1988年1月20日水曜日

[機器][制作] エレキー(メッセージキーヤ)製作,アマチュア無線

[機器][制作] エレキー(メッセージキーヤ)製作,アマチュア無線
2.AKI-H8(H8/3048)によるエレキー(メッセージキーヤ)製作
2.2 機能概要
作成したキーヤーの主な機能は以下の通り。
•パドルより入力した符号を、NEC製PC-9821/9800のキーボード入力へ出力する。これにより、パソコンのログソフトにキーヤーから直接入力が可能。
•パドルより符号を入力するとリグのスタンバイをONとする。符号の頭切れがないようにスタンバイONから時間をおいて符号を送出する。
•スタンバイON後一定時間符号送出がなければスタンバイをOFFする。
•スタンバイの自動OFFは符号送出後約3秒とし、ラグチュー時等のんびり送信しても語間でスタンバイOFFとならない。尚、ESCキーを押せば、瞬時にスタンバイOFFする。
•パドルより入力した符号を判別し、登録されたキーワードを送信するとリグのスタンバイを即座にOFFにする。キーワードの追加、変更が可能。
•メッセージキーヤーとして、4×4=16チャンネルのメッセージを記憶できる。各チャンネルの文字数は任意で、メモリーの許す限り記憶可能(約3500文字)。
•メッセージはブレークポイントで複数に分割可能。
•メッセージ書き込み中、語間を空けることで自動的にスペースを挿入する。
•メッセージ書き込み中の入力ミス時に、訂正符号'HH'を打つことで直前に入力した文字を消去できる。
•一度入力したメッセージを、1文字ずつ読み出しながら必要箇所のみ修正することも可能。
•メッセージ読み出し開始でリグのスタンバイをONとし、メッセージ終了で即座にスタンバイOFFとなる。
•メッセージの間欠読み出しが出来る。読み出し時間間隔の設定変更も可能。
•001形式のコンテストナンバーを自動生成する。数値の確認、UP/DOWN、設定が可能。設定できる数値の範囲は000~999,1000~9999。
•定型文字列を登録できる。文字列として、コールサイン、コンテストナンバー、QTH、挨拶(GM/GA/GE)等を設定しておき、メッセージ中に制御符号を入れることで読み出す。メッセージの書き換えを行わずに、定型部分のみを置き換えることが出来る。
•メッセージ途中での文字間隔変更が可能。
•メッセージ、設定等は電池によりバックアップされる。
•2台のリグを切り替えて使用できる。
•各種の設定はパドルからの入力で行える。
•モニタプログラムを内蔵し、デバッグ機能を使用することが出来る。キーヤーのH/Wを用いて、新たなプログラム開発も可能。
•RAM上のプログラムをPOWER ON時から(モニタプログラムを介さずに)使用する事も可能。
•パソコンでメッセージを作成し、キーヤーへ転送することが出来る。(モニタプログラムの転送機能を使用する。)

工作室
http://www.geocities.co.jp/1402/





2.3 ハードウェア
(1) AKI-H80の改造
AKI-H80には約4kBのRAMが搭載されていますが、秋月オリジナルのままではメモリ内容をバックアップする事が出来ません。メッセージキーヤーとして見た時、書き込んだメッセージは電源を切っても保持していて欲しいものです。また、移動運用時等ちょっとした電源断で設定値やメッセージが初期化されても困ります。
そこでH8/3048のハードウェアスタンバイを使ったRAMのメモリバックアップが出来るように改造します。(今回の製作の目玉です!)
AKI-H80を使った例はかなり多くの方のウェブページでも紹介されています。しかし、メモリバックアップする場合は外部にRAMを取り付けてそれをバックアップする方法が多くとられています。
今回のメッセージキーヤーとしては、内蔵された4kBものメモリが有れば十分で、わざわざI/Oポートを減らしてまでRAMを外部増設する必要は有りません。そこで、AKI-H80に改造を施し、単体でメモリバックアップ出来るようにしました。
オリジナルのAKI-H80では、通常動作時に約60mA、ハードウェアスタンバイ時に約17mAの消費電流が有りました。H8/3048のマニュアルによると、ハードウェアスタンバイ時にはCPU単体ではμAオーダの電流値のはずですから、17mAの大部分はRS232Cドライバが消費していることが考えられます。このままでは消費電流が大きく長時間のメモリバックアップは出来ません。
そこで、バックアップ時の電流値を下げるため、RS232CドライバをCPUとは別電源にする必要があります。よって、電源として、ON時(動作時)には5Vを供給しOFF時には電池からメモリ保持用の電圧を供給できるバックアップ電源と、ON時のみにRS232Cドライバ等に供給する非バックアップ電源の2つの系統を用意します。
また、CPUのモード設定端子(MD0,MD1,MD2)は、ハードウェアスタンバイ時にモードを変更してはいけませんのでバックアップ電源に接続し、リセット(RES)及びスタンバイ(STBY)は非バックアップ電源に接続します。
出来るだけ改造箇所が少なくて済むように、いずれの電源も外部に安定化部を設け、 バックアップ電源はオリジナルでは5V出力としている端子から、非バックアップ電源は、A-Vcc(CN2-10) とA-REF(CN2-11) 端子から供給する事としました。( 回路図)
基板の改造箇所は3カ所のパターンカットと、2本のジャンパー線です。C5の+端子へ接続するジャンパー線は、C5のランドが小さく半田付けが大変ですので、C5の+リード線を長く残しておき、そこに接続しました。5VレギュレータICは取り外し、別に作成するI/O基板上に5V電源を作ります。5VレギュレータICをはずしたあとにはコンデンサを入れました。
改造後のハードウェアスタンバイ時の電流値はバックアップ用電池3Vを印加した時0.1μA以下でした。手直しや写真撮影のため暫く電池を外しても、コンデンサのチャージ分のみでバックアップされました。メモリバックアップ用の電源として単3乾電池2本を使用していますが、たぶん何年も持つ事でしょう。
ハードウェアスタンバイ移行時(電源OFF時)のタイミングは、リセット(RES)の立ち下がりに対してスタンバイ(STBY)がLOWになるまでに10システムクロック以上(16MHz時には625ns以上)時間をおく必要があります。電源OFFにより電圧が約4Vに降下するとRESはリセットICの働きでLOWとなり、STBYは非バックアップ電源回路のコンデンサチャージによりその後数百ミリ秒でLOWとなるため、仕様は十分満足されメモリ内容を保持することが出来ます。ハードウェアスタンバイからの復帰時のタイミングは、仕様上はSTBYがHIGHの後RESがHIGHとなるまでに20ms以上必要ですが、実測では約30msでしたので仕様を満足しています。
(一応決まり文句を)
ここに紹介した改造事例は、私が個人的な興味によって行ったもので、動作、性能を保証するものではありません。もし同じ様な改造を行われる場合は「自己責任」において実施されてください。

工作室
http://www.geocities.co.jp/1402/




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