り男。これまでの先祖たちとは違い、あまりマッチョ感を前面に出さない服装。恋人が伯爵にさらわれたのでようやくドラキュラ討伐に渋々向かった面倒臭がり屋。ムチもパワーアップが面倒なので、最初から鎖の鞭を使う。
ドラキュラ伯爵
悪の親玉。趣味は穴掘り。変身後にデビルマンのファンだったことが判明する。
死神
ドラキュラの腹心。なぜか今回は『血の輪廻』のシャフトが欠席してるために重役に返り咲き。おまけに隠しボス扱いという優遇っぷり。そのせいか必要以上に張り切って殺る気を出しており、ほぼ回避不能の大車輪攻撃で葬ったリヒターは数知れず。
アネット
リヒターの恋人。水中で延々と息を止めるのが得意。薄情なリヒターにはキレて襲いかかってくる。
マリア
アネットの妹。残念ながらプレイヤーキャラとしては使用できない。どーやら『血の輪廻』に登場するマリアとは別人という説も。その件について某プロデューサーがどう考えているかは不明。多分なにも考えてないだろうけど。
◆悪魔城ドラキュラX-月下の夜想曲-/PS1
探索型アクションRPGへの転身
メガドライブの『バンパイアキラー』でドラキュラシリーズは最終作となる筈だったのだが、結局その話はなかったことになったのだろうか。
数年振りの新作がソニーのプレイステーション(PS)にて発売され、多くの新規ファンを取り込むと同時に多くの旧作ファンを手放したと言われる、シリーズの転機となった『悪魔城ドラキュラ』が今作である。
PSが発売された初期の頃に発売予定ソフトのリストに載せられたものの、なかなか正式な発表がされずに数年が経過し、ついに情報が公開され発売時期も決まったと思ったら、今度は発売延期でファンをハラハラさせた作品。
だが、それだけ発売までに相当の期間を掛けた甲斐あって完成度は恐ろしい程に高く、グラフィック・楽曲・操作性など全てがそれまでの作品を遥かに凌駕した、当時としては最高級のドラキュラであった。
…が、本質となるゲーム内容自体には凄まじい変更が設けられており、なんと今作はそれまでの純粋なアクションゲームとしてのドラキュラではなく、過去においてファンの間に賛美両論を生み出した『ドラキュラⅡ』以来となるアクションRPGへと変化を遂げていたのである。
もちろん、基本となるシステムやストーリーなどは従来のドラキュラシリーズを踏襲してはいるのだが、道中でアイテムを拾って装備を強化したり、体力を任意に回復できるようになっており、それに伴いシリーズの伝統芸とも言える凶悪難易度が大幅に引き下げられ、うっかり穴に落ちて一発死という事故も存在しなくなっている。
そして今作がそれまでのドラキュラシリーズと完全に一線を画するものとなっている最大の要因が、
-主人公が鞭を使わない-
という点である。
それもその筈。
なんと今作の主人公は『悪魔城伝説』において「役立たず」「木偶」「足手まとい」「顔デカい」などの圧倒的不人気を誇った、あの「アルカード」なのである。
しかもイラストレーター・小島文美によって『悪魔城伝説』当時よりも大幅に若返っての再登場。えー、どちら様で?
ストーリーはPCエンジンにて発売された『血の輪廻』の続編。
『血の輪廻』でドラキュラを倒したリヒター・ベルモンドだったが、その四年後に彼は謎の失踪を遂げてしまう。
それから一年、なぜかリヒターによって伯爵と共に封印された筈だったドラキュラ城が突如復活する。
五年前にリヒターと共に伯爵を倒した伝説の12歳・マリアは、リヒター失踪との関連性を求めてドラキュラ城へと乗り込む。
さらには生まれ故郷の異変を察知したのか、それとも目覚ましのセット時刻を間違えたのか、数百年前に茶色い鞭使いと共に父親であるドラキュラ伯爵を討伐した男・アルカードも永き眠りから覚めてしまう。
とりあえず一度目覚めたらなかなか寝付けない性格なので困った彼は、懐かしさに惹かれて故郷であるドラキュラ城へと足を踏み入れる…。
…というもの。一部いい加減な解説あり。
出始めこそなかなか魅力的なストーリーだが、ゲーム終盤に近づくにつれグダグダになっていくあたりは既に健在。
ちなみに今作は現在『悪魔城ドラキュラ』シリーズの統括プロデューサーであるIGA氏が開発に参加した初の作品。
当時のIGA氏はストーリー担当の他にディレクター兼プログラマーとして参加しており、今作のプロデューサーは『血の輪廻』と同じ萩原氏である。間違えないように注意。テストに出るぞ。
しかし、これら旧作から大胆かつ斬新に変更された数々の要素と、小島文美イラストによって生まれ変わった耽美イラストのアルカードを始めとする各キャラクターのあまりの激変ぶりによって、ファンの間では今作に対する意見が完全に真っ二つに別れることになってしまい、旧作のような純アクションのドラキュラシリーズを愛する「旧作派」と呼ばれるファンと、今作のようなアクションRPGタイプの探索型ドラキュラシリーズを愛する「月下派」と呼ばれるファン同士の衝突を引き起こすことになってしまったのは、作品自体の出来は素晴らしいだけになんとも切ないものである。
現在でも入手は簡単な部類に入る。まだPSソフトを中古で扱ってる店も多く、探せば簡単に見付かることだろう。
ただし、初期出荷版(音楽CDとイラスト集が付属)と後期出荷のベスト版では内容が一部異なるので注意。基本的に初期版はバグが多く、逆に後期版にはバグがほとんどない。ただ、ベスト版は比較的中古では出回っていない傾向が強い。
本気のコナミに驚愕せよ
現在ではゲームの主流となったポリゴングラフィック。
今作が発売された当時のPSソフトはちょうどその先駆け的なものが多く、続編モノのゲームはポリゴングラフィックで新作を次々に発売し、徐々に2Dドット絵のゲームが「古くさい」と言われ始めた頃であった。
そんな時代背景にありながら、今作はシリーズの伝統を守って2Dドット絵全開。しかもドット描き込みがもはや超人レベル。
気持ち悪いくらい滑らかに動くキャラクター、細部まで限界ギリギリに表現された緻密な背景グラフィック、そして要所要所で適度に加えられた3Dポリゴングラフィックと2Dドット絵の融合…当時としては凄まじいグラフィックであり、発売から10年以上が経過した今日でも依然見劣りすることはない、まさに2Dドット絵の頂点とも言える限界突破作である。
確かファミ通のクロスレビューで、この作品について「本気になったコナミの実力を味わい知れ」みたいなレビューを書いてた人がいたが、まさにその通りである。異議なし。
また、主人公はもちろん敵キャラクターなども『血の輪廻』をベースにリファインされたもので、特に各ボスキャラのグラフィックは圧倒的にセンス良すぎる。
今作に登場するレギオンやベルゼブブなどの漸進的かつ嫌悪感抜群のデザインを超えるボスキャラは、後発の作品にはいまだ登場していないと言い切れる。
だが、唯一の難点が最終ボスの「椅子」という意味不明なデザイン。
再臨・チルチルサウンド
今作はメガドライブの『バンパイアキラー』でファンを魅了する数々の楽曲を紡ぎ出した、チルチル山根こと山根ミチルが再び楽曲製作を担当。
PSの能力を活かして、これまでのシリーズとはまた一味違ったアプローチで魅惑的なドラキュラ楽曲を数多く生み出している。
しかも、そのどれもが各ステージに恐ろしいほどピッタリの楽曲ばかりで、一度聴いたらチルチルイリュージョンの虜になること間違いなしである。
ただ、惜しむらくは過去作品の楽曲がほぼ皆無なことと、サウンドテスト機能がないこと。
特に過去楽曲の登場はシリーズの伝統となっていただけにファンもかなり期待していたらしく、発売後はその件に関する意見が数多く寄せられたため、翌年発売されたセガサターン版では三大名曲のリミックスが収録されることになったと言われている。
サントラには爺のテーマを除く全ての曲が収録されているが、CD一枚に全曲収録してある為に各曲は1ループしか流れず、曲によっては短めにアレンジされたりしている。椎名へきるの絶対音感を堪能できる歌なんか収録しなくていいから、ちゃんと全曲満足のいく仕方で収録して欲しかった。
現在でも入手できる確率は比較的高めの模様。
残機は「0」だが
『ドラキュラ』と言えば、ヒジョーに高い難易度がお約束。
これまでは「突破法は死んで憶えろ」が合言葉だったのだが、今作の難易度は半端なく低い。これホントにドラキュラ?と尋ねたくなるレベルである。
例えば…
「穴に落ちて落下死」の排除。
「レベル制の導入」によるパワーアップ。
「防具の導入」による被ダメージ軽減。
「武器の導入」によるダメージアップ。
「回復アイテム」による任意の体力回復。
「すぐに攻撃してこない敵キャラ」の優しさ。
…他にもあるだろうが、これくらいにしておこうか。
そんなわけで、難易度がこれまでの作品とは比べ物にならない程に抑えられてしまったのだが、この辺は自分自身で回復アイテムを使用しない等の制限を設けてプレイすることにより調整できると言えばできるので、個人的にはさほど気にはしていない。
ただ、ほとんどの敵キャラが行動を起こすまでにワンテンポ置くために「ただ突っ立ってるだけ」という印象があり、何も考えずに武器を振ってるだけで敵がどんどん死んでいくというのは、やはり旧作で数々の死線を潜り抜けてきたアクションゲーマーのファンにとっては味気ないものだったことだろう。
個人的感想と思ひ出
当時、SSではなくPSを先に購入した動機の9割は『ストリートファイターZERO』が先にPSで発売されたからであったが、実は残りの1割はこの『月下の夜想曲』が発売リストに載っていたからなのである。いやマヂで。
しかも今作には歴代シリーズの楽曲を集めたオリジナルサントラCDが付属することを知り、ホントに発売までワクワクしながら待っていたのをハッキリと記憶している。
ゲーム内容自体も特に拒絶反応を起こすほどではなかったし、小島文実イラストの耽美キャラも別に嫌ではなかったので、充分満足の行くものだった。三大名曲が一切登場しないのはかなりガッカリだったが。
これから初めてドラキュラシリーズに触れてみよう、という人になら文句なくオススメ作品。
ただ、登場人物の台詞は皆スゲー格好良いのに、ストーリー自体に関しては「なんだこの寒いストーリー」という感想を抱いたのもハッキリ記憶している。
主要登場人物
アルカード
散々なデビュー作となった『悪魔城伝説』からまさかの再登場。
寝ながら汚名返上の為に並々ならぬ努力をし、あの頃とは別人になって帰ってきた。おまけに主人公。本名は相変わらず長ったらしいので省略。
パパは100年周期でちゃんと起きるのに、息子は数百年も平然と寝ていた。そのせいか「寝る子は育つ」という格言を打ち破り、むしろ寝すぎで若返った。
今作で多少マザコンの気があることが判明する。
「ベルモンド」と聞いて真っ先にラルフを思い出すあたりから、やはり某ベルモンド女性とは記憶に残らない程度の遊びでしかなかったことも判明する。
マリア・ラーネッド
『血の輪廻』で猛威を振るった伝説の12歳が、5年の歳月を経て悪魔城に帰ってきた。誰だお前。
もはや12歳の頃の面影は微塵も残っておらず、むしろ実年齢以上に老けた感じの声と喋り方で、多くの「マリアたん萌え」のファンを愕然とさせた大罪を犯す。
浜崎あ○みなぞ足元にも及ばないくらい眼が怖い。
リヒター・ベルモンド
5年前に『一族最強のバンパイアハンター』という肩書きに並々ならぬ自信を抱いてドラキュラを討伐しに行ったが、道中で出会った12歳の小娘にオイシイところを全部持っていかれ、とてつもなく不完全燃焼だったせいでストレスが溜まり、血が戦いを求めるという超野菜人的な本能に目覚めて失踪したベルモンド一族の末裔。
「もう、ここには俺の居場所はなかったのかもしれないな…」と、やたら渋い声でカッコ良く決めるシーンがあるが、すでに『血の輪廻』の時から居場所がないことに気づいてなかったことが哀れで仕方ない。
ドラキュラ伯爵
例によって悪の親玉。
友達は飲み仲間で同僚の磯野くん。
今作では顔がデカくない代わりに椅子がデカい。
死神
今作では「DEATH」と表記される。
ドラキュラの腹心…なのだが、今回も『血の輪廻』から引き続きシャフトに地位を横取りされたままで、とうとう伯爵の部屋からは程遠い城内墓地の警護に回されてしまった。
一応、魔導五器という重要なアイテムを委ねられてはいるものの、実は彼の持っている魔導器がなくても伯爵の部屋への封印は開いてしまう(PS初期版のみ)ため、これまで以上にとことん存在感がない。
そのせいか本人も完全にフテ腐れており、最初に盗んだアルカードの装備をそのまま隠し持っておけばイイのに、わざわざ城内の様々な場所に隠して一つずつ返却してあげちゃったり、なんかもう戦うのも面倒臭いから、色々と難癖つけてアルカードを帰らせようと説得を試みる。
結局、交渉決裂でアルカードと戦うことになるが、トレードマークの大鎌すら使わない程に気力ZEROで、殺る気がまったく感じられない団塊の世代。
シャフト
前作『血の輪廻』で一度倒されてもゾンビになって復活する執念を見せたが、今作ではさらに肉体を失っても魂だけで生き残るガッツを見せる暗黒神官。一応、今回の主犯格。
世界に破滅と混乱をもたらして何をしたいのかイマイチ不明な出世組。
説明書のキャラクター紹介にも載せられていない上、あまりにも唐突な登場シーンにより、事前に『血の輪廻』をプレイしてない人々からは「誰だお前」コールを一身に引き受けることになった。
リサ
ドラキュラの妻。アルカードのママ。
魔女裁判で処刑されてしまったらしい。存在感の薄さでは死神を凌ぐ。
図書館の主
通称「爺」と呼ばれる金の亡者。
高い金を請求しておいて、とてつもなくいい加減な戦術指南を売りつける悪徳商法を得意とする。
半妖精
なめとんか。
鼻悪魔
しばくぞ。
◆俺たちゲーセン族-悪魔城ドラキュラ/PS2
幻のアーケード版
現在と違って、一昔前の家庭用ゲーム機はゲーセンにて稼動しているアーケード基盤よりも遥かに性能が劣るものであった為、当時のゲーセンのゲームとは家庭では到底プレイできないような非常にレベルの高いグラフィックと豪華なサウンドと莫大な容量を誇る名作の宝庫だったのである。
そんな高レベルなアーケード基盤を用いてゲーセンに登場した悪魔城ドラキュラ。
当時のファンはファミコン版とは比べ物にならないグラフィックとサウンドと凝った演出に狂喜乱舞し、そして尋常ならざる難易度に湯水の如く金を注ぎ込んだと言われている。予想。
だが、あまりにも理不尽な難易度設定が災いし、結局アーケード版ドラキュラはあまり話題になることなく、ひっそりとその姿をゲーセンから消して行き、ファンの間で伝説として語られる作品となった。
…が、そんな伝説の作品がゲーセンで稼動してから18年後の2006年、奇しくもFC初代ドラキュラが発売されてから20周年という時期に、当時の人気アーケード作品を移殖する『俺たちゲーセン族』シリーズのひとつとして、ついに家庭用ゲーム機に移殖されることになった。
移殖自体は発売元のコナミではないが、内容に関しては完全移殖+サントラや攻略DVD等の特典付きという豪華さで、ほぼ文句ナシの素晴らしい出来。
現状のIGA率いるコナミドラキュラ開発陣が、これだけ旧作からのファンを大事にした移殖作品を到底出せるわけないから、これは旧作ファンにとってはまさに待望の移殖となった。
18年経っても通用するドット絵
グラフィックは当時としてもハイレベルなドット絵が炸裂。
特に全編を通してやたらと演出にこだわりを見せており、なかでも
ステージ1→突然雨が降ったと思ったら突然燭台が倒れて、見渡す限り火の海に。
ステージ3→BGMの「Bloody Tears」に合わせて絵画の女性が血の涙を流したり、大広間の途中で突然異空間に放り出されたり。
ステージ5→フランケンの背後には博士の白骨死体が。
ステージ6→ドラキュラ第一形態を倒すと、十字架に磔にされたかのような姿で燃え上がる。
…といった演出は素晴らしいの一言。
最近のIGAプロデュース探索型ドラキュラでは絶対に味わえない、魅力的な演出が詰め込まれている。
珠玉の名曲群
当時のコナミサウンドはドラキュラシリーズに限らず、全てにおいて半端ない名曲揃いだったので、当然この作品も名曲がズラリと用意されている。
しかもPCM+FM+SCCを同時使用という、非常に豪華な複数音源を活用して奏でられる名曲は惚れ惚れする出来である。
サントラは当時のコナミアーケード作品のBGMをいくつかセットにしたCDに収録されていたが、全曲1ループしか聴けないのが不満だった。
だが、このソフトには特典としてサントラCDが付属しており、曲名の表記こそ省かれているが、ついにファン念願の全曲2ループ仕様で収録されているので、この特典サントラ目的で買う人も多かったらしい。
最強の武器―時計
冒頭でも触れたが、とにかく本作の難易度は恐ろしく高い。
初見でクリアできる人はいない、と断言してもいい。
確かに当時のドラキュラシリーズは「死んで覚えろ」な攻略法が求められはしたが、この作品は特にそれが顕著に感じられる。
スケルトンを倒す→直後に亡霊になって突進、という攻撃を初プレイで予測して対処できる人間がいるだろうか。いや、いない。これも断言。
根本的にファミコンのドラキュラシリーズとは完全に趣の違う難易度設定であり、ハッキリ言ってゲームバランスは良くない。
なにしろ、サブウェポンの時計さえ手に入れてしまえば、ボスでさえも瞬殺可能であり、むしろ時計がなくてはマトモにクリアできないと感じられる場面も多数ある。
だが、それはそれで割り切ってしまえば気になるものではないし、時計を使わなくても一応はちゃんとクリアできるようになっているので、少なくともどっかのIGAキュラのように
『無敵時間でやり過ごせ』
みたいな、アクション性の欠片も感じられない攻略法を求められるものではないので、生粋のアクションゲーマーには向いているのかもしれない。保証はしないし断言もしないけど。
個人的感想と思ひ出
個人的には初プレイこそ楽しかったが、トータルで見るとそんなに大ハマリする程の作品でもないと感じたので、¥2000という値段は妥当な価格設定と言えますな。
サントラ目的で買う分には文句ナシなのでオススメ。
主要登場人物
シモン・ベルモンド
寡黙な鞭振りマッチョ。シリーズで一番マッチョ感を感じるデザイン。鞭を捨てて剣に頼った先祖思いな男。
ドラキュラ伯爵
悪の親玉。第一形態はコート一枚で夜の公園を徘徊してるオヂさんの決めポーズに見えなくもない。顔がデカいのは相変わらず。何が起きたんよ!
死神
ドラキュラの腹心。なのに欠席。左遷の気配が早くも。
セレナ
シモンの花嫁。ゲーム冒頭でいきなり伯爵に拉致されるという、魔界村チックな結婚式の演出を企画。ドラキュラⅡのストーリーに登場した『謎の女性』本人ではないか 、という噂もある。真相は謎。
Castleヴァnia Room Ver-1.8
http://castlevania.fc2web.com/i/review/dracula/FC_SFC/fc01.html
http://castlevania.fc2web.com/i/review/dratop00.html
http://mbbs.tv/u/?id=castlevania
悪魔城ドラキュラ「額縁のある部屋」・別棟
http://draken.fc2web.com/zakki_2.htm
「悪魔城ドラキュラ」とは?
「悪魔城ドラキュラ」シリーズは、復刻版等を含めると、
全部で20作を超える作品が様々なハードでリリースされています。
最近では、A・RPG風のものや、3Dポリゴンのものも登場しましたが、
基本は横スクロールアクションゲームです。
操作は、“十字キー + 攻撃ボタン&ジャンプボタン、↑+攻撃でアイテム使用”
のいたってシンプルな構成で、とくに目新しいシステムではありません。
これはハードが進化しても、僅かな仕様の追加があるだけで、基本はこのオーソドックスな操作系統が守られています。
しかし、統一された世界観のもと構成されたステージやグラフィック、
絶妙なゲームバランス、ハイセンスなBGM等の相乗効果により、
他の国産・海外産アクションゲームとは一線を隔しています。
第一作FCディスクの「悪魔城ドラキュラ」を、“最高のアクションゲーム”として挙げるオールドゲーマーも多いかと思います。
シリーズの変遷にしたがって、「初期のダークで硬派な雰囲気」や「高いゲーム難易度」は次第に感じられなくなり、グラフィックやキャラクター設定、難易度等、
今日では、より広いユーザー層に受け入れられ易いような作風へと、変化して来ているようです。
シリーズを前後期に分けると、大体、93年発売のPC-engine・CDromソフト
「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」が転換期であると思います。
個人的には、X68k版までの作品を“初期の伝統を守り、シリーズの方向性に忠実な”「悪魔城ドラキュラ」ではないかと思っています。
悪魔城ドラキュラ「額縁のある部屋」・別棟
http://draken.fc2web.com/zakki_2.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿