[レビュー] 岡田斗司夫ゼミ『バックトゥザ・フューチャー』
岡田斗司夫ゼミ『バックトゥザ・フューチャー』
Youtube岡田斗司夫チャンネル
2025.2.1
毎月1日は限定解除として,有料会員しか普段見られないと動画の中から1本選んで1週間だけ無料公開してるんですよね。で,2025年2月1日の限定解除何かと,今月2月7日金曜日から3週間連続で金曜ロードショーで『バックトゥザ・フューチャー123』のテレビ放映するんですね。で,それを記念して『バックトゥザ・フューチャー123』,それぞれの解説動画はそれぞれの前の日の木曜日つまり,2月6日と2月13日と2月20日かな。この3回によって配信予定です。
で,今日の限定解除は『バックトゥザ・フューチャー(Back to the Future, BTTF)』の1について,元々どんな企画だったかっていうというところからさらった動画を限定部分まで含めて皆さんにご覧入れようと思います。『バックトゥザ・フューチャー』はロバート・ゼメキス監督と脚本家のボブ・ゲイルのコンビによって作られたま大傑作の映画なんですけども,1985年に第1作目が公開されて,2025年の今年は実は40周年ですよ。40年ってなかなかビビりません? だからもうみんな当たり前のように語ってるけど,40年前の映画ですからね。せっかく『金曜ロードショー』で流してくれるんだから,知ってる人も知らない人も,まァあの「音楽聞いたことがある」とか「1だけ観たことがある」「デロリアンのタイムマシンだけ知ってる」「主人公だけ知ってる」という人も,この機会に是非構いませんから観てください。まあ,とんでもなく面白いというか,今の面白い映画のフォーマットを作った作品なんで『バックトゥザ・フューチャー』以前の映画は,この公開後にテンポが遅く見えてしまったというのがあります。この動画は2020年6月14日に配信した岡田斗司夫ゼミ第339回を限定部分まで含めて無料配信します。この339回が『バックトゥザ・フューチャー』以外にも色々話したんですけども,今回の限定解除はちょっとテーマがごちゃごちゃするんで,ノーカットではなくて,『バックトゥザ・フューチャー』について話した部分だけ編集しています。え,それでは2月8日までの1週間だけの限定解除になりますけども,限定解除スタートです。
■初級編
この無料の枠では『バックトゥザ・フューチャー』の初級編やるんですけども。Twitterとか見てると,やっぱ初めて観た人多いんですよ。よく「『バックトゥザ・フューチャー』今更やっても…」とか,あと「観たことないヤツなんかいるのか?」っていう意見があるんですけど,いやいやとんでもない。あのね10年20年経ったらもう観た人なんてほぼ0とか言わないけども,本当に少数派になりますよ。だから『エヴァンゲリヲン』でも何でもそうなんすけど,1990年代ぐらいにすごいブームがあったことって,もう今から15年前とか下手した20年ぐらい前のことになるので,やっぱり常に新しいものを出さないと,みんな観てくれないんですよね。 「『バックトゥザ・フューチャー』観たことがない」という人はすごく多くて,Twitterがなんかお祭り状態になってました。
✔顔芸
で,『バックトゥザ・フューチャー』。どこが好きなのかというか,今,「岡田さんがアニメ以外の映画やるのは珍しい」って言われたんですけども,とにかく『バックトゥザ・フューチャー』って僕は楽しくて好きなんですよ。観てる自分が楽しくなれること。あと分かりやすい。もう本当に映画を好きで細かいとこまで観る人も分かりやすいし,割とそうじゃなくて,ただ単にストーリーを追いかけてる人も十分楽しく分かりやすくできてるんですね。 で,分かりやすいってのはどういうことかっていうと,面白さって僕は,顔芸だと思うんですよ(笑) 面白い顔をするとか,そういうお笑い芸人で言えばもう志村けんがやってたような,本当に子供向けの顔芸なんですけど,この子供向けの芸っていうのを超A級の俳優とかが超A級のアイディアでやってしまうという。
あの顔芸といえばやっぱドックなんですよ。 ドック(ドッグ・ブラウン, Dr.Brown)なんですけども,例えばこれデロリアンの中から出てくる初登場シーンなんですけども,完全にカメラ目線なんですよ。 必要ないのにペン咥えて面白い落ちてるんですよね。で,この次です。この次は,マーティと1955年で初めて出会う時に,頭に脳波読取装置をつけて目をギョロっと剥いて面白顔をするんですよ。で,一番下は,雷がやってくる時に時計台の上に登ったら,ただ単に時計台の上になんかパンサーの置き物があったというだけでびっくりして,デカい口を開けて叫んでるというだけなんですけども,ドック・ブラウンてこの映画の中でこういう役なんですよ。 いわゆるもう本当にドリフの志村けんの笑い。「ヒャー」「あ~」とかいうのを延々言うばっかりなんですけど,これが絶妙のタイミングとそのマーティとかのリアクションとかが割と呆れた顔とかも絶妙で,なんかすごく面白いんですよ。この楽しさっていうのが『バックトゥザ・フューチャー』の魅力だと思ってます。
で顔芸で,もう1つ押さえたいのがロレイン。 つまり,あのマーティのお母さんですね。ロレインさんですね,自分の家にマーティを招待した時の惚れた表情です。この顔,「好きだわー(トロン)」っていうのがわかる。これももう演技じゃないんですよ。もう顔芸なんですよ。完全に顔芸なんですよ。で,このマーティーが,自分(ロレイン)を無理に誘ったビフを殴ってくれた時に,マーティーがスケボーみたいなもので戦って勝つと。そん時に「…素敵だわ」っていう時のやっぱこの惚れ顔がもう顔芸なんですけど,その後「あの子どこに住んでるのかしら?絶対に突き止めてみせるわ」って,この2コマ目から3コマ目までが,1つの演技の塊りなんですよね。でやってることは,もうただ単に,口が笑顔のまま,変わらずにやや上唇を引き締めて顔の角度を下に下げるっていうだけ。いわゆるおでこの角度を下げて「素敵だわ…」っていう。上げてる顔から「突き止めて見せる」って下げてるだけなんですよ。でもこれだけでわかるという,これも演技というよりは顔芸なんですよ。この面白さがこう,すごい楽しいです。こういうこういう単なる顔芸をまるで演技で見せてる,もうこれやってくると映画が楽しくなるんですよ。もう他の役者さんは基本的に『バックトゥザ・フューチャー』ってメインのキャラクターはそのお父さんのジョージ役の人も全員顔芸するんですけども,普通の抑えた演技と,この顔芸の演技が交互に来ることによって,楽しさが抜群に上がってるんですね。
✔時代のギャップ
あと『バックトゥザ・フューチャー』が好きなのは,時代のギャップ。この時代だからこれ知ってる知らないっていうのをアイデアで見せてくれるところです。 中盤で,マーティが若いお父さんに会った時。お父さんのジョージとマーティーが会った時に,呼び出してあったんですけども,マーティが一生懸命,ペプシの瓶の栓をねじって開けようとするんですね。で,ジョージが「どうしたんだ?」というと「なかなか開かないんだ」。そしてお父さんはその自動販売機についてる栓抜きでポンと栓を抜いてマーティーに渡します。で,そのままお父さん行ってしまうんですけども,マーティーは「栓抜き?」っていう顔で自販機見てるわけですね。で,これ何かっていうと,80年代のアメリカ,映画の舞台になった1985年っていうのはどういう時代だったかっていうと,アメリカにペットボトルがなかった時代なんですよ。で,日本っていうのはそのプラスチックボトル,ペットボトルが早いうちに普及したんですけども,アメリカ人にとってソフトドリンクっていうのは瓶で,ペットは普及してなかったんですね。なのでガラス瓶の上にツイストキャップっていうのかな,ビールの王冠みたいなもんなんだけども,手でぐっとひねって開けれる瓶っていうのが80年代すごく多かったんですよ。 未だにバドワイザーとかそういうビールは,全部ガラスの瓶の上にツイストキャップになって,王冠なしで開けるようになったんですけど,これは自動販売機で必ず王冠の栓抜きがついてるもので売ってた時代から,そうじゃなくて,コンビニとか,日本だったらコンビですが,アメリカならリカーショップとかそういうようなところで塊りで買うようになって。
で,それをホテルで飲むようになったから,栓抜きが必要でないツイストキャップっていうのが採用された。日本ではペットボトルと,あと缶ビールでプルタブっていうのが当たり前だったんですけど,ちょっと進化が別系統になったんですよ。 なので,マーティーは,昔のペプシも瓶だから,当然ツイストキャップみたいなもんだろうと思うんですけども,1955年はそんなものがなくて,何も知らない。このシーンは何故面白いのかっていうと,それまで何も知らなかったジョージというか,ダメな男だったお父さんジョージ,何も知らないジョージが,唯一この1955年の常識ですね,栓抜きで栓を開けるというごく単純なことをやって観客が笑うと。そうするとマーティが「栓抜きって何なの?」っていう顔で見てるところがちゃんとギャグになってるんですよ。こういう顔芸込みの時代のギャップっていうのは細かい演技出してくれてるところが面白いと思います。
✔脚本の秀逸さ
一番楽しいのは,やっぱ完璧な脚本なんですよ。テトリスというゲームで,上から長い棒が落ちてきたところでスコーンと入って,バっと列が消える気持ち良さ。そんな感じで伏線>>回収>>伏線>>回収というのやっていてで,この伏線も全部回収するのっていう,この脚本の完璧さが『バックトゥザ・フューチャー』の魅力でもあるんですけど。
一番最初ですね。ドックのガレージから始まります。とにかくこのドック・ブラウンのガレージがすごい情報量で。まず1番最初,無数の時計が動いてると。全部が8時5分前になっていて,で,自動的にテレビがついて,「研究所からプルトニウムが盗まれた」というニュースが流れます。で,カメラがパンすると,壁に時計以外にいろんなものがあるんですけど,額装した新聞ですね,ちょっと暗いんですけども新聞記事です。これをドックが壁に掛けてとってあるんですね。「ブラウン屋敷が火事でなくなった,消失した」という記事なんですけども,これ見てると気がつきにくいんですけども,マーティーのお父さん,お母さんが負け犬だっていうのは,1985年の現代で負け犬だってことは分かるんですけども,ドックも実は同じなんですよ。
ガレージに住んでるんですね。ガレージに住んでいて。だけどタイムマシンで30年前の1955年に戻った時には,そこはブラウン屋敷っていうかなり大きいお屋敷だった。当時のドックは大きい屋敷に住んで,その端っこのガレージの前に高級車待ってて。でその奥にガレージがあったんですけど,もう30年後の現代では,ドックはその高級車もなくしてしまってて,トラック1台持ってるだけなんですね。で,そのガレージの中の粗末なベッドで寝泊まりしてるんですよ。で簡易ベッドの周りにテイクアウトのバーガー・キングとかそういうのの紙とかも散らかってて,この30年でドックっていうのが,どんなに落ちれて貧しくなったのかっていうのがもう見てわかる。ドックもやっぱ負け犬なんですね。で,その彼がその「自分の屋敷が燃えた」っていう新聞記事をとってるわけです。 で,そこに主人公のマーティーがガレージに入っていきます。鍵を玄関のドアに投げ入れるから,これかなり親しい証拠ですね。で,スケートボード蹴ったら,粗末なベッドの下に入って,何かにぶつかる。プルトニウムって書いてるわけですね。 これ僕試写会で観た時にも本当にこの辺りで会場大爆笑でした。テレビのニュースで「プルトニウムが盗まれました」って言って主人公が入ってきてスケートボード蹴ったら,本当に簡易ベッドの下にプルトニウムの黄色いケースが隠してあるって,こんな分かりやすい映画,世の中にあるのか?っていうぐらい分かりやすいヤツですよ(笑) 会場大爆笑だったんですけども,リビアのテロリストからプルトニウムを手に入れたんですね。『金曜ロードショー』では過激派っていう翻訳にしてたんですけど,口の動き見てください。「リビアン」って言ってるんですよ。あの映画の中では,ずっとリビア人リビア人って言って,一番最初にリビア人のテロリストていったきり,その後リビア人って,やっぱ当時のアメリカのリビアに対する感覚が出てたんですけど,今テレビで放送する時は,もうその口ではリビアンて言ってるんですけど,全て違う吹き替えになっちゃうんですけどもですね。 で,リビアのテロリストからプルトニウム手に入れると。実はドックっていうのは,目的のためには手段を選ばない人なんですね。さっきの新聞記事「ブラウン屋敷が火事で消失」なんですけども,これ自分の家が焼けた記事を何故飾ってるのか?というと,実はこれドックが自分の家に放火したからなんですね。で,保険金目当て放火して,それが成功した。で新聞見てみるとバレてないと。で保険金もらったので,科学の研究を続けてると。でドックっていうのはそのシナリオの第1稿,第2稿あたりまでの設定では,若い頃にマンハッタン計画に参加した核物理学者なんですね。で,その後落ちぶれたという設定なんですよ。で,こんな風にドクター・エメット・ブラウンの設定っていうのはすごい細かいんですよね。で,設定めちゃくちゃ細かいんですけど,実は主人公のマーティの設定って少ないんですよ。薄っぺらいのが多い。ていうのはまず映画のシーンがある。シーンを決めるとカードに書いたそうです。ロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルの2人,脚本家と監督の2人は,カードに書く時に「マーティーはスケボーをする」,じゃあ,1955年でマーティーはスケボーを発明することにしよう。じゃあ,マーティはスケボが得意なキャラクターにしよう。じゃあ,マーティーがスケボーでいろんなところを走るシーンを映画の中に入れなきゃいけないって,こういう風に逆算的に映画のシーンまず決めてから設定決めてんですけど,マーティってのはそういう風に映画の骨格の中でキャラクターが決められたんですけども,ドクターブラウンていうのはその逆で,もっと最初の頃から「この人は昔はこんなことをやってた」っていうのが決まってたんですね。 で,お兄さんとかお姉さんの設定も,もう本当に薄っぺらいんですよ。ただ,でもドックの場合は,ドクターブラウンの場合は,お父さんとお母さんがアメリカに移住してくる時のこととか,マーティンに出会う前までていうのはすごい丹念に設定されてるんですね。で,何故かって言うと,実は元々『バックトゥザ・フューチャー』の企画段階の主役はドクター・エメット・ブラウンだったからなんです。『バックトゥザ・フューチャー』っていうのは企画から完成まで10年かかってます。ボブ・ゲイルとロバート・ゼメキスがこんな映画作ろうよって言ったのが1975年なんですよ。で,完成したのが85年だからもう10年かかってるんですけど,そのうちの半分の5年間,実はドックが主役の設定だったんですよ。世間から認められていない,ちょっとおかしい科学者がうっかりタイム発明して,で未来世界を見に行ってしまう話だったんですね。で,これが途中から高校生を主人公にっていう風に路線変更したんですよ。 だから冒頭のガレージのシーンって,色々矛盾している設定を入れながら伏線を張ってるので,かなり複雑になってるんですね。そもそもなぜマーティーとドックが何故友達なのか,これも準備稿には書いてるんですよ。で,今発表されている映画評論家とかその人が言ってる設定では,何故マーティーとドックが親友だったのか?それはマーティがドックのところでアルバイトをしてて,そこでドックの人間性っていうのに,マーティーは好きになって友達になったんだっていうのが公式設定になってるんですけど,準備稿はもっと違う設定があって。 ドックはマンハッタン計画にいた。つまり日本に落とした原爆を開発した計画に参加した科学者なんですけど,その後落ちぶれて,映画の中で最後にデロリアンが突っ込む映画館,あそこの3階に住んでたんですね。で,あの3階に住んでて,で下で上映している映画を無断で録画して海賊版ビデオで売るっていう仕事があったんですよ。で,マーティはその海賊版作っているっていう設定が,準備稿のドックはそういうろくでもない人物なんですけど,でマーティは,そのドックの家に忍び込んだコソ泥だったんだけども,ドックの家にあげてやる。 発明品とか面白いからちょっと2人でコンビ組んで海賊版ビデオをドックが作って,マーティーがそれを売りさばいて,売りさばいた金で競馬の掛金にして買うと。で「競馬をやりたいんだけども,ちょっと未来が知れたら金持ちになれるのに」っていうのが少年マーティーのタイムマシンに乗りたい動機っていう,えぐい話(笑) これが映画撮影直前ぐらいまでのシナリオなんですよ。こんな感じだったんですね。 だから,今も言った通り,ドックっていうのは欲しいものを手に入れるために割と多少の犯罪は気にしない,まさに的にテストとして設定されてる。だから盗んだプルトニウムがドーンと置いてあるわけですね。でえどっからのですね。電話にマーティーが出ると,時計が8時になって一斉に目覚ましとかがパッポパッポ♪とかに鳴り出すわけですね。そうすると電話のドックの声が「やったぞ! 実験は成功だ! きっちり25分遅れた」ここね。この『バックトゥザ・フューチャー』っていう映画の最大の謎なんですよ。これ本当に誰も答え出してくれてない。本当にわかんない。調べても。最初に言っときます。わかんないんですけども,不思議なんですよね。でえ,ドックのいう実験とは何なのか?どんな実験をすれば時計が全部25分遅れるのか? で,この伏線実はここ以降出てこないですよ。『バックトゥザ・フューチャー』の中で伏線が解消されてないのはこの箇所だけなんですね。完璧なはずの脚本がここだけ矛盾してる。 マーティが「1週間どこに行ってたの?」っていう台詞ですけど,1週間本当にどこにいたのか,これはちょっとあの無料の最後でお話そうと思います。
でシーンが変わって学校のシーンですね。学校のシーンで恋人のジェニファーと会う。学校の前で恋人のジェニファーと会って,遅刻しそうになって隠れて行こうとするんですけども,教頭先生に見つかって怒られると。で,バンドのオーディションにも落ちてしまうというですね。「マーティーの人生もやっぱうまくいっていない」っていうのが語られます。
でシーン3が公園ですね。 この公園のシーン1つのシーンなんですけど,マーティとジェニファーが2組いるのは,カメラがパンしてるからですね。カメラがこの2人を追いかけてパンしてるんですけども,最初のカットでマーティーは,エアロビの服を着ているショートパンツの女の子を,つい目が追ってるんですね。で,ジェニファーが「何見てんの」って怒ってマーティーの顎をくっと持って「はいこっち向いて」っていう風にこうグイっと戻しになるんですけど,ここで「マーティが女好きだ」というシーンを見せなきゃいけないんですよ。 マーティーの後ろの街並を見せるという意味もあるんですよ。例えばアダルトショップがあって,テントが破れた汚い廃屋,空き家になったビルなんかがあると,いかにも80年代のアメリカのいわゆる「Japan as No1」と言われた時代ですね。バブル経済に突入する直前の日本は景気良くて日本車売れてるんだけど,アメリカ車全く売れないと。結果的にアメリカは失業者が増えていったという時代なので,どんどんどんどん寂れていく街っていうのを見せてるんですね。で女の子に振り返って怒られると。これも伏線なんですよ。 で,どんな伏線かっていうと,マーティはこの今ちょっと振り返ってしまったフィットネスクラブで,レオタード来てる女の子にスケボーで通る時に毎回毎回手を振るんですよ。でこう毎回毎回手を振るのがあまりに癖になってしまった結果,1955年に通ったら,1955年はカフェになってるんですよ。で,カフェになってそこの中にの人に思わず手を振っちゃうんですよね。1955年ビフと喧嘩して追いかけっこしてる最中なのに,このスケボに乗ってる時に手を振ってしまう。で,これも1985年で毎日のようにレオタード着た女の子に手を振ってしまうから,ついつい同じ場所,今ではカフェになったところに,別にそこに女の子もいないのについて手を振ってしまう。そうすると店内にいたロレインですね。マーティンのお母さんが,それを見て自分に手を振ってくれたと思い込んでマーティーに惚れてしまうという,割とうまい伏線になってるんですよ。だから,ここで必ず女の子を見てしまうようなヤツなんだ>>そして毎回毎回手を振ってしまうんだ>>何故かと言うと,それはお父さんの遺伝で,お父さんは女の子の裸の着替えを毎日毎日双眼鏡で覗いてる男だったんだ>>覗きのお父さんの息子は,スケボーで走りながら毎日フィットネスに手を振ってるから,ついつい癖で女の子がいないカフェに手を振ってしまって,店の中の人は「何あれ?」て表情で見る…この一連の流れです。お父さんからの遺伝とパーティーの行動っていうのがすごい綺麗な伏線になってる。なかなかこんな綺麗な脚本かけないんですけどもですね。うまいですよね。
✔ヒルバレーの街
で彼女のジェニファーをベンチに座らせて,で自分も横に座って,まあまあイチャイチャイチャしてます。 後ろには時計台が見えますね。で,この時計台なんですけど,後ろこれ公園ではなくて駐車場なんですね。コンクリートに線が引っ張ってあって,ここに駐車場の機械があるんですけど,これがいっぱい並んでるんですね。 駐車場の機械なで,この駐車場があるスペースと時計台が『バックトゥザ・フューチャー』の1〜3までの共通の舞台になります。『バックトゥザ・フューチャー1』では,1985年のヒルバレーの駐車場ですけども2では2015年は公園になっていて,3では1885年の,いわゆる西武開拓時代のヒルバレーになっていて,全く同じ場所で映ってですね。そこではダンスパーティーというか,いわゆる収穫祭のフェスやってるんですけど,まあまあずっと同じ場所なんですよ。 ちょっと比較してみようかな。1985年の現代です。ちょっと分かりにくいんですけど,画面の橋隅っこの方に時計台があると思ってください。で向こうの方に壊れたボロボロの家と商店街が並んでいて,さっき言ったポルノショップですね。そういうのが並んでいて,サラ金屋があって…っていう風になってます。 で,駐車場があるんですけども,これが1955年/30年前に帰ると,めちゃくちゃ緑がいっぱいの公園になってるんですね。で,時計台は綺麗なまんまなんですよ。で,これ元々ユニバーサルスタジオのスタジオ内にあったオープンセットなんですね。いわゆる田舎の町として,しょっちゅう使われてるところです。どれぐらいしょっちを使われてるかっていうと,『バックトゥザ・フューチャー』の1年前にも『グレムリン』という映画のオープニングで全く同じ4本柱の時計台の塔と全く同じ家がずっと並んでるんですけど,これぐらいしょっちゅう使ってるとこなんです。で,このセット行ったことある人多いと思いますけども,実は現在眺めることはできるけど行けないんですね。2010年ぐらいまでユニバーサルスタジオのロットって言われる,そのスタジオパーク内を見ることができるというのはですねえ。ハリウッド・ブルーバードの中で中心部にあったんですけども,確か10年ぐらい前にハリウッドの北の方の田舎に移動して,で大きくしたんですね。シンプソンランドとかそういうの作って大きくしたので,昔はこの『バックトゥザ・フューチャー』のそのあのヒルバレーの街に入れたんですけど,今ちょっと入れないですけど,まこういう他の映画にも使われてるという話でした。
これ,街のウェルカムボードですね。「Welcome to Hill Valley/よくヒルバレーに来てくれました」というやつなんですけども,1985年のヤツは小さくて町も殺風景なんですけども,1955年は,いわゆるそのロータリークラブもあればライオンズクラブもある。これ何かっていうと地域地域のコミュニティなんですね。共同体でみんながお金出して維持してる町の偉い人とか青年なんとか…夫人会とかのマークが,ボードの下にズラッとついてるから,1955年のヒルバレーにはこう人と人との繋がりがあったんだけども,1985年現在のヒルバレーにはそういうのものがないよっていうわけですね。だから1955年はある種の理想の世界。もう本当に昭和33年を理想の世界としていた『オールウェイズ3丁目の夕日』みたいな撮り方の映画なんです。 というよりは『オールウェイズ…』が『バックトゥザ・フューチャー』のパクりみたいなもんなんですけどもですね。
で一番最初にも話したんですけども,街がどのように変わったのか,具体的に説明しようと思って,ドックが映画の真ん中あたりで説明するシーンですね。ドックがマーティに「時計台に雷が落ちるのを利用して,1855年から1985年にお前を返すんだ」っていう計画を説明してるらしいんです。で,そのために模型作って説明してくれます。で,この模型っていうのは何かというと元ネタはイギリスのスーパートランプというバンドがあるんですけど,そこそのバンドの『Breakfast in America』ってアルバムなんですけども,イギリスのバンドのえジャケットです。台所とか掃除用具とか洗面台にあるいろんな小物を真っ白に塗って,マンハッタンのビル群みたいに見させると。いわゆる「アメリカっていうのは大量消費文明なんだ」っていう説明というか,それをまあちょっと笑ってるようなアルバムなんですけども。CD以前の時代だからこれできたんですね。CDの時代になっちゃうとアルバムのサイズがどんどん小さくなってくる。これはもうLPと言われる,いわゆる33cm × 33cmのそのディスプレイだからできたようなデザインですね。で,このドックが劇中で作った模型ですね。この模型をさらに1/5のサイズにスケールダウンして美術部に作ってもらいました。 これはま先週から話してる通りです。 ちょっとまあ出して説明してみましょうか。これ見て分かる通り,ドックは卓球台の上に作ってるんですね。卓球台だから,この長辺が大体3mなんですよ。こっちは長辺60cmにしてるので1/5の模型なんですけど,この模型作ったので,初めて僕はいろんな伏線に気がついた。『バックトゥザ・フューチャー』って本当に伏線が多いんですよ。 で,何かっていうとこの部分見てください。 通りを走るデロリアンがワイヤーに触れて雷が落ちる。 ちょうどのタイミングでこのワイヤーの下を通ると雷がワイヤーに当たって,そっから1.21GWの電流が流れ,それのおかげでバーっと走って,本来だったらドックが3階に住んでるはずのポルノ映画専門館に飛び込む前にタイムスリップする。そこまで走ってくっていう話なんですけども,実はドックがわざわざ説明するシーンあるんですよ。これ何故かって言うとここに木に見立てたハインツのケチャップ瓶を白く塗ったものが置いてあるんですけども,このハイツのケチャップ瓶とワイヤーとか触れてるんですね。で,これを見せるためにこの説明シーン入れてるんですよ。 これ何故かって言うと,結局雷が来る直前に,このハインツのケチャップ瓶の枝が落ちてワイヤーが切れるという設定なんですね。で,これで接続が外れたので,ドックは上に行かなきゃいけなくなる。結局マーティーと会話ができなくなって,マーティーは「1985年ドックはリビアのテロリストに殺されるんだ」ということが告げられないっていう全体の流れになったんです。だからここでワイヤーが触れてることを見せるっていうのがすごい重要なんですよ。僕らそんな映画見てる時はノリというかリズムで見てるから「風が吹いた>>枝が落ちた>>ワイヤーが切れた」といわゆるご都合主義のピンチだという風に見てるんですけど,丁寧に観るとこのミニチュアで「ビンとワイヤーが触れてますね>>もう見て危ないの分かる通り,ここが後でトラブルになるんですよ」っていう伏線が張ってある。こういうのミニチュア作らないとわかんないので,すごい楽しかったんですけど,まァどんだけすごいんだ!『バックトゥザ・フューチャー』って思いますね。
じゃあこれを使って1955年と85年の違いを軽く説明してみます。 まずこの公園です。この公園にここちょっと変な小さいものついてます。これ何かって言うと真ん中の四角いのが,戦争でなくなった人々の記念碑,朝鮮戦争でなくなった人たちこの町出身の碑です。で,この町から第一次世界大戦に行った人たちの名前が彫ってあって,ここには街を守った大砲…まァアメリカは内戦くらいで,外国からの侵略で戦争になったことがないので,街を守った大砲って大げさんなもんでもないですけど,一応それが置いてあります。そういう英雄を称える公園だった場所が,現代ではただの駐車場になっているわけですね。で,ここは「アトミックキッド」という子供向けの映画館やってた映画館です。それが1985年にはカルト宗教の教会になっています。で,ここにかなり綺麗なホテルあるんですね。 テントが3枚ある綺麗なホテルがあるんですけども,その綺麗なホテルが1985年は廃屋になってるんですね。 この綺麗なテントはそのジェニファーの後ろで破れていたテントなんですけど,そういう風になってます。横には結構大きな文房具店があります。1955年だから,ちょうど日本製のシャープペンシルとかがアメリカで輸出された時代で,文具なんかも徐々に徐々に精巧なドイツ製とかが輸入が解禁されて入ってきた時代なんですけど,その文具店は1985年はアダルトショップですね。この通りで一番でかいショップがアダルトショップになっていると。まあまあまあポルノショップになってるわけですね。 でここに旅行代理店があると。1955年当時,アメリカは世界最大の経済力を持っていて,アメリカ人が世界のいろんな国へ行って世界のどこにでもいた。今の中国人みたいな感じですね。そこが1985年はサラ金になっている。でカフェは1985年にはフィットネスジムになっている。レコードショップはそのままある。まミニチュア作らなかったんですけど,ここは西武劇がかかってる映画感がある。『バッファロー平原』っていう,ロナルド・レーガン主演の映画やってる映画館があったんですけども,それが今どうなってるのかっていうと,映画館同じなんですけど,ポルノ映画専門になってるんですよ。でカフェは1955年に父ジョージとビフに会うわけです。 で,さっきのカフェで,お父さんはいじめっ子のビフと会います。で,マーティは父ジョージを追いかけて,お父さんの車にはねられて気を失ってしまうわけです。
✔没頭の設定
というわけでここで無料パート終わってもいいんですけども,十分時間経ってんですけど,例のセリフですね。ドックの電話で「やったぞ! 実験は成功だ! きっちり25分遅れた」。この実験とは何だったのか?そもそもドックとアインシュタインって犬は1週間どこにいたのか?っていうこの解説だけ,ちょっと最後してみようと思います。あの最後してみようと言っても,これもちょっと長いんですけどもすいません。夜になって,映画では大体15分目あたりですか,ショッピングセンターの駐車場でマーティーはドックに1週間ぶりに会います。ドックの車,パネル板式のトラックがあります。地面が濡れてるんですけど,地面が濡れてるのは,殺風景な場所でロケするときに映えるシーンにするための,もう映画業界のお約束の工夫です。よく映画見てみると雨降ってないのに地面が濡れてるシーンていうのは結構出てくるんですよ。例えば『テッド』っていう映画で,テッドが呑んだ後,裏の駐車場みたいなところに行くと,そこで変態みたいな男に合うんですけども,それも,雨降ってないんですけど,地面がめちゃくちゃ濡れてるんですね。で,これもやっぱ映えるシーンを作るためです。『ストリート・ファイア』なんかはもう本当にしょっちゅ地面濡らしてますし,ちょっとおしゃれ系の映画『ラランド』もやたら地面濡れてるんですよ。 降ってないのに。それはお約束だと思ってください。で,トラックには「Dr. Evet Brown Enterprise」」って,もうここら辺が貧乏になっても「Enterprise」とか高い男の悲しいとこですね。「Co.op」とかで普通の会社でいいのに大企業みたいに書いてしまうんですね。で,その下に「24H. Science Service(24時間サイエンスサービスして書いですけど,24時間営業サービスて書いてるんですけど,まもちろん)」って,これは台所のパイプ詰まりとか,そういうのを治す会社なんですね。もうこれしかドックには財産というのが残ってないわけです。 マンハッタン計画に参加しながら,なんか売れない便利屋に落ちぶれてしまった。でトラックからデロリアンを出して,マーティンにタイムトラベルの原理を説明します。で,愛犬アインシュタインを使って1分後の未来にデロリアンを送ります。で,この時に「私の愛犬アインシュタインは世界初のタイムトラベラーになったんだ」っていう風に言う。これ,観客も初の実験だという風に思っちゃうんですけど,しかしそれは撮影しながら書き直された脚本の第三バージョンなんですね。 もうかなり有名な話なんですけども,第一バージョンでは,タイムマシーンはこのデロリアンではなくて単なる冷蔵庫だった。内側が鉛を貼ってある冷蔵庫だったんですね。 で,ラストシーンは雷ではなくてネバダ州にあるアメリカ陸軍の核実験場ですね。なので,冒頭の一番最初のドックのガレージのシーンていうのは,この第一バージョンの,そのまだタイムマシンが冷蔵庫で,ラストはネバダの核実験場で取る予定だった時のセット。今コメントで「それ『インディ・ジョーンズ』では?」って聞かれたんですけど,そうなんですよ。この「ネバダの核実験場で核のエネルギーを利用して…」っていうのが,あまりにも面白いアイデアで使えなかったので,『インディ・ジョーンズ〜クリスタルスカルの秘法』のところでようやっとスピルバーグはこれ使ったんですけども。
で,この冷蔵庫のバージョンは,メイキングとかの映像が残ってないんですけども,前後の流れから大体内容が推察できるんですよね。っていうのは,マーティとドックが会ったシーンでですね。ドックは「おっといかん! プルトニウムの補給忘れた」って,一回目の旅行で1本プルトニウムを出すんですけども,最初のタイムスリップのはずなのに1本ないんですよ。ここがポイントなんですね。プルトニウム,他全部入ってるんですよ。 これもないように見えるんですけど,中を見るとちゃんと入ってます。ドックは何のためらいもなく,2つ目に手を伸ばしてこれを取ってるんですね。 で,1つ目はこの透明な液体に入ったケースの中に入ってる黄色いイエローケーキってやつなんですけど,プルトニウムというのがなくなってるんですよね。だからすでに1回使用済みで,そしてドックは躊躇せずに2つ目っていうのを出すんですね。 で,脚本がやっぱり2回も3回も変わったからなんですよ。 なので一応推理してみたんですけども,ファーストシーンでドックのガレージの時計が25分遅れたのは完成版の映画に入っていない,最初の実験の結果なんだろうという風に僕は思ってます。 で,その実験でこのプルトニウムの1つ目を使ったんですよ。なので,トランク開けると1つ足りないわけなんですけど,じゃあそれがどんな実験かっていうと,ドックのアインシュタインが1週間いなくなって,ガレージの時計が25分遅れるような実験なんですよ。 だから「25分遅れてる」って聞いたマーティーは「俺遅刻だよ」って言うんですけど,ドックは「やった!成功だ」っていう風に喜ぶわけです。自分で25分遅らせたんではなくて,実験の結果,時計が25分遅れてくれたんですよ。だから,おそらく冷蔵庫時代のタイムマシンですね。その脚本第1バージョンの時のタイムマシンにドクター・アインシュタインは入っていて,内部では25分しか経過してないんだけども,外の時間は1週間経過してるという実験だったんじゃないかなという風に考えます。まこれもま僕の推理でしかないんですよ。このこの時の資料残ってないんです。で,その時のタイムマシンの作動誤差ですか,冷蔵庫が置いてある場所の周りの時間は1週間過ぎてるはずなのに,冷蔵庫の近くのガレージは25分の時間差ができてしまったと。こういう風に考えると,最初のシーンのドックの叫び声も矛盾なく繋がるし,このプルトニウムの数が合わないっていうのも辻褄が全部あってくると思います。まァ今こんなアラ探しみたいなことをしたんですけど,『バックトゥザ・フューチャー』が好きなのは,単純に楽しいからなんですよ。で同時に意外なところにドラマが入ってる。 僕一番好きなのは,このデロリアンが1955年から過去から現代へ帰って,その後に残されるドックが好きなんですよ。マーティーが現代に帰った後にドックは,「マーティーのデロリアンが消えた!」と喜んで飛び跳ねて「やったぞ!!」っていう風に,すごい嬉しそうなんですけど,それ何故かって言うと,世間に評価されてなくて,結局その後30年間,どんどんどんどん落ちれていくだけの人生。その男が一瞬輝いたからなんですね。「俺が思ってたことは嘘じゃなかった」。俺がずっと人生かけてたこと,マンハッタン計画で俺以外のやつはみんな出世して,みんな偉くなったんだけど,俺だけは自分の発明っていうのずっとずっと追いかけてたから,それが報われた瞬間なんですよ。で,彼はその一瞬が忘れられなくて,30年間努力して,またマーティーと会うっていう,すごい話になってる。でもそこを一瞬のそのドックの喜びの表情を映しただけで現代に戻ってきて,また話戻すっていうところは,この映画のすごいクールなところ,かっこいいところなんですけどね。
✔『バックトゥザ・フューチャー2』
初級編はここまでです。限定の中級編/上級編ではさらに面白く深掘りするので待っててくださいということですね。 まだ今日あるんですけど,ここで無料が終われないんですね。 ここで『バックトゥザ・フューチャー2』の見所の話をします。 『バックトゥザ・フューチャー1/2』が予想外の大ヒットだったんですよ。予想外なんですよ。こんなにヒットすると思ってなかった。正直言ってロバート・ゼメキスと脚本家のゲイルにしてみれば,過去作『ユーズド・カー』の悪夢っていうのがあるんです。自分のデビュー作としてスピルバーグがプロデューサーで作った『ユーズド・カー』『抱きしめたい』の映画が本当に当たらなかったから,あれだけは避けたい。せめてこれぐらい当たってくれと思ってた以上の大ヒットですね。まずはスピルバーグ自身もこんなにヒットすると思ってなかったですよね。で,当時VHSビデオっていうのが普及した始めたので,ビデオで発売した時に,ラストに「To be Continue.../続く」っていう風に入れちゃったんですね。 「冒険は続く…」みたいな感じで入れると,「あ,これ映画が続編があるんだ」ということで大評判になってしまった。映画館でも再公開の時にあまり評判良かったから,2「To be Continued...」っていうやつを入れちゃったんですけど,それが大評判になってきたので,ユニバーサルは「もう絶対これ続編作る」と言い出す。で,ゼメキスとゲイルは「いや‥あれは一本だけだから完璧な脚本書いたんで,2は無理」って言ったんですけども,ユニバーサルのシュド・シャインバーグっていう,後でこれ2の時に話しますけど,悪のプロデューサーがいるんですよね。シャインバーグは「…ああそうか,君たちにはできないか,ところで『バックトゥザ・フューチャー』は我がユニバーサル社の不動産なんだ。不動産だから,利用は我々が勝手に考えるから,じゃあ君達作らなくていいよ」っていう,とんでもない売り言葉買い言葉があった末に2が作られることになったのでですね,なのでまさかパート2作るとは思わなかった。ま,どんな映画になるのかですね。で,『バックトゥザ・フューチャー2』っていうのは,これも観てない人が,もう今となって多いので,ネタバレになれないようにファーストシーンだけ話します。ファーストシーンはパート1のラストシーンですね。そこのやり直しから始まるんですね。いくつか違いあります。一番大きいのは,ジェニファー役のかなり美人のお姉さんの女優さんが出れなくなったので,あんまり可愛くないお姉さんに変わったっていうことなんですけど,岡田斗司夫ゼミでは,その部分はいいんですよ。その部分良くてですね。気になるのはマーティのピックアップトラックですね。親のプレゼントで手に入るトヨタのピックアップトラップのナンバー違ってるぞ問題ですね。やっぱこれもあの後で用意したから,同じナンバーのものが手に入らなかったということと,ここまで再現したんだから,もういいじゃないかっていうことだと思います。
あと,パート2との違い。パート1のラストシーンとパート2のファーストシーンの違い。ミスターフュージョン(Mr. Fusion)という,どんなものでもエネルギーにするのがデロリアンの後ろについててですね。 これパート1のデロリアンなんですけども,パート2のデロリアンで,一番大きいのは,このミスター・フュージョンていう,どんなものもエネルギーに変えてしまう魔法のコーヒーミルみたいなヤツが後ろについてるんですけど,こん中に,パート1の時はビールの缶を入れるんですね。バナナの皮の他にビール入れて,ついでにビールの空缶もポイと入れちゃうんですけども,パート2の方では,ビールの缶を入れずに,中身だけ入れてビールの缶は外に捨ててます。で,これ,パート1を観た観客からクレームついたからなんすよ。「有機物からエネルギーになるのは分かるけど,アルミ缶入れちゃダメだろう」という風に言われたんですけども違うんですよ。 アルミニウムていうのは水酸化ナトリウムと反応させると水素を発生させて発電おきるんですけど,パート1ではドックは缶の成分表ちゃんと見てる。成分表見て「うん,これスチールではないアルミだ」っていうことでポイっと入れてるんですけども,あまりに観客のクレームが多かったもので,この成分表を見るシーンなくして,代わりに缶を入れるシーンをなくしたんですね。観てる人は変に思うからボツになったんですね。
あと演技的に言うと,これも顔芸なんですけども。ドックの演技ですね。「未来へ行く?」「いや,君たちの子供の問題なんだ」「え,子供がどうなっちゃうの?何があるの?もしかして僕たちがダメ人間になっちゃうとか?」っていう風にマーティーが訊くんです。で,パート1の時のドックは即否定するんですね。「僕たちがダメ人間になっちゃう?」って言われて「いやいやそうではない」て言うんですけど,パート2のドッグはたっぷり0.5秒抽躇するのでですね。 で,カメラ目線で「どうしよう?」って顔してから「いやいや,そうじゃない」っていう風に話して言うんですね。 で,これアメリカではこういう『バックトゥザ・フューチャー』みたいなカルトの映画っていうのは,みんな本当に何百回も観るんです。 何百回も観るから,だからドック役のクリストファー・ロイド(Christopher Roid)がそのパート2の冒頭で「ダメ人間になっちゃうの?」とかって言った瞬間に躊躇してカメラを見て,でやった瞬間にみんな大爆笑して拍手するんですね。ここが違うんだってわかると。で「ここ撮り直してますけど,突っ込まないでね」っていうですね。こう演技をギャグにしてるというシーンですね。
■ 中級編
岡田斗司夫ゼミでは,6月21日はこの『バックトゥザ・フューチャー2』を丸々1回取り上げますので是非観てください。 じゃあ次はこのまま『バックトゥザ・フューチャー』の中級編に行きます。
✔ドックのガレージ
中級編では,まず最初の方で話したいのが,初球編の方で説明入らなかったんですけども,これドックのベッドです。ガレージの中で,ドックいないんですけど,一番最初にマーティがドックのガレージに行く前のシーンですね。カメラがガレージの中のいろんなものを動かして見せて,時計とか見せて,この細部に映るのがドックの枕元にある3枚の写真ですね。 トーマス・エジソン,ベンジャミン・フラン,アルバート・アインシュタインの写真なんですけども,これストーリーに関係する3人の科学者ですね。トーマス・エジソンは電気で発明して大儲けしたし,ベンジャミン・フランクリンは雷が電気だと証明した。で,アインシュタインは相対性理論でタイムマシンの基礎を作ったということになったんですけども。1955年に行ったら,この写真と,あとニュートンの写真がある。で,マーティンが「ドックはタイムマシーンを発明したんだ,ただそれを動かすには1.215ジゴワットの電力が必要なんだ」っていうと,ドックは「何て事だ! もうダメだ」って,豪華なブラウン屋敷を出てガレージに行く。豪華なブラウン屋敷からガレージへ逃げていくんです。で,そこでマーティーがガレージに行くと,ガレージの中にはいろんな発明品があって,この写真も並んでて,その中の写真に「教えてくれトム!」っていう風に言ってるんですね。「教えてくれ!どうすればいいんだ,1.21ジゴワットってそんな電力どうすればいいんだ?」ていう風にトムに言ってて,ドックがクルッと後ろ向くとそれがトーマス・エジソン(トム)だってわかるという,そういうギャグになってるんですよ。ただこれね,トムに訊くから間違いだったんですね。彼が訊くべきなのはベンジャミン・フランクリンだった。これギャグなんですよ。だからこれ横になってるわけですね。 訊く人を間違えたんです。エジソンに「どうやればそんな電力ができるんだ?」って訊いちゃったから分かんなかったんですけど,そん時に「教えてくれ!ベンジャミン」って言ってたら,最初から雷に気がついたはずっていうギャグをやるためだけにここにベンジャミン・フランクリン置いてあるわけです。 「教えてベンジャミン」て言ってたら,最初から雷に気がついたかついていたっていうギャグをやる。 普通ニュートン,エジソン,アインシュタインってあれば,もうそれでいいんですけども,ベンジャミン・フランクリン入れてるの何故だよっていうと,逆だったっていうことですよね。
✔『ブレイキング・バッド』
あと,これも無料の方では,ちょっと話がずれるので言わなかったんですけども,ドックは自分の家に放火して保険金を手に入れたり,リビアのテロリストに手を貸してプルトニウムを手に入れたりするマッド・サイエンティストですよね。で,このマッドサイエンティストと高校生という設定って,実はあの『ブレイキング・バッド(Breaking Bad)』と同じなんです。 真面目な高校教師ウォルター・ホワイト(Walter White)は,原爆開発で有名なロスアラモス研究所の研究員だったわけですね。 で,それ期待されたんでノーベル賞候補にもなりかけたんですが,ところが意地を張って,全てを捨てて高校の科学教師になってしまった。 しかし,貧困とあと自分自身が癌にかかってるのが分かって,前の自分の未来を変えようとしたんです。未来を回復するとこも同じなんですよ。 で,そこで相棒にとして目をつけたのがかつての生徒ジェシー(Jesse)っていう。このあのウォルター・ホワイトとジェシーの関係っていうのが,ドックとマーティンの関係にすごく似てるんですね。基本設定は似てるってか,ほぼ同じ。『バックトゥザ・フューチャー』のドックを主役にして,何も発明できなかった負け犬がウォルター・ホワイトで,そのウォルター・ホワイトが望んだ通り,未来は変わった。しかし,それが悪夢の始まりだったって,救いのない『バックトゥザ・フューチャー』が『ブレイキング・バッド』なんですけども。この辺のなんか,その後の世界に与えた影響ですか,『バックトゥザ・フューチャー』っていうのは,このキャラクターのコンビ組み合わせでいろんなドラマができるなっていう可能性を見せたので,その『ブレーキング・バッド』では採用されたんだという風に僕は思っています。
✔『デイビー・クロケット』
あと注目して欲しいのがレコード屋なんです。街のレコード屋。マーティーが過去から未来から来た時に一番最初に,映画館を見て映画館の次にレコード屋見るんですよ。 で,あの看板があって「the Ballad of Davy Crocket 」「16tons」ってあるんですけど,これもやっぱり意味があって。『デイビー・クロケット』っていうのはテレビ番組で,ディズニーで『デイビー・クロケット〜西部の開拓者』ってミニシリーズがあった。『the Ballad…』ってその主題歌なんですよ。 で,1955年っていうのをどういう風に表現しよう? で,楽なのはその当時流行ってたものとか番組とか見せちゃうことなんですけど,それやると権利処理が大変なんですよ。 できるだけ安く安全にやらなきゃいけないっていう風なことで『デイビー・クロケット』を見せる。 で,これ1955年っていうのはディズニーランドがオープンした年。 世界初のディズニーランドがカリフォルニアにオープンしたのが1955年7月夏なんですけども。 ディズニープロダクションは万年赤字だったんですけども,どうやってディズニーランドの資金調達したのか?っていうと,ABCテレビとの契約で『ディズニーランド』という番組を毎週放送すると。で,そのうちの一シリーズが『デイビー・クロケット』なんです。 で,『デイビー・クロケット』ものすごいヒットして,世界初の公式キャラクター商品が出た商品なんですね。 ディズニーが初めて公式キャラクター商品出して大儲けしたのって,ミッキーじゃない。ミッキーじゃなくて『デイビー・クロケット』なんですね。『デイビー・クロケット』でビーバーの帽子っていうのがすごい流行って,で,後にロレインの家に行った時に,ロレインの弟がずっと帽子かぶってて,お母さんに帽子剥がされて,また自分で被るという,そういうシーンがあるんですけど,それも全部『デイビー・クロケット』大好きだからなんですね。で,ディズニーランドって1955年にオープンしたんですけども,ディズニーの許可を取らずして,時代を出すというやり方が,この『デイビー・クロケット』の帽子とかレコードだったっていうことですね。
で,あとこの下の「16tons」っていうのは,これも1955年ビルボードのカントリーチャート1位の曲。アメリカのカントリーソングっていうのって,日本の演歌みたいので,すごい人気があるんですけども,『16tons』っていうのは懐かしいですよね。 映画『サウス・パーク』のシーズン22で出てきた,Amazonの配達のところで働かされてる男たちが,「今日も運ぶぜ6トン♪ 俺たちの生活に救いはない♪ 暗い穴グラで毎日毎日働かされただけの人生だ♪」みたいな『16tons』っていう歌なんですけど,これこの頃からブラックミュージックが若者文化に入り始めた。 1955年っていうのはその若者文化ができた年。マーティのお父さんの上司が,カフェに入ってミルクチョコレート注文して飲むっていうのはあるんですけども,それまでああいう場所っていうのは大人が入る場所で,若者は全員キッズって呼ばれてたんです。 つまり10歳だろうが15歳であろうが17歳であろうが全部キッズ。 それがそうじゃなくてティーンという存在があると。12〜20歳ぐらいまでの子供のことをキッズと呼ばずにティーンと読んでそういう文化があることを認めようっていうのがようやっと広まり出したのが,1955年あたり前後です。そこに大きい役割を担ったのはブラックミュージックでもあるので,この『16tons』が入ってきてるんですけど。
■ 上級編
✔ゼメキスとゲイル
次は作り手の話をします。すいません。ちょっと長くなります。 『バックトゥザ・フューチャー』って完璧な映画だと言われるけども,かなり矛盾があるというのは無料の方まで話しました。その矛盾の原因っていうのは,主に予算とスケジュールと,初期案の脚本がいくつもバージョンがあるからなんですよ。 で,予算が少ないのは,はっきり言っちゃって企画した時にロバート・ゼミキス監督の信頼度,ハリウッドのいわゆる業界内での信頼度がすごい低かった。まず『抱きしめたい』って映画,僕すごい好きな作品なんですけど,これがコケた。スピルバーグがプロデュースして作った,いわゆるアンブリンの制作なんだけども,スピルバーグは監督しない映画としてゼメキスはデビューしたんですけども,『抱きしめたい』って面白いけど,ヒットしなかったから,ゼメキスは所詮コネで映画やってコケたって思われた。その大学時代のお付き合いでスピルバーグのお友達だから仕事貰えたって言われた。 でも2本連続でヒットしなかったから3本続けてダメだったらもう永遠に追放されて,スペルバーグからも仕事ももらえなくなると分かってたんですね。 だから『バックトゥザ・フューチャー』の第一稿の,いわゆるあのブラウン博士が主役のバージョンの段階で,もうスピルバーグに見せてる。
そん時はスピルバーグ「面白いね!じゃあ俺プロデューサーやるから作ろうよ!」って言った時に,ゼメキスもゲイルのも心動いたんだけど,断ってるんです。 「君の下で3本目作って,これがヒットしなかったら俺たち終わりだろ?」って正直に訊いた。スピルバーグも「そうだね,これがヒットしなければ終わりだ」ってはっきり答えた。 ところが,そんな中奇跡が起きて。『ロマンシング・ストーン〜秘宝の谷』って映画,もう今憶えてる人いないんですけども,これすごい楽しい映画なんですよ。いわゆる,いかに安く『インディジョーンズ(Indiana Jones)』をできるかって映画ですけど(笑) ダニエルとデビーっていう小柄な役者さんが出てくる映画がヒットしたので,首の皮が繋がったんですね。 で「予算守ってヒット作が作れる作家だ」って言われた。ゼメキスもゲイルも,この呼び名がすごい欲しい。低予算でヒット出せるということは,以後ずっと職業監督としてハリウッドでは仕事が来るという事。たった一回メガヒットを出したら,確かに「予算無制限で」って言われるんですけど,それでダメだったらもう一生干される。じゃなくて堅実に毎年毎年映画作れるような監督になりたいと。だから「自分たち自身で『バックトゥザ・フューチャー』はスケジュールも最低限のものでいいからやらしてくれ」っていうのをいう。 彼ら別に大予算でやりたかったら,はっきり言ってスピルバーグの下で作ればよかった。そしたら3000万ドルぐらいは出たと思います。当時映画で3000万円ったら大作で,それで最終的に『バックトゥザ・フューチャー2』で5000万ドルとかに膨れ上がってきてるんですけども,割とそれに近いぐらいの金額をスピルバーグだったら出せたんですけど,それやっちゃうともう一生終わりなわけですね。
タイトな予算スケジュールで自分たちで作ろうと思ったんですけども,スケジュールはさらに過酷になっていきます。撮影開始が1984年11月26日。そもそも1984年11月26日開始で映画公開が1985年11月26日ってアメリカの独立記念日,翌年の独立記念日だから半年しか本当は撮影期間ないんですよ。 で,本当は4ヶ月で撮り終わる予定だったんですけども,撮影がお正月を過ぎた時期に,マーティ役をマイケルJフックスに変えてしまいました。 で,これはなんでかって言うと,やっぱりマーティの軽い感じっていうのはマイケルJフォックスじゃないとダメだというようなことで無理やり変えたんですけども。これでスケジュールが大幅に遅れ,マーティー役のマイケルはテレビシリーズ『ファミリー・タイズ』に出演して,そのテレビシリーズが主な仕事だったんですね。 『バックトゥザ・フューチャー』の仕事が入った時に出たいと思ったんですけど,いやテレビシリーズやりながら無理だと思って諦めた。マイクルJフォックスって映画の経験ないわけじゃないですよ。 『ティーン・ウルフ(Teen Wolf)』っていうタイトルで分かる通り狼男だけど,僕は10代だよっていうヤツで,こんな『バックトゥザ・フューチャー』みたいな面白い映画の話…スピルバーグでゼメキス監督の話が来たのに俺は狼男かよって思いながら,ままあまあ『ファミリータイズ』やりながらやってたんですけども。 でも別の役者で『バックトゥザ・フューチャー』やっちゃってた時に,なんか軽い面白さが出ないという風なことで。4ヶ月の撮影期間で1ヶ月半で交代させるって,本当に地獄なんですよ。 スケジュール遅れ るし,予算もスケジュールも最低限でいいって言ってたのをやり直しにするわけですから。で,じゃあ公開時期遅らせられるのかっていうと1985年が舞台で30年前に行く話だから85年っていうのは動かせないですよ。 だから,公開スケジュールもずらせないと。
でこの当時ですね。 ちょうどロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルですね。若い頃です。1971年に大学に入学しました。1971年に南カルフォルニア大学に入学しました。で,南カルフォルニア大学っていうのはまあの映画を作る上では名門校みたいなもんで,本当はスピルバーグもここに行きたかったんですけども,入学できなくて成績が足りなくて,南カルフォルニア大学に行った連中を羨ましく思って,しょっちゅう上映会にやっぱ顔を出したそうです。そこでゼメキスとボブ・ゲイルは出会って,あっという間に親友になりました。で,ボブ・ゲイルは脚本家志望だったんですけど,まずこのボブ・ゲイルの脚本家の腕に惚れ込んだのがロバート・ゼメキスなんですね。 で,「お前が書いた脚本を俺が監督するよ」と,もう一生これでいいよって位ゲイルの脚本に惚れ込んだんですね。 大学卒業した1975年『バックトゥザ・フューチャー』の原案が生まれます。だからもうかなり早かったんですよ。
映画公開の10年前に『バックトゥザ・フューチャー』の原案が生まれます。タイムマシンを発明した大学教授が未来へ行く話,これはまあの無料で行った通りタイトルは『ブラウン教授未来へ行く』っていう,すごいダサいタイトルです。すごいダサいタイトルなのには理由があって,1950年代から60年代,その時代にアメリカでは,ちょうどそんなタイトルの映画が流行ってたんですよ。『スミス都へ行く』とか『〇〇ワールドフェア行く』とかです。大体旅行もので『〇〇行く』っていうタイトルのものがやたらあったんですね。それから1975年から5年間,2人はもうずっとこのアイデアに夢中で,なんとか映画にしようとしたんですけど,ところがアイデア面白いのにシナリオにできない。映画ってやっぱりシナリオが7割なんですよ。面白いシナリオになるか。で,その1つのアイデアを登場人物を決めて,それから見たお話で1時間半から2時間の枠でちゃんとつないで映画にすることができるのかどうかって,話が面白いのと別問題なんですね。
で,シナリオにできない。その間に2人は,ボブ・ゲイルとロバート・ゼメキスさんですね。順調にハリウッドへデビューします。しかし,そのデビュー作でやったのが『抱きしめたい』『ユーズドカー』ですね。 つまり映画的にヒットしなかったんですよ。 映画的にヒットしなかったんですけども,アメリカの映画監督っていうのは,映画完成したらアメリカ全土キャンペーンで周らなきゃいけないんですね。で,いろんな町でサイン会とか講演とか映画館での挨拶とか,プレミア上映があったら絨毯の上歩くみたいなイベントとか,それ回らなきゃいけないんですね。ボブ・ゲイルは大学の間ずっと帰っていなかった田舎に久しぶりに帰ったんです。で,久しぶりに帰った田舎で地下室行ったんですよ。そうするアメリカの家の地下室っていうのは昔からのものをずっと置いてるんですけども,そこでお父さんの高校時代,高校の卒業アルバム見たんですよ。 1940年の卒業で「Class of June, 1940」ってある。お父さんマーク・ゲイルですね。 「President」ってあるので生徒会長です。これを見たボブ・ゲイルはものすごいショック受けます。 まず,お父さんにも若い頃があったんだと。知識としてお父さんが若い頃があって,だけどそれがよりよって生徒会長。生徒会長ってボブ・ゲイルが高校の時に友達に全くいなかったと。「俺が高校の時に絶対に友達にならなかったようなヤツが俺のパパだった,じゃあもし俺が高校の時に今戻れたら,1940年に戻れて,お父さんに会ってたら高校生のお父さんに会ったら友達になれるだろうか? お昔のお父さんに会って,自分は友達になれるかどうか?」このアイデアを掴んだ時にボブ・ゲイルは「これだ」と思ったんです。 で,慌ててハリウッドに帰ってきてゼメキスに会って,「俺たちがずっと考えてた『エメット教授未来へ行く』ってシナリオ,話違うんだよ,未来行くんじゃなくて過去に行くんだよ,タイムマシーン発明して過去に行くんだよ」っていう説明して「主人公は高校生で,高校生が過去に行って,過去の高校生の父親に会う話なんだ」っていうんですね。そうするとゼめキスが「うわーそれすごいじゃん,これだ! そういう風にすれば,おじいちゃんの発明家というか,中年の男の発明家が未来に行って,それで色々トラブルを起こるって話よりも全然映画にしやすい」と。したらゼメキスが「じゃあ俺も思いついた,じゃあ自分の父親が真面目でお堅い生徒会長だとしよう。じゃあ自分のママが,そのお堅いしょうもないつまんない中年女だと,魅力もない中年女性だと思ってた母親が女子高生だった頃,めっちゃエロかったらどうなの? でめっちゃエロい母親が,なぜか自分に惚れてすごい色々エロいことしてくれるんだけど,ちょっとこれってコメディにならない?」って言ったら,もう2人とも大爆場で絶対これだ! っていう風に言ったんですね。で,このままスピルバーグのところ持ってって「これどうすか?」って訊くとスピルバーグ「絶対,それ面白いよ!」っていう。 で「俺金出すから」って言うと,ここでボブとロバートは冷静になって「ちょっと待ってスティーブン,これめっちゃ面白いけどヒットかどうかわかんない。ここで俺らお前から金もらって,もしそこそこしかヒットしなかったら俺らの映画人生終わりだよね」って言うと,スピルバーグも真顔に戻って「うん,そうだね,君らは終わりだね」と。じゃあこのままコロンビアに持っていこうってことで,コロンビアへ持ってったんですけど。一応このそのゲイルがまず地下室でお父さんの写真を見つけて,それをゼメキスに教えて,ゼメキスがそれに乗っけたアイデアで,「お父さんが真面目な生徒会長だったら?,お母さんはエロい女子高生だったらどうだった? 」ってアイデア見つけたおかげで,ものすごい話が面白くなったわけですね。ところがボブ・ゲイルは,最初は自分のアイデア,1975年の時に思いついたアイデアにこだわってて,「過去に行ったとしても,過去を変えると,現代が超クールな世界になってる。例えば1955年,当初は1958年だったんですけど,過去に帰って色々やって過去を良くして戻ってきたら現代に戻ってきたら,もうそこら中モノレールとか空飛ぶ自動車がブンブンブン飛んで,ものすごい1980年になってる」っていうのに結構こだわったんですよ。ところが親友のゼメキスは反対するんですね。 とりあえず現代に戻ってきたら,すげえかっこいい世界になっていたよってSF世界になってたよっていうのはそれは金もかかるし,現実を否定する話になると。そうじゃなくて今の現実でいいんじゃないか?という風にみんなに説得されて,ボブ・ゲイルはしぶしぶ諦めたんですけど,これが『バックトゥザ・フューチャー2』のアイデアになったんですね。 やるつもりなかったんですけども,ユニバーサルから「お前ら抜きでもやるぞ」って言われて,じゃあしぶしぶやるかという時にボブ・ゲイルは「じゃあ元々の俺のやつやろうよ」と。「あの未来に行って車が空飛んでる世界に見せようよ」っていう風なことに繋がるんですけどもですね。
✔タイム・トラベルとコーラ
で結局,ここまでの段階で,高校生が過去に戻って自分の父親と母親に会うっていう話です。 で,これに興味でコロンビアっていうのは当時コロンビアという映画会社,当時,コカコーラ社の傘下だったんですね。コロンビアはコカコーラグループに買収されたんですよ。なのでコカ・コーラから条件が出ました。「タイムマシンの燃料はコカコーラにしろ」的に言われたんですね。とんでもない条件出されたんですよ。で,「それ無理だ」っていう風なことで話し合った結果,僕が考えたのがタイムマシの燃料はプルトニウムなんだけども「プルトニウムプラス何かがないと時間旅行できな」という,「なんとかそのその触媒となる物質Xを見つけなければいけない」。アルミニウムだろうか?それともマンガンだろうか?という風に,いろんな物質をプルトニウムの上に軽く塗ってやったんだけども,なかなかエンジンの効率が上がらない。リリー・スミスっていう第二次世界大戦前にアメリカで超ヒットした。 SF作家がいて,その人『レンズマン』とか『スカイラブシリーズ』ってSFシリーズ書いてて。で,そのシリーズで触媒Xっていうのが出てくるんですけど,それをそ触媒Xを使うことによって,全てのエネルギー効率が100%に上がると。いわゆる核分裂ですら物質の質量の10%ぐらいしかエネルギーに転換できないんだけど,この触媒Xを使うと100%の変化が可能になるになったんですよ。 だから,ドクターブラウンのモデルって,多分そのSF作家のE.Eスミスだと思うんですけど,この人も「Doc. Smith」と言われた人だから…まあまあいいや,話がちょっと反れた。でその触媒としてコカ・コーラを使う。 プルトニウムの上にコカ・コーラを偶然マーティーがこぼしたら,その瞬間にタイムマシンが作動した。 「これだ!」って言って脚本書いてやってたんですけども,シナリオが完全にできた段階で,まず配給を担当していたディズニーからクレームが来ると。「自分の母親とキスする映画にディズニーは金を出せません」っていうわけですね。まあまあ分かることなんですよ。 で,ディズニーが配給を断っちゃったおかげで,コロンビアはもう弱気になってしまって,これどうしようって話になったんですけども。
ただ,そのコカコーラでかなり設定作ってたんですよね。コロンビアが傘下にあることで,例えば1955年に戻って,「もう1回コカ・コーラかければいいや」と思ってかけたらタイムマシンが動かない。 なぜなら1955年のコカ・コーラは現代のコーラと違って,まだ成分に何か違うものが入ってるみたいですね。 すげェいいギャグあったんですけどこのギャグも使えなくなっちゃったんですよね。でまあまあ面白いアイデアやったんですけども,コロンビアが降りたので,コーラやめると。で替わりにペプシを出すことになったんですね。で,ゼメキスに「何故全部ペプシなんですか?」って訊くと,理由が「コーラっていうのはロゴがずっと変わんないから,コカコーラを画面に出した時にみんな,ああなんか今と同じじゃんと思ってる。でもペプシでは時代ごとにロゴがかなり違うから,50年代とわかってくれる」いう風に公式では言ってます。でも真相はこっちなんですよ。 元々はコカコーラでやって,コロンビア傘下でコーラで,燃料もこのコーラだったのが,ユニバーサルになったので,コカコーラ縛りが溶けたからっていうのが理由なんですね。で,コカ・コーラの出番がなくなったので,デロリアンは完全にプルトニウムだけで動かすことになった。
✔原作の設定
それのおかげで,慌てて「リビアのテロリスト騙して手に入れる」って下りを追加しなきゃいけなくなったんですね。で,これがもう撮影中の変更だったんですよ。 っていうのは,もうすでに一番最初に,マーティーが高校で授業を受けるシーンは撮ってたんです。で,マーティーが授業を受ける。それは何かっていうと高校で「1955年にネバダで核実験が行われた,で,当時は核っていうのはこんな風に考えられたんだけども…」,って「うわー,退屈な授業。1955年ね。核実験。ハイハイしょうもないな…」と思ってると,校内放送で,「マーティ君に家族から電話かかってるよ」。で行ってみたら,電話で「マーティ,今夜12時過ぎにツインパインモールのショッピングセンター来てくれ」って,ここで電話を受けるはずだった。で,これは何かっていうと,ラストでネバダの核実験場にタイムマシンでタイムスリップするっていうシーンが必要だから,これも撮影済みだったんですよ。 ところがネバダの核実験場に持っていくっていうのって,なんか実際そこでロケするのって大体100万ドルぐらいかるっていう風に言われたんですよ。多分全体のバジェットが2000万ドル程度なんです。 結局は2500万ドル程度なんで,100万ドルそこに使えないんですね。でもう映画のマネージャーから「ラストシーンの現代に帰るシーン,このオープンセットの中でなんとかできませんか?」って言われて「ちょっと待てよ…最後はルームス・シティと呼ばれているネバダの核実験場で,マネキン人形がそこら中にあって,みんな普通の生活してるところに核実験でビカって光って,そのエネルギーで未来へ帰るはずが,このセット内でどうにかしろってことで,しょうがなく考えたのが結局時計台に雷が落ちて,その雷の電力で帰るって話しだったんですね。ただ,その時計台にしても雷にしても,雷の電力で帰るにしても,全部映画を撮り始めてから出てきた設定なので,『バックトゥザ・フューチャー』って本当に,もう紆余曲折の末に奇跡のようにうまくできた映画なんですけども。
✔デロリアンの設定
だからコーラの出番がなくなったので,デロリアンはプルトニウムで動くことになって,で合わせてリビアのテロリストからプルトニウムを手に入れる下りが脚本で必要になって。で,そのリビアのテロリストと会うシーンとかも,撮ってる時間がないので,もう話の中でしか出てこないと。でプルトニウムが何故減ってるか?とかドックが何故25本くれたか?っていう,無料の最後で言った矛盾するシーンが結局残ることになっちゃったのが,こういうことだと思います。
で,1955年に行ったデロリアンをどうやって戻すのか?なんすけども。予算がかかりすぎるというのは,そこはいいでしょ。 本当にこれ時間なるなら偉いことになった。 結果として,僕は雷でタイムスリップすることにしてよかったと思うんですけどね。 でデロリアンです。 このデロリアンなんですけども,デロリアンのデザインは実は『エイリアンー魂の戦士』ですね。ノストルモ号の宇宙服をデザインしたロン・コブ(Ron Cobb)ですね。 ロン・コブがこれ,『バックトゥザ・フューチャー』のクレジットでデザインしてます。で,彼は,「デロリアン・タイムトラベル・コンサルタント(Delorean Time Travel Consultant)」というすごい名前になってるんですよ。 タイムトラベル・コンサルタントなんですよ。でロンコブはタイムマシンの機能まで全部決めたんです。デロリアンのそれぞれのこの装置は何をやってるのかも全部決めたんですよ。 だから映画のクレジットが「タイムトラベル・コンサルタント」になってるんですけど,例えばそのデロリアンが時間旅行から帰ってきた時,行く時は燃えるんだけど,帰ってくる時は液体窒素をかけてカチンカチンに凍りますよね。で,これもロンコブはちゃんと考えていて,前回僕が話したタイムトラベルの矛盾ですね。つまり現在からタイムトラベルしたらそこの地球の場所がもう変わってるから,そこはもう宇宙空間だ。ロン・コブこれ分かってるんですよ。なので,タイムマシンていうのが存在するとしたら,時間を移動した瞬間に,そこはもう宇宙空間で絶対0度だと。だからタイムマシンていうのは冷えていると。でその一度宇宙空間内で移動して,そこからさらにもう一回,本来に行くべき場所に移動するという意味です。二段階のトラベルを考えたんですね。映画の中で省かれてるんですけども,ロン・コブがデザインした段階のタイムマシンでは,タイムマシンは現実から行きたい時間の宇宙に移動して,その宇宙からもう1回現帰ってくるので,だからデロリアンのタイムマシンというのはカチンカチンコチンでくるっていう,そういう設定になってるんですよ。 なので凍ってるんですけども,パート2で未来から帰ってきたタイムマシンにドックは平気で手ついてる。これ何故かって言うと,パート2以降のデロリアンは再突入した後も凍ってないんです。 それは2015年の世界で改良を受けた,いわゆるエネルギーをミスターフュージョンにするのと同時に,再突入の時に1回1回,宇宙空間に出現して冷やされて,地球に移動するというプロセスなしのタイム・トラベル発明したから,こう手がちゃんと触ってるんだという,そういうしょうもない話もちょっとやりたかったのでやっときます。
✔レビッドタウン
うわァ,もうちょっとだけだ,限定もあと5分ぐらいですね。 すいません。であとライオン住宅地/リオン住宅地(Lyon Estates)ですね。これ,1985年にマーティーがキック・ボードで飛ぶアメリカの住宅地なんですよね。でもしかし,1955年に帰ると,そこは住宅街の門のライオンの台座があるだけで更地なんですよ。で,その後,マーティーは周りを見渡すと看板だけが立ってるんですね。 「Lyon Estates」って書いてあって「Life in the home of tomorrow(明日の住まい)」っていうようなことが書いてるんですけど,何故これを見せるのか?これ,この看板をマーティーが見てるし,見せるのはアメリカ人そして日本人の生活をを変えた出来事があったからなんですね。現実の話ですけども,第二次大戦の後,帰還した兵隊たちは一斉に結婚するわけですよね。1945年で結婚して家庭を持つんですけども,当時アメリカ軍の給料は安いから家買えないんです。で,なんとかそのアメリカの兵隊たちに家を与えるという国家からの命令もあって,いろんな不動産業者考えるんですけども,高くて買えないんですね。住宅不足というのもあるんですけど。でその彼らに家を与えるためのプロジェクトが,全アメリカ人の生活を変えた,今言ったアメリカ人の生活を変えて日本人の生活も変えた1957年のレビットタウン(Levittown)です。 レビッドタウン構想って,1951年ぐらいからずっと続いてるプロジェクトです。フォードの自動車,いわゆるアメリカで何故自動車が普及したのかというと,フォードがT型フォードを作ってベルトコンベアで自動車を作ることによって180ドルぐらいで自動車を作れたからなんですよ。で,レビッド・タウンというのはこれの住宅版で,家を同じようにベルトコンベアで作ろうと。ただ自動車はせいぜい2〜3mぐらいだからベルトコンベアに乗るんだけども,家をどうやってベルトコンベアで作るのか?っていうと,人間が移動すればいいんだ。 つまり家を何十軒も同時に建てると。その同時に立てる時に例えば1番最初の基礎をやる2人組が1軒目のところに行って基礎をやって,基礎が終わった瞬間に2軒目に移動して,それが終わったら3軒目に移動すると。で,そういうチームをいくつも作っといて「はい,お前基礎をやるだけ」「はい,お前壁建てるだけ」「はい,お前ドアつけるだけ」っていう風に人間を分担して,いわゆるベルトコンベア作業っていうのを街待全体にやろうとしたんですね。 だから大工さんていうのは,このレビットタウンでは2人1組で毎日毎日ここを回るっていう風に言われて,そこに行って特定の作業を2時間ぐらいしたら,隣の家で,同じことをやるというのを繰り返して,ものすごく安く家ができたんです。 これで郊外の街が出来た。レビッドタウンの写真ですね。もうこれ写真屋さんから買うしかなかったんで1360円払って買ってきたんですけども。ニューヨークの郊外に実在する街ですけど,こういう思想とか工法で作られたっていうのは大体全部レビットタウン。
レビットタウンは日本ではニュータウンという風に呼ばれて,例えばジブリ作品のふるさとの聖蹟桜ヶ丘とか,大阪で言えば千里ニュータウン。戦後の住宅開発の基本になった。 これが何故アメリカ人の日本人の生活変えたのかっていうと,これって郊外に作るしかないんですよ。 巨大な面積で同じ家ばっかりがひたすら並んでるからです。 ということは,家には巨大な冷蔵庫があって,そして全ての家にはガレージがついてて,全ての家に自動車があって…ということは,その自動車に乗って,お父さんは毎日毎日都会に出勤して,夕方家に帰ってくるお母さんは専業主婦として家でずっと家事をやる。で,子供はこの近くの学校に行く。 これが当たり前になったんですよ。で,今の僕らが当たり前だと思ってることは,この1951年〜1958年ぐらいのレビットタウンでできたんですね。家に専業主婦がいて,そして父親が働きに出るっていうのは日本でもアメリカでもそういう暮らしはあったけど,当たり前じゃなかったんですよ。まだまだ農業がメインで,父親も全部家で働いていて,子供が大きくなったらその家で働いて,そして勉強をお父さんとお母さんに見てもらって,週に1日か2日学校に行くというのが20世紀の初めのアメリカの当たり前だったんですね。週に5日学校に行くっていうのは決して当たり前ではなかった。第二次世界大戦前ぐらいになると,週に5日ぐらいアメリカでも学校に行くようになったんですけど,それが完全に固定化されて,今のその「男は会社に行って働いて,女は専業主婦になる」という,もう今じゃないんですけども,昭和の時代から平成の真ん中あたりまで,この世界でも常識思ってたものっていうのは,20世紀の半ば頃にこのレビットタウンでモデルになって,それが世界中に普及した結果,日本でも,これレビッドタウンというよりは団地という形になったんですけど,当たり前になって。でみんななぜかサラリーマンになる。僕の子供の頃の1965年ぐらいっていうのは,それぞれの家のお父さんの職業というのはすごい多様だったんですよ。 僕の家では,父親は学校の先生でしたし,僕の家の前に住んでいる佐野君の家のお父さんは表具屋っていって,ふすまとか畳を作る人だったし,家の近所でいわゆる会社勤めして働いてる親の子なんて,クラスに2人ぐらいしかいなかった。それぐらい職業は多様だったのが,どんどんどんどんニュータウンができてきて,みんなが同じような家に住むようになって,そしてみんなのお父さんはそれぞれ会社に行くのが当たり前になってきて,逆に言えば大学生が就職というのを考えるようになってきたというのは,1970年代以降の話だと思って下さい。これぐらい僕らの生活変わってきて,その変わってきた生活っていうのは,未だに僕らの考え方や価値観に影響を与えてる。 それがレジットタウン。
それから映画『ET』に出てくるレビットタウン。『ET』という映画でエリオット少年が住んでるのも,このレビットタウンです。 ひたすら同じような家が並んでるところで,裏に森があって,で,そこで宇宙人と出会って…って話でしたし,あと『シザーハンズ』っていう80年代のハリウッド映画も,あと『ホーム・アロン』もそう。 それに出てくる家も全てこのレビットタウン。だから,1955年にタイムスリップする映画で,まず実はかつて住んでる住処ですね,家に行ってみたら何もなくて,そこにこの「未来の住処」って言ってる,なんか1985年には汚らしい貧乏人が住むところだと思ってたのが,昔に行ったらそれは理想の夢の住処だっていう風に思われてたっていうのが,めちゃくちゃキャッチー。ハリウッド映画って娯楽大作の大衆映画のくせに,ここまで深い内容を見せるんだなと思って,ちょっと僕はゾクゾクという風にしました。え,今日の限定はここまでにしたいと思います。お疲れ様でした。
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✔ロバート・ゼメキス
ロバート・ゼメキスは,アメリカ合衆国出身の映画監督,脚本家,プロデューサーです。1952年5月14日,イリノイ州シカゴで生まれました。南カリフォルニア大学で映画を学び,卒業後は脚本家として活動を始めました。1980年,『ユーズド・カー』で映画監督デビュー。1984年には『ロマンシング・ストーン/秘宝の谷』でヒットを記録しました。
1985年,マイケル・J・フォックス主演のSFコメディ映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を監督し,世界的な大ヒットとなりました。
その後も,『ロジャー・ラビット』,『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』,『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』など,話題作を次々と発表しました。1994年には,『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー監督賞を受賞しました。
2000年代以降は,『キャスト・アウェイ』,『ポーラー・エクスプレス』,『フライト』など,様々なジャンルの作品を手がけています。
また,プロデューサーとしても数多くの作品に関わっており,その才能は多岐にわたります。
ロバート・ゼメキスは,常に新しい映像技術に挑戦し,観客を魅了するエンターテイメント作品を作り続けています。
代表作としては,以下の作品が挙げられます。
* バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ
* ロジャー・ラビット
* フォレスト・ガンプ/一期一会
* キャスト・アウェイ
* ポーラー・エクスプレス
* フライト
最新作は,2025年4月4日公開予定の『HERE 時を越えて』です。
✔ボブ・ゲイル
ボブ・ゲイルは,アメリカ合衆国の脚本家,映画プロデューサーです。
1951年5月25日,ミズーリ州セントルイス生まれ。南カリフォルニア大学で映画を学び,卒業後はロバート・ゼメキスと共に脚本家として活動を始めました。
1980年,『1941』で脚本家デビュー。1985年には,ゼメキスと共に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の脚本を手がけ,世界的な大ヒットとなりました。その後も,『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』,『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』など,シリーズ全作品の脚本を担当しました。
また,プロデューサーとしても活躍しており,『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ以外にも,『ロジャー・ラビット』,『フォレスト・ガンプ/一期一会』など,数多くのヒット作品に関わっています。
2001年には,『アメージング・ハイウェイ60』で映画監督デビューも果たしました。
ボブ・ゲイルは,エンターテイメント性の高い作品を数多く手がけており,観客を魅了するストーリーテリングの才能に定評があります。
代表作としては,以下の作品が挙げられます。
* バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ
* ロジャー・ラビット
* フォレスト・ガンプ/一期一会
* アメージング・ハイウェイ60
✔ロン・コブ
ロン・コブは,アメリカ合衆国出身のオーストラリアのアーティスト,漫画家,映画のプロダクションデザイナーです。
彼は,反体制的で政治的な内容の漫画や,以下を含むいくつかのSF映画のデザインへの貢献で知られています。
* エイリアン (1979)
* スター・ウォーズ (1977)
* レイダース/失われたアーク《聖櫃》 (1981)
* バック・トゥ・ザ・フューチャー (1985)
* トータル・リコール (1990)
コブはまた,環境運動で広く使われるようになったエコロジーシンボルもデザインしました。
彼は2020年に83歳で亡くなりました。
✔レビットタウン
レビットタウンは,アメリカ合衆国ニューヨーク州のロングアイランドに存在した,大規模な郊外住宅地開発プロジェクトです。1940年代後半から1950年代にかけて,デベロッパーのウィリアム・レビットとその息子たちによって建設されました。
レビットタウンは,第二次世界大戦後のベビーブームと,郊外への人口移動の波に乗って,急速に発展しました。大量生産方式を採用することで,手頃な価格で住宅を提供し,多くの人々が郊外での生活を始めるきっかけとなりました。しかし,レビットタウンは,いくつかの社会的な問題も抱えていました。その一つが,人種差別的な住宅販売政策です。レビットタウンでは,白人以外の住民の入居を拒否しており,人種間の不平等を生み出す要因となりました。また,レビットタウンは,画一的な住宅デザインや,自動車中心の都市構造など,当時のアメリカ社会の課題を象徴する存在としても議論されています。レビットタウンは,アメリカの郊外住宅開発の歴史において,重要な役割を果たした一方で,社会的な課題も提起した,複雑な側面を持つプロジェクトと言えるでしょう。
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✔映画『ユーズド・カー』
映画『ユーズド・カー』は,1980年に公開されたアメリカのコメディ映画です。ロバート・ゼメキスの監督デビュー作であり,カート・ラッセル,ジャック・ウォーデン,ゲリット・グレアムなどが出演しています。
・あらすじ
舞台はアリゾナ州の砂漠地帯にある中古車販売店。ライバル店の店長であるロイとルディは,互いに客を奪い合おうと,あの手この手の策略を巡らせていた。そんな中,ロイが事故死してしまう。ルディは,ロイの双子の兄弟であるフレッドを呼び寄せ,ロイの死を隠蔽しようとするが…。
・見どころ
* 破天荒な中古車販売合戦: 互いを出し抜こうとする登場人物たちの,なりふり構わない攻防が笑いを誘います。
* カート・ラッセルのコミカルな演技: 巧みな話術で客を丸め込もうとする,主人公ルディを演じるカート・ラッセルの演技が光ります。
* ロバート・ゼメキスの初期作品: 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズで知られるロバート・ゼメキスの,初期の作風を垣間見ることができます。
その他
* 脚本は,ゼメキスとボブ・ゲイルが共同で執筆しました。
* スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めました。
* 1980年のシカゴ映画批評家協会賞で,助演男優賞(ジャック・ウォーデン)を受賞しました。
中古車販売業界の裏側をコミカルに描いた,ロバート・ゼメキスの初期作品『ユーズド・カー』。ぜひ一度ご覧ください。
✔テレビ番組『デイビー・クロケット〜西部の開拓者』
『デイビー・クロケット〜西部の開拓者』は,ウォルト・ディズニーが製作したテレビ番組,および映画です。
概要
* 1954年から1955年にかけて,ディズニーのアンソロジー番組『ディズニーランド』内で放送されました。
* アメリカ合衆国の西部開拓時代を舞台に,実在の人物デイビー・クロケットを主人公とした物語です。
* フロンティアでの冒険やインディアンとの交流,アラモの戦いでの壮絶な戦死など,彼の波乱万丈な生涯を描いています。
* 全5話が製作され,いずれも大ヒットしました。
* 番組内で歌われた「The Ballad of Davy Crockett」も大流行し,ビルボードチャートで1位を獲得しました。
主人公
* デイビー・クロケット:実在したアメリカの英雄。開拓者,軍人,政治家として活躍しました。
* フロンティアでの生活,インディアンとの交流,アラモの戦いでの戦死など,数々の伝説的なエピソードを持っています。
キャスト
* デイビー・クロケット:フェス・パーカー
その他
* 『デイビー・クロケット』シリーズの大ヒットにより,デイビー・クロケットは子供たちの間で大人気となりました。
* 関連グッズも多数発売され,社会現象を巻き起こしました。
* 1955年には,2つのエピソードを再編集した映画『Davy Crockett, King of the Wild Frontier』が公開されました。
* ディズニーランドには,デイビー・クロケットをテーマにしたアトラクション「デイビー・クロケットのカヌー探検」があります。
関連情報
* デイビー・クロケット - Wikipedia: https://en.wikipedia.org/wiki/Davy_Crockett
* デイビー・クロケット - ディズニー データベース - atwiki(アットウィキ): https://disney.fandom.com/wiki/Davy_Crockett
ご興味があれば,これらの情報もご参照ください。
✔テレビ番組『抱きしめたい』
『抱きしめたい』(1979年,監督:レスリー・H・マーティンソン)
アメリカのテレビ映画で,日本では『燃えつきた青春/ザ・バディ・ホリー・ストーリー』の邦題でビデオ発売されました。
・あらすじ: 1950年代後半のアメリカを舞台に,ロックンロールの黎明期を駆け抜けた歌手バディ・ホリーの短い生涯を描いています。
キャスト: ゲイリー・ビジー,ドン・ストロード,チャールズ・マーティン・スミス
✔テレビ番組『ブレイキング・バッド』
『ブレイキング・バッド』は,アメリカで制作されたテレビドラマシリーズです。
・概要
* 2008年から2013年にかけて,全5シーズン62話が放送されました。
* 主演はブライアン・クランストン,共演はアーロン・ポール,アンナ・ガンなど。
* 舞台はアメリカ合衆国ニューメキシコ州アルバカーキ。
* 高校の化学教師ウォルター・ホワイトが,末期がんを宣告されたことをきっかけに,麻薬の製造・販売に手を染める姿を描いた作品です。
あらすじ
平凡な高校教師ウォルター・ホワイトは,肺がんで余命わずかであることを知ります。家族に財産を残すため,彼は麻薬組織と手を組み,高純度のメタンフェタミンを製造・販売することを決意します。
ウォルターは,かつての教え子であるジェシー・ピンクマンをパートナーに,裏社会でのし上がっていく中で,次第に狂気に染まっていくのでした。
・見どころ
* 緻密な脚本と演出: スリリングな展開,予想外の出来事,そして深みのある人間ドラマが,視聴者を惹きつけます。
* ブライアン・クランストンの演技: 温厚な教師から冷酷な犯罪者へと変貌していくウォルターを,ブライアン・クランストンが圧倒的な演技力で演じます。
* 個性的なキャラクター: ウォルター,ジェシーをはじめ,ハーブ,マイク,ガスなど,魅力的なキャラクターたちが物語を彩ります。
* 社会問題への言及: 麻薬,貧困,家族,そしてアメリカ社会の光と影を描き出し,視聴者に深く考えさせます。
・受賞歴
* エミー賞: 作品賞 (ドラマ部門) を2回,主演男優賞 (ドラマ部門) を4回,助演男優賞 (ドラマ部門) を2回,助演女優賞 (ドラマ部門) を1回,脚本賞 (ドラマ部門) を2回受賞
* ゴールデングローブ賞: 作品賞 (テレビドラマ部門) を1回,主演男優賞 (ドラマ部門) を1回受賞
その他
* 『ブレイキング・バッド』は,テレビ史に残る傑作ドラマとして,世界中で高い評価を受けています。
* スピンオフ作品『ベター・コール・ソウル』も制作され,人気を博しています。
* 2019年には,続編映画『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』がNetflixで配信されました。
ぜひ一度,『ブレイキング・バッド』をご覧ください。
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