[ソフト][フリーウェア] Sigil~EPUB作成フリーソフト
SigilでウェブサイトをEPUB化して電子書籍にする方法
電子書籍のフォーマットとして広く利用されている「EPUB」ファイルを作成できるフリーソフト「Sigil」を使って、自身のウェブサイトをEPUB形式にまとめて電子書籍化する方法を解説。
西村 文宏
執筆者:西村 文宏
ホームページ作成ガイド
ウェブサイトを電子書籍化して配布したい
All About Books書店
昨今、電子書籍端末もたくさん発売され、スマートフォンやPC上で動作する電子書籍リーダーも多く公開されるようになりました。電子書籍販売サイトも続々と登場しています。All Aboutでも、「All About Books書店」で電子書籍の販売を始めています。
自身のウェブサイトに掲載している情報を、電子書籍の形にまとめて配布してみたいと思われる方々も多いのではないでしょうか。ウェブサイトを電子書籍化するのは、実はそれほど難しくはありません。
■電子書籍のオープンな標準規格「EPUB」形式のファイルを作る
電子書籍のデータ形式(フォーマット)はいくつかありますが、「EPUB(イーパブ)」という形式がオープンな標準フォーマットになっています。EPUBは、HTMLやCSSなどのウェブを構成する技術が活用されているデータ形式です。
印刷物に近いPDFとは異なり、閲覧環境に応じたリキッド(リフロー)レイアウトが可能で、改行位置や文字サイズは閲覧環境側で調整できます。
■一太郎2013のEPUB保存機能
EPUBファイルを作成できる市販ソフトウェアには、Adobeの「InDesign」や、ジャストシステムの「一太郎」などがあります。フリーソフトでもいくつか公開されていますし、ウェブ上でEPUBファイルを生成するサービスなどもあります。
EPUBファイルは、HTMLやCSSなどで記述された構成ファイルをZIP形式に圧縮したものなので、テキストエディタとZIP圧縮ツールだけで作ることも不可能ではありません。
■EPUBファイルを作成できるフリーソフト「Sigil(シジル)」
☆EPUB作成フリーソフト「Sigil」
EPUBファイルを作成できるフリーソフトの1つとして「Sigil」があります。
Windows版とMac版が用意されており、ソースコードも公開されています。配布サイトからダウンロードして、無償で使うことができます。
そこで今回は、このSigilを使って、既存ウェブサイトのHTMLを流用しつつEPUBファイルを作る(電子書籍化する)方法を解説致します。
本記事では、本稿執筆時点でのWindows版Sigilの最新版であるVer 0.7.1を使って解説しています。
インターフェイスの多くは日本語化されており、バージョンが上がるにつれて、日本語化の完了箇所は増えています。本記事では英語になっている部分も、今後のバージョンでは日本語になっている可能性があります。
☆ウェブページのHTMLやCSS等を元にして、電子書籍(EPUB)を作成
今回は、1から電子書籍を作るのではなく、「既存のウェブサイトをEPUB化する」という前提で解説します。
ウェブサイトには既に、デザインを作るCSSや、HTML・XHTMLで書かれた本文があるはずです。それらをほぼそのまま流用する形でEPUB化すれば、とても楽に電子書籍(EPUBファイル)を作成できます。
■「Sigil」の入手方法
☆OSに合わせて「Sigil」のセットアップファイルをダウンロード
Sigilを入手するには、以下のページにアクセスして、ご使用のOSに合わせたセットアップファイルをダウンロードします。
Downloads - sigil - The EPUB Editor
Windowsで利用する場合は、「Windows build 0.7.1」と書かれた項目(数字はバージョンによって異なります)の隣にある、ファイル名「Sigil-0.7.1-Windows-Setup.exe」をクリックします。
☆ファイル名をクリックしてダウンロード
すると、右図のようにそのファイルをダウンロードできるページに移動します。
ここで、ファイル名「Sigil-0.7.1-Windows-Setup.exe」をクリックすれば、ダウンロードが始まります。ブラウザの機能を使って、適当な場所に保存して下さい。
■「Sigil」をインストールする
Sigilをインストールするには、ダウンロードしたセットアップファイルを実行します。
基本は「Next」をクリックするだけ
1. 最初に、右図のような画面が表示されます。セットアップは(本稿執筆時点では)すべて英語で表示されますが、ほとんどの操作は右下の「Next>」ボタンをクリックするだけで問題ありません。
2. ライセンスについての同意を求められるので、右図のように「I accept the agreement」にチェックを入れた上で、「Next>」ボタンをクリックします。
3. インストール先フォルダを指定します。特に問題がなければ、デフォルトのままで構いません。必要な空き容量が左下に表示されています(Ver 0.7.1では、84.2MBの空き容量が必要でした)。少なくともそれ以上の空き容量があるドライブにインストールして下さい。インストール先を変更するには、「Browse...」ボタンをクリックします。
4. インストールする内容を選びます。Sigil本体には最初からチェックが入っていますので、特に問題がなければ、そのまま「Next>」ボタンを押せば良いでしょう。
デスクトップ上にSigilのアイコンを置きたい場合は、「Create a desktop icon」にチェックを入れます。不要ならチェックを外して下さい。全ユーザのデスクトップにアイコンを置きたい場合は「For all users」側を選択し、自分のデスクトップだけに置きたい場合は、「For the current user only」側を選択します。
もし、EPUBファイルをSigilに関連付けたい場合には、「Associate ebook files with sigil」にチェックを入れ、さらに「EPUB」にもチェックを入れます。
しかし、EPUBファイルを編集ソフトに関連付けるのが便利だとは限りません(閲覧ソフトに関連付ける方が便利です)から、特にチェックしなくて構わないでしょう。
5. スタートメニューにどのような名称で項目を作るかを指定します。デフォルトでは、「Sigil」とだけ入力されています。望みの名称に変更しても構いませんが、特に問題がなければ、そのまま「Next>」ボタンをクリックして下さい。
6. 最後に、インストールに関する設定が一覧で表示されます。
インストール先等に間違いがなければ「Install」ボタンをクリックして下さい。すると、インストール作業が始まります。
7. インストール作業が完了するまで、しばらく待ちます。途中で、Microsoft Visual C++のランタイムに関するダイアログなど、いくつかの別画面が出てくることもありますが、そのまま何も触らずに作業完了を待てば問題ありません。
8. 右図のように「Completing the Sigil Setup Wizard」と表示されたらインストールは完了です。「Finish」ボタンをクリックして、セットアップを終了して下さい。
9. スタートメニューに「Sigil」項目が増えていることが確認できます。もし、手順4でデスクトップにアイコンを追加するよう指定していれば、デスクトップにもSigilのアイコンが見えるはずです。
以上で、Sigilのインストールは完了です。
■「Sigil」を使ってEPUBファイルを作成する方法
まず、Sigilを起動するとメイン画面が表示されます。
「untitled.epub」というファイル名のEPUBファイルを編集する状態になっており、「Section0001.xhtml」というページ(ファイル)の編集画面が開かれています。
最初は、「ブックビュー」という、電子書籍としての「見た目」そのままに編集するモード(いわゆるWYSIWYG編集モード)になっています。
☆Sigilのウインドウは3ペイン構成
本稿執筆時点では、Sigilのメインウインドウは3ペイン構成になっています。
左側から順に、EPUBの構成ファイルを一覧で示す「ブックブラウザー」、ファイルの内容を編集する「ブックビュー(またはコードビュー)」、目次情報を一覧表示する「目次」が表示されています。
これらの表示内容は、メニューの「表示」から選択できます。もし消えてしまった場合や、不要なものを消したい場合には、そこから選択して下さい。
☆ 「コードビュー」に切り替えてソースを直接編集
メニューから「表示」→「コードビュー」を選ぶか、[F2]キーを押すと、右図のように「コードビュー」というソース編集画面になります。[F2]キーを押す度に、「ブックビュー」と「コードビュー」が交互に切り替わりますので、表示確認をしながらの編集作業が進めやすくなっています。
ウェブサイトのHTMLを流用してEPUB化(電子書籍化)する場合には、この「コードビュー」画面を使って、ソースをコピー&ペーストしていく方法が便利です。
☆「Sigil」は、ほとんど日本語で使える
Sigilは、日本語化も進んでおり、ほとんどのメニュー項目は日本語で表示されます。Sigilを起動すると、右図のように各種メニューは日本語で表示されていることが分かります。
もし、完全に英語で表示されてしまっている場合は、言語設定が英語になっています。以下の手順で、設定を日本語に変更しましょう。
☆■言語設定を変更
英語で表示される場合は、言語設定を日本語に変更
メニューの「Edit(編集)」→「Preferences(環境設定)」をクリックするか、または[F5]キーを押すと、右図のようにPreferences(設定)ウインドウが開きます。
左側のメニューから「Language(言語)」項目をクリックして、「User Interface Language(ユーザインターフェイスの言語)」項目と「Default Language for Metadata(メタデータのデフォルト言語)」項目の両方を「Japanese(日本語)」に設定して下さい。
Sigilを再起動すれば、日本語化されたインターフェイスで起動します。
☆スペルチェックの下線が日本語部分に引かれてしまう仕様への対処
日本語に下線が引かれてしまう
Sigilには、英語やフランス語のスペルチェック機能があり、おかしな箇所は赤色の波線でハイライトされる仕様になっています。
しかし日本語部分にもことごとく波線が引かれてしまうため、若干ソースが見づらくなってしまいます。もし、この表示が気になる場合は、ハイライト表示をOFFに設定すると良いでしょう。
☆スペルチェックのハイライトをOFFに
スペルチェックのハイライト表示をOFFにするには、メニューの「編集」→「環境設定」をクリックするか、または[F5]キーを押して、設定ウインドウを開きます。右図のように、左端のメニューから「スペルチェック辞書」を選択し、右上端にある「Highlight Misspelled Words」のチェックを外します。
上記の設定で、赤色の下線は引かれなくなります。
☆作成できる形式は、EPUB2
「Sigil」 Ver 0.7.1
本稿執筆時点でのSigilの最新版である Ver 0.7.1 では、EPUB2形式での保存にのみ対応しています。EPUB2は、EPUB3と比べて、縦書き(縦組み)表示ができない、ルビが振れない、傍点などの強調表記が使えないなどの違いがあります。本記事では、ウェブサイト上の文章や画像を簡単に電子書籍化する方法だけを扱いますので、EPUB2でも問題ないものとして進めます。
なお、EPUB3を構成する各ページはHTML5で作られますが、EPUB2ではXHTMLで作成します。ファイル拡張子は、EPUB2でもEPUB3でも、共に「.epub」です。
それでは、ウェブサイトのHTMLやCSSなどのデータを元にして、Sigilを使って電子書籍の本文を作る方法を見ていきましょう。
All About
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