
[ネタ] 伊集院光『深夜の馬鹿力』〜夏休みの想い出が…ない(2010.7)
伊集院光『深夜の馬鹿力』〜夏休みの想い出が…ない(2010.7)
TBSラジオJUNK/『伊集院光・深夜の馬鹿力』
2010.7.27
夏休みの記憶があまりない。僕の頭蓋骨の中に入ってるものの鮮度が相当わるくなってる。下手したらクワガタのサナギの方が死んじゃってんじゃないかっていう状況なんです。記憶力が全然悪くなってるんですが,暑いのもあって,記憶力わるい通り越してデジャブ/既視感みたいのが酷くて。皆さんからもらったらラジオネタ選んでるじゃないですか?ものの30分も経たないうちに,あれ?これ前に見たんじゃねェか?っていう気になってくる。それと,毎回一応採用ネタはプリントアウトして置いとくんですけど,そのコーナーがやらなかったりとか,やったんだけど,ミキサー岡部さんが特殊効果で放送しなかったりとか(笑)そういう事がふえてくとさ,ネタ読んだのに放送されてない作品が増えてくるわけです。そうして,あまりにそれが何回にもなっちゃうと,読んだ?読まない?がわかんなくなる。んで構成渡辺君に確認すると,大抵読んでない。今日の昼間も,家でネタ選んでても…昨日も今日もわかんなくなってて。本当にもう賞味期限なんか,完全に過ぎてて。なんかレジの人に「この納豆いくらですか? 」って訊いたら「それ大豆です」って言われるぐらいの今状況になってるから(笑) 発酵しちゃってるからなんだけど。今日の昼間も,家でネタ選んでても,あれ?これ一回読んだ気がする…ってなって。あまりに最近投稿多いから,また例のヤツだろうと思ってフォルダ間違えちゃって。まるまる先週読んだヤツのをまたやり直してたりとか。
■ 藤代の廃病院
そう,この性格だから。 「マンホール20個踏んで帰る」って言って,19個しか踏んでない時に,一晩考えて,また起きて踏みに行くタイプだから(笑) 略して可哀想な人だから(笑) 恐らく今後ネタ選びが一回じゃ済まなくなってくんだよね。
んで最初言った夏の話だけど。「夏休みこんな事あった」みたいな話しようと思ったけど,夏休みのことは何一つ思い出せないっていうか。問題は俺も高2の頃から, 夏休みの設定とかも自分で勝手に決めていい権利は自分に与えたから(笑)「行きたくない日は夏休み」っていう決まりにしたから。そういう権限を与えられた児童を,学校側は「登校拒否児童」と呼んでたらしい(笑) 俺自体はそういう権利を自分でもらったから,夏休みのありがたみもないわけ。 高2の6月ぐらいから適当に行ったり休んだり繰り返してるうちに夏休みに突入して,で,それで高2の9月ぐらいまで結構休んでて,これでは単位もらえないってなる10月ぐらいから結構学校通うようになるっていう。 で高3はもうそれでもう学校辞めちゃったりしてるから,夏休みもクソもなくて,グダグダ。さらに高3で学校を辞めて,それで社会人ですよみたいになるかと思えば,学校には退学届けを出さないまま落語家に弟子入りするわけ。弟子入りして1年間ぐらいカバン持ちとかやるんだけど,亡くなった方の円楽師匠が,気まぐれで。おそらく俺が今思うに,その亡くなった円楽師匠は,僕の入門日を勘違いしてると思うんです。 っていうのも,僕の上にいた3人の兄弟子が,3人ほど揃って入門して,で,その後2年弱ぐらい経って僕がポンって入って,その後が結構いない。そうすると,円楽師匠の中ではこの4人がセットになってて「じゃあもう4人今日から位を上げます,カバン持ち時代終わりです」みたいなことになって。 そうするとカバン持ちの仕事もない上に,仕事もないって暮らしが19歳くらいから始まって,これまた毎日夏休みの生活に逆戻り。 そうするとどっからどこまでが夏休みか全然わかんなくて。でその前に遡ってみようと思うと,高1の夏休みは野球部やってたから,ほぼ休みがないんで,これも夏休みの想い出はない。中学校の時はまだ物心がついてないから,まだ乳歯も生えてないから(笑) 中2の9月に1本目の乳歯生えて,お母さんが初めて乳首を痛い!と思ったっていう(笑) だから夏の記憶がない。
憶えてる代表的なヤツというと…今日言わないと今日忘れちゃうヤツ。高校の時によく行ってた,友達の友達の別荘。別荘っていうと聞こえがいいけど,友達のお父さんが定年退職した後に郊外の土地の安いとこに引っ込もうって思って,郊外で売り出してた住宅買って。 なんか今住んでる家が借家で,借家の機限が切れた頃にそっちに住もうみたいので,近くに海があるわけでもない,山があるわけでもない,茨城県の藤代っていう市街地の中にある別荘。恐らく界隈に住んでる人からしたら「何故そんな普通なところに夏に行くの?」っていう所。そこに友達と泊まりに行って。その別荘の近くに病院の廃墟みたいのがあって,そこにもキモ試しに行くのが流行ってた。そこには,夏に限らず冬に限らずちょくちょく行ってたんですけど,キモ試しに行くんだけど,最初のうちはイベントとして盛り上がってて,俺も割と中心的な事したりしてたんだけど,飽きてきて。新たに入って来たメンバーに「あの病院幽霊出るから…」とか一々言うの嫌になってきてて。
「今年は俺は行かない」「みんな勝手に行けばいいじゃん」ってなって。 んで皆が廃病院行ってる間,俺はテレビ多分観てたと思うんですけど,皆の帰りが遅い訳。 全然遅い。なんでもない所で,本当の病院の廃屋だから,そんな富士急ハイランドの廃病院のアトラクションとかじゃないから。フツーに病院一周して時間なんかかかる理由ない。んで帰って来て。「遅かった!」 とか言って。したら開口一番「脱ぎたてのブラジャーとパンティが落ちてた,それでみんな盛り上がっちゃってさ」って。それがものすごい見たくて(笑) 見たくねェ?(笑) だって高2高3の時期に。またさ,オバケの話は絶対俺の方がうまいのに,いつも全然ダメな木村が,ブラジャーの脱ぎたて感みたいな話すごいする訳(笑) 何度も行って知ってるから,その間取りみたいな情報から,「…その部屋の真ん中の所に,まだ全然綺麗なブラジャーとパンティが置いてあって…」って(笑) 「それこそ今さっきまでそこでエロい事やってて,俺達来たから慌てて置いて逃げてったんじゃなおかっていう位…薄ピンクの…」って言う訳(笑) もう見たくて見たくて(笑) 分かると思うけど,男同士の友達数人で「キモ試しに行こうぜ」つってつところに一人「俺いいわ」っていうヤツ。 しかもその時に「何度も行ってるし,もうキモ試しでもねェだろ」みたいな話と,その新しく混ざってきたヤツに対して,ちょっと怖がらせようとする話も「それ何年も前に俺が作った話だろ,蚊に刺されるためだけに行くようなもんじゃん,何が面白いんだよ?」とか言って。したらまとめ役の大野が「じゃあオマエ行かなくていいよ,俺等だけで行く」ってやり取りの後に「行きたい」とは言えないじゃん(笑) だって脱ぎ立ての薄ピンクのブラジャーとパンティがあんだよ?夏だよ?茨城県の藤代にそこに秘宝があるんだよ?(笑) でも言えない。しかも高校生ぐらいの童貞で男ってのはもう完全に,プライドが一番高い所にある(笑) 多分スカイツリー建ったらやっと手が届く位の所にプライドあるから。 「行きたい」って言えないじゃん,そんな。なんだろう? 今だったら「俺パンティー見たいわ」って言えるんだろうけど,多分その頃のその空気,言えないんだよね。「あ…そうなんだ,はしゃいでんじゃねェよ! 子供じゃねえんだからよ」みたいなね。 その「お前ら頭ん中エロばっかりなのかよ?」みたいな。こっちだってヤツらがキモ試しで行ってる間,『漫画大悦楽号』読んでガンガンに股間勃ててるくせしてだよ(笑)
んで,夜ご飯食べて。んで連中早く寝てくんねェかなって思って(爆) したらその日の昼間も相当はしゃいでたから。今言うと思うと何のためやったかわかんないけど,原チャリバイクで霞ヶ浦を回るみたいな。 みんな早々に寝ちゃって。廃病院のパンティとブラジャー見たいわけ。だけどなんだろう? さあ,パーティーとブラジャーだ! と思って一人歩き始めたら,今度はオバケが怖いのよ(笑) オバケ信じてないんだけど,なんかこうなんだろうね,なんだろう…暗闇が怖い。みんなと一緒に行くキモ試しはもう慣れてるし,そこの言われみたいなヤツは,当時から怪談を創作するのが大好きだから,「何故こういう病院があって,この病院はなぜかそんなに敷地が広くないのに井戸が2つあったりする理由は…」とか「建物の作りがヘンな理由は…」だったりとか,その知りもしない言われみたいな話を作って。映画『スタンドバイミー』の途中でさ,ピザ大食い大会でゲロ吐いた話を自慢気に披露して嬉しくなるみたいな,そういう感じの。俺の考えた怪談の感じで怖くて。あと10m踏み込めば,言ってた脱ぎたての薄ピンクのパンティとブラジャーがあるっていうのに,引き返して。 帰ったら連中起きてて(笑)「オマエまさかパンティとブラジャー見に行ったんじゃねェだろうな?」「行ってねェよ,コーヒー買いに行っただけだよ,マックスコーヒ買い行っただけだよ」つって。あれから,ついぞ見なかった想像上の薄ピンクのブラジャーとパンティ,ずっと思ってたね。そこでは何度もキモ試しやって。 俺が落語家になってからも,そこに霊感ある弟弟子連れてって,弟弟子アワ吹いたりしてんだけど,随分経ってからそこ行ったんだよね。 したらそこもう更地になってて,何よりも先に思い出したのは,「ああもうあのパンティ見れない」っていう。 これが今日思い出した夏休みの想い出(笑)
■ 厚木のシゲルさん
今日は,記憶のリハビリ。脳みその活性化のために,とにかく夏休みに関する記憶を色々思い出そうとしてて。みんなもいるのかな…言われてみれば,ある時を境にプッツリ交流が途えてる親戚っていません? そのキーマンになるような人がなくなった場合とかでさ。 うちの場合でいうと,俺が小学校1年になる時におじいちゃんが亡くなった。おふくろ方のおじいちゃんが亡くなって,そのおふくろ方のおじいちゃん側のその親戚みたいのが,ゴソっと交流がなくなる。で,そのおじいちゃんが生きてる頃に,やったら俺はそこに行くのが好きな,神奈川の厚木の先にある親戚の家があって。 その事も久々思い出して。「夏休みどこにも行かないと可哀想だから,神奈川のおじさんの所行ってくれば」って行く。俺はそういうのに疎いのもあんだけど,そのうちの母方のおじいさん関係なんだろうな? ぐらいが分かってるだけで,細かい繋がりが全然わかんない。で,そこにそのおじいちゃんとおばあちゃんと,おじさんとおばさんと,その娘のユキちゃんとシゲルさんがいる。これは謎なんだ。 そこの娘だってこともすごい憶えてんだけど,ユキちゃんと,シゲルさんがいる。俺が今記憶を取り戻す限りは,「シゲルさんは夜間の工業高校に通ってて,それで日産の工場に就職するんだ」みたいな話をしてた気がする。んで「ユキちゃんはもうお嫁さんになるんだ」みたいな話をしてた気がする。でおじちゃんもおばちゃんも「ユキちゃん,シゲルさん」って呼んでた記憶がある。で,俺の中で,その辺あたりからシゲルさんの記憶がプッツリ消えてる。おばさんとユキちゃんの方は,その後しばらく記憶あんだけど,シゲルさんの記憶がない。
当時,仮面ライダーの敵キャラに「ゲルショッカー」っていう,ショッカーのさらに上の上部組織みたいなキャラがいて,シゲルさんの事を「ゲルショッカー」って呼んでて。一方でシゲルさんは俺のこと「ケン坊ケン坊,健忘症」って呼んでた。それが,意味わかんないけど子供心にすっごい嫌だった。んで後で大人になって「なんかいろんな物忘れの激しいことを健忘症って難しく言うんだ」って分かる。 しかもシゲルさんの言ってた事は今身を結んでるから(笑) 俺は思い出せなくなってますから。んでそのシゲルさんがよく遊んでくれて,よくそこ行ったんだよ。なんか多分神奈川県の本厚木ってところも,今じゃ結構な住宅街になってると思う。さっき言った藤代っていうところも,今じゃ結構な住宅街だろうけど,その頃は第一期分譲ぐらいで大した事ない。厚木のおばちゃんの所も,今じゃ結構な住宅街だろうけど,当時はちょっと東京とは違って普通にカブトムシ採れたりとか,あとある年はビックリするくらいカミキリムシ採れたりとか,あとヘビ見れたりとか。でもいつも俺が「カブトムシ採りたい」っていうと,そのシゲルさんが連れてってくれる。俺は東京で図鑑で勉強してくるわけです。 「こないだ採ってくれたカミキリムシはゴマダラクロスジカミキリだ」とか。「クロスジカミキリはこの辺にはいない」とか「こないだシゲルさんが俺の前で採ってくれた蛇はシマヘビっていう蛇で,あの時シゲルさん格好つけてたけど,毒はないんだ」とか。 まァ高校生ぐらいで,その幼稚園の俺に「隊長」って呼ばれて「エヘン」ってなってたぐらいだから(笑),相当な強者だとは思うんだけど,そのシゲルさん自体も(笑)
で今でも憶えてるのは,シゲルさん,「蛇踏み潰せ,オマエも男なんだろ?」って言う。都会っ子だしさ,生きてる蛇踏むの怖いじゃん。 そりゃ都会っ子蛇怖いよ。だけど,その神奈川のおじちゃん,おばちゃんにもこうちょっと言いつけられたりするわけよ。 なんか「今日はケン坊が蛇にビビっちゃってさぁ…」とか言われかねないし,嫌だから立ち向かおうとするじゃん。んでパッと見たら,それが図鑑で見たアオダイショウってヤツ。「アオダイショウは毒がない」って書いてあったから,「大丈夫だから頑張んなきゃ」つって,今言えば残酷なんだけど,頭踏み潰そうとしたら,逃げちゃってさ。「だけど今日は頑張ったから」つって。したら次に黒い蛇がシュルシュル来て,患者反射的に逃げたら,シゲルさん「怖くねェよ!」つって言われて掴んだら「ヤマカガシ」って蛇で「毒がある」って図鑑に書いてあった(笑) だけどシゲルさんが「大丈夫大丈夫」って言うから頭踏もうとしたら,尻尾踏んじゃって(笑) それが今でも忘れないけど,後で学んだ記憶で補正してるけど,ヤマカガシの尻尾踏んでピーンってなったと思ったら,クレオパトラのあれみたく,シゲルさんの足首にクルクルクルって巻き付きやんの。んで最後の頭がパクってシゲルさんの足に噛みついて。したらシゲルさんの足がどんどん腫れて,どんどん色変わってく(笑) ェええ?と思うんだけど(笑) 俺は「ヤマカガシ」図鑑で見てるから。なんかさ子供の図鑑だけどさ「毒があるし,近寄るな」みたいなの書いてあんじゃん(笑) 「近寄るな」のマークあるヤツだから。マムシはもっとデカいマーqqaクあるけど,それよりちょっと小さめのマークだけど,「近寄るな」マークのあるヤツじゃん(笑) シゲルさん「全然大丈夫だ」っつってんだけど,みるみるうち足腫れてきて「ヤベェ隊長大丈夫ですか?」って言いたいけど,言うと「俺を舐めてんのか」って空気になっちゃうからヤバいと思ってたら,シゲルさんワンワン泣き出して(笑)病院に多分連れてかれたと思うんだよね。 ただそれ辺りから記憶ないから,もしかしてヤマカガシにやられて死んだのか(笑) 多分その後あと1回ぐらい会ってんだろうな。
で,多分これ小学校入る前でしょ? おじいちゃんがいたから交流があったわけだから。俺が4歳とかの時に「来年就職」とか言ってたし,高専は4年で夜間は3年だから,わかんないけど,まァ年齢差としては,その時12〜13歳上だって事は,今50歳〜60歳か。 まだ生きてるよね? ヤマカガシの毒が相当きいてても生きてるよね?(笑) そういう全然音信不通の親戚がポツポツいるけど,みんなどうしてんだろう?
■ 狭山のエロビデオ屋
あと夏で思い出すのがね。夏っていうか,あれで思い出すんだよね…俺の中での夏の風景の一つで,ソフトクリームが食おうとする側から溶けてきて,手がドロドロになるあの感じ。ソフトクリームをサァ食おうと思ったら,手元がベトベトになる感じ。あれでいつも思い出すんですけど,バイク乗ってたから,もう高校2年か3年になってると思うんですけど,ある日友達の上原君が「狭山(埼玉県狭山市)というところの,とある場所にあるエッチな本とかビデオを売ってるお店で,禁制品を扱ってるらしい」と。 幕府の禁制品。庶民が持ってはいけないという,ビロード製の長崎県のお土産でお馴染みの禁品ですよね? (笑) あれを売ってるらしい。 幕府が「この世にあってはまかりならん」と言っている。あれはもう殿様だけがたまにポッピンって吹けばいい,無修正のエロビデオが売られているって言うんです。 上原君は年の離れた兄貴がいて,兄貴とかが情報源じゃないですか。しかもその狭山にあるホンダの工場かなんかで働いてて,その側に…というわけですよね。ついては「そこでみんなで金を出し合ってその禁制品を手に入れようじゃねェか」と。禁制品以前にですよ,僕らの年齢だと普通に春画を買うことも許されていない時ですけど,フィクションとして。お得意の作り話ですよ。 ずっと昨日まで生まれた時から入院してましたから(笑) 外界の記憶なんていうのは全部想像ですから(笑) 僕はもう点滴を見て育ちましたから(笑) その後元気になったんですけど,その後鉄仮面をつけてずーっと(笑) で警察から「スケ番刑事として生きていくんなら高校行っていい」と言われて(笑) この辺で嘘も本当もグチャグチャになったところで始まるわけですけど(笑)
んで夏に「それを買いに行こうよ」ってなって。行って。で「確かこの辺だって聞いたんだけど」を言いながら行く。したら国道16号線をなんかしばらく行った先に,本当にこんな方?っていうような道を折れるんだよね。 今そこに行って同じ風景があればわかるけど,ってぐらいのとこなんだけど。上原君と話せばわかるかぐらいの感覚だけど。で,そこを曲がったら,もういかにも街道沿いにある,それ専門の店がある。「大人のおもちゃ」とか,なんかわかんないけど丸文字で書いてある。看板の下地は黒で,字はトイザらスっぽい感じ,分かります?(笑) 俺の頭の中にある基本ラインの,街道沿いの大人の店の映像はああいう感じなんですけど,多分その時にできたもんだと思います。 黒い看板の地にトイザらスっぽい字で「大人のおもちゃ」って書いてあったり,脇に「本,ビデオ」とか書いてある。でまだ昼間だからってのもあるけど,入口の扉がやってんだかやってないんだかわかんないんだよね。 入口の扉がオレンジ色のガラスなんだよね。 オレンジのガラス扉で,それに丸い皿状のドアノブがついてる。昔のパチンコ屋によくあったタイプの扉で。もう入ったら言い訳できない感じ。 しかも俺等からしたら,その年齢で入ること自体が非合法なんだけど,「無修正があるらしい」って噂を聞いて来てるから,入ってもう何も言い訳できねえぞってとこだから,入るまですごい勇気が要る。んで原チャリ停めるんだけど。あの頃すごい大人だと思ってたけど,上原君と,原チャリ停めて入る前に「国道16号から入ってきた側じゃなくて,国道16号方向に進行方向に停めよう,すぐ逃げられるようにしとこう」って,何がこれからおこるんだよ?っていう(笑) たかだかエロビデオ1巻買うだけで,お前ら何マフィアのアジトに潜入するような感じになってんだよ?って思うけど,その時はものすごい俺たちからしたら怖い訳。ものすごい所に行こうとしてるから。「人通りがないから,アイドリングしとこう…」って,「アイドリング」ってAKBのうまく行かなかった方じゃないよ?(笑)「エンジンかけっぱなしの方がいいんじないか?」とか「1人が外で待機してて何分出て来なかったら警察行った方がいいんじゃないか?」とか「警察なんか行ったら逆に大変だ」みたいな事になって,「一旦アイス食おう」ってなって。国道16号線沿いに,タコ焼きとかソフトクリーム売ってるプレハブの屋台あったから,そこ行って買って戻って来る。んで屋台の前でソフトクリーム食いながら「どうする? 俺達,もう引けないんだぞ?」って。もう暑くて,ソフトクリームがエンジンの上にボトボト垂れるわけ(笑) 俺はCBX700ってバイクに乗ってたけど,暑くてソフトクリームが,持ってる側からエンジンに落ちてジュワッ,ジュワッて消えてって,「ァアアア」とか言ってバイトで長いローン残ってるバイクを大事に拭いたりしながら。
んで「俺達ここで入らなかったら一生負け犬だぞ」って話になりまして。「俺達ここで入らないを選んだら絶対にプロ野球選手になれねえぞ」って話になり(笑) その時点でほぼ野球部に顔出さなくなってたけど(笑) んで戻って。だけど何度もエンジン切って着けて繰り返してるから,店主が「何だ?」って扉開けて見に来てさ。顔バッチリ目があっちゃってさ。 「エロ本か?」って,「ハイィ」って(笑) 見入られるように(笑) 今その角度とか全部すごい思い出してるんだけど,暑かったんだよ。 プレハブみたいな掘っ立て小屋でさ,真っ黒い地にトイザらスの字で「大人のおもちゃ」ってある看板あって,扉はオレンジ色のガラスでさ。プレハブ全体は一旦ピンクに塗ったけど,ほぼ剥げてる感じで…もうなんつうの? それが陽炎の中に建ってる感じ。んでそこから出てきた店主がさ,Theヤクザみたいなさ(笑) パンチパーマにチョビ髭にサングラスのさ。んで言われるままに「…ハイ」って入って(笑) もう入らない選択肢ないから店内入って。エロビデオよりエロ本の方が全然量は多いんだけど,広さってぐらいかな? えっと柔道やる時の武道館…あれほど広くない (笑) コンビ二程も広くねェな…って,じゃあ武道館の比喩全然いらねェじゃんよ(笑) どれぐらいつったらいいんだろう? えっと12畳ぐらい。 このスタジオ12畳ぐらい?多分この部屋ぐらいだっていうのは逆算でいうと分かりやすいのかな。あの武道館とかコンビニとか全然忘れて下さい。 そこに本がいっぱいあって。エロビデオはそれほどの量じゃなくて,やっぱ本がずっと多くて。んで物色して。こっち側は禁制品のエロビデオがどうしても欲しい。んでエロビデオのパッケージ見るんだけど,どれもこれもモザイク。そのパッケージもモザイク。当時はモザイクより多かったのはちゃんとはなから隠してるってヤツで,やっぱ普通のビデオが殆どで。 第2関門とかもう第5関門ぐらいなんだけど,「そういうのありますか? 」って訊かなきゃならない。だけど訊けないんだよ。みんなさ,今のこの時代だから,その丸見えの動画だろうが,何だろうが,それが何歳だろうが,結構簡単に手に入っちゃうから,その…ワクワクとビビりの狭間のヤツが,「オマエ何言ってんの? 」ってなるんだろうけどさ,まぁそこに人がいたりとか,いろんな全ての一個一個がこの世の終わりに直結してるような気がしてる訳だからさ。そいで奥にチラチラあんのか?みたいなさ。 んでレジにはパンチパーマにサングラスのアンちゃんがいてさ。俺の今で言うとアンちゃんっていっても俺より年下だろうけど,オッサンっていうか親分に見えてたね。親分が店番やってるような店じゃ高が知れてんだけど(笑) で,その後ろにオレンジのカーテンで仕切られた小部屋があって。人一人入れるぐらいの小部屋。ドアていうかドアの代りにカーテンあるから,あのカーテンの奥にあんじゃねェかな…とは思って,カーテンの奥に目線をずっとやるんだけど,奥に目線やってる間,そのアンちゃんは鼻くそほじりながら売物のエロ本読んでるわけよ。 ずっと横見てて,ちょっとアンちゃん俺等の方見ると,俺等はカーテンから目を反らせてさ。コントだろ?みたいなのを数回繰り返したとこで,「アア,全部見えてるヤツ欲しいの?」「…ハイィ!!」(爆)「全部見えてるヤツが欲しいものですゥ!」。全部見えてるヤツが欲しい 2人組ですけれどもォって(笑) 「2万2000円です」って言われて。俺たちは皆で出し合って6万円ぐらい持ってて。今思えばボラれ放題なんだよ。そんなにするわけがない。分かんないけど,俺たちにとって相場とか分かんないから,何にもわかんないんだから。 当時の普通の映画のビデオが1万5000円ぐらい。普通のエロビデオも多分それぐらい。 普通の表のヤツはそれぐらいで,広告で「これ全部見えてます」ってのの値段が1万円ぐらいで書いてあんだけど,1万円で買えるんだけど,大体そういうのは偽物らしい。そんで手渡しでちゃんと買えるものはいくらくらいすんだろう? もう青天井じゃねえか?とか,すげェ思ってた。 だから皆で出し合ってスゲェ額持ってった。
んでお金出して買って。帰り道は凄かったね。バイクのスピード(笑) 法定速度どれだけ出てたか分かりません。メーターを見てたわけじゃないですから。一旦狭山の街が線になるぐらいの(爆) スターウォーズを今観ると「アア,これ狭山でやった」っていうくらいの。 あの一旦周りがフォォンってなって,気づいたら家に着いてるくらいの。このビデオのタイトル,前に何度か番組で言いましたが『Bronde Goddess』っていう。これが実際観ると何でもないんだよ。 要は洋ピンの,海外版のままのヤツをまんま雑に持ってきただけの,なんてことないんだけど,あれが俺たちの夏だね。
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