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2013年3月24日日曜日

[修理][携帯電話] 富士通F-07A〜らくらくホン修理









[修理][携帯電話] 富士通F-07A〜らくらくホン修理
2013/12/19
「NTTドコモ らくらくホン 富士通F-07Aフレキ断線修理」  
ハード改造・修理
■概要
・らくらくホン ベーシックII(F-07A) サポート情報
NTT Docomo らくらくホン ベーシックII F-07A
親が使っていたF-07A(筐体色:イブニングブルー)の筐体にヒビが入ってらしく、開いた拍子にヒンジ部ごと折れて配線も切れたとのことで、修理してみた。当初は中古で同一機種(筐体色:メタルシルバー)を購入し、オモテ面部の筐体とヒンジ部一体部分だけを移植する形で済ましていたが、使ってるうちに数日でサブディスプレイの表示不良、次いでメインディスプレイも映らない不具合が出た。中古品は筐体の外観で特に問題はなかったことから、どうやら中古品は内部で既に問題が起こっていたのではないかとの疑問が出た。この機種の不具合を検索してみたところ、以下のリンクにあるように似たような事例が見つかった。どうやらこの機種はもともと脆弱性を抱えてるらしく、画面が写らなくなるなどの不具合が出ている様子だった。
不具合情報
・twitter 『親のF-07Aのディスプレイが映らない、んだか…』
■調査
ヒンジ部のフレキはリジッドフレックスプリント基板(リジフレ、以下フレキと記載)になっている。リジッド部にはコネクタのみ実装されている。フレキは4枚構成で、そのうち外側2枚はシールドありの2層フレキ(外装にあたる面には黒レジストが塗布されている)、内側2枚はシールドなしの片面フレキ。フレキの製造者表示やUL表示等は無し。
黄色いテープがポリイミドテープ(カプトンテープ)
4枚のフレキがポリイミドテープで一体にまとめられている
写真はいじっているうちに亀裂が進んでフレキDが切れてしまったもの
応力で断線するのは、ヒンジの屈曲部周辺に配置されるフレキの配線部分。本体側(筐体のうち10キーがある側)のメイン基板接続用コネクタから伸びたフレキが、コーナー(1)でポリイミドテープ(カプトンテープ)にとめられているすぐ手前の部分が屈曲部周辺に位置する。組み立て作業性向上のためか、4枚のフレキをポリイミドテープでまとめてあるので、その部分は固くなり、代わりにテープの保護がされていないすぐ隣の軟らかい部分に応力が集中するものと考えられる。
コーナー(2)も同様に応力がかかりやすい形状だが、こちらは筐体ヒンジ部の留め金で固定されるしくみなので、フレキ自体には無理な応力がかからなかった様子。もしくはその分コーナー(1)に応力が集中するとも考えられる。
(この程度の断線は通常であれば実機のフレキ屈曲試験で判明するものなので、屈曲試験そのものをしていない可能性が考えられる)
フレキAの亀裂初期状態は撮影し忘れたため、写真はフレキB,CとDのシールド面のみ。
表裏外側の2枚(フレキAとフレキD)は外を向いている面(フレキAのB面とフレキDのA面)には黒レジストが塗布され、その下の層にはシールド層とみられるベタGNDがあった。このベタGNDの表面処理はニッケルかスズめっき、またはイマージョンシルバーの様子。屈曲性のためか、シールド層のベタGNDにはベース銅がない。内側の面は配線層で信号や電源、GNDガードパターン含めるとライン数がフレキAで21本、フレキDで17本あった。フレキBはライン数11本、フレキCは21本で、合計70本の配線があった。
・フレキのレイヤーと配線層の関係
フレキD A面 シールド層(黒レジスト塗布面)ライン数1
フレキD B面 配線層 ライン数17
フレキC A面 配線無し
フレキC B面 配線層 ライン数21
フレキB A面 配線無し
フレキB B面 配線層 ライン数11
フレキA A面 配線層 ライン数21
フレキA B面 シールド層(黒レジスト塗布面)ライン数1
・コネクタ間の配線
信号名 欠番
SIG_01,SIG_02,SIG_5,SIG_28,SIG_28,SIG_30,SIG_32,SIG_35,
SIG_38~SIG_41,SIG_43,SIG_45,SIG_48,SIG_51,SIG_56~57,
SIG_60~61,SIG_64~65,SIG_73,SIG_75,SIG_77
電源ラインであっても便宜上SIG_とする。信号内容は調べていない。)
写真2より、液晶側に接続されるコネクタのフレキ切り欠き部側を1番ピンとした場合のピン番号は、コネクタ向かって左上が1番ピン→右上が40番ピン、左下が41番ピン→右下が80番ピンとする。写真2より、メイン基板側に接続されるコネクタのピン番号は、コネクタ向かって左下が1番ピン→右下が40番ピン、左上が41番ピン→右上が80番ピンとする。コネクタ液晶側、メイン基板側それぞれの各ピン番号における信号割り当ては下記表の通り全く同じでクロスしていない。
■修理
フレキ修理を行う際、フレキがまっぷたつに切れてしまっている場合は出来るだけ元の状態の戻してジャンパーをしやすくするために位置合わせと仮止めが必要。仮止めには両面テープや梱包用の薄い透明テープ、メンディングテープやマスキングテープなどを使い、実体顕微鏡で見ながら位置合わせする。配線層側を補修する前にシールド面のあるフレキはシールド側の補強を行う。シールド層はフレキAとDにある。
シールド層間の接続と、それらのフレキの反対面にある配線をはんだ付けにて補修する際にそれなりの機械的強度が必要なので、切れたフレキを接続する補強材として圧延銅箔を作成する。圧延銅箔はジャンパー用のジュンフロン線を工具(万力、ラジオペンチ、ウォーターポンププライヤーなど)で薄く潰して作り、フレキの曲線に沿った形状に加工する。これをACPで圧着接続後さらににエポキシで補強する。シールド層は導電層が薄く下地のベース銅箔が無いため、はんだ付けは出来ない。そのため前回の液晶修理で用いた自作の異方性導電ペースト(ACP)を流用して接続することにした。ACP塗布後はドライヤーで加熱して脱泡及び硬化促進を行い、補強材を付けた後、硬化が始まるまで位置合わせし、ずれないようにして上からポリエチレンシート(できれば両面テープの剥離材を使うとACPがくっつかないので最適、ただしかなり滑りやすいので扱いは難しい)、さらに圧力を均等に与えるために厚めの金属片などで挟んだ状態にしてバイスプライヤーで圧力をかけ固定する。シールドの無いフレキB,Cの裏面側(配線層でない側)の補強には新聞紙を使用した。紙は基板の紙エポキシの材料などにも使われていてエポキシ含浸性がよく、こういった用途には最適。裏面の配線層を修理する際には絶縁層(フレキの接着剤層)が薄いため、補強材のバリや押しすぎなどで導電層や絶縁層を突き破って他の層とショートを起こすことがあるので十分に注意する。
リボン材(断線した配線のジャンパー用)も圧延銅箔をカッターで切って作成する。パターン幅は50umくらい?かと。しかしさすがにこちらはジュンフロン線から作ると厚すぎるので、細めの縒り線をバラし、そのうちの1本を薄くのばして使用した。はんだ付け後は、裏面に圧延銅箔で補強しているフレキについてはその銅箔とショートしていないか、GNDとショートしてないか、近接する信号線や電源ラインとショートしていないか、コネクタのピンアサインを参考にしながらその配線が導通するかなど、テスターで必ず確認する。全て配線したら必ず洗浄して余計なフラックスを除去する。フラックスが残っていると、この上からエポキシ塗布して固定した場合に強度が十分出ない可能性がある。洗浄して洗浄液が十分乾いたら、はんだ付けした周辺一帯にエポキシを塗布して保護する。エポキシ塗布範囲は広すぎると屈曲性に影響することと、狭すぎても剥がれてきたり保護にならなかったりするので適切な範囲にする。
エポキシの密着性を上げるために、カバーレイ層を耐水ペーパーの800番程度で荒らしておくとよい。
1台目の切れたほうの断線修理。
光が反射してテカッって見えるのは
パターン補修後エポキシにて保護したため
修理後、ヒンジ部屈曲試験として携帯に組み込んで実機使用条件にしてから100回程度折り曲げを繰り返したが断線やエポキシ補強部の剥離は起こらなかった。実際の製品では数十万~数百万回の屈曲テストをする。
(参考資料:耐屈曲性について 沖電線)
■メイン基板と子機板を接続するフレキの補修
ヒンジ部とは別にメイン基板とメイン基板の子機板を接続するためにフレキが乗っており、これが応力で断線することがわかった。こちらもヒンジのフレキと同様に補修する。ちなみにこのフレキは日本メクトロンの表示がある(mkのマーク)。フレキには絶縁用にインシュレーター(黒い絶縁シート)が貼られているのでこれを慎重に剥がし、その下の黒レジストをジクロロメタンやベンジン、アルコールなどで剥離させフレキのパターンを露出させる。このフレキの配線(パターン)はヒンジのフレキほど細くないので適当に補修後、テープなどで絶縁してから組み込む。おそらくこれだけはんだを盛っておけば再発はしないはず…。
A部亀裂 黒レジスト剥離後
こちらは円形GNDパッドのランド周辺の黒レジストに亀裂が入った様子。重度ではないがカバーレイを少し削ってはんだを乗せて補修。
メイン基板⇔子機板接続用フレキの補修
こちら側は2ヶ所断線していた。はんだを多めに盛って補修。これらの修理でメイン液晶画面が映らなくなる不具合については2台とも直り、1台は使用中だが、残りの1台は電池が消耗していて1日持たないのと、サブ液晶があいかわらず映らない(ヒンジフレキの導通は異常なし)件、さらには今回の不具合とは別の問題があるらしく電源が不安定なため予備機となった。その後の調べで2台目は電池の消耗ではないことがわかり、メイン基板のどこかがおかしい様子。
KEYWORD:NTTドコモ NTT docomo 富士通 F-07A らくらくホン ベーシックII フレキ 断線 修理 ヒンジ 折れ 不具合 故障 問題

電子機器Junker  
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