2024年6月8日土曜日

[レビュー][市場] 映画『ファウンダー(Founder)』レビュー〜ハンバーガー帝国の歴史/岡田斗司夫ゼミ





[レビュー][市場] 映画『ファウンダー(Founder)』レビュー〜ハンバーガー帝国の歴史/岡田斗司夫ゼミ
岡田斗司夫: 映画『ファウンダー(Founder)』レビュー〜ハンバーガー帝国の歴史
2024.6.1   
6月1日の限定解除は,お便りコーナーからリクエストあった『ファウンダー〜ハンバーガー帝国の秘密(Founder)』という映画についての解説動画です。皆さんも,もし限定解除してほしい動画があったら,お便り投稿フォームからリクエストしてください。
ってことでこんばんは。岡田斗司夫です。「ファウンダー」っていうのは創業者という意味です。企業とかを立ち上げた人ですね。創業者 というのは、この場合は世界最大のハンバーガーチェーンであるマクドナルドが,どのように大きくなったのかというのを描いた映画です。マクドナルド創業の立役者であるファウンダー/創業者レイ・クロックという人の自伝をもとに作られてます。レイ・クロックっていうのは,結果的に本当の創業者のマクドナルド兄弟から店のシステムとマクドナルドという名前を奪うことになる人物です。つまり勝負に勝った人が書いた自伝が映画版のシナリオなんですけども,それが原作にもかかわらずレイ・クロックに対してもちゃんと批判的に書いてる。ここがまァ売りなんですね。この映画では,そのレイ・クロックという人物を 単なる努力の末に成功した男でも,ずる賢く上手くやってマクドナルドを奪い取った男でもなく,かなりいろんな角度から光を当てて描いてるんですね。現在でもU-Next やHULUで見放題なので映画としておすすめです。ぜひ観てください。
今日公開する限定動画は7年前の動画なんですけど,7年前の動画で予想したことの答え合わせが 2024年の今になってもまだできないというのも,予想できなかったですよね。この動画は2017年8月6日に配信した岡田斗司夫ゼミ第190回を限定部分まで含めて無料配信します。それでは6月8日までの1週間になりますけども限定解除動画スタートです。
■映画『ファウンダー』が描くマクドナルド黎明期
『ファウンダー(Founder)』という映画のパンフレットがこれなんだけど,おしゃれだろ。表紙全面がポテトで,上がこういう風にカットしてあるっていう。元々この映画,マクドナルド・ハンバーガー帝国の秘密っていうヤツなんだけども,原作は『成功はゴミ箱の中に』っていうレイ・ク ロックっていうマクドナルドを巨大な企業にしたおじさんの自伝があるんだよ。俺はAmazonでそれ買ったんだけど,調べてみたら僕がそれ買ったのが2007年。もう10年ぐらい前に買った本で,もう処分しちゃって今は手元に置いてないんだけども,読んで覚えててて。それでああ面白いなと思ったから映画になるので 先週すごい楽しみして観に行ったんだ。
でメチャメチャ面白かった!というのは,その『成功はゴミ箱の中に』っていう原作は,あくまでレイ・クロックっていう,その企業を大きくした側からしか書いてないんだよね。でもマクドナルドっていうのは もともとカリフォルニアのちょっと田舎のサンバーナーディーノ(San Bernardino)っていう街があるんだよ。昔アメリカに行っておもちゃとか買い付けてきた時に,サンバーナーディノのトイザらスまで行ったことがあるから,ギリギリ行ったことがあるんだけど,割と田舎だよね。東京でいうとどの辺かな…八王子とかの辺だと思ってくれればいいし,大阪だったら岸和田ぐらいかな?なんかその辺のちょっと田舎感があるところだから,割と思い切って行かないと行かないぐらいの地方都市だという風に思ってくれ。そこのマクドナルド兄弟,マックとディックっていうねお兄さんと弟の2人でやってるマクドナルド兄弟が本当に個人店でやってる店のマクドナルドを,レイ・クロックが「これをフランチャイズさせてくれ」っていう風に本当に土下座するようにして頼んで,で結局2人の店を乗っ取っちゃったっていう,いわゆる悪い人の話みたいな感じで映画は作られていると。でもともとのこのマクドナルドの兄弟の遺族がまだ残ってたんで,そこに行ってものすごいインタビューして。で当時の資料とか残ってたんで,それを総合して「初めてレイ・クロック側だけでなくてマクドナルド兄弟側から見たこのハンバーガー帝国の裏がわかりますよ」というのが 今回『ファウンダー』っていう映画のキモなんだよね。
話は1954年。 レイ・クロックっていうおじさんは「マルチ・ミキサー」っていうミキサーの販売員。マックシェイクみたいなバニラシェイクを5つ同時に作れるミキサーを売ってた。でも,どこに売り込んでも「そんなシェイクとか,そんなに売れるもんじゃないから一つで十分だよ」とかいう風に言われたんだけど,「これで5ついっぺんに作ったらどんなすごいことになるか想像してください,どんどん 客が来ます」って言ったら「お店の在庫が残るだけだ」っていう風に冷たくあしわれて全然売れなかったと。でもう売れなくて売れなくて困ってるところに,いきなり電話かかってきて。いきなりカリフォルニアのお店が8個注文だ。1個売るのも苦労してんのに1つの店で8個もこのマルチミキサーを注文したと? え?ちょっと待って?と。一つのミキサーで5つ作れるので8個ってことはその店はミルクシェイク/マックシェイクを40個常に作るぐらい繁盛してるのか?ってレイ・クロックは初めて知って。で,クロックがそのサンバーナーディノの店にまで行くところから映画が始まるんだけども。
まァそこの店に行くシーンまでに,その売ろうとしてる店が面白いんだよ。そのマクドナルド以外の当時のハンバーガー・ショップっていうのは,とにかく店員さんがローラースケート履いた例の女の子。ミニスカート履いてローラースケート履いた女の子がドライブイン・レストランみたいな所にいる。パーキングに車が停まってて,女の子がそこに行って次々と注文取って,でお盆みたいに見えるんだけど,あれはテーブル なんだよね。このハンバーガーを載せたテーブルを車まで持っていって,車のドアの縁にガチャって乗せる。でもこれってカッコよく見えるけど,実際オーダーしてから届くまで30分位かかるし,注文間違えも多いし,ウェイターの女の子はチップで生活してたから,チップ要求されて,楽しくない場所だった。当時のアメリカ人は,車で移動する時はそういうドライブインを利用するしかないから,利用してた。かなりヤンキーのお兄ちゃんは年がら年中そういうドライブイン にたむろして,ローラースケートの女の子を引っ掛けて,タバコ吸ったり酒飲んだり非合法なドラッグ やったりして,とにかくそういう若者が店の周りにガーっと乞食みたいに群れてて,で家族連れたちは必要に応じてしょうがないから長い時間待って待って,やっと注文取られてチップも取られて。でパサパサのハンバーガー食べるっていう,本当にそういう場所だったんだ。
それを散々書いた上で,レイ・クロックが初めてマクドナルド行ったら,ものすごい清潔でもうガラス張り。店が全部ガラス張りで厨房まで全部見えると。それをそれまでのハンバーガー店って,厨房を徹底的に隠したんだけど,厨房が全部見えて全員がものすごいダンスしてるみたいに美しく動いてて,ですごい行列できてんだ。でゾッとしたら,前並んでる人から「すぐだよ」と言われた。で「えェ?」と思ったら,その大行列がものすごい速度で前に進む。んでそのクロックの順番が来て。「はい,何を注文しましょう?」っていう風にお兄ちゃんに笑顔で言われて,周り見たらタバコのゴミ一つ落ちてない。そこで「じゃあ ハンバーガーとフライドポテトとあとコーヒーくれ」って言ったら,言った瞬間に出てくるんだよね。これまでオーダーしてから30分なのに,行った瞬間に出てきたから,どうなってんの?と思って,店の奥見たらすごい勢いでハンバーガーが作られて,それがストックの所にドーンとくるんだけど,来た瞬間からどんどんどんどん取られてくから,本当に出来立てのハンバーガーがオーダーした瞬間に出てくるって事なんだ。「え?ナイフとか皿とかないの?」って訊いたら「そのまま食べてください」。「どういうこと?」って訊いたら「そんな皿とかいらないでしょ,紙に包んでるからそっから食べて,食べ終わったらそこにゴミ箱あるから捨ててください」って言われて。そんな店,誰も想像もしてなかった。そういう時代なんだ。「この紙袋の中に入っててこん中にあるポテトも紙に包まれているよね。ハンバーガーも 紙に包まれている。これが実はこのまんま皿の代わりになっていて,開けて食べたらこのまま捨ててもいい。この画期的なシステムを考えたのがマクドナルド兄弟だった。これだったら確かにゴミも出ない。すごい…」っていう風に レイ・クロック思って,もうこいつらと一緒に商売したい。
あとその映画の中で書いてなかったんだけども,一番すごかったのがフライドポテトなんだって。フライドポテトって10セントしかしないのにマクドナルドのフライドポテトってやたら美味くて。でクロックは「頼むから1回晩御飯一緒に食べよう」って言って,兄弟誘って,どんな風にしてこの店作ったのかということで,この店のメイキングみたいなのを訊くんだ。で,まァもともと最初は他の商売してたんだけどうまくいかなくてハンバーガーショップ始めたんだけども,ハンバーガーショップを一番最初にやった店がうまくいかなかった。なので徹底的に作り替えた。まずテニスコートを使ってない時に借りて,テニスコートの上にチョークで厨房の大まかな 配置を描く。ここでハンバーガー 焼くとか,ここでケチャップ載せるとか,ここで挟むという風な大まかな配置をチョークでガーっと描く。そこに店員を集める。「はい,みんなそれで動いてくれ」って言って ハンバーガー作らせる。そうすると交通渋滞が発生するんだよね。で「違う違う違う違う…」って,どんどん配置変えて,ついには最後に店舗の理想の配置が出来る。でも全員ハンバーガー作るののベテランの店員ばっかり連れてきたからさ,みんなバーチャルでエアハンバーガー作りを,すごいみんな正確にその通りやる。で全員が無駄なく動ける配置をついに見つけた時の弟の嬉しそうな顔というのがあるんだけど。
でレイ・クロックはすっごい感動して「フランチャイズやらせてくれ」って言って。そしたらその兄弟がすごい気まずそうな顔して「いや…実は過去にやったんだよ… 7店カリフォルニアで出店した」「どうなった?」「いや全部ダメだった」と。もう俺たちが思ってるようなレシピを再現してくれないと。俺たち兄弟が毎日出勤して,毎日ゴミ捨てして,毎日ゴミ掃除してうるさいほど言ってようやっと品質が守られると。例えばこのマクドナルド・ハンバーガーの上に乗せるものは正確に決まっていると。何かって言うと、このハンバーガーのパテの上にはケチャップとマスタード,あとこの細かく刻んだオニオンしか乗せちゃいけない。ピクルスは正確に2切れだと。今は1切れになってるね。当時は2切れだったんだ。3切れでもいけないし1切れでもいけない。2切れっていう風に正確に決まってる。これを守らせるというこの単純なことができない。なので7軒あったんだけども,全部うまくいってないという風に兄弟は決まり悪そうに言う。レイ・クロックが「俺だったらできる」と言う。俺だったらそれを完全に守らせてみせるよと。で兄弟が全然信用しないけど「ただでもやらせてくれ」と言う。レイ・クロックはハンバーガーショップやりたいというのもあるんだけども,同時にこれだったら ミルクシェイクが飛ぶように売れるから,絶対に俺のマルチミキサーも売れるっていう風に思ってやったんだよね。
で最初はそういうわけで,このマクドナルド兄弟とレイ・クロックってめちゃくちゃ仲良かった。関係良かった。だってレイ・クロックにしてこのレイ・クロックが本当に店作った時に,毎日毎日全てのチェーン店に出勤して鬼のように見て朝一番に店に行って,まず掃除して全員違う違う違う違う 違うと怒りまくって,マクドナルド兄弟の分身みたいにして。でマクドナルド兄弟の方は「自分の店1軒だけでいいじゃん」っていう思いはあった。その1軒の店って自分の家の向かいにあるんだよね。自分の家でも向かいにある店に出勤して,店員 監視してりゃいいんだけど,レイ・クロックはいきなり1ヶ月のうちに7軒オープンして。 その7軒全部見て待って「違う違う違う」って全部やってヘトヘトになりながら働いたんで,なので関係すごくうまくいってた。
ところがマクドナルド兄弟は西部で店やってたんだよ。つまりカリフォルニアで。ところがレイ・クロックっていうのは自分の地元の。シカゴで店開いた。シカゴで店開いたから,カリフォルニアと気候が違う。気候が違うと何が違うのかというと フライドポテトが同じ品質でできない。なんでかって,カリフォルニアではマクドナルド兄弟は外に置いてあるポテト桶みたいなところにポテト置いとくだけで実は乾燥するんだよね。だから1ヶ月ぐらいポテトを外に置きっぱなしでフライにしたら,めちゃくちゃカリカリに揚がるんだけども,ところがシカゴの寒冷な気候では,マクドナルド兄弟がやったのと全く同じことをしても全然ポテトは揚がらない。レイ・クロックは散々悩んでポテト置いてある箱の周りに扇風機をいくつも置いて,風をブンブンブンブン通すことによってポテトを乾燥させたって。これは映画に書いてないけどさ。俺思わずレイ・クロックの自伝をもう1回読んで,やっぱりすごい工夫したなって思った。そうやってマクドナルド兄弟の味に近づけるというすごい 働きをしたんだ。
でもそういうこと…例えば扇風機をつけるにしても,何にしても全部マクドナルド兄弟の許可が必要でそれを許可してくれないんだよね。っていうのはマクドナルド兄弟は自分たちでチェーン店を拡げて収入を増やしたかったんだけども,自分たちのやり方を変えるのすごい嫌がった。レイ・クロックが「これ現場ではこうなんだ,アメリカは都市によって気候が違うからこうなんだ」っていうのを一切聞いてくれない。おかげで店舗建て増してやるのもいちいち契約書通りにやらなきゃいけないから,レイクロックは倒産寸前にまで追い込まれるんだよね。でもマクドナルド兄弟はどんなにそのレイクロックから電話かかってきて「このままでは俺倒産しちゃうよ,頼むからちょっとここだけ妥協してよ」って言っても「契約書,契約書,…」って契約書を盾にしてめちゃくちゃ冷たくあしらったんだ。それでレイ・クロックもブチッと切れちゃって。じゃあお前らが契約書って言うんだったらということで マクドナルドの商売全体,店全体まで全て乗っ取ろうとするっていうのが,映画のクライマックス。結局はマクドナルド兄弟は全部奪われて,その代わり1人当たり135万ドルっていう,ハンバーガーショップやってたら彼らがあと100年やっても貯められないぐらいのお金をもらったんだけども。それで全てマクドナルドの名前さえ奪われて2人はその店さえできなくなって「ビッグバーガー」って店 作って,それが4年で倒産しちゃうんだけども。
映画サイトとかのこの『ファウンダー』の感想を見たら,「 気分悪くなった」とか「純粋なクリエイターをあの悪い奴が騙す映画ですね」っていう風に書いてて。もう俺「お前ら頭悪いよ,お前ら何観てんだ」と。「俺みたいに原作読め」とは言わないんだけど,行間読んでよって。何故この嫌な奴,あの2人を兄弟2人からマクドナルドを奪うようなヤツを主役にしたのかって監督のメッセージとかわかんないのかよって。これを主役にしたのはそれなりの理由がちゃんとあって,何故かっていうと,でもマクドナルド兄弟のやり方だけだったら多分未だにハンバーガーっていうのは世界中に広まってない。地元で7軒の店もできなかった兄弟なんだよ。それをレイ・クロックがたちまちのうちにアメリカ中にやって,おかげでこの紙だけで包むハンバーガーのシステムとか,アメリカ中にあったドライブインでパサパサのハンバーガーを30分待って食うっていう状況が劇的に改善されたんだけど,そういうメリットの部分を観ずして,「いやいやいや純粋な人が騙されて騙されて…」って騙されてない,135万ドルもらってるからって思うんだけどもさ。なんかやっぱりレビューとか読んでるとちょっと大人っぽい観方する人は「現実は切ないよね」って書いてくれてるんだけども。まあ観る人を選ぶ映画だよね。
で岡田斗司夫の観方,この映画の観方なんだけど…ごめんな,延長してしまって。あの映画で書いてない部分っていうのをちょっと語ってみると,さっきも言ったようにマクドナルドの成功の秘密はこのポテトなんで,で単行本でもレイ・クロックの単行本でもポテトの作り方っていうのが書いてあって,マクドナルドの初期のポテトっていうのは,生のポテトの缶をまず数週間乾燥させると。で皮を薄く剥く。ちょっとだけ皮が残ってる方が美味しいから。それをカットした後,冷たい水に入れる。20〜30分入れるんだ。それをガーっと我慢して手で掻き回す。そうやっていくと水がみるみるみるみる真っ白になる。これ何かっていうと,ポテトのでんぷんが抜けていくんだよ。マクドナルドのポテトの美味しさって,実はポテトからでんぷんを抜くっていう,栄養を抜くことによって出来てるんだけども,ガーっと掻き回して真っ白になったら,そしたら ポテトを引き上げて,次は水でざーっと洗ってさらにでんぷんを抜くと。それぐらいするとようやくとポテトがベチャベチャじゃなくなってカラッと揚がるんだ。これがマクドナルドハンバーガーの秘密だって。これが味の秘密なんだよね。
で映画の中で所謂マックシェイクの替わりに粉末シェイク使おうって提案するシーン。 シェイク維持のためのウォークイン冷凍庫の電気代だけで月何百ドルの経費がかかると。これがもうあまりにも店の経営を締め付けて苦しいということで,マクドナルド兄弟に頼むんだけど,味も全く同じだと言うんだけど,兄弟は絶対に粉末シェイクなんか使わないと。そうじゃなくてミルクシェイク…アイスクリーム をちゃんと使うんだって言って聞かない。冷凍庫をちゃんと持っとけていう風に言ったんだけども,レイ・クロックは,結局マクドナルド乗っ取ってからは,全部粉末シェイクに変えちゃうんだよな。こういうのがやっぱり嫌がる人はすごく嫌がるんだけども,ここが映画の観せどころで,もともとミルクシェイクのミキサーを売ってた男が,最後にビジネスのために粉末シェイク にしちゃうっていう本末転倒が起こってるところで,実はそのレイ・クロック自身も,初期のこんなものをやりたいという理想がいつのまにかビジネスのために大きく狂ってるっていうことが本人も気が付いてないっていう伏線が映画の中で綺麗に生きてんだよね。
で粉末シェイクにしたから,これでようやっとウォークインの冷凍庫が撤去できたのかというと,結局そうじゃない。結局冷凍庫が復活しちゃう。何でかって言うと シェイクのためじゃなくて,その後でマクドナルドの中で一番美味しく作るはずのポテトを冷凍に変えちゃったんだよね。それまで店で一つ一つじゃがいもカットして,20分冷たい水の中でぐるぐるぐる掻き回わして,でんぷんを落とすことによって作っていたフライドポテトを,店の外のファクトリー工場で切って冷凍して,店まで持っていく。ハンバーガーのパテも店で処理するんではなくて,セントラルキッチンで調理済みのパテにしてそれで持っていく。そのためにマクドナルドはシェイクのためじゃなくて,結局冷蔵庫冷凍庫を大量に用意しなければいけなくなったので,粉末 シェイクをやめてもう1回マクドナルドにアイスクリーム・シェイクが戻ってきた。映画のエンディングテロップで「マクドナルドは粉末シェイクを数年後に辞めた」って出てくるんだけど,それは理由が違うんだよ(笑) なんかまるで映画観てたら「マクドナルドは反省して,ちゃんと今はアイスクリームのシェイクです 」って言ってるような。一番大事なこと言ってない。お前らの店の一番の売りは ポテトで,そのポテトに手を抜いたから,シェイクも復活しただけじゃんか(笑)っていうのが まァ俺の観方です。マクドナルドはシェイクの味を守ったんだけども,客が何より求めたポテトとか,ジューシーなハンバーグのパテ,これは永遠に失ってしまったというのが映画では書いてないですね。
実はマクドナルド帝国,こういう帝国ができたっていう裏はもっと深い話があるんだけども,後半の裏 放送の方でこの続きやってみようと思います。もっと深い話になっちゃうから…というわけで前半ここまでで終わりです。アンケートを出してください。マックのハンバーガー…冷めてもそこそこ美味しいのがすげェよね。多分このサイズとかに秘密があるんだろうけどな。はい結果出してください。食い物の話と映画の話って2入ってたせいか…めっちゃ評価高い!! でも本当にこの紙で食わせるっていうのは本当に大発明だよね。ホットドッグもこれと同じ発想なんだよね。ホットドックってみんなソーセージをパンで挟んだもんって思ってんだろうけど,違って,あれは本来ソーセージだけでホットドックって言うんだよ。そのソーセージだけで売る時に,昔は手袋 配ってた。ソーセージを手で掴むと,手に油ついちゃうから。だから手袋を店に置いてたんだけど,この手袋をみんな返してくれない。手袋を一緒に捨てちゃう人とか,手袋家に持って帰る人が続出して,ホットドック屋が悲鳴あげて。「こんなの手袋代だけで俺ら赤字になっちゃう」って。どうしよう?って「そうだ…パンで挟めば全部食える増えるじゃん」っていうことになって,今のホットドッグが完全に完成って。これシカゴの動画の時に話した気もするんだけども,まァそれに匹敵する発明だと思うよ。このハンバーガーの紙っていうのは…ということですね。後半は『マクドナルド帝国の秘密part2』ですね。スタッフの皆さん切り替えてください。よろしくお願いします。それでは 後半切り替えてください。
■ 西部開拓時代
第2部行こう。これ,シカゴの郊外にあるマクドナルド1号店 だよね。シカゴの郊外にあるマクドナルド1号店ということは,つまり マクドナルド兄弟の店じゃないんだよね。すごいよね。「マクドナルド第1号店はシカゴです」って言ってんだけど違う。第1号店はサンダーバードにあるヤツで,ここはもう今は閉鎖されて,博物館みたいになってるんだ。
で初期の頃はハンバーガーは15セントだし,おまけにシンボルマークが「ミスタースピーディー(Mr. Speedy)」ってヤツなんだよね。一番最初は,マクドナルドは注文してから10秒以内に出すって言った。それが後に30秒以内になっているから,マクドナルドが時々やってるあの「30秒チャレンジ」ってあるじゃん。あれはもともと大元の店ではできたことを,もう1回自分達でがやってみようっていうチャレンジなんだよね。でもまあそんなに速くできたっていうのは,メニューがシンプルだったから。ハンバーガーとドリンクとポテトしかなかったからできたんだけど。チーズバーガーさえなかったんだよね。
で何故このマクドナルドっていうのが,こんなに 爆発的に伸びて,逆に今ちょっと微妙なポジションになってるのか?っていうのが 後半の話です。メニューが牛丼しかない吉野家というのは,その通りで牛丼しかないしね。吉野家っていうのが駄目になったっていうのは,吉野家の店舗を拡げすぎて,で液体であった牛丼のタレを粉末にしたっていうのが,吉野家の味がガクンと落ちた時期で。それがちょうど僕らが東京に来て,アニメ作りだした時期と同時だったんだ。「吉野家最近まずくなってない?」っていう風に言われてた時に,松屋とかすき家がワッと現れたんだよね。だからマクドナルドが「あ…もうこれ大丈夫だ」と思って,味に関して妥協した瞬間に,他の店舗がブワっと入ってきて,今の牛丼戦争で結局コストダウン合戦になっちゃうのと同じ恐ろしいことが起こっちゃったんだ。
マクドナルドの話をする前に,まずこういう外でご飯を食べる,外でハンバーガーを食べるという習慣はどっから来たのかと話をからしようと思います。
1980年頃にNHKで放送してたTVドラマ『大草原の小さな家』ってみんな観た事あるかな? アメリカのTVドラマシリーズ。ローラ・インガルスっていうおばあちゃんが,自分の幼少期を描いた一種の伝記小説を映像化したもので,アメリカで大ヒットした。舞台は1870年代の米国ミネソタ州。アメリカ人って,1870〜1880年代の話が大好きなんだ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)』でマーティが1885年の西部に行くじゃん。1880年〜1885年っていうのは,日本でいうと明治20年とか25年とかその辺りなんだけども,この辺が,なんかアメリカ人にとっての古き良き時代のドストライクみたいなんだよね。日本だったら『Always三丁目の夕日』で書かれる昭和33年とか,あと明治維新 みたいな,日本人にとってすごい人気がある時代あるじゃん。高度経済成長の,あの頃貧しかったけどみんな上を向いてた…もしくは,明治維新が近づいてきて,身分制度が崩れてみんな自由っていうもの,民主主義というものに目覚めたっていう。いわゆる昭和初期とか,バブル経済の頃っていうのは面白がるんだけども,そんな人気はないよね 。
そんな風な「歴史上のスイートスポット」っていうのが各民族にはあって,アメリカ人にとってのスイートスポットっていうのは いわゆる1950〜1960年代のロックエイジと,あとこの1870年代の西部開拓時代っていうのがものすごい心の中にある。だから『BTF1』は1950年代を書いて『BTF3』では1885年っていうのを書いたんだよ。何故こういうのが大ヒットするのかっていうと,アメリカっていうのは 建国神話がない人工国家 なんだよね。世界の歴史上でも本当に類例がないぐらい。こんなに巨大な国なのにゼロから作っちゃった。もちろん先住民族を追い払ったから,先住民族にしてみれば人工国家じゃなくて乗っ取り国家って言いたいんだろうけど,基本的には何にもないところにヨーロッパから人が集まってきて,よいしょって国をでっち上げた。もともといる人たちが血縁とか,その場にいるご近所さんだから,もしくは種族だからということで徐々に徐々に大きくなった国と違って,つまり日本のような国と違って,いきなりゼロから国を作っちゃった巨大国家だから建国神話がないんだよ。だから「カンサスの田舎町で女の子が竜巻に紛れて,それでオズの国に行きました…」みたいな『オズの魔法使い』みたいな,いわゆるファンタジー小説がなんか本当に信じられてるような世界でもある。『大草原の小さな家』のインガラス一家っていうのは,ウィスコンシン州からカンサス州に行って,ミネソタ州に行って,サウスダゴダ州に…っていう風に移り住むと。 いわゆるオレゴントレイルっていうヤツをどんどんどんどん西へ西にへって行くんだけども,これ面白いのは,ローラ一家は,子供時代だけでも ウィスコンシン州>>カンザス州>>ミネソタ州>>サウスダゴダ州って,4つの州に移るんだ。つまりアメリカ人が移民国家だっていうのは,僕らも知ってるじゃん。でもその移民国家という意味は何かというと,ヨーロッパから来て,メキシコから来て「ここに住もう 」って言って住むんじゃないんだ。ここに住もうと決めたはずなんだけど,そこでもうまくいかなくて,引っ越して,引っ越して引っ越して…州をまたいで何回も何回も引っ越してようやっと自分の住むところを見つけるっていう。何回も何回も引っ越してっていう感覚というのが 僕らが理解しない移民国家の実情なんだよ。だからアメリカの家族っていうのは,どんな家族に訊いても「自分たちはどこに来たってのは最初 ここに住んで,おばあちゃんが ここに住んでて,お父さんがここに住んでて…」っていう引っ越しの歴史を延々と語るんだよ。それが 僕らと決定的に違うところ。これが人工国家・移民国家アメリカの真実なんだ。だからどんな一家にも引っ越しの思い出があるんだけども,さっき言った オレゴン街道(オレゴントレイル,Oregon Trail)っていうのは何かというと,アメリカ人が西へ西へ行った軌跡なんだよね。「マニフェスト・ディスティニー(Manifest Destiny)」っていう変な言葉があるんだけど,これ,アメリカ合衆国が明治維新のちょっと前ぐらいに発表した政策なんだけど,ディスティニー(Destiny,目的地)…アメリカ人は拡大することこそが天から与えられる使命である…アメリカインディアンにとっては良い 迷惑なんだけども,このアメリカという大地は我々に与えられた土地で,今はボストンとかニューヨークとかそこら辺の東海岸だけに住んでるんだけども,そこから拡がることこそ神から与えられた運命であると。こういうすげえ構想を発表して,これのおかげでアメリカ人は西へ西へ行って,同時に東回りにぐるっと回ってヨーロッパ回って ,アフリカ回って日本にまで来て日本に開国を迫った…というのは全てこのマニフェストディスティニーという言葉で集約されるアメリカの考え方なんだ。「オレゴン・トレイル」っていうのは,アメリカ人が東から西へずーっと来る時に通った道なんであって,宮崎駿アニメ『耳をすませば』とかにも使われてる『カントリー・ロード 』って歌…あの日本語版は宮崎駿の作詞なんだよね,だからついつい宮崎駿訳に騙されてるけど,「ふるさとに帰りたくても帰れない…兎追いあの山…」じゃんかと思うんだけども,そっちは宮崎駿の思いっきりひねった訳であって,元々の『カントリーロード』っていうのは,オレゴン・トレイルのことを指してる。「帰れない」っていうのは何かっていうと,「マニフェスト・ディスティニー(Manifest Destiny)によって東海岸から西海岸へ何度も何度も引っ越してきた私たちというのは,もうヨーロッパへは帰れないし,もう西部の時代にも帰れない」っていうことを切々と歌ったアメリカ人の魂の歌みたいなもんなんだ。
で19世紀以前のアメリカって,『大草原の…』に描かれたように,移動は馬車で,町に行かない限り何も手に入らない。街道に店なんかなくて,コヨーテとか狼がいて,あと人殺しのインディアンがいて,新参者が現地で揉めてインディアンとか追いはぎに殺されるというようなことがあった。道とはいっても,それは馬車が通った轍の跡みたいなもんで,そういうオレゴン街道の途中にやっと町があって,そこの町民はみんなライフル持っててインディアンに備えてたり,牛泥棒に備えたりしてて,その街の中に入っていくと『バックトゥザフューチャー3』であるみたいにいきなり「Bath(風呂)」って書いてあって,風呂とはいえ「¢5:シャワー,¢25:バスタブ」って,シャワー浴びるだけだったら5セント,バスタブ使いたいだったら25セント払ってもらおうかって,すごい値段が屋根に書いてある家があって,ようやっと街っていう環境が手に入る店があるっていう。そういう風なものが,アメリカ人が憧れる1880年代の古き良きアメリカ…ローラ・インガルスが描いた『大草原の小さな家』の時代なんだ。
でもこういう,荒野があって,転々と町があって,町にだけ店があって文明があるっていうのは,幼少期のローラ・インガルスが生きてた時代であって,ローラがもうおばあちゃんになったら,懐かしくて自伝書いて,アメリカ 中で大ベストセラーになるぐらい,わずか1世代のうちに消えてってしまった世界なんだ。その最大の理由は自動車なんだ。自動車というものが発明され同時に普及したと。普及した理由は第二次世界大戦なんだけども。
ロバート・ゼメキスって『フォレスト・ガンプ』の監督だよね。この人が『フォレストガンプ』を作る前に代表作と言われた映画 が 『ロジャー・ラビット』っていう映画。『ロジャー・ラビット』はスティーブン・スピルバーグのプロデュースで作った映画なんだけど,この映画って,実写とアニメが合成されてるんだよね。だからその部分だけで見てる人が多いんだけども,実は内容がめちゃくちゃ面白い。『ロジャー・ラビット』っていうのは,第2次世界大戦が終わった1947年直後のハリウッドが舞台の映画で,当時のハリウッドの風景が映るんだけども,まあそこがすごい再現されてて。街中に市電がそこら中に走ってて,主人公も移動する時は電車に乗ったり,電車の端っこに捕まったりして移動すると。んで殺人事件が起こって,ロジャー・ラビットっていうウサギが犯人に仕立て上げられるんだけど,結局真犯人は誰か?って,真犯人は実は石油会社なんだよね。石油会社がガソリンを売りたいために車を走らせようとして,そのためには電車が邪魔だと。電車という文化を終わらせてしまって,みんなが移動する時に電車に乗るという文化 を終わらせてしまって,みんな車に乗るようになると。そして我々が今手をつけようとしているのが「インターステート・フリー ハイウェイ(Interstate Free Highway)」というヤツだと。「フリーウェイって,町と町との間を全部道路で結んでしまうのだ,そうすればみんな電車なんかに乗らずにみんな道路を車で走るに違いない」と言って私立探偵が「そんな時代は絶対来ないぞ」という風に言うんだけど,メチャメチャ皮肉な映画なんだよね。もちろんその映画を見てる人たちはそんな時代が来ちゃった。何故アメリカの都市からいわゆる市外電車っていうものがなくなってしまって,転々としてた町々をフリーウェイが繋いで自動車で移動するようになったのか?っていう理由は,いろんな説があるんだけども,実はガソリン屋の陰謀だったんだっていうのを,アニメと実写との合成のこの映画『ロジャー・ラビット』でロバートゼメキスが描いちゃったっていうすごい面白い映画なんだけども。
さっき話した,何故こんなに爆発的にアメリカが 車社会になったのか?というといのはさっきいったように第二次世界大戦だ。第二次大戦ってのは何かっていうと,だってアメリカ国内で戦争しないんだよ。日本にとっても総力戦なんだけど,アメリカにとっても特殊なところは,全部国外で戦争してるとこなんだよ。徴兵制を敷いてアメリカの若者をすべて集める。アメリカの若者をある年齢になったら全員集めて,世界中…ヨーロッパ戦線,アフリカ戦線,太平洋戦線 …というところに送ると。そこでやるのは何かっていうと,19世紀までの戦争…いわゆる軍服着て槍持って走って鉄砲撃って戦うという個人的な戦争ではなく,移動は全て船とか自動車っていう動力のついた機械であって,兵隊はみんな銃をバラして分解してもう1回組み立てるというテクノロジーを学ばなければいけない。田舎に行ったらまだ石油ランプしかなかったようなアメリカの少年たちが集められて,一斉に電気の明かりが煌々とする所に連れられて,蛇口ひねったら水道から水が出る所で銃の分解,掃除から自動車の操作から何から全て学んで,これまでのアメリカ人と完全に違うテクノロジー第1世代として本国に帰還すると。これが1945年のたった1年間のうちに起こったんだ。ものすごい数のアメリカ人がいて,もちろん文化的な生活している,都市の生活している,電気のある生活してアメリカ人も多いんだけども,でも圧倒的に多くの子どもたちは農家に住んでいて,井戸から水を汲んで,石油ランプで暮らしてた。 それが,4年の戦争で,若者が皆海外に行って,最新のテクノロジー身に付けて,ほぼ全員が自動車免許取った。アメリカの社会は劇的に変わるよね,当たり前だけども。
■ 第二次世界大戦と外食文化
アメリカにとっての第二次世界大戦っていうのは,アメリカの若者にテクノロジーを教えてしまったんだよ。でラジオからRock'n'Rollが流れ出して,アメリカの若者はとにかく大量に帰ってきちゃったもんだから仕事がないから街中に溢れ出すと。でまだ 軍からお金もらってるから,お金の使い場としてドライブインというのが初めてできてきた。さっきも言ったように,それまで街にしか店がなかったのが,道に店ができるようになって,車で移動して若者は店に行って,なんかジュークボックスからレコード聴いて,家では聴いたら怒られるようなロックンロールっていうのを店で聴いて,家でご飯を食べずに外でハンバーグを食べるようになってしまう。映画『アメリカン・グラフィティ』ではそれをすごくいいこと みたいに書いてるんだけども,アメリカのイケイケの若者にとっていいものなんだけども,それはアメリカの家庭にとってどういうものかというと,明らかに家庭はどんどんどんどんこの時代から破壊されていったんだよね。アメリカの家庭の黄金時代っていうのは,ウッドロウ・ウィルソン大統領の時代とか,第2次大戦のルーズベルト大統領あたりの時代,いわゆる暖炉の前で大統領がお話をしてくれて,それを家族全員が家でラジオで聴くっていうのが古き良きアメリカの家庭であって,でも1945年からこっちのアメリカっていうのは,若者は夕方になったら家からいなくなっちゃう。親には理解できない自動車という機械に乗って,親には理解できない音楽を聴いて,そして外でご飯を食べてしまう。「みんなで仲良く夕ご飯は必ず家族で」というのはいい家はもちろん守るんだけども,でも底辺の家からどんどん守らなくなってきた。
何だろうな…「狂った時代」っていう風に言う人もいるんだけども,音楽はうるさいロックで,若者はどんどん礼儀知らずになって,家でご飯食べなくなって。『大草原の小さな家』でローラ・インガラスが守っていた1880年代のアメリカって,ついに40〜50年代までの話なんだ。つまり日本で言うと今2017年の50年前って1965年だから,本当に一人の人間が生きている間にできた変化 っていうのは巨大すぎるんだね。ローラ・インガルスがやっていた『大草原…』 から、いきなり若者が車に乗って晩御飯の時間になったら家からいなくなって,みんなが 車文化になってきて,アメリカ 中からそのオレゴントレイルで馬車移動>>鉄道移動>>鉄道すら滅びてしまって,ハイウェイが伸びて自動車文明になるまでわずか50年しかかかってない。徹底的に社会というのが 変わってしまった。町から市電も消えて,みんな 旅行行く時は電車じゃなくて車に乗るようになると。でその自動車旅行もインターステートハイウェイというのを使うから,細かい町を訪れるルート66 みたいな細かい町を訪れるということではなくて,いきなり大都市から大都市への移動っていうのを ハイウェイでしかしなくなる。この悲劇を描いたのが『カーズ』って映画なんだ。『カーズ』ってアニメでは「ルート66っていう文明が滅びていって,そしてハイウェイができてしまった♪たった15分節約するために♪」っていう歌が流れるんだけど,たった15分を節約するためにこの町は滅びた,この町も滅びた…ってアメリカのそのルート66の街道で,いわゆる10ぐらいの街が地図から消えていって,1本のハイウェイだけが残るシーンがあってさ。俺それ観てゾゾゾ ゾーってしたんだけどさ。それがその「たった15分のために」というセリフがリフレインしながらこう街が消えていくんだよね。そんだけの利便性やるために街がどんどんどんどん消えていって,そしてドライブイン文化だけが残ってしまった。
でここまで話して,ようやくマクドナルド登場の準備ができた。1つ目はそのアメリカ人の家庭信仰 。家っていうのはどんなに素晴らしいのか?というのは ローラ・インガルスが書いた。でも侵略国家だからこそ,建国神話がないからこそ,「私たちのアメリカっていうものの元は何かというと家だ」と。家庭だと。だから『大草原の小さな家』なんだって。その家庭神話っていうのがある。だからあいつら 「ファミリーファミリーファミリー…」っていう風に言うわけだよね。2つ目は車社会とハイウェイ 。アメリカっていうのは自由の国であって,自由っていうのの象徴は何かというと,自分の力で運転する車であると。それは第二次世界大戦に行って戦争に勝ったアメリカ。イギリスからなんとか 独立した二流国家 アメリカではなくて,世界一の国家アメリカ,自由を求めるアメリカっていうのは車社会 というのを作った。それがハイウェイになっていったと。
3つ目が若者文化と外食文化。いわゆる若者っていうのが,最初は家の中で父親の言うことを聞いて,次は家長になって,休みの日には七面鳥を切って皆に振る舞う,バーベキューをするというような家族でご飯をするということが,どんどんどんどん家族が分離していって外食するようになる。その外食する場所はどこかっていうと,実はその不良がいっぱい集まるような…『アメリカングラフィティ』では天国に書かれたんだけど,実はアメリカにとって一番大事な家族にとってはゴミ箱同然のドライブインしかなかったということだよね。
ドライブインに行くと,皆やっぱぼられるんだよ。ハンバーガー みたいなものがバカ高くて,やたら待たされて,ローラースケート履いたウエイトレスにチップ要求されて,でタバコとか麻薬とか,まだ未成年なのに酒飲んでるような不良青年がウヨウヨうしてて,凄いデカい車に乗ってて…みたいなもんだから,当時アメリカを自動車旅行してる家族旅行やってる者達にとってドライブインっていうのはすごい不快な場所だったらしいんだよね。
でやっと話が戻るんだけど,そこにマクドナルド兄弟っていうのは,安くて早くて清潔に食べられる仕組みというのを作った。紙だけで食べれるハンバーガーっていうのが何が違うかというと,食べた後のゴミの出方が圧倒的に違ったんだ。だからマクドナルドの周りがいつも綺麗だったっていうのはもちろん掃除を細かくしてたというのもあるんだけども,何よりも食べた後のゴミを自分で捨てるって文化を徹底させたからこそなんで。それまでのその食べ終わった後のお盆を下げに来る人を皆待つわけないから,そんなもん路上にポンと捨てて,車でバーっと去ってた。それを,駐車場に車停めて歩いてカウンターに並んで,自分で並んで買うっていうのも初めてなんだよ。それまでウエイトレスが注文に来てたから。なのでセルフ オーダーで、自分がもらっていう形をマクドナルド兄弟が発明したと。
でレイ・クロックっていうこの映画の主人公は,この仕組みを普及させたんだ。マクドナルド兄弟だけだったら,カリフォルニアの7店舗も無理で,1店舗しかできなかったんだけども,ハンバーガー・チェーンっていうのは,多分レイ・ク ロックがいなかったらできなかったんだ。っていうのはレイ・ク ロック自身も「マニュアル通りに調理させるって事が本当に難しかった」って自伝で書いてるんだ。今では当たり前のように思ってる「マニュアルの方が楽だ」とか「みんな マニュアルの通りにしか作れない」っていうのが自由を重んじるアメリカ人にとってどんなに難しかったか(笑) みんな勝手にハンバーガーを作る。 グラム数を測らないとかそういうレベルじゃなくて,目分量でボーンボーンてパティ置いて,焼けてようが焼けてまいがひっくり返すというのが当たり前だった時代に,何秒か焼いてひっくり返すというマニュアルを守らせるのがどんなに大変だったかとか。その結果ハンバーガーの大部分は焼けすぎたり生焼けだったりしたわけ。俺らにしてみれば「マニュアル通りに作った食い物なんかつまんない」と思っちゃうじゃん。でもその前の暗黒時代を知らないから俺はそんなこと言えるわけで。
だからレイ・クロック自身もこのシカゴの店舗行って,朝車で「ヨシ今日はこの店舗1日見守るぞ」って行ったら,昨日までなかった「フライドチキンはじめました」って文面が壁にペンキで書いてあって激怒して(笑) 「チキンなんか売らないよ」って言って。「何でダメだ?」って。フライドチキンとフライドポテトを同じフライヤーで揚げたら匂いつくじゃん。フライドポテトがこんなに売れてこんなに評判がいいのに,何故フライドチキンっていう客に媚びたもん出して評判落とすような事すんのか?って。そこの店長はレイ・ク ロックのマブダチだったんだ。 ゴルフ仲間で,レイ・クロックっていうのは,いわゆる下層階級出身でちょっとでも上流階級に交わりたかったから,ゴルフクラブの仲間っていうのすごい大事にしてて,そのゴルフクラブの仲間に「俺がやってるハンバーガーチェーンに出資してお前も店やって」って言って頼み込んで店出したら,そいつが「フライドチキンはじめました」なんてやっちゃったからクロックは激怒して「もうお前のやつなんか友達じゃない」って,また奥さんが激怒っていう…なんかいろんなことがあってさ(笑) プライドチキンやめさせたって。
そこまでしてレイ・クロックが全員にマニュアルを守らせたから,マクドナルド兄弟すら諦めたようなことを徹底してやったから,マクドナルドっていうのはアメリカ中に拡がっていったんだよね。だからマクドナルドのおかげで家族が揃って食事に行くようになったんだ。それまで家族が食事に行くっていうのは,アメリカの社会の中でもほんの上位2%の上流階級の人たちが,レストラン という場所に行ったんだ。1950年代のアメリカにはレストランとかサパークラブっていうものしかなくて,だから家族で全員外食っていうのはものすごい金持ちの人しかできなかったんだ。もしくは経費でお金が使えるような会社の社長クラスしかできなかったんだ。でもそれを マクドナルドが「家族で来れる場所を」って言って,酒も売らないからヤンキーも来ない。いわゆる不良たちも来ないから,マクドナルドで集まって外食できるというような環境を作った。ドラッグとか汚い言葉もないし,30分も待たせなくて。マクドナルド/レイ・クロックっていうのは「失われたアメリカのリビングルーム」っていうのを マクドナルドの中に再現しようとしたんだ。 
で,この「M字」のアーチ。これマクロンっていうのはもうみんなも知ってる通り,あれは「M」じゃなくて「ゴールデンアーチ 」って言われてるんだけど,このゴールデンアーチがシンボルマークになってんだ。レイ・クロックっていうのは,これをアメリカ中の街に作りたい。アメリカの街はどこに行っても教会があり裁判所があると。アメリカ中の町に教会があって裁判所があって,マクドナルドのゴールデンアーチがあるようにしたい。裁判所っていうのは日本人にはあまり理解できないんだけど,それは「市民同士がお互いの言いたいことをちゃんと言って,利害調節をする場」っていう概念がアメリカにある。ちゃんと話し合って利害調節をするいわゆる民主主義の議会 みたいな場所として裁判所があって,次にアメリカ人が全員同じ方向を向いて神様を拝む教会という場所があって,その次に本来は家庭があった。『大草原の小さな家』は家庭だったんだけども,そうじゃなくてマクドナルドをアメリカ中に作ることによって,外食によって食事によって安いお金で清潔で安全なご飯っていうのが、それぞれの家庭に提供されるアーチ…マクドナルドっていうのをアメリカ中に作ろうっていうのが,レイ・クロックがその当時からすごい考えたことなんだよね。
だからその『ファウンダー』って映画,割とちゃんとこう今まで僕が説明した事って,映画でも描かれてるんだけども,でも観た人はまず覚えてない。映画観て単純な正義感でレイ・クロックを攻撃する人は,そこを観てないっていうか。映画終わった後でオフ会やったんだけども,みんなそこが抜けてて「やっぱけしからん」とか,そっちの方に行っちゃう人が多かったから,ウワーこれって伝わねえなって思って。
今日はなんかネタバレ覚悟でこんなに言ってんのは,まず『ファウンダー』をやってる映画館自体が少ないんだよ。なので,まァ多分これ観てる人も,大部分観ようと思っても観れない感覚だと思うんだけど。まァDVDになることもあるだろうし,あとこれだけのバックグラウンドが頭に入ってると,ちょっと面白いと思いますんでですね,観てやってください。ではみんな明日はマクドナルド…今からかな,マクドナルドに行って一番シンプルなハンバーガーとポテトと,あとレイ・クロックみたいにコーヒーでもいいし。あとはレイ・クロックが売ってたミキサーで作ったシェイクでもいいし,あとはまあね。俺みたいにダイエットコーラでもいいから頼んでみるのも楽しいのではないでしょうか。めちゃくちゃ評判になりありがとうございます。それではまた来週8月13日にお会いしましょう。ではでは皆さんおやすみなさい。バイバイ。俺はジャンプ買いに行くぞ。はい。

tgghuh pc  







ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ : 特集
劇場公開日:2017年7月29日
マクドナルドは乗っ取られて誕生した!?
「世界最強のハンバーガー帝国を築き上げた男は英雄なのか? 怪物なのか?」
今、乗りに乗っている名優マイケル・キートンが、カリスマ経営者を強烈に演じる実録作。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でアカデミー主演男優賞にノミネートされたマイケル・キートンが、世界最大のハンバーガー・チェーン「マクドナルド」の創業者レイ・クロックをダイナミックに演じる実録作、「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」が、7月29日より全国公開。「しあわせの隠れ場所」のジョン・リー・ハンコックが描き出す男の生きざまを、あなたは認めるか、認めないか?
マクドナルド・コーポレーションを設立し、まさに世界最強といえる巨大なファストフード・チェーン=ハンバーガー帝国を築き上げた男、レイ・クロック。本作は、多くの起業家から「カリスマ経営者」としてリスペクトを集めるこの人物が、いかにして成功のきっかけをつかみ、のし上がっていったのかをスリリングに描く実話映画だが、「こんな人物が実際にいたのか?」とクロックの人間性に驚かずにはいられない。50代に入ってもなお成功を諦めなかったポジティブ・シンキングに感心させられたかと思えば、利益を追い求め、敏腕ながらも非道ともいえる方針を次々と推し進める強引ぶりが、賛否両論を巻き起こす。圧倒的な存在感を放ち、見る者を物語へと有無を言わせず引き込んでいくクロックとは、どんな男なのか?
1902年、アメリカ・シカゴで生まれたクロックは、17歳にしてセールスマンとしてビジネスの世界に入り込んだ。装飾リボン、ペーパーカップの営業マンを経て、36歳からマルチミキサーのセールスを開始。52歳でマクドナルド兄弟と出会うまで、ミキサーの販売を続けていた。人生を諦めなかったバイタリティが、大成功を引き寄せたといえるだろう。
本作では地方出張中のクロックが、モーテルで自己啓発書の朗読レコードを聞くシーンが登場する。これは、ノーマン・ビンセント・ピールのベストセラー「積極的考え方の力」だが、ビンセント・ピールはドナルド・トランプ米大統領が唯一の「師匠」として仰いでいる人物。強引な手段の源とはこれなのか?と驚いてしまうはずだ。「俺は俺」、我が道を行くポジティブ・シンキングは、「空気を読まない」という生き方を育んでいく。同じ起業家たちと家族ぐるみの交流も図ってはいるが、当然ながら協調性を欠き、周囲の思惑とはズレた言動を繰り返してしまう。浮きまくっている状況を「ヤツらは分かっていない」と一蹴すればするほど、裏では小バカにされるが「正しいのは自分だ」と一切気にしない。食うには困らない稼ぎながらも、商売は低調続きだったクロックを長年に渡って支え続けたのは、妻のエセル。出張に明け暮れ、家庭を顧みない夫に文句も言わない献身ぶりが目を引くが、そのありがたみにまったく気づかないのがレイ・クロックという男なのだ。
「成功はゴミ箱の中に」レイ・クロック自伝 レイ・クロック/ロバート・アンダーソン共著 プレジデント社(右)
ユニクロの柳井正、ソフトバンクの孫正義ら、日本を代表するカリスマ経営者がリスペクトする、カリスマ中のカリスマが、このクロック。自伝「成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者」は、ビジネス書としては異例の15万部を越える大ヒット・ベストセラーとなっている。
《クロックvsマクドナルド兄弟》“ファウンダー”の座をめぐる対立勃発!
野心家はどうやって“創業者”を名乗り、ハンバーガー帝国を築いていったのか?
54年、シェイクミキサーの大量注文を受けたことをきっかけに、マクドナルド兄弟と出会ったクロック。画期的なファストフード・システムを生み出した兄弟のビジネスに「後から乗っかった」人物が、なぜ「マクドナルドの創業者」になることができたのか。そこには、誰もが知るマクドナルドの、誰も知らない激烈な対立があった。注文してから20分は待たされることが確実だった時代に、わずか30秒で料理を提供する「スピード・サービス・システム」を考案したのはマクドナルド兄弟だったが、古き良きアメリカの職人気質を持つふたりは、手広く商売を広げる気はさらさらなかった。しかし、そのコンセプトの革新性と絶大な商機にクロックは気づいた。大成功を確信するクロックが、なかば強引な説得によってフランチャイズ化を進言し、そのパートナーの座にありつくのだ。クロックに後押しされ、フランチャイズ化にGOサインを出したマクドナルド兄弟だが、その方針は「品質第一」。チェーンの規模は自分たちの目の届く範囲に留め、品質を保持したいという考え方に、クロックはいらだつ。とにかくイケイケ、店舗をどんどん拡大していかなければ!と怒とうの勢いでチェーンを展開しようとするクロックと、あくまでも店舗の効率化をアイデアで突き詰めようとする兄弟の間に、徐々に溝が生まれはじめる。「とにかくお客様に喜んでもらいたい」というお客重視の兄弟の気持ちが、効率的な店舗運営・料理サービスを生み出したが、それは事業拡大・利益優先のクロックの志向にはそぐわない。兄弟と交わした契約が足かせとなり、思うような利益を手にできないクロックは、やがて偶然出会った税理士の助言をきっかけに、「契約の抜け穴」を利用した新たな仕組みを思いつく。それは、兄弟との全面対決を意味するものでもあった……。
誰もが知っている大企業のウラで起こっていた、「戦争」ともいえる過酷な主導権争い。好奇心をあおられる物語(しかも実話!)であり、それが名優&名スタッフ陣によって製作されているとなれば、その面白さは保証されているも同然だ。観客の「野心」を刺激する実話映画は数多くあるが、それに加えてこれほど「食欲」をあおる作品は、皆無と言っていいだろう。驚異的なバイタリティを放つカリスマ経営者の生きざまを体現したのは、マイケル・キートン。14年に「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされて以来、「スポットライト 世紀のスクープ」「スパイダーマン ホームカミング」と傑作、話題作に次々と起用。第2の旬を迎えた名優の圧倒的な演技力が見ものだ。監督を務めたのは、アカデミー賞作品賞にノミネートされた「しあわせの隠れ場所」や、エマ・トンプソン&トム・ハンクス共演の感動作「ウォルト・ディズニーの約束」のジョン・リー・ハンコック。実話感動作に定評のある才能が、ミッキー・ロークとマリサ・トメイがそろってオスカー・ノミネートを受けた「レスラー」の脚本家、ロバート・D・シーゲルが手掛けたストーリーを映像化する。キートンのほかにも、名優陣が顔をそろえているのも見逃せない。クロックを支える献身的な妻役には、「わたしに会うまでの1600キロ」「ランブリング・ローズ」で2度のアカデミー賞ノミネートを受けたローラ・ダーン。マクドナルド兄弟役として、作家としても活躍するニック・オファーマン、「ファーゴ」等の名バイ・プレーヤー、ジョン・キャロル・リンチが出演している。CIAや政府の謀略を暴いた「スノーデン」や、ハリウッドの赤狩りに見舞われた脚本家を描いた「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」、実在のカリスマ経営者を追った「スティーブ・ジョブズ」に、名物トレーダーがウォール街に仕掛けた違法行為を描く「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などなど、日常生活の背後で行われてきたし烈な駆け引きをテーマにした実話映画は、映画ファンの人気ジャンル。本作もまた、その系譜に連なるスリリングな1本だ。
2017年7月24日更新
PRESENTED BY KADOKAWA

映画.com
https://eiga.com/movie/86366/special/





マクドナルド誕生を描く映画が作られることに、マクドナルドはどう反応したのか
猿渡由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト
2017/7/26(水) 11:56
ジョン・リー・ハンコック監督(左)と主演のマイケル・キートン
どの国に行っても目にしないではすまないマクドナルドは、文字どおり、“世界の言葉”。今や全世界の食糧の1%を提供するまでになったが、その始まりは、L.A.の東にあるサンバーナーディーノの、一軒のハンバーガー屋だった。カウンターで注文したら、紙に包まれたバーガーがすぐ出てくるというのは、今でこそ常識だが、それらはすべて、この店のオーナー、マクドナルド兄弟が考案したもの。これに目をつけたのが、儲かりそうなものに次々手を出しては失敗してきたセールスマンのレイ・クロック。本来のファウンダー(創業者)たちを裏切ってまでクロックが自分の野心を追いかけ、“企業”マクドナルドのファウンダーとなっていく過程を描くのが、映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」だ。
会社としてはあまり語られたくないであろう部分が明かされるこの映画の企画に、マクドナルドは猛反対したのかと思ったら、意外にもそうではなかったらしい。ただし、今作の製作には、尋常ではない数の弁護士が関わったそうだ。そのあたりの事情を、ジョン・リー・ハンコック監督に聞いた。この映画の企画を知った時、マクドナルドは何と言ってきたのでしょうか?今作を監督しないかと声をかけられた時、僕が最初に聞いたのは、それだったよ。「こんな映画は実現不可能なんじゃないですか?」とプロデューサーに聞いたんだ。そして、可能だと言われた。これは歴史を語るものなので、事実を正確に描くのであれば、問題はないのだそうだ。おかげで美術監督や衣装デザイナーは、大変だったけどね。すべてを歴史に忠実にデザインしないといけないんだから。弁護士代も、ずいぶん使った。撮影現場には、クルーと同じくらい弁護士がいたんじゃないか?(笑)。ミルクシェイクを作るパウダーはどんな色だったのか、それは“ミルクパウダー”と呼ばれていたのか、そういう細かいことを逐一確認する。間違いや、引っかかる可能性があることを指摘してきたのはいつも僕らが雇った弁護士で、マクドナルドは何も言ってきていない。撮影開始の2週間ほど前に、脚本をマクドナルドに送ったんだが、返事は「レイ・クロックは、才能豊かで興味深い人物。彼についての映画ができることは、驚きではありません」というものだった。
■マクドナルドは完成作を見てどう思ったのでしょうか?
わからないな。 でも、マクドナルドに関わったことがある複数の人たちから、これはとてもフェアな描き方をしていると言われたよ。観客もまた、それぞれに違った受けとめ方をするんじゃないかな。レイ・クロックは悪魔だ、マクドナルド兄弟は利用された、と怒る人もいれば、自分だってレイ・クロックと同じことをやっただろうと思う人もいると思う。

Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3d0a8eb281db7886d4df6cbe1b148e8074084b85





サン・バーナディーノ
San Bernardino
アメリカ合衆国カリフォルニア州南西部の都市。人口19万8550(2005)。ロサンゼルスの東方約90km,山間行楽地として知られるサン・バーナディーノ山地の西麓に位置する。1810年スペイン人宣教師が訪れ,イタリアのシエナのベルナルディーノ聖人にちなんで命名した。51年モルモン教徒が町を建設。彼らはその後ユタへ戻ったが,かんきつ類,ブドウを中心としたサン・バーナディーノ・バレーの農業地帯の中心都市として発達した。1915年以来,全国オレンジ共進会が開催されている。東にノートン空軍基地が控え,航空宇宙産業,鉄,セメント,建築材などの工業が立地する。カリフォルニア州立大学サン・バーナディーノ校の所在地。
執筆者:矢ヶ崎 典隆

コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8E-1170302
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