2005年7月21日木曜日

[市場] YOZANのWiMAX戦略


2005/07/13 21:21 更新
ワイヤレスジャパン2005:
YOZANのWiMAX戦略をひもとくと?
「コンシューマ向け事業をやり抜く体力はない」。
YOZANの高取社長が講演で、WiMAX事業の概要を話した。
VNO向けのプラットフォームベンダーに徹するという。
注目の通信技術“WiMAX”を使い「日本で、アジアで、最初にサービスを始める事業者としてデビューする」と意気込む、YOZANの高取直社長。
7月13日、ワイヤレスジャパン2005で同氏が講演したWiMAX戦略の概要をまとめた。
■PHSインフラをWiMAXへ転用
YOZANは、ページャー事業やPHS事業を買収することで移動体通信に参入した企業だ。
ページャーとPHSの融合や、無線LANを使ったサービスなどを相次いで発表したが(2004年12月22日の記事参照)、サービスインには至らず、引き継いだPHSの顧客は減少を続けている。
「なぜ収益性を失ったPHSを購入したのか。市場から見た最大の疑問でした。
しかし(PHSの)ファシリティを購入し、次世代通信設備に転用する──この考え方は間違っていなかった」
高取氏は、PHSを購入したのは何らかの次世代通信サービスを提供するためだったと話す。
その次世代サービスとはWiMAXだ。
PHSの基地局を転用することで、
「約1週間で(WiMAXに)リニューアルできる。コストも新規に比べて非常に安い」
と高取氏。現在同社は東京23区内で、ビル上に約3000局、電柱の上に6万5000局のPHS基地局を所有している。
このうち650局をWiMAXに変えるだけでPHSと同じエリアをカバーできるという。
この転換によってPHS事業も終了させることができる。「50億円におよぶ赤字をPHS継続に要していたが、そのコストが今年度でピークアウトする」(高取氏)
■サービスはどうなるのか
PHSをWiMAXに転換し、どのようなサービスを提供するのか。
12月時点からWiMAXサービスを提供できると高取氏。
しかし持ち運び可能な端末は間に合わず、卓上型の端末を提供する(7月13日の記事参照)。
簡単にいってしまえば、当初のサービスはFWAだ。
ブロードバンドのラストワンマイルを、WiMAXで無線化するに過ぎない。
無線LAN(Wi-Fi)を使ったサービスも、バックボーンとしてWiMAXを利用するかたちだ。次のステップとして、2006年夏にはPCカード型のWiMAXカードを提供する計画となっている。
1つのマイルストーンは、2007年頃に予定されているモバイルWiMAX──IEEE802.16eのスタートとなる。
「12月時点ではキャリング(持ち運ぶこともできる)WiMAXサービスが可能。
約2年後、モバイルWiMAXに進化する」(高取氏)
「コア事業はVNOへの回線提供」
WiMAXサービスを提供するYOZANだが、一般ユーザー向けに大々的なサービスを行うつもりはない。
「コンシューマ事業をやりぬく体力がない。VNO事業者に対して回線を提供し、黒子に徹する。
プラットフォームベンダーとしてのYOZAN」(高取氏)
VNO事業者とはバーチャルネットワークオペレータの略。
YOZANから回線を借り受けてサービスを提供する事業者を指す。
移動体ではMVNOが話題だが、YOZANのサービスの場合は当初“モバイル”ではないのでVNOという表現となる。
■残る課題
PHS基地局をWiMAX基地局に改修し、ラストワンマイル部分を無線で提供。
一般ユーザー向けのビジネスよりも、回線貸しを中心に置く──。
堅実さを増したYOZANの計画だが、課題もある。
1つは端末のコストだ。
「国際的なスタンダードであること。これがWiMAXを選んだ最大の理由」
と高取氏は話すが、最初期の規格だけに安くはない。
WiMAXの卓上送受信機は「最初のうちは約4万円」(同氏)だ。
持ち運び可能なWiMAX受信機にも課題がある。
FWAを想定して開発されたWiMAXは消費電力も大きい。
「キャリアセンス、消費電力。課題はいろいろある。ただしベンダーの返答によれば来年秋にはクリアできる。
試作はいろいろ見ているが、最終的なものを見てからご紹介したい」
WiMAX Forum推奨周波数帯
5.8GHz
3.5GHz
2.5GHz
利用する電波の周波数帯も問題だ。
6月からの実験ではWiMAX Forumが推奨する5.725GHz帯を利用するが、12月の本サービスでは4.95GHz帯を使う予定。
しかし4.95GHz帯はWiMAX Forumで推奨されておらず、国際的スタンダードから外れたものになる。
「4.95GHzは日本だけの帯域だが、WiMAXフォーラムに4.95GHzの推奨を求めている」と高取氏。
さらに、「WiMAXに必要なのはクワッドバンド、トライバンドの開発だと思っている。4.95GHz、3.5GHz、5.8GHzのトライバンド、それに2.5GHzを加えたクワッドバンドとしていきたい」と、課題のクリアに意欲を見せた。

ITMedia
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/








0 件のコメント:

コメントを投稿