2025年8月19日火曜日

[レビュー][SNS] 橘玲『世界はなぜ地獄になるのか』/ネット炎上の構造〜岡田斗司夫ゼミ





 [社会][SNS] 橘玲『世界はなぜ地獄になるのか』/ネット炎上の構造〜岡田斗司夫ゼミ
25.8.22    
『世界はなぜ地獄になるのか』…まァ嫌なタイトルと言えば嫌なタイトルですよね。 で,著者の橘玲(たちばなあきら)さん,僕は橘さんの本は割と好きだから,割と新刊が出ると紹介しようかなと思ってるんですけども,今回はAmazonで予約したら,著者からついに献本が届くようになってしまってですね。献本が届き出すとやりにくいんですよね。 なんか無料で手に入れたものを話すって,すげェ難しいんでですね。意地でも僕はこの自分で買った方で 一応話をしようと思います(笑)
本の内容ですね。 著者の橘さん自身が最新刊の紹介をですね。週刊プレイボーイに書いた文章がありますと。でその文章ですね。 あの全部あの自分のブログに掲載されてるので,これを読んでみようと思います。 キャンセルカルチャーの光とかで1週間プレイボーイ連載。 第57相手やつですねえで,ここでですね。あまあまあ,あのままこれ上から読んでいきますね。
ー不道徳な相手に対して正義を振りかざす時は,怒りの共に大きな快感を得ることができます…
というところ始まります。これはやっぱネット炎上の根本原因その1なんですよ。で,何故みんな叩くのか?と。何故不倫とか,なんかいろんな問題を起こった時に,見知らぬ人とか芸能人とかいろんな人を叩くのか?って,それは気持ちがいいからなんですね。 怒りと共に大きなを得ることができます。続き読みます。 
ー芸能人の不倫,皇族の結婚から回転寿司で醤油差しを舐める行為まで,毎日のようにネットSNSが炎上しているのは,それが誰でも参加できる…
これがネット炎上の根本原因その2です。叩く人たちの理由は参加が簡単。 簡単で無料で自分にリスクがないから…まァ実はリスクあるんですよ。リスクあるんですけども。だから,そういうのを叩かない人は,リスクが見えてるから叩かないだけであって,リスクが見えない人が大部分なんですね。大丈夫だろう?とかみんなやってるとかですね。やっぱ腹立つから,それ自分を意見したいという風に思ってリツイートしたり書いたりしちゃうんですね。 リスク見えてない? 橘さんの続きの部分ですね。 
ーもう1つは社会がリベラル化するに従って,アイデンティティが多様化したこと…
ちょっと難しくなってきました。 「社会がリベラル化するに従ってアイデンティティが多様化する」ですね。 ネット炎上の根本原因その3です。リベラル化,何かというとみんなの権利を認める今の社会のことです。「みんな自分の好きなように生きていいよ,いやあなたの好きなように生きていいよ。僕も好きなように生きていいよ,だから,お互いの好きに生きていいっていうのをお互いに認めようね」これがリベラル化です。私は女に生まれたんだけども,本当は男だという人たちを認める社会でもあるんですよね。ところがそういう社会は何かというと,アイデンティティが無限に増えてしまう。 これがアイデンティティの多様化ですね。しかし人間というのは,誰かとアイデンティを共有しないと不安で死ぬという社会的生物でもあります。そこで後ろの方に行きます。 
ー徹底的に社会化した動物である人には,自我/私を他者と融合させるという驚くべき能力があります。これがアイデンティティ融合である…
という風に橘さん書いてます。ネット炎上の根本原因その4なんですけども,原始時代に,人/ホモサピエンスは,例えば「俺たちの村はみんな味方,川の向こう岸の村はみんな敵だ」という,グループへの属性というか,帰属意識を身につけたんですね。 だから,俺たちの村を攻撃されたら,まるで自分の体を攻撃されたように痛みを感じ,怒りを感じる。復讐したいと思う…これがアイデンティティ融合というやつですね。自分じゃなくて誰か他のものグループ自分が所属してるもの全てに自分私というものを融合させると。だから,自分が好きなものを攻撃されたら自分が攻撃されたように本当に脳が痛みを感じる,これがアイデンティティ融合です。で,これがホモサピエンスが他のサピエンス…ネアンデルタールなどに勝てた原因でもあるんですけど。 橘さん続きます。 
ーこれがアイデンティティ融合で,その対象がアイドルなら推し活と呼ばれ,国や宗教だとナショナリスト原理主義者になります…
僕引用するのはここまでなんですけども,これね割とすごいこと言ってると思うんですけども。つまり引きこもりになった個体というのは,自分の家族や学校とアイデンティティ融合ができないわけですね。『無職転生』の主人公って,自分の家族の葬式にも出席しなかったので,自分の兄弟に殴られたりするんですけども,こういう人いますよね。つまり周りの実在の例えばサークルとか家族とアイデンティティ融合できないとで。だから引きこもる。しかし,引きこもってるからといって何もかもできないわけじゃなくて,アイドルを推したり,アニメのキャラクターを推したりすることができると。「つまりそんな個体であっても自分が選んだ対象とはアイデンティティ融合ができる。それが推し活の正体であって…」いう風に橘さん言ってるわけですね。で,この推し活の対象が民族とか国家になるとネトウヨになるわけなんですよ。 だから推し活とネトウヨっていうのは同じコインの裏を持ってなわけですね。自分を捨ててアイドルに尽くすが推し活だとすると,自分を拡大して守るために戦うっていうのがネトウヨじゃないかという風に思います。橘さんが言ってるのは,この引用部分のことしか言ってないんで,この「推し活とネトウヨがコインの裏表」というのは,僕の解釈ので,ちょっとここは区別して聞いて欲しいんですけど。 この話は,『世界はなぜ地獄になるのか』の151ページに割と細かく書いてあります。 読んだ方がいいのかな?アイデンティティということですね。 まあまあここで読んじゃうともうどんどん時間かかるからちょっと置いときましょう。 
というわけで2つは,本質的に同じものであって,ネトウヨは推しウヨという風に呼ぶこともできると。こう考えると,炎上事件を前に探してすぐに叩いたり,それにいいねをしたり,リツイートする人の行動が起きてるのが分かってくるわけですね。彼がやってるのが叩き活みたいなもんなんですよ。だから,なんかこう現代人のアイデンティティ融合は大体2つの症状に現れていて,1つ目は推し活,2つ目は叩き活ですね。というですねことが書いてある本なので,もう僕はもう面白くてゾクゾクしてきてですね。まァ,そう解釈してるから余計ゾクゾクしてるのかもわかんないですけど。
■「リベラル化した大衆の狂気」を生き延びる
これって,本当にねほんの一部分,2〜3ページ紹介しただけなんですけど,めちゃくちゃ面白いんですよ。ということで,岡田としてはあのすごく面白く読んでるということですね。
ちょっとこっから話長くなるんで,今日の無料ここまでにしたいと思います。限定で,この本の紹介をどういう風にするのかというと, 『世界は…』っていう本で,はじめにから始まって,第1章から第6章まであるわけですね。最初の3章は,割と最近の実際おきた社会事件です。4章から色々展開に入るわけですね。
はじめに
1章 小山田圭吾炎上事件
2章 ポリコレの言葉遣い
3章 会田誠キャンセル騒動
4章 評価社会のステイタスゲーム
5章 社会正義の奇妙な理論
6章「大衆の狂気」を生き延びる
これは限定の方で話します。観たい人は限定加入してみてください。というわけで,ここから僕は限定で,これの本の内容を全体を俯瞰しながら,自分の解釈も含めて語ろうと思います。 それでは限定の方に切り替えてください。 さて,まだこのままでいいんだな。 切り替わったね。行きましょう。 じゃあ本格的に本の紹介をしてみましょう。まず目次見てみようと思うんですけども,目次の小見出しで内容さらってみましょう。 
1章 小山田圭吾炎上事件
    プロモーションのためのインタビュー
    いじめはエンタテイメント?
    なぜインタビューを受けたのか
    意識的に編集された発言
    …
これ目次の小見出しめちゃくちゃ多いんですよ。 嫌になりますよ。大変ですね。 で,1章から3章はさっきも言ったように最近の事件を紹介しながら,この世界がリベラル化する恐怖というのを語ってるんですね。で4章で評価格差ですね。「評価格差社会のステータスゲーム」。この評価額差社会っていうのは,実は岡田の,つまり僕の『評価経済社会』なんです。『評価経済社会』を橘さん流に読み替えて語ってるんですけども,これ橘さんの戦略だと思うんですけども,彼の本全部に共通してるんです。引用する本が大体,海外の本が多いんですよね。だから,これは日本人の欧米コンプレックスを計算した上での戦略だと思うんですけど。なので日本人の書いた本をたまに紹介するんですけど,割と半分以上が週刊誌,月刊誌の記事を紹介することですね。俺の立論というのは,実は海外の研究をベースにしてるんだぞって言う,なんかそまそこまで意識してるかどうか分かんないんですけど,僕はそういう風に読み取れちゃうんですね。あ,橘さんうまいなて思うのは,この戦略でいくとかなりそのみんな尊敬してくれるというか,欧米信仰みたいなものがあるのですけど。キングコングの西野君も,僕の『評価経済社会』を,内容そのままに「信用経済社会」っていう風に言い換えてるんですけども,やっぱここら辺の用語言い換えって「俺,俺は自分で考えたわけですよ」みたいな感じですけども,橘さんまでそれやるのか?って。ちょっと橘さんのエゴがチラ見えして可愛いなと思いましたけど。
ざっと内容あるんですけども,この章に書かれてるのは大体この3つです。1つ目は「人はステイタス/社会的地位ポジションで生きている」と。で,社会的地位が低いと健康被害が起こり寿命が縮む。これね。本当に僕びっくりしたんですけども,論文引用とか医学報告とかのレポートが持ってて,めちゃくちゃ面白かったんですけども,人間っていうのは「自分が地位が低い」と感じたりすると,それだけで寿命が縮まっちゃうと。で日本ではそれが原因で,中間管理職は自分が地位を低いと感じてしまうので,中間管理職になるだけで死亡率が1番高くなるという,そういう研究があるそうです。というのが1つ目ですね。
2つ目は意識高い系の人たちの話ですね。「WOKE」っていうんですけども,これは「Wake up」って,起きること,その「Wake」の過去完了系を「WOKE」って言うんですけども,つまり何かに目覚めたから「WOKE」なわけですね。そういう「WOKE」の人たち意識高い系の人たちっていうのは,自分が望むステータスに達しないと,ストレスにより推し活とか叩き活にはまるんですね。これもいいですよね。あのほら昔「ネット上でネトウヨになる人とか,なんかガンガン叩いてる人って,もうどうせ引きこもりで若者で仕事がないヤツだろう」と思ったら調べたら案外社会的ポジションが高い人っていうのが分かったじゃないですか。これなんですよね。 つまり社会的ポジションが高いんだけど,それは本人にしてみれば,「俺は学歴があるのにこんな扱いを受けてる」とか「みんな役職が取締役,部長になったのに俺はまだ課長のままだ」っていう。本人の中では自分のステータスが十分に上がってない時に推し活とか叩き活にハマってしまうという。ここら辺の身も蓋もない話ですよね。もう本当に「橘さんの本は夜読むな」っていうのが僕の自論なんですけど,何故かというと救いがないんですよね。本当のこと書いてあって,僕みたいなサイコパス人間は大笑いしながら読抜くところだけど,これ普通の人間読むと読むと辛いし,解決策あんまり書いてくれないし。あ,この本最後まで読んだら解決策で書いてるんですけども,まあ,救いのない解決策ですよ。本当に,意識高い系の人たちっていうのは,自分の望むステータスに自分が達っしてないと感じると,健康被害が起こり寿命が縮むんですけれども,その代償によって推し活や叩き活をやってしまう。2つ目です。
3つ目。現代はSNS時代になり,誰もがステータスに不満を持ってると。つまり意識高い系の人であれ,誰であれ,みんなSNSで他人の生活とか他人のステータスを簡単に見れるようになってしまった結果,「自分と同じような人ですら,こんなステータスだとということは,俺の何がいけないんだろう」という風に考えるんではなくて,逆になんか「自分じゃなくて他の人を推そう」とか,もしくは「こいつを叩いてやろう」って,推し活,叩き活にハマってしまうと。こういう構造がまこの4章の大体僕がまとめた3つの要素です。 
じゃあ次5章ですね。「 社会正義の奇妙な理論」。「ギャングに売られた北朝鮮の少女」というところが始まって,次は「北朝鮮は本当に狂っていた。でもアメリカほどではなかった」っていう,すごいインタビューのところから始まるんですけども,これも内容を3つに大体まとめると,こんなことになってます。1つ目,アメリカの大学では今とんでもないことになっていると。でこの橘さんが言ってることをまとめた本がこれですね。 『傷つきやすいアメリカの大学生たち』。これもエラい面白い本ですけど,「ポリコレ問題を知るための必読書」っていう風に帯に書いてるんですけどもですね。アメリカ大学は今とんでもないことになってると。つまり大学教授がどんなことを言っても,それで傷ついたという若者が必ず現れると。でその傷ついたという人たちは,自分の主観で傷ついたと言ってて,大学教授の家に押しかけたり,物を壊したり,窓ガラス割ったりして大学教授を吊し上げすると。しかし,彼らは決して悪意でやってるんではなくて,「こんなに私は傷つけられた」って言って涙を流しながら攻撃して,結局その大学教授をクビにするまで攻撃をやめないと。で,こういうのがあまりにしょっちゅう起こってるって話が書いてるんですけど。アメリカの大学でとんでもないことになってる。1つ目ですね。 2つ目ですね。もうすでにアメリカでは,白人に生まれたこと自体が罪だと。生まれながらの差別主義者だと。だから,白人に生まれたという罪を生涯自覚しているというような発言が産まれてると。「俺は白人だから,黒人や黄色人種や女の子のこんなことも気がつかなくて…」っていうのを,いつもこう言うようにしないと,さっき言ったような大学教授の吊し上げみたいなものが,あらゆる職場,あらゆる環境の中で起きるし,家庭内でも起きている話がこの中で書いてあります。3つ目,「そういう小さな差別をお互いに掘り出しあって攻撃する社会から誰も逃げ出せない」ですね。というこの3つを書いてるんですけど,まあまあさっき言った『傷つきやすいアメリカの大学生たち』って本で書いてありますし,その他にも,いっぱい,この本読めば…っていう資料の引用が乗ってるので面白いから読んでください。 
6章ですね。「大衆の狂気を生き延びる」。
6章「大衆の狂気」を生き延びる
    男と女は連続体
    ブルーガールとピンクボーイ
    TEKI問題の核心
    自分に向けた女性への愛
    不都合な理論
    トランスジェンダーを否定するレズビアンのフェミニスト
    トランスジェンダー問題
    …
って,もういきなりものすごい数の小見出しになっちゃうんですけど,ほとんどこれが結論部分なんですよ。 でポイントはこのまずトランスジェンダーなどのジェンダー問題ですね。不都合な理論,トランスジェンダーを否定するレズビアンのフェミニスト,トランスジェンダー問題ですね。 あと人種や性別で他人を判断してはいけないという差別,あまりにも高いハードル,他者とのコミュニケーションからみんな撤退するようになった,まともな人は歴史問題で外国人を批判しない,個人は国家の加害行為に責任を追うべきか,国民は国家の過去を謝罪する権利はない…ときて最後,キャンセルカルチャー産業というところまで続きます。なかなかすごいです。この章に書いてるのは以下の3つですね。まず
ジェンダー問題で発言するな
と。結論としてこれです。色々ジェンダー〇〇とかLGBT〇〇とかかんとかとか色々続くじゃないですか。 こういう問題は発言するなと。そうだね。「どういうことなんですか?よくわかんないんですけど教えてください…へーそうなんですか」ということすらもうやばいんです。そういう関係の問題は一切発言できなくなっちゃってますよっていうのは,前半書いてるんですね。で,次に
歴史問題は発言するな
っていうことが書いてるんですね。これがその「まともな人は,歴史問題で外国人を批判しない」って書いてるんですけど,外国人だけじゃないですよ。 もう隣の人とそういう風な話をするのさえ危険な状態にアメリカになっているよって話ですね。 で,最後のキャンセルカルチャー産業っていうのは何かっていうと,そういう僕らが普段ついついやってしまう差別発言ですね。差別発言じゃないですよ。普通の話としてやってるんですけども,その部分だけ切り出されて,その部分だけ話すと,例えば「いや男ってそんなもんだろう」とか「いや,やっぱ女ってそういうとこあるよな」っていう僕らが普段言う話をその部分だけ切り離すと切り出すと確かに差別発言と読めないこともないわけですね。そういうのを掘り出して炎上させて大儲けするような産業がすでに複数存在しているっていう,アメリカの現状を書いてあります。
■ リベラル化により異世界は一般社会に回収される
以上,6章まで紹介したんですけども,全部解説するにはちょっと時間も気力も足りないですね。 だって,もう目次がこれですからね。全部紹介できないですよ。ですけども,一番読んで欲しい大事な部分っていうのは橘さんの本って前書きに書いてるんですよ。 だから,時間がない人は本屋さんで前書き立ち読みするだけでいいです。ただ,この前書き難しいんですよ。っていうのは橘さん,自分の本の概略を前書きで書いてるんですよ。 すごい誠意があるんですけども,本一冊の内容を前書きで大体説明するために,とんでもなく難しい文章になっちゃうんでですね。で,前書きが幸いにして,橘さんのさっきのブログで全文紹介されてるんでですね。ちょっと読んでみましょう。前書き部分ですね。 全部読めるかどうか分かんないけども。 頭から読んでいきますね。 
ー時代と共に社会の価値観は変わっていく。だが,私たちはそれに適用して自分の価値観を自在に変えられるわけではない。キラ星のごとく男性アイドルを排出してきたジャニーズ事務所の創設者ジャニー喜多川に少年愛の性癖があることは1960年代から業界関係者の間では公然の秘密で,80年代には元アイドルの告発本がベストセラーになって広く知られることになった。90年代末には週刊文春が連続キャンペーンを行い,それに対してジャニーズ事務所が提訴。 一審では文春側が敗訴したものの,東京高等裁判所は「セクハに関する記事の重要な部分について,真実であることの証明があった」と認定し,2004年に最高裁で判決が確定した。ところが,日本のほとんどのメディアはこの裁判を報じなかった。 ジャニーズ事務所の圧力を恐れたからだとされ,確かにそうした事情もあるだろうが,その背景には所詮芸能人の話という認識があった。事態が動き出したのは,2023年3月イギリスのBBCが「J Popの捕食者〜秘められたスキャンダル」というドキュメンタリーを放映してからだ。4月には事務所に所属していた元タレントが日本外国と特派員協会で体験を話し,2012年から4年間,ジャニー喜多川から5回ほどの性的被害を受けた証言し,この外圧に追い込まれた。 ジャニーズ事務所は原社長が動画ダウン謝罪を及びなくされた。
ここまでですね。最近のジャニーズ問題に関して,前書きでかなりの分量を使ってるんですよ。で,書き出しはやっぱ最新スキャンダルからですね。その原因や影響まで書いて,まず読者の興味引いてます。これね,やっぱいいなと思ったんだけど,これまで,橘さんの本って面白いんですけど,この文体ですから,男性読者ばっかりなんですね。で,女性読者の目を引くというか,一般の目を引くために,この問題をまず前書きでだーっと書く。で流れを説明すると。なかなかいい戦略だと思います。前書き続きです。
ーこの一連の経緯はハリウッドを揺るがした#metoo問題とよく似ている。 大物映画プロデューサー・ワインスタインとのセクハラを女優らが実名で告発性被害を受けた …
えっとこれね,何ためにこれ書いてあるのかっていうと,この部分,さっきの前の説ですね。「ジャニーズ問題っていうのは実は変化しつつある世界の一部である」という大きな世界の流れを見せる部分なんですよ。で,同時に4章で語られるキャンセルカルチャーへの繋ぎになってるわけですね。続きを読みます。
ージャニー喜多川がある種の天才であったことは間違いないが,困惑するのはその才能が少年愛から生まれたものであるたらしいことだ。1970年代80年代の出来事であればそういう時代だったのかもしれないが,今回の証言で明らかになったのは最高裁で判決が確定してからも少年に対する成果外が続いていたことだ…社会がリベラル化すれば,異世界は一般社会に回収される。「あの人は特別」「あそこは普通と違うから」「芸能界は違うから」という言いわけは通用しなくなっている。その意味ではジャニー喜多川は長く生き過ぎたし,その結果残された者たちは名声と既得権の呪縛にとわれて身動きが取れなくなってしまったのだろう。
ここまで一気に語っています。 まだ続きあるんですけど,ここです。 ポイントは。
ちょっと一回ここで解説挟むと,これデヴィ夫人とかが炎上してる事件の予言でもあるんですね。つまりデヴィ夫人が言ってるのも「ここはこういう世界でしょ」とか「ジャニーさんは天才だから」とかこう,色々言うんですけども,こういう「芸能界って特別だから」とか,「あの人は天才だから認められるべき」っていうのが,もはや誰にももう通用しなくなってる。もうそういう聖域が…聖域って言い方違いますよね。そういう暗黒面を認めろよみたいな言い方が通用しなってきてるんですね。だから多分これ僕の予想なんですけど,ダウンタウンの浜田さんの不倫とか,千鳥ダイゴの浮気も,多分2023年の夏今ギリギリみんな笑ってるんですけども,あと数年…下手したら数ヶ月でもう笑えなくなって無視できない問題になると思います。 で,そのマツコデラックスさんが前々から言ってた「才能ある人は壊れても仕方がない」っていうのは,これももう通用しなくなってるんですよね。
昔,『BS漫画』っていう番組がNHKで生放送でやった時に,僕帰りのタクシーで石川淳さんて漫画家の人とよく一緒になってですね。石川さんももう本当に頭のてっぺんから爪先までもう全身漫画家なんですよ。クリエーターなんですね。で,その人が梅津ハウスの話したんですよ。梅津ハウスというのは,僕と石川さんが同じ場所に住んでる吉祥寺の,同じような地域に住んでるんですけども。その梅津さんが自分の家を建てた。もう30年ぐらい前のことなんですけど,その梅ずさんの家が赤と白ボーダー柄なんですよ。ていうのは梅津さんはいつも赤と白のボーダーのTシャツとかそういうのを着てて,あの人のシンボルカラーが赤と白のボーダーになってるんですよ。 なので,梅津さんが自分で建てた梅津ハウスっていうのが高級住宅街に建ったんですけども,赤と白のボーダーの家なんです。ところが近隣住民からすごい文句が出たと。何故景観に合わないものを建てるんだと。結局,前に木を植えるかなんかしてボーダーの家が見えなくしたんじゃないかな。で,これに対して石川さんすごい怒ってですね。 「だって梅津和夫だよ?梅津さんらしくていいじゃん」っていう風に言うんですよ。ところが僕はその記事を読んだらですね。 何故その地域の住民の人が嫌がったのかっていうと,そういうちょっと笑えるような家を建てられると路線価が下がると。つまり,同じ道路に面する地域一帯の地価が下がっちゃうわけですね。で,「みんな吉祥寺っていう日本でも地価が高いようなところに住んでるわけだから,自分の家が財産なわけですよ。で,それがその漫画家が自分自身でクリエイティブな面を発揮して,家を建てたら,自分の家の財産が何千万円か損しちゃうけど,それってやっぱり嫌なわけじゃないですか。 だからそんなことがあるんだから,それはしょうがないんじゃないですか」って,石川さんに言う。でも「梅津和夫だよ?認めてやれよ」っていう風に言ってたんです。 なんかその日は気まずい雰囲気になったんですけども,それ思い出します。つまり,そういう「クリエイターなんだから,そういう部分があってもしょうがないんじゃないか,みんなで守らなきゃ」っていうのが,もうどんどんどんどん通用しなくなっていくという世界になっってことだと思います。前書きまだ続きあります。 
ー私はリベラルを自分らしく生きたいという考えと定義している。 そんなの当たり前と思うかもしれないが,人類史の大半において自由に生きることなど想像すらできず,生まれた時に身分や職を結婚相手さえ決まっているのが普通。自分らしさを追求できるようになったのは近代も近代,それも第二次大戦以後だ。大戦が終わり,とてつもなく豊かで平和な時代が到来した。 1960年代末からのことだ。アメリカ西海岸のヒッピームーブメントとともに登場した,この人類史的には奇妙キテレツな思想…自分らしく生きたいリベラルは,セックス,ドラッグ,ロックンロールと共に瞬く前に世界中の若者たちを虜にした。 その影響は現代まで続いているだけでなく,ますます強まっていて,もはや誰も右翼や保守派すら自分らしく生きることを否定できないだろう。自分らしく生きたいという価値観が社会をリベラル化させる理由は,自由の相互性から説明される。 「私が自分らしく生きるならあなたにも同じ権利が保証されなくてはならない」。そうでなければ,私たちは人間として対等でなくなってしまう。 それで構わないと主張するのは奴隷制を擁護するものだけだろう。
この辺ですね,デヴィ夫人の,大統領,政治家,セレブ,ジャニーズのまァトップという,「社会のエリート層は人間として対等でないから,多少無茶しても許されるべきで,それを非難するなんて,あなたは自分を恥ずかしいと思いなさい」という論理は,実はデヴィ夫人が根本的には差別主義者だからできる発言なんですよ。 だからそういう部分を気づかないで発言しちゃってるわけなんですけど。
ーこのようにして,人種や民族性別や性的思考と本人には選べない印に基づいて他者マイノリティを差別することものすごく嫌われるようになった。 私と同じ自由をあなたが持っていないなら,あなたにはそれを要求する正当な権利があるし,先行して自由を手にしたマジョリティはマイノリティが自由を獲得する権利を応援する支援する責務を負っている。 社会正義をあえて一言で表したら,誰もが自分らしく生きられる社会を作ろうという運動のことだ。 そしてこれは疑問の余地なく良いことであり,誰だって自分らしく許さない社会,例えば北朝鮮で暮らしたいとは思わないだろう。 ここまでは極めて分かりやすいし,自分を差別主義者だと公言するごく少数を除けば異論はほとんどないはずだ。世界も日本もこのリベラル化の巨大な潮流の中にある。誰もが自分らしくに行きたいと願う社会では,自分らしく生きられない人たちを存在はものすごく居心地が悪いのだ。
ここで語られる「リベラル」という言葉が何回もできたんで,リベラルというと部分は大事な部分だからはっきりさせようと思います。 橘さんが書いてる「私はリベラルを自分らしく行きたいという価値観と定義している。これに反対する人はいないと思う」っていう風になってるんですけども,次が「人類史の大半において自由に生きることはと想像すらできず,生まれた時に身分や職員を結婚相手までが決まってるのが普通だ…」っていう風に続くわけですね。 つまり,このリベラルの概念っていうのは,人類史上,高高60年ちょっとぐらいの歴史しかなくて,当たり前では全然なかったんですよ。 だから当然人間の脳にプログラムされてないんですよね。めちゃくちゃ不自然。このリベラルっていう思想は,平和に暮らしたい社会的生物群れとしての人間,僕らとは実は相性が悪いんですよ。 このリベラルっていうのは流行病のようなもので,元々生物としての僕らには備わってない。それで,平和に生きることができないような考えだということですね。
ー光が強ければ強いほど影もまた濃くなる。社会がリベラルになるのは良いことだが,これによって全ての問題が解決するわけではない。差別的な制度を廃止し,人権保障し,多くの不幸や理不尽な出来事をなくすことができるかもしれないが,それによって新たな問題を生み出してもいる。このことをリベラルを自称する知識人の多くは無視している。 あるいはそもそも気づいていないが,それはおよそ以下の4つにまとめられるだろう。
1 リベラルによって格差が拡大する
行動遺伝学の多くの研究によって,社会がリベラルになるに従って,遺伝の影響が強まり,男女の性差が大きくなることが一貫して示されている。これは考えてみれば当たり前で,自分らしく生きられる社会では持って生まれた才能を誰もが開花させられるようになる。知識社会に適用する能力にはかなりの個人差がある。 その結果,社会が豊かで公平になればなるほど,環境の影響が減って遺伝による影響が多くなってしまう。リベラル化で男女の性差が拡大するのは,男と女で好きなこと得意なことに生理的の違いが一定程度あるからだが,男女の知能の平均は同じだが,男は論理数学的能力,女は言語能力が高い。 その結果,経済的に発展した国の方が,共通テストの平均が高くなると同時に,男は数学の成績が,女は国語の成績が良いという傾向が見られ,男女の性差は実拡大する。性差だけでなく,個人のレベルでも,知性や才能,性格の違いなど,私たちはかなりの遺伝的多様さを持って生まれてきている。その違いは自由で豊かな社会によって増幅される。誰もが自分の才能を生かすことができるリベラルの社会でこそ,経済格差は拡大してしまう。 逆に独裁者が国民の職業を決めるような専制国家では経済格差は縮小する。
2 前社会的な社会では,個人は家や村同族組合などの共同隊に所属すればよかった。 だから,社会を等族するには何人かの有力者に話をつければ良かった。だが自分らしく生きられる社会では,個人はこうした中間共同体の軛から解放され,1人1人が固有の利害を持つようになる。 その結果,従来の仕組みで利害調整解が困難になり,政治は機能不全に陥るだろう。 
3 リベラル化によって私たちは孤独になる
自由は無条件で良いものではない。 共同体の拘束には無条件は悪である。自由意思で選択すれば,当然その結果に責任を追うことになってしまう。逆に言えば自分で選択したわけではないことに責任を持つ必要はなくなる。共同体は自己責任の重圧から私たちを保護してくれるが,自分らしく生きられる社会ではこのぬくもりは失われる。
4 リベラル化によって自分らしさアイデンティティが衝突する
自分らしく生きるためには自分らしさを見つけなくてはならない。これがアイデンティティで,私とは何者かの定義のことだ。この時にマジョリティは個人的なこと,趣味や仕事など自分らしさに出来るが,マイノリティは所属する集団人的思考などをアイデンティとして強く意識する。自分たちのアイデンティティを社会に受け入れさせようとする運動がアイデンティティ政治だが,これによってマジョリティとマイノリティの間だけでなく,マイノリティ集団同士とも圧力や衝突が生まれる。リベラルを自称する人たちは多くの基本的なことを間違えているが,その中で最も大きな勘違いは,「リベラルな政策によって格差や生きづらさが解消だろう」というものだ。 リベラル化によって格差が拡大し,社会が複雑して生きづらくなっている。
これはこの本の中で繰り返し書いてるんですね。つまりマジョリティ社会的なマジョリティで社会に適合してる人たちは,仕事とか趣味をアイデンティティにできるんですよ。しかし,その社会の中で居場所が少ないと思ってる少数派の人達っていうのは,宗教,性別性的思考などをアイデンティティとして意識する。ここに格差が生じるわけですね。 
社会がリベラル化する…すなわちみんなが自分らしく生きるっていうのを目指しちゃうとどんな問題が発生するのかっていうのを,橘さんはこの前書きで4つに分けてます。
1つ目は「格差が拡大する,持って生まれている能力や見た目による差っていうのを恨みや妬みでしか説明できなくなる」ですね。 
2つ目が「社会が複雑になる」。トイレが何種類も必要になるわけです。 男子トイレ/女子トイレ/体は男子だけど心は女子のトイレ/体は女子だけど心は男子のためのトイレ…っていう風に複雑になっちゃうんです。アイデンティティがいっぱいあると「あなたは男性ですか? 」と訊くだけで炎上するような社会になる。3つ目ですね。「自分らしくなる=孤独になる」。家族団欒のために同じテレビを観るっていうのがどんどんみんな苦痛になってきてできなくなっちゃうんですね。で,みんな引きこもってスマホばっかり見るようになる。 自分らしくなるということは,このように孤独になることだですね。4つ目,「アイデンティティが衝突する」。みんなが盛り上がる時っていうのも,誰かを叩く時だけになっちゃうんですね。つまり,学校とか教室の問題だった,いじめとかつまはじきの問題が世界中に拡散され,これがいつまでやっても終わらない。 そういう社会になるわけですね。 
■ リベラルvsポピュリズム
…さてさて,ここまでで前書きですよ。 これ前書きでやっぱりこの全体を俯瞰してるんですけども,まだ前書き続くんですよ。 もうちょっとだけ付き合ってください。 
ーさて,リベラル化が格差を拡大しているにも関わらず,リベラルな政策で格差を解決できるはずだという強固な信念を抱いていると,現実の信念の不一致,認知的不協和音を解消する方法は陰謀論しかなくなる。一部の会議のリベラル,左翼とか進歩派と呼ばれる人たちの主張が,「実は世界はディープステート闇の世界によって闇の政府によって支配されてる」というQアノンの陰謀論と不気味なほど似ているのは,どちらも世界に対する認識は根本的に間違ってるからだ。
つまり,その過激なリベラルっていうのは何でしょうね…Abemaニュースとかで割とひろゆきとかにからかわれてる人たちですよね。人権派であって良識派であってリベラルの発言をする人が,よく成田さんとかひろゆきにからかわれてますよね。ああいう人たちの言ってるのが「そんなことをした
ら政府に突っ込まれるだけだ」とか「そんな風にすると支配される」とか「結局憲法とかを変えたら日本がどうなるかわかんない」っていう風な発言をしてると,どんどんどんどんそのQアノンの「アメリカはディープステート闇の政府に支配されてる」って言う人たちと言ってることが似てきてしまう。
ー私たちは知識社会,グローバル化,リベラル化という人類史的な変化の中にいるが,誰もがこの未曾有の時代に対応できるわけではない。その結果,欧米先進諸国を中心に激しいバックラッシュが起きている。これが反知性主義,排外主義…一般にポペリズムと呼ばれる動きだ。 これはリベラリズムと対立してるのではなく,リベラル化の当然な帰結であり,その一部なのだ。従ってリベラルの勢力がポピュリズム右翼といくら戦っても打ち倒すことはできない。リベラルの中からポピュリズム,右翼,右傾化,反知性主義が生まれてきたのであって,リベラルをいくら進めても打ち負かすことができない。社会がリベラル化すればするほど,そこからドロップアウトする人が増えてしまう。この流れに行くのは避けられない。その典型的な存在が恋愛の自由市場から脱落してしまった若い男で,日本ではモテ非モテ問題と呼ばれ,英語件では自虐的にインセル…不本意な禁欲主義者を自称している。そういう者のごく一部が社会に強い恨みを持ち,無差別殺意のような惨劇をおこした。日本でも近年こうした重要事件が目立つようになったのは,社会からも性愛からも排除された非モテが増えているからだろう。
この「社会がリベラル化するとドロップアウトする人が増える」という指摘はですね。このドロップアウトっていうのは,どんな集団にもアイデンティティが持てなくなるってことだと僕は思うんですけども。ドロップアウトすると人間は死んでしまうわけですね。寿命が縮まり死に近づくわけなんですけど。 なのでドロップアウト仕掛けてる人たちていうのはアイデンティティ融合を無意識に選ぶ。激しく融合しようとすると。だから非モテの人たちはインセル活動にはまってしまうですね。まァ「電車の中で勝ち組に見えた」とか,「なんか人生を楽しそうに生きてる風にに見えた」というだけの理由で,刃物で女の人を襲うという男性の事件ですね。これがこの日本のインセルだと思います。アメリカでは銃があるので,機関銃とか手に入っちゃったりするので無差別殺人事件とかおこるんですけど,日本では刃物ぐらいしかそういう殺人兵器手に入らないですね。 なんか凶悪犯罪がより恨みつらみ度が高いように見えるわけですね。というわけで橘さん,前書きの最後で書いてます。
ー私はこれらのことを上級国民,下級国民,無理ゲー社会,共に小学館新書で述べてきたが,その続編となる本書では,誰もが自分らしく生きられる社会を目指す社会正義の運動がキャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していく現象を考察している。なぜならこれもリベラル化の必然的な秘決だからだ。世界はなぜ地獄になるのか。まず日本にキャンセルカルチャーが到来を告げた象徴的な事例から始めたい。
こっからあのジャニーズ問題を本格的にスタートするわけです。まこういう流れで翻弄スタートしてるんですけども,本当に紹介を全体大雑把にやったので,これ以上興味がある人は是非読んでください。お疲れ様でした。今日限定ここまでにします。

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